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┗311.《ポケモン二次創作》もう終わったことだから。もう全部壊すから(1-20/148)

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1 :ベリー
2022/09/13(火) 22:10:31

初めましてベリーと申します。
小説カキコにて、【ポケモン二次創作】裏の陰謀と、その外伝《ポケモン二次創作》最期の足掻き
を投稿しています。
◇◇◇

ここは地球。
この星の不思議な不思議な生き物、ポケットモンスター
ちぢめて「ポケモン」
彼らは、海に大地に空に森に、至るところに生息している。

この世界には『表』『裏』があり、どちらを潰しても作っても、必ず表裏は現れてしまう。
 これはある少女がその理をぶっ壊そうとするお話。
 誰をも巻き込んで皆を救おうとするお話。
 皆を守るために皆をぶっ壊すお話。

 哀れなただの少女のお話。

※注意
〇これはポケモン二次創作です。原作とはなんの関係もございません。
〇微グロ注意です。
〇こんなのポケモンじゃねぇ!という方は閉じていただいて…
 もう自分も最近これポケモンじゃねぇだろと思ってるので…
 

《目次》
【第一幕】ー幼少期時代ー
 何の変哲もない少女。ただの少女が巻き込まれたお話。それでも彼女は俯かない。それでも彼女は前を向く。
ソレイユの為に、自分のために。

第一章 私の分岐点 
>>6>>10-14>>19-22>>29-34

第二章 世界の由
>>35>>41>>44-46>>71-77>>95

【第二幕】─施設時代─
少女が、『自分の在り方』を少しづつ理解していくお話。その日々は彼女にとって一番の宝物であり、一番消し去りたい記憶でもある。
彼女が少しづつ救いに堕ちていくお話。

第一章 フジ
>>104-106 >>109-112 >>122-124 >>132-136

第二章 スイ
>>139-147 >>148

《感想などの言及はこちらまで》
>>>320


画像(png) 442.7KB
[返信][編集]

2 :げらっち
2022/09/13(火) 22:25:37

「裏の陰謀」と合わせて読ませていただきます!
私は全ゲラフィ小説を読んでいるので、感想はきっちり書きますのでご安心を。

感想の辛さは選べるどす☆

辛さを選んでください
☛激甘
 甘口
 ピリ辛
 中辛
 辛口
 激辛
 爆発
 メガボンバー辛さマシマシMAXピカピカ辛い

ちなみにポケモン二次創作は黒帽子と雪華という人が書いていたよ。

[返信][編集]

3 :ベリー
2022/09/13(火) 22:33:08

あえっ感想頂けるんですか?!
というかあの長いスレをどこまで読んだんですか?!(笑)

個人的には激辛がいい……というか、素直な感想をお聞きしたいのですが、メンタルが持つか心配ですので、ピリ辛……で(チキン)
だからといって無理やりいい所を見つけようとするのではなく、素直な感想が、欲しいです。「凄かった」「つまらなかった」の一文でも良いので。率直な感想を頂きたいです…

すみませんワガママな注文ばかりしてしまい…
「もうこんなのよめねぇ!」ってなったら感想は大丈夫なので(笑)

よろしくお願いします…!

[返信][編集]

4 :げらっち
2022/09/13(火) 22:53:58

なるべくそれに沿った感想を…と言いたいところですが、げら流感想は少々辛めがウリになっております

「裏の陰謀」本編もじきに読むよん

[返信][編集]

5 :ベリー
2022/09/13(火) 22:58:16

あっ!そうだったんですか?!なら全然辛口で大丈夫です……!
よりよい創作をかけるようになるために!
よろしくお願いします!

[返信][編集]

6 :ベリー
2022/09/13(火) 22:59:03

第一章 私の分岐点

「いちについてー!よーいっドンっ!」

 青く繁る木々たちに木漏れ日が心地いい。パッと見幼稚園生ぐらいのそっくりな双子が声を合わせてけもの道をかけ下る。
 2人の幼児は同じ麻の布の服にかぼちゃパンツをはいている。横髪が長いショートヘアにキラキラとぱっちりした瞳。
 その後ろから2匹のイーブイが息を切らしながらついてくる。
 しかし、双子はそんなことなんて気にせず人とは思えない速度でけもの道をかけて行った。

「絶対勝つからっ!」

「それはこっちのセリフだよっ!」

 声まで似ている双子はスピードをより一層上げて下り坂に差し掛かる。双子は一気にジャンプして下り坂を駆け下りた。
 爽やかな風が双子の耳元をヒュンヒュンと通り過ぎる。ついてきていたイーブイはもう見えない。

