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┗1089.SSスレッド(201-220/290)

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220 :分水嶺6
2009/05/22(金) 00:44:30

今、群れの全ての小鬼がその感触を求めている。

具体的に戦闘の結果得られる成果を求めて、俺をこれ以上無いくらいにブチ殺したという感触と目に見える死体を求めている。

そう。
全ての小鬼がだ。

『ガッッ!!』

という音と共に、視界が揺れる。

どこかは判然としないが、側頭を打たれたらしい。
初めて頭部に入り、まともに意識に影響した一発に戦慄する。

白んだ視界から復帰し、膝が落ち掛けて俯いた体を持ち直そうとして

俺「ーッ!!」

再び顔に迫る気配に、反射的に槍を構える。

両手で保持し構えたその槍の中央に鈍い衝撃を感じたと同時

『ミシリ』

と軋んだ音を上げて、槍がしなった。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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219 :分水嶺5
2009/05/21(木) 23:29:42

俺(…逃げられやしねェよ。

ここから逃げて、何処に逃げ出すってんだ。あァ?

逃げ出した先で吹き溜まって固まって、やっと安心できたんだろう。

逃げ出した先から、さらに何処に逃げるつもりだ。

来るしかねェんだよ。
お前等が群れて、俺が一人である限り。)


本能に喚起される不安感からひたすらに目を逸らすため、小鬼達は全力で逃げに逃げてきた。

それが今…物理的にではなく、精神的に…脅威に立ち向かわなければならないほど追い詰められ、初めて小鬼達は戦闘の高揚の中にある。

安心を得るために、ではなく、確かに自分達を滅ぼしにくる悪魔の如き存在に対し、殺さなければ逃げる所などなく確かに殺される、というデッドエンドに血を狂わせているのだ。

戦闘の狂乱の最中では、安心は得られない。
自らを脅かす「敵」…「獲物」ではなく、「敵」…の息の根を確かに止めたという感触をその手に得るまで、血の狂いは収まりはしない。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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218 :分水嶺4
2009/05/21(木) 23:07:36

そうなれば、自分達はまた全てに怯えていなくてはならない。

これから安んじて生きるために、この猿を殺さなくてはならない。

例えこれからどんな事があろうとも、「群れていれば安心」という安息を胸に掻き抱いて眠るために、どんな犠牲を払ってもこの猿を殺して「安心」を取り戻さなければならない。



俺(それが、こいつらの恐怖の根元だ。)

例え集落全体で小鬼を撃退しても、「群れ」対「群れ」という同等の条件では、小鬼は簡単に命惜しさに逃げ出すだろう。

そうすればこの場は退けられるかもしれない。

しかし、それでは小鬼が「群れ」であればこちらを獲物にできると考える意識は変わらないし、その上逃げられては数が減っていないとなれば、略奪や殺傷はすぐにまた始まるだろう。
そうなれば解決策は結局最初の予測通り巣ごと根絶やししかない。


だが…もし相手が一人ならば。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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217 :分水嶺4
2009/05/21(木) 22:52:01

今回も、小鬼はその安心感を得られるはずだった。

図体はデカいが、数を揃えて不意を突いてやればすぐさま情けない声を出す猿の一匹。

亀になった村人に構い過ぎている間に隙を突かれ被害が増えたとはいえ、始末してしまえばいつもの安心感が訪れる。


そう思って仕掛けた猿は、まるで自分達がそうするように自分達を触れる端から叩き殺していった。

個々ならまだ良い。
個々で殺されることはよくある。
個々では弱いから群れている。
それは、群れずに単体で猿と出くわし逃げるのにも失敗したヤツがバカなのだ。

しかし、群れで自分達が脅かされる筈がない。

群れなら安心だ。

群れは自分達の安心感の源だ。


その安心感を、この猿が脅かしている。

この猿が恐ろしい。

同時に逃げるのも恐ろしい。

逃げたら、自分達は寄る辺を無くしてしまう。

例えここで逃げ出し生き延びたとしても、自分達が安心感を得られる状況は泡沫と帰してしまう。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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216 :分水嶺3
2009/05/21(木) 21:53:55