「うおおおぉぉぉぉぉーーー!」

 双子が声を合わせて叫び出す。もうすぐ森の出口が見え、湿った土から乾燥した土の境目が見え始める。
 双子はお互い押し合いながら境目を目指す。

『ダンッ!』

 勢いよく双子が境目に足を踏み出した音が響き渡る。そこからはゆっくりとスピードを落として止まり始める。
 1人は膝に手を付き激しい呼吸を収めようとし始める。もう1人はそんなことをせずに苦しい中も相手に顔を向ける。

「見たよね?見てたよね……チャーフル!はぁはぁ……僕の勝ち!」

 息を切らしながら身振り手振りで話し始める双子の1人。チャーフルと呼ばれた双子の1人は少し顔を歪ませながら相手を見た。

「僅差だったじゃん!」

「でも僕の勝ちでしょ?」

 チャーフルは頬が割れるぐらい膨らませ相手を睨みつける。相手は勝ち誇った様子でチャーフルの顔に近づき、人差し指でチャーフルの頬の空気を抜く。

「ぷぅっ」

「あはっはっ!可愛い!」

「ソレイユ!そういう煽り嫌い!」

 ソレイユはものすごく嬉しそうにチャーフルを見るが、それに比例してチャーフルの機嫌は悪くなる。

 チャーフル・ジーニア ソレイユ・ジーニア
 それがこの双子の名前である。ある地方の森の奥の奥で母と兄とひっそり暮らしている。

「んー? ならチャーフル。僕に勝って見せなよ?」

「望むところよソレイユ!」

 チャーフルとソレイユが間合いを取って構え始める。そして、一気に相手に突進するところを……

「はいはい、ストーップ」

 ある人物が双子の頭が衝突する前に手のひらで止めた。その声は双子の声を低くしたような落ち着いた声だった。
 双子が止めた人物を見ると、そこにはボサボサな髪と双子と同じ黒髪。ピンクやオレンジ等カラフルな瞳をしている青年が立っていた。

「お兄ちゃん!」

 双子が声を揃えて青年の名を呼ぶ。双子の兄のようだ。

「いつも村の近くで喧嘩したらダメっていってるでしょ。下手すりゃ村1つ潰れるんだから」

 青年は真剣な顔で双子を見つめた。双子はお互いを見つめた後、バツの悪そうに青年を見上げた。

「……ごめんなさい」

「それでよし」

 双子が声を揃えて謝ると青年は爽やかな笑顔で双子を許した。それに双子は顔を輝かせ目の前の村へ走り出そうとする……が、またもや青年に襟首を捕まれ止められた。

「ちょっと。またイーブイ達置いてきぼりにしてきてないだろうな」

 双子はギクリと肩を震わせると来たけもの道の方を見る。まだイーブイ達は来ていない。

「連れてきなさい」

「……はい」

 青年が言うと双子はしょんぼりしながら来た道を戻って行った。

「さて、今日はなんだっけ。オレンの実とふっかつ草とカバンにちゃんとした服。旅って費用クッソかかるなぁ」

 青年は双子の小さくなる背中を見守りながら困ったように頭をかく。しかし、それはどこか嬉しそうであった。

「もう10歳か……早いな」

 青年はそう呟いた。

 チャーフル・ジーニア あと数週間で10歳。
 旅に出る予定である。


 旅に……出るはずだったのである。

◇◇◇
挿絵cdn.wikiwiki.jp

[返信][編集]

7 :げらっち
2022/09/13(火) 22:59:10

もちろん、良いと思ったことは良いと言うのでご安心を!

[返信][編集]

8 :げらっち
2022/09/14(水) 00:03:32

面白そうですな。
今回気になった点としては、1層→一層のほうがベターかな…

そうそう、私はやっきーのかの有名な小説「バカセカ」とコラボをさせてもらっている者です。
お見知りおきを!

[返信][編集]

9 :ベリー
2022/09/14(水) 00:10:39

あっ、そうですよね
英数字じゃなくて漢数字使った方がベターですよね
ありがとうございます!

[返信][編集]

10 :ベリー
2022/09/14(水) 17:10:58

 そこは小さな小さな村だった。人口は八十人ほどで住宅は十二軒程しかない。しかし、商業は盛んで日々ポケモントレーナーが足を止める村になっていた。

「おばさん!えっとぉ……もんすたーぼーる? 五個と、あなぬけのひも四つください!」

「あらら、ソレイユ君も旅する年齢になったのねぇ。感慨深いわぁ」

「違う!私はチャーフル!」

「あら、十年経っても見分けがつかないなんて……ごめんねぇ」

「ううん!慣れてるから!」

 チャーフルはそうニッコリと笑って細かい硬貨を取り出し始めた。ここは村の大通りにある雑貨屋。未使用の売れ残った道具や骨董品、使えそうで使えないものが揃う店である。
 しかし、値段が安いためジーニア家はこの店に世話になっている。

「チャーフルちゃんはなんで旅に出るのかしら?」

「ん? 私はね強くなりたいの!」

 雑貨屋のおばさんは自分の子を見るような暖かい目で頬杖をつきチャーフルを見つめる。
 目をキラキラさせているチャーフルは大声でそう言った。

「あら、頼もしいわね。相棒は、そこのイーブイ?」

 おばさんはチャーフルから離れたところにいるイーブイに視線を向ける。「なんだよ」と言わんばかりの不機嫌そうな顔でイーブイは見つめ返している。

「この10年間。全く懐かなかったから相棒にはしないけど。一緒に旅はするよ」

 チャーフルは少し寂しそうにしながらも笑顔でおばさんにそう言った。おばさんはその様子を微笑ましく見ていた。

「邪魔するぜっ!」

 すると乱暴に店のドアが開かれる。そこには褐色肌にタンクトップを着た男児を中心に少年がぞろぞろと入ってきていた。
 そして、少年達は好き勝手店の商品を漁り出したのだ。

「あなた達。何度言ったら分かるの! お店を荒らさないで!」

「ボスより弱いババアがなんかいってら〜」

 おばさんが怒鳴り声を上げても少年たちはそれをネタに煽り、笑いながらお店を荒らしていく。
 この村では有名なヤンチャ集団である。

「やめなさい!」

 するとチャーフルが店の中心で仁王立ちをして声を張り上げた。チャーフルの声は不思議と周りに響き渡り少年たちの視線を釘付けにした。
 それはチャーフルの元々の容姿の良さもあるのだろう。

「よぉコフキムシ。またボロ屋にいるのかよ」

 すると、最初の少年達の先頭にいた褐色肌にタンクトップの少年がチャーフルに近づいてきた。

「なんで私が……チャーフルって分かるの……」

「そりゃぁ、ソレイユとは格が違ぇもん。見た瞬間弱いやつって分かるぜ。くひひひっ」

 少年達のボスはチャーフルに不気味な笑みを向けながらそう言った。チャーフルは少し恐怖を感じつつも威勢を忘れなかった。

「このお店から出ていって!」

「なら俺を倒せよ」

 少年は片手にモンスターボールを持ち、腕をグルグルと回す。
 チャーフルはそこでかなり焦り出す。唯一のポケモンであるイーブイの方を見ても、やる気がなさそうである。
 しかし……「もう、守られてばっかは嫌だ」

[返信][編集]

11 :ベリー
2022/09/14(水) 17:12:46

「ポケモンは1対1! どちらかのポケモンが戦闘不能になったら終了だぜ! 分かってるよな?」

「分かってるわよ!」

 ボスがチャーフルを嘲笑う。それに怒りを覚えたチャーフルはだらーんとしていたイーブイを抱える。

「じゃあ、バトル開始だっ! リオルいけ!」

「イーブイ! いっっけっ!」

 ボスはモンスターボールからリオルを繰り出し、チャーフルは抱えていたイーブイを強引に投げた。

「ブイッ!」

 完全に油断していたイーブイは着地に失敗して体が汚れてしまう。そして余計不機嫌な顔になってしまった。

「ぶはは! トレーナーに似てどんくせぇ! リオル電光石火!」

 リオルが複数の残像を一瞬見せながら素早くイーブイに近づく。

「イーブイ! 電光石火! 」

 チャーフルも負けじと指示を出す。しかし、イーブイは不機嫌そうな顔をして微動だにせず、避けようとした……が

「ィブイッ!」

 イーブイがチャーフルが立っている場所まで吹き飛ばされてしまった。
 吹っ飛ばされたイーブイは身体中砂まみれで不快感が最高潮に達していた。
 チャーフルは、言うことを聞かないイーブイに頭を悩ませていた。イーブイはチャーフルの事が嫌いで、指示を聞いてくれないのだ。
 (ソレイユとイーブイは息ぴったりなのに……)
 つい、双子のソレイユと比べてしまった。しかし、もう守られてばかりではいられないと、チャーフルは前を向いた。

「イーブイ! もう1回電光石火!」

 チャーフルが凛とした声でイーブイに指示を出す。しかし、イーブイは向かいの果物屋のおっちゃんに撫でられていた。
 トレーナーであるチャーフルより、村の果物屋のおっちゃんの方が懐いてるということである。

「イッイーブイ? イーブイ!」

「ぶはははは! やっぱりお前勝負になんねーな!」

 ボスはチャーフルにいつものように余裕で勝った上に、イーブイがチャーフルより果物屋のおっちゃんに懐いてる所を見て滑稽でたまらなく笑い転げてしまった。
 小さい村のため少年達もチャーフルのことを知っており、皆笑っていた。
 チャーフルは、悔しくて唇を噛んでいた。しかし、前だけは見ていた。