けして戦いの高揚など感じてはいない。

群れで敵を押し包む時に感じる悦びは、高揚ではなく、安心なのだ。

小鬼「ギィイアアアァッ!!」

怒声と共に、もはや防御など考えていないようなとんでもないモーションで小鬼の一匹がジャンプし武器を振り下ろしてくる。
それを頭を下げてかわし、下から槍を突き上げる。
が、その突き上げて伸びた体を

俺「ぐは…!」

横から大振りで別の小鬼が拾う。
顔ならば逃がすだけでかわせたが、それで数度かわしたために学習したらしい。

腰を落とした体勢からでは動かない腹を狙った一撃が入り、勢いに乗って追撃しようとした小鬼を物も言わずに振り向き立ち上がりながらのアッパー気味なストレートをブチ込んで黙らせ、バッ!!と周囲に眼を走らせながら牙を剥く。

ただ単に痛みを堪えるために歯を食い縛っただけだったが、それを見て小鬼達は一瞬だけ前進を止めた。

しかし、すぐにより狂乱の具合を増ながら襲い来る。

まるで、逆に追い詰められてでもいるように。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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215 :分水嶺2
2009/05/21(木) 21:24:49

俺(あんまり良い習慣じゃねーよな。
こういう脳内なんたらがタプタプ出やすくなってる状態ってのは。)

多分に日常生活には支障をきたす可能性が高い肉体状況ではある。
とはいえ自分ではそんなに普段おかしな行動をしているつもりはないのだが、自覚がないだけで本当は浮いてるのかもしれないとたまにちょっと思う。


つまり、小鬼達はそういう状況に慣れていない訳だ。


群れをなす動物というのは、つまりは個体が弱いために集団で外敵に当たらなけばならないから群れをなす。
例え残虐で好戦的でも、群れをなす動物はその時点で臆病なのだ。

当然、窮地に立ち向かったりはしない。
ちょっとでも自らを脅かす要素から全力で逃げ出す。

絶対に安心という確証がない限り物事に当たらない。
群れるというのは、その確証を一番強く得られる状況だ。

小鬼達は、その万全の安心感の中、俺を排除にしにきた。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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214 :分水嶺
2009/05/21(木) 20:59:50

攻撃が熾烈さを増す。

自分で言うのもなんだが、なかなか尋常事でない量の血やら脳やら腸やらをそこらにぶちまけた。
しかし最早包囲する小鬼達が怯む様子は無い。

殺れば殺るほど小鬼達は激昂し、苛烈に迫ってくる。

それは、もはや単なる怒りではなく、狂乱と言える代物だった。

同族を殺された怒りもある。
しかしそれよりなにより、小鬼達を支配しているのは恐怖だ。

俺(まあ、そう仕向けたんだがな。
しかし、やめときゃ良かったような気もする。
遅いか。)

妙に醒めた頭の中で、我ながら空気読めてない自覚があるタイミングの後悔などしてみる。

その間にも、手加減も怯みもない捨て身気味の鈍器が掠ったり抉ったり直撃したりしているのだが、なんだか麻痺してしまった。
痛みに慣れた訳ではないが、痛みからその先に対する恐怖が湧いてこない。
多分、痛みを紛らわすための脳内のアレな物質が出過ぎている影響だろう。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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213 :包囲8
2009/05/19(火) 23:02:18

槍をあれほど使うのだ。
当然、槍とそれを使う自分の適性くらい自分で分かっているはずだ。

村を包囲する小鬼を引きつけるだけ引きつけて、挙げ句に煽り立てて殺し合ったらどうなるかなんぞ、考えるまでもない。

その男が、わざわざその状況に立つ。


若者がこの村にそこまでする義理はない。
まだ着いて一時間も経っていないのだ。
村長(…なにか、狙いがあるのか…?
ここに来て、他にまだ?)

冷静に見て、なにかここからひっくり返す方法があるようには思えない。

しかし、あの若者は器用ではないが馬鹿には見えなかった。
村長(…もう仕様がない…
どうせ逃げられやせんのだ。
なにかあるなら、やってみせてみろ!)