「お? なんだなんだコフキムシ。悔しいんならやり返してみろー。あっ、ポケモンもう居ないんだったな!」

 ボスは心底楽しそうにチャーフルに近づきながら言う。しかしチャーフルは微動だにしない。悔しそうにボスを直視している。

「泣けよ? お? 泣いたら許してやるぜ?」

「ッ!」

 チャーフルはもう我慢の限界だった。右足を後ろに下げて体を捻り、右手の拳を全力で少年にぶつけ……るつもりだった。
『チャーフル。暴力はダメよ。そしたら皆笑顔になるんだから!』
 母の言葉がフラッシュバックして、振り上げた拳はへなへなと落ちてしまった。
 それがまた滑稽でたまらなかったのか少年達は笑い始める。チャーフルは、何も出来なかった。

◇◇◇
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12 :ベリー
2022/09/14(水) 17:13:54

「ねぇ。何してるの?」

「あ? コフキムシ何言っ……て……」

 チャーフルと瓜二つの声に姿。しかし、チャーフルとはちがい余裕な表情を浮かべている。そして、肩に麻で作られた袋を斜めにかけている。
 その幼児はチャーフルの反対方向におり、少年たちを挟み撃ちにしているような状態だった。

「チャーフルが……2人っ?!」

「いやっ違うソレイユだ!」

 少年達がざわつき始める。ボスも冷や汗をかいている。チャーフルはただ、悲しさしかなかった。
 ソレイユは堂々と少年達の中を通っていく。少年たちは自然とソレイユから離れるため、ソレイユ専用の道が出来上がり、そのままボスに対面する……かと思いきや。

「チャーフル! 大丈夫? 怪我とかしてない?!」

 ソレイユはチャーフルにベタベタと触り始めた。チャーフルは悲しそうにしながら頷く。
 ソレイユはホッと息を着く。
 その頃イーブイはソレイユのイーブイに無理やりチャーフルの元へと連れてきていた。

「ソッソレイユ……」

「もーダメでしょ! お店荒らしたり弱いものいじめは!」

 ソレイユはまんまチャーフルのように頬を膨らませ腰に手を当て少年達に注意する。
 少年達はそれでホッとした様子だったが、ボスだけは違った。

「オメェら……逃げっ!」

「ちょっと。こっちきなよ」

 ボスの焦り声をソレイユの声がかき消す。それはマイナスイオンよりも冷たく地を這うような声で少年達は言うことを聞かざるをえなかった。

「あっ、怖がらなくても大丈夫! 学校ごっこでまた皆にルールを教えてあげるだけだから! ね?」

 ソレイユは人気がない路地へと少年達を押し込みながら言った。少年達はこの世の終わりのような顔をしながらも恐怖には逆らえずとぼとぼと歩いていった。
 ソレイユのイーブイも圧をかけながらソレイユについていく。

「ソレイユ君はいい子ねぇ。あんな子達にも優しく指導するなんて。将来は学校の先生かしら?」

「いつも学校ごっこであのヤンチャ集団を静かにしてくれるんだよな」

「カリスマ……ってやつかしらねぇ。昔からイケメンなんだからっ!」

「一番最初にチャーフルちゃんに駆け寄るだなんね。家族愛ねぇ!」

 その様子を見ていた顔なじみの人達が口を揃えてソレイユを褒めたたえている。
 それはチャーフルにとっても嬉しかった。しかし、それと同時に自分の弱さを痛感していた。心も体も。何かでソレイユに勝ったことはあまりない。
 最初は勝てていても直ぐにソレイユがチャーフルを抜かし、勝てない。そして、強い。
 だから「強くなりたい」

[返信][編集]