クロスボウの弦からセイフティを外す。
顎と肩に再びしっかりと固定把を挟み込み、片目を瞑って狙いをつける。

片目だけで戦場を凝視しながら、私はその時を待った。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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212 :包囲8
2009/05/19(火) 22:32:09

元から具体的にどうすればいいと方法が分かっていたわけではない。

村中の小鬼を自分に引きつけながら、それをどうやって殲滅できるのか。

試みて叶わなかったというだけならば、ここで話は終わりということになる。

村長(…馬鹿者め…!
身の程知らずに格好つけて…やってみたがダメだったならダメならで、もっと逃げやすく状況を整えてなりなんなり、上手いやり方があるだろう…
何故わざわざ退路も無くすように煽らねばならんのだ…!!)

おかげで最早ケツをまくることすらままならない、こんなザマだ。

若者を責めているのではなく、そんな状況に陥った若者をこうして見ているしかない自分が腹立たしい。
奥歯が軋む音を聞きながら

村長「…ん…?」

ふと気づく。


若者は変わらずだ。
有効でない武器を手に、避け切れないダメージを重ねつつ、程なく包囲に潰されそうになっている。

村長(…そうだ。
そもそもそれだ。)

若者は、なぜわざわざこんな状況に陥っているのか?

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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211 :包囲7
2009/05/19(火) 22:01:39

本来、槍は個人で使う場合には多数を相手にするのに向いていない。

穂先に肉厚な刃を備え振り回して使えるグレイブや戟といった打槍はまだともかく、突いて使うパイクや矛といった衝槍は基本的に振り回せず、「一挙動で一体」しか攻撃できないからだ。

…というより、間合という点で対個人に先鋭的に特化した目的に対して洗練された武器である、ということなのだが…この状況には全く則していない。
距離に特化した以上、懐には隙は必然的に大きくなり、手元に近いほど守勢に回らざるを得なくなる。
そもそも「対個人」という前提が違うのだ。

そう考えれば、若者の動きは近距離で槍を使うものとしては驚異的とすら言えるものではあるのだが…

村長(なにをしているんだ…
その距離ではどうやってもアドバンテージが無いんだ。
いくら致命傷を避けられても、それでは手傷を増やすばかりだ…なんの解決にもならないじゃないか)

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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210 :包囲6
2009/05/17(日) 21:16:03

狙いがつけづらい訳ではない。
的は眼下にそこら中にいるのだ。
だが、それらを撃っても意味はない。
たかだか矢の一本二本で小鬼全部は片付けられない。
そして自分は、撃ち切ったが最後、存在を気づかれた後はリロードよりも小鬼に接近されるほうが絶対に早いのだ。

ならばせめて、あの若者の戦闘を補助するように射撃援護をしようと考えたのだが…それができない。


近すぎるからだ。


槍の間合いでは全く無い近い間合いでの混戦に陥り、若者を援護する有効な射撃は同時に若者を撃ってしまうかもしれないリスクをはらんでしまう。
そんな博打は援護とは言わない。

もし援護射撃ができたなら、それと連携して若者が効果的に動けば小鬼の混乱を誘うことになり、包囲から抜け出すこともできたかもしれないのだが…

村長(…槍を持ってあの間合いは不利だ…
あれならショートソードでも持っていたほうがまだ役に立ったのに)

若者はそれでもその近い間合いで随分上手く槍を使っていたが、やはり槍を持つことの弊害が顕著に出ていた

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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209 :包囲5
2009/05/17(日) 20:59:03

もはやいなすもなにまなく、圧力と圧力のせめぎ合いとなった。

包囲の四方から林の如く鈍器が向かい来る。
それを致命傷だけは回避しながら、自分は全力で敵の急所をブチ抜きながら包囲の圧を押し返す。

しかし、ゆっくりと圧負けし、包囲の輪が少しづつ縮んでゆく。


その様子を、村長は村の外の高所から見ていた。

村長(く…
これでは…!)