13 :ベリー
2022/09/14(水) 17:16:57

「リオルいわくだき!」

 人目がつかない路地裏の奥にあるちょっとした広場。ここは村の子供達の秘密基地であり、大人も邪魔しないように極力入らないようにしている場所である。

「ねぇ、人にポケモンで攻撃するのはよくないと思うよ?」

 リオルのいわくだきはソレイユの顔面目掛けて飛んでいくが、ソレイユはそれを交わして片手で受け止め、地面に投げ飛ばした。

「オッオル……」

「リオルっ!」

 リオルは地面に投げ出され目を回して瀕死になっていた。他の少年達も気絶してボス以外倒れている。
 ソレイユは一息ついた後、じりじりとボスに近づいていく。

「あっ、嫌、やめっ!」

 ボスは恐怖で腰が抜けながらも必死で逃げようとしていた。その様子はとても滑稽だったがソレイユは馬鹿にせずずっと微笑んで、ボスの襟首を掴んだ。

「チャーフルが可愛くていじわるしたくなるのは分かるけど……」

「そんなんじゃねぇって! 悪かったから!」

「家の妹は優しくすると喜ぶから、迷惑はかけて欲しくないなぁ」

 ソレイユは襟首をつかんだままボスを地面に押し付け馬乗りになる。

「イブイッ。イーブ!」

 ソレイユのイーブイが緊迫した鳴き声でソレイユの服を掴み、止めようと試みるがソレイユはそれを無視してボスに集中している。

「あー、でもチャーフルは俺のものだから、近づかないで欲しいな……じゃあ始めようか」

 ソレイユはそう言い、右手を振り上げた。

 ◇◇◇

「ママ! ただいまー!」

 チャーフルは勢いよく家のドアを開けバタバタと走りながらキッチンに入る。

「こらチャーフル。バタバタしない」

 兄が呆れ笑いをしながらチャーフルに注意する。しかし、いつも言われてるからなのかチャーフルは「はいはい」と聞き流し料理をしている母にくっつく。

「ねぇママ! 今日のご飯なぁに?」

「あら、チャーフル。帰ったらまずお手洗いでしょ?」

「はぁい」

 チャーフルは素直に洗面台へと走り出した。
 ジーニア家の母、スズランは暖かい笑顔で兄とチャーフルを見守っていた。
 サラサラな綺麗な腰までの黒髪に宝石のようなピンクの瞳。白い雪のような肌で麗しいという言葉がピッタリの女性だった。

「ねぇ。チャーフルとソレイユが、もうすぐ旅にでるのよ」

 スズランは料理の手を止め壁に飾られている写真を撫でる。
 そこにはスズランの若い姿と、黒髪に鋭い黄色の目をした青年が立っていた。顔立ちは兄そっくりでジーニア家の父である事が分かる。
 スズランは悲しそうに、それでも嬉しそうにその写真を見つめていた。

「母さん! 焦げてる焦げてる!」

 兄が焦りながらスズランに言った。スズラン慌てながら火加減を調整し始めた。

「父さんが死んでから……もう2年半か……」

 兄はそう言いながらスズランの料理を手伝い始めた。スズランはゆっくりと鍋をかき混ぜる。その鍋の中身はほんのり焦げた香りがした。

「ママ! ただいまー!」

「こらソレイユ。バタバタしない」

「ねぇママ! 今日のご飯なに!」

「あら、ソレイユ。帰ったらまずお手洗いでしょ?」

◇◇◇
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14 :ベリー
2022/09/14(水) 17:17:23

 ─数週間後─

 早朝。遠くに見える山から少しづつオレンジ色の空が見え始め、青黒い空とのグラデーションが見える。
 山奥の家の扉の前には麻の袋を肩に斜めにかけ、白いTシャツに上着を来ている双子が立っている。しかし、片方はイーブイを胸に抱えている。
 そして、その2人を見守るように立っている兄とスズラン。

「夜はちゃんと温めて寝るんだぞ」

「暴力はぜーったいダメだからねっ!」

 兄が微笑み、スズランは心配そうに腰に手を当て2人を注意する。
 双子は聞き飽きているのか呆れたような顔をする。

「分かってるよ」

 2人で声を揃えてそう言った。それでもスズランは納得しないようで不満そうな顔をするが、兄は呆れ笑いをしながらスズランの肩に手を当てる。

「……チャーフル、ソレイユ。いってらっしゃい!」

 スズランは勇気をだして勢いよく言った。

「寂しくなったら帰ってくるんだぞ」

 兄はニッコリと笑って双子に声をかけた。
 双子は顔を見合せる。

「いってきます!」

 声を合わせてオレンジ色の空へ向かって勢いよく走り出した。

 ◇◇◇

 2人は村を通り過ぎて山の向こうにある街に向かっていた。街があるのは知っているが、行ったことは無いため双子はワクワクしていた。
 
「ねぇソレイユ。ソレイユは旅の目的とかある?」

「僕はチャーフルとずっといること!」

 ソレイユは満面の笑みでチャーフルに言った。その笑顔は純粋無垢で、それ故に本気さが滲み出ていて恐ろしかった。
 しかし、チャーフルはそんなことなど感じることはなく、からかわれていると思い不満そうな顔をした。

「そーゆーことじゃなくてっ!」

 チャーフルは頭を悩ませながら言い方を考える。その様子を見てソレイユは余計楽しそうにしている。
 その様子を見ているイーブイは不機嫌そうな顔でチャーフルに抱えられている。
 チャーフルのイーブイは、モンスターボールに入らなかったため仕方なく抱えているのだ。

「僕の旅の目……的……は……」

 ソレイユがそう言いかけた時、何か、後ろから嫌な風が吹いた。生暖かい乾いた風。
 真夏のため早朝といっても暑くジメジメしている。しかし、昼間のような暑さの乾いた風が吹いてきたのだ。

「……ソレイユ」

 チャーフルも気がついたのか来た道を振り返る。もう村は見えない。しかし、何かが背筋を舌で舐めるような感覚が走る。
 それはソレイユも同様だった。

「チャーフル。行くよ」

「うん」

 双子は全力で村へと走り始めた。
 どこまでも広い空は怖いほど綺麗な真っ赤な空だった。

◇◇◇
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15 :げらっち
2022/09/15(木) 12:53:50

コフキムシ呼ばわり(?)