ガチリ、とセイフティを弦にかけて歯噛みする。

大型の二連クロスボウ。
先の鞄の中身はこれだ。
小型のものは割と見かけるが、強弦で大型の物にこの二連ギミックが施されたものは殆ど無い。
理由は簡単、取り回しが悪すぎるからだ。

強弦のクロスボウの弦を引くには脚で固定し両手で保持し全身の膂力を使う必要がある。
その隙はかなりのものだ。

主に狙撃に使うものであるからそれでもリロードはなんとかなるが、それが二連ともなると最早実用的ですらない巨大な隙を生む。

強弦二連クロスボウは、それ故失射が許されなかった。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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208 :包囲4
2009/05/13(水) 21:01:34

その雄叫びを上げて襲いかかってきた小鬼に

俺「単純だな」

ビシャッ!!と側頭への回し蹴りが叩き込まれる。

同時に肩に担ぐように背後に軽く槍を突き出してやり、一匹を突いて殺る。

俺「それでこそチンピラだ!!」

ハイを打った右脚を下ろさず、そのまま横蹴りして首をぷらぷらさせている小鬼を蹴り飛ばして後続を止め、そのまま左後ろ回しに繋げて側面の小鬼の顎を刈り飛ばし、後ろ回しの回転を使って首を支点に槍を押し込み突いた小鬼を投げ飛ばす。

そのまま開いた距離に踏み込み、柄打ちから繋げて振り打ち左右二匹を殺る。

俺「オルァ!!
もっと来い!!
殺らねェとみんな死ぬぞッ?!」

言葉が通じないのだからそんな挑発には意味はない。
はずなのだが、一瞬怯んだ後、小鬼は下がらず向かってきた。

こちらのツメの良さを見て、守っていられないと悟ったようだ。

俺「そォだ!!

もっと、もっと来いッ!!」

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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207 :包囲3
2009/05/13(水) 20:38:55

多勢を相手に脚が止まったら終わりだ。
それよりはいい。
しかし、確実にダメージは増えてきていた。

俺「…あんだよ」

小鬼の攻め手が鈍っている。

包囲の内側にばらばらと散らばる同族の骸に気後れしているようだ。

俺(…情けねェな
ゴミみてえでも鬼のくせに、たかだか二足で歩くようになった猿一匹によォ…)

威圧してもいいが、この手の連中を焚き付けるならもっと良い手がある。

俺「…く…」

周囲を見回し、包囲の薄そうなあたりに向けて踏み出す。
その一歩ごとに危うい足取りで歩を進め、顔を歪める。

包囲の前衛にたどり着くまで酷く時間がかかり、特に右足に体重をかけるのが辛そうな様子を見て…小鬼達が低く騒ぎだす。

覚束ない足取りに合わせて、包囲がじわじわと狭まってくる気配がする。


うつむき加減に肩を上下させる手負いの人間に対して…

『ギャアッ!!』

と包囲が縮まり一気に襲いかかる。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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206 :包囲2
2009/05/12(火) 21:01:48

それに対して、反射的に脚を上げてしまってから

俺(やべえ…!)

しくじった、と背筋を寒くさせながら、ローをカットしにいってしまった開いた脚を体に引きつける。

イヤーン、みたいな体勢の俺の太腿を、ローではなく低いスウィングの棍棒が打った。

俺「ぐ…」

打たれた脚を地面に下ろしながら…

俺「…ッざけんなコルァアッ!!」

すぐさま逆脚を振り上げ、小鬼の顎を打ち上げる。

宙に舞った小鬼は追撃の必要もなく、顎骨を口の中に埋め込んで、地面に落ちたまま動かなくなった。

俺「…」

太腿に鈍い痛みが走る。

折れてはいない。
足元に攻撃が来た時、つい反射的に下段回しを脛受けにいってしまった。
なんとか引きつけが間に合ったが、あのまま脛で受けていたら確実に脛が折れて、立っていることもできなかったろう。

俺(クソ…
下手に訓練されてるとコレだから…)

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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205 :包囲
2009/05/12(火) 20:46:55

ヒュカッ!!と槍を鋭く振り抜いて、一匹斬るうち他の全ての方向から小鬼が殺到する。
それをまた槍を振り回し数匹後退させるものの、身を低くして入りこんできた小鬼数匹が槍の間合いの内側に潜り込んできた。

舌打ちする間もなく正面からの小鬼の攻撃を、槍を持たない方の手で鈍器を持つ前腕を押さえて止め

俺「っだらァ!!」

そのままその手で首をキャッチし、ヴンッと腰から下を振ってゴッシャと膝を叩き込んでやる。

が、その感触を確かめる暇もなく

俺「ぐお…!」

ドズ、と鈍い音と一緒に背中に重い熱さが沁みる。
ギリ、と奥歯を軋ませ、シィッ!!と息吹と共に膝で倒した小鬼を離して背後に後ろ蹴りを打ち込む。

ドン!!と打ち抜いた感触がする。
どこに当たったかは知らないが、踵には鉄が仕込んである。
武器で受けきったのでもなければどこに当たっても最低骨折は免れないので、戦闘不能にはなったろう。