裏の陰謀本編も着々と読んでおりますが、登場人物が違うので少し驚きました。
しかし>>1に初見でもわかるストーリーとありましたので、安心して読ませていただきます。

本編のセブンといい、今回の不良集団のボスといい、最初の性格の悪いかませ役の描き方が上手いどすね!
一本調子のバトルにならないよう情景を描きつつ戦闘しているのがナイスです。
絵が挿入されているのも斬新でわかりやすいと思いました。絵柄かわいい!
ソレイユとチャーフルの違いが判ると豪語しておきながら、「チャーフルが……2人っ?!」という不良ww
村が襲われたか?続き楽しみにしております。

>>3 ほう、激辛を欲するとはあなたはMで?←
甘めにしてしまったので辛さ増していきます。

気になる点は…
「幼稚園生くらいの幼児」なのに10歳。

「チャーフル・ジーニア あと数週間で10歳。」という描写。ソレイユもでは?

全力疾走で村へと走り始めた
→馬から落馬する、的な重言だ…
全力で村へと走り始めた、のほうがベター

全体的な、視点のバラつき
傍観している三人称視点と、チャーフルの一人称視点と、淡々とした説明口調がごっちゃになっている気がするため、少々読みにくい箇所がある。

イーブイがチャーフルが立っている場所まで吹き飛ばされてしまった。 →三人称
つい、双子のソレイユと比べてしまった。 →一人称
トレーナーであるチャーフルより、村の果物屋のおっちゃんの方が懐いてるということである。 →説明

誤字と思わしき場所は…
聞かざるおえなかった
入らないようにしてきる場所

あとは些末点ですが、家族の中で兄だけ名前が明かされていない事にも違和感が…
それともフラグ?

にしても、これだけの文章を書きおろしてくれたんですか?
めっちゃ書くの早いですね!!
行動が早い人は好感度高いですぅ。
もう少し見直して磨き上げていけば、良い作品になると思います。応援してる!!

[返信][編集]

16 :ベリー
2022/09/15(木) 15:51:37

>>15
えっ、毎回感想書いていただけるんですか?!
裏の陰謀もよんで?!
ありがとうございます……
噛ませ役は……必要と思ってるんですけど書く時はなんか胸がモヤモヤするんですよねなんででしょう。
ボスは双子を数秒見つめたら7割型当てられますが、少年達はあまり当てられません。ここ説明すべきでしたあああ

「幼稚園生くらいの幼児」
見た目は幼児なのに実年齢は10歳ということを表したかったです。力不足でした……修正します

「チャーフル・ジーニア あと数週間で10歳。」
はい。ソレイユもです!しかし、話の今後の展開のため、チャーフルだけに限定致しました。

「全力疾走で村へと走り始めた」
あっ、頭痛が痛いみたいになってしまった……!教養の無さが…… 修正します!

視点のばらつき……ですか
三人称視点で挑戦したのですがやはり「三人称視点は登場人物の心情を書いてはいけない」というルールにどうしても反してしまって……
二人称視点でも説明と心情がごっちゃになってしまうんですよね。まだまだ未熟者です。
まずは二人称視点を磨くことにします!

家族の兄だけ名前が明かされていないのはまだ決まっていないからですねシンプルに(コラ)
一応裏の陰謀で形は問いませんが物理的に登場してくるのでその時に名前考えればいっかー
ってずっと放置していました()
でも兄の名前今考えなくても支障出ないしいっか! と適当です……

裏の陰謀に直結……というか裏の陰謀の根本、ストーリーの元凶になるお話ですが、今投稿してる第1部ではあまりピンと来ないかもしれません。
多分最期の足掻きの方が分かるかなぁと。

最期の足掻きは裏の陰謀の伏線みたいなストーリーで、今回のは最期の足掻きに出てくる昔の話を1つの創作にしたものなので。
あ、無理に読まなくて大丈夫ですよ!最期の足掻きの方が繋がりが見えるよ!ってだけです!

ありがとうございます……!
まだ描写も語彙も構成もまだまだですが精進していく所存です!

[返信][編集]

17 :げらっち
2022/09/15(木) 16:47:38

OK、裏の陰謀読んだら最期の足掻きにも手を出すかもしれません。
一段落ごとに感想書くわよー

視点って難しいよね…
バラつくのはありがち
何度も読み直すと、非統一が見えてくるところもあるかも
一緒に頑張りませう!

あ…添削マンがうざかったら言ってね…

[返信][編集]

18 :ベリー
2022/09/15(木) 17:33:06

>>17
そんな……ありがたい……

全然ウザくないです!逆に色々指摘してもらえて勉強になるので喜んでます!ドMじゃないです!(ここ重要)

本当にありがとうございます……

[返信][編集]

19 :ベリー
2022/09/15(木) 17:41:42

《チャーフル》

 熱い。ただ熱かった。パチパチと木造建築を炎が侵食していく音。所々で小さな破裂音もする。
 一大事だ。それは一目瞭然で私とソレイユは顔を真っ青にして村の中に入った。

「……ぁ、え?」

『なにこれ?』『一体?』『何があったの?!』
 私は大量の疑問に包まれ、共に10年間の思い出が燃やされている悲しさで言語を発することが出来なかった。
 しかし、それよりもショッキングな事が……

「果物屋の、おっちゃん」

 ソレイユは顔を顰めながら野菜屋に目を向ける。
 そこも勿論炎がまわっており、建物の所々に穴が空いている。それだけではなかった。

「おじさん……おじさん? おじさん!」

 私は倒れているおじさんに駆け寄った。野菜屋から体が下半身見えてたためその時の私は気づかなかった。
 気づきたくなかった。
 (ママが炎の煙を吸ったら気絶するって昔言ってた! それが原因?)
 急いでおじさんの傍に近寄る。

「おじ……さん? お…… いやあああああ!!」

おじさんは仰向きに倒れていて、胸元に血しぶきが飛び散っていて……頭が潰れていた。
 完全に潰れているだけなら良かった。しかし、中途半端に潰れていて目玉や脳みそがドロッと飛び出していた。
 その様子に耐えられなかった私は初め現実を受け止められなかった。しかし、じわじわと理解してしまう状況にただ叫ぶことしか出来なかった。
 怒り、悲しみ、疑問全てを吐き出すように全身を震わせ叫んだ。

「チャーフル! 見るな!」

 ソレイユが急いで両手で私の目を隠そうとしたがそんなの振り払って村の大通りを走り始めた。
 その時の私はもうパニックで何も分からなくてただ叫びながら、泣きながら走った。
 その視界の横に写る不気味な炎と無惨な死体に死骸。
 みんな顔見知りで、皆家族のような仲だ。

 (なんで? なんで? なんでなんで!)

 頭の中は疑問で埋められていて、余計なことを考えられないでいた。そのため皆の無惨な姿がダイレクトに脳内に焼き付いてくる。
 そこで足音が聞こえた。私でもソレイユでも無い、軽い足音。
 (子供だ。子供の足音だ。まだ生き残ってる人がいるの?)
 私は絶望の中から少しの希望を見出してその足音の方向へと走った。

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20 :ベリー
2022/09/15(木) 17:44:49

「ッ?! くるな! くるなああああ!」

 その足音の人物と対面したとき、少年は顔をぐちゃぐちゃにしてそこで腰を抜いてしまった。手元には瀕死のリオルが居た。

「……ボス」

「お前……」

 その人物はボスだった。返り血が頬にこびりついていて涙で顔がぐちゃぐちゃである。
 リオルも苦しそうにボスの胸で唸っている。
 ボスは私を数秒見つめてハッとする。

「チャーフルか……? 旅に出たはずだろ! にげろ!」

 ボスは立ち上がり片手で私の肩を掴んで怒鳴りつけるように言った。
 相手がボスでも、知り合いが居たという安心感が私の混乱を少し解いてくれた。

「何があったの? 皆は?」

「分からねぇよ……急に白いバケモン達が現れて……村を襲い始めたんだ。
 皆殺されて、モンスターボールも壊されて……もうわけわかんねぇよ!」

 私が震え声で質問をすると、ボスは今までの事を話し始め、どんどん声のボリュームが上がっていき、最終的に私に八つ当たりするように叫んだ。
 私だって、訳が分からない。
 (白いバケモノ? ポケモン?)
 そんな中、何故か冷静になっている私がいて、その「白いバケモノ」について考えていた。
 すると、コピー用紙が机に落ちた時の音ぐらい微かで普通では聞こえないほどの軽く早い足音が聞こえた。

 私の真横から。

『縺ゅj縺後→縺!!!』

 バキバキと私達の横にあった雑貨屋の壁を壊し、人語でもポケモン語でもない悲鳴に近い奇声を発しながら何かが襲ってきた。
 私は条件反射でボスを抱えて前方向へと飛んだ。地面で数回転した後に改めてその何かを確認した。

 それは、ボスの言った通り「白いバケモノ」という言葉がピッタリであった。
 全身白色で人型。片腕には赤いハッサムのような腕を、もう片方の手は人間の手をしている。そしてドラゴンポケモンのようなしっぽを生やしていた。
 ここまででも十分バケモノだが、顔がより一層不気味であった。
 口はなくむき出しの目玉が3つ付いている。頭……額から上は凹んでいて、脳みそがある部分が抉られたような形をしている。頭の上には何かしらの棒が着いている。