すぐさま意識を変えようとして、ヒュッと足元に攻撃の気配を感じる。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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204 :そのころの村長宅4
2009/05/10(日) 21:13:08

心の中でそう呟き、窓を覗き込む。

村長「!」

窓から見えたのは、小鬼の背中だった。

他の小鬼の姿を探す。
見えたのは同じ方向に走り去る小鬼。

私は刺叉を強く握りしめた。

村長「…あの男…!」

混乱した顔を見せるカイジに刺叉を握らせる。

そして私は部屋の隅に置かれたクローゼットに歩み寄り、扉に手をかけた。

カイジ「これは…?」

上段から革鞄を引き出し、それを片手に窓に手をかける。

村長「…あの男が、逆転の手を打った。」

カイジを一つ撫で

村長「だが…援軍の一つもなければ、あの男もいい加減限界だろう。

お前はマヤを守れ。」

そう言って、私は窓から身を踊らせた。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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203 :そのころの村長宅3
2009/05/08(金) 18:09:59

カイジ「このまま、引き下がってくれますかいのう…?」
村長「…」

あの男は、時間が経てば小鬼が引き上げるとなんて考えてはいない。
略奪に来たのだ。
手ぶらで帰るわけがない。
実入りが望めないなら皆殺しだ。

膠着で済ませてはいけない。
あくまで小鬼をここから引き剥がす手が必要だ。

しかし、現状取れる手はあまりにも少ない。

取れる手があるとすれば…

村長(…だが…
やるか?
それを…)

一つある。

しかし、馬鹿のやる事だ。
小鬼と同じくらいの馬鹿さ加減の手。

期待はある。
しかし、その期待に応えたとしてもあの男が無事とも限らない。

だが…

村長(もうあの男が『その手』を打つのを期待する以外に、命を長らえる希望は無いんだがな…)

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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202 :そのころの村長宅2
2009/05/08(金) 16:40:58

略奪を主目的とするなら、火をつけていいことなどない。
略奪すべき物品が焼失してしまう。

しかし、小鬼は馬鹿なのだ。
理性的な判断など端から期待すべきではない。
じれたら火を点けることに躊躇などしないと考えるべきだろう。

止める手段で、一番有効なものは…打って出ることだ。
だが、できるわけがない。
できないから立て籠もっているのだ。



詰みだ。

一手打たねば次はない。
というより、現状では放火などさせないように手を指さなければそもそも詰むのだ。

村長(これだけでは片手落ちだ…

…さあ
陣を守って王手を打たれるような手を指して終わりか?)

あの男は分かっている。
これだけでは半端だ。

ロクに話してもないが、まあその程度は分かる。
修羅場で涼やかに微笑んでみせるような裏も余裕もありそうではなかったし、読むのは簡単だ。

元は、同業者であったのだから。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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201 :そのころの村長宅
2009/05/05(火) 21:08:28

村長宅の床に、血が滴っている。

しかし、宅内のカイジ・マヤ・村長の誰にも怪我はなく、室内にその血を流した主はいない。

血は窓から侵入を試みた小鬼のもので、腕を刺叉で突かれてすぐに耳障りな声を上げて後退した。

その後も何度か突入してきた小鬼を撃退しているうち、突入は今のところ止んでいた。

カイジ「…終わり…ですかいのう…?」
村長「…いや。
攻めあぐねているだけだろう。
まだ諦めてはいない。」

正面の扉は突破しようとしてバキバキにされた傷跡でいっぱいだったが結局突破できず、小鬼達は窓から突入を繰り返した。

これはあの男の読み通り、ここまではバッチリ膠着状態に持ち込めた。

しかし…

村長(…このまま続けば…いくらゴブ共が馬鹿でも『次の手』を打ってくると思うが…
さて。)

うってつけに、この集落の家屋は全て木造だ。
『次の手』を打たれたらひとたまりもない。

『次の手』…

『放火』だ。

(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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