『縺ゅj縺後→縺縺ゅj縺後→縺縺ゅj縺後→縺!』

 バケモノが奇声を発しながらハッサムの腕で私を襲う。そこで胸に抱えていたイーブイがアイアンテールで跳ね返した。
 バケモノは片手を弾かれじりじりと下がった。しかし、逃げないことからバケモノはそう簡単に引き下がらないということが分かってしまった。

「チャーフル! 逃げろ! 逃げて村の外の街に伝えてくれ!」

 ボスは必死で私に叫んでいる。
 (街に行くべき? 私の足なら直ぐに街につくことはできるけど、そしたらボスはどうなるの?)
 私の中で葛藤が始まる。村のために街に助けを求めたら、また知り合いを失うことになる。
 ─知り合い─ 友達でも血が繋がってる訳では無いけどそれでも昔から顔を合わせていたため放っておきたくはなかった。失いたくは無かった。

「イーブイ。お願い……できる?」

「……イブイ」

 私はイーブイに聞くとイーブイは仕方ないという態度でバケモノに向き合い始める。
 いつもは言うことを聞かないけれど今は緊急事態だ。

「イーブイ! 電光石火!」

 まずは様子見で力は弱いけど先に攻撃出来る電光石火を指示した。イーブイはジグザグに素早く走りながらバケモノに突撃した……はずだった。
 イーブイがバケモノに突撃する前にまた微かな足音が聞こえた。何か嫌な予感がして1歩後ろに体を引いてみた。
 すると私の目の前に口を開けたハッサムの腕があり、目の前で「ガチャン!」と金属音を出して閉じた。

「ハッ?!」

 私は驚きと動揺で大きな声がもれ、それと共に尻もちをついてしまった。
 バケモノは攻撃が外れたと知ると大ジャンプ引き下がり、先程と同じ間合いになった。すると、ボスが血相変えて私の両肩を掴む。

「チャーフル! おい! 逃げろって!」

「逃げたらボスが死んじゃうじゃん!」

 ボスは私に怒鳴り声を上げたが、同じぐらい声を張り上げてボスに言った。

◇◇◇
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[管理事務所]
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1 :ベリー
2022/09/13(火) 22:10:31

初めましてベリーと申します。
小説カキコにて、【ポケモン二次創作】裏の陰謀と、その外伝《ポケモン二次創作》最期の足掻き
を投稿しています。
◇◇◇

ここは地球。
この星の不思議な不思議な生き物、ポケットモンスター
ちぢめて「ポケモン」
彼らは、海に大地に空に森に、至るところに生息している。

この世界には『表』『裏』があり、どちらを潰しても作っても、必ず表裏は現れてしまう。
 これはある少女がその理をぶっ壊そうとするお話。
 誰をも巻き込んで皆を救おうとするお話。
 皆を守るために皆をぶっ壊すお話。

 哀れなただの少女のお話。

※注意
〇これはポケモン二次創作です。原作とはなんの関係もございません。
〇微グロ注意です。
〇こんなのポケモンじゃねぇ!という方は閉じていただいて…
 もう自分も最近これポケモンじゃねぇだろと思ってるので…
 

《目次》
【第一幕】ー幼少期時代ー
 何の変哲もない少女。ただの少女が巻き込まれたお話。それでも彼女は俯かない。それでも彼女は前を向く。
ソレイユの為に、自分のために。

第一章 私の分岐点 
>>6>>10-14>>19-22>>29-34

第二章 世界の由
>>35>>41>>44-46>>71-77>>95

【第二幕】─施設時代─
少女が、『自分の在り方』を少しづつ理解していくお話。その日々は彼女にとって一番の宝物であり、一番消し去りたい記憶でもある。
彼女が少しづつ救いに堕ちていくお話。

第一章 フジ
>>104-106 >>109-112 >>122-124 >>132-136

第二章 スイ
>>139-147 >>148

《感想などの言及はこちらまで》
>>>320


画像(png) 442.7KB
3 :ベリー
2022/09/13(火) 22:33:08

あえっ感想頂けるんですか?!
というかあの長いスレをどこまで読んだんですか?!(笑)

個人的には激辛がいい……というか、素直な感想をお聞きしたいのですが、メンタルが持つか心配ですので、ピリ辛……で(チキン)
だからといって無理やりいい所を見つけようとするのではなく、素直な感想が、欲しいです。「凄かった」「つまらなかった」の一文でも良いので。率直な感想を頂きたいです…

すみませんワガママな注文ばかりしてしまい…
「もうこんなのよめねぇ!」ってなったら感想は大丈夫なので(笑)

よろしくお願いします…!

6 :ベリー
2022/09/13(火) 22:59:03

第一章 私の分岐点

「いちについてー!よーいっドンっ!」

 青く繁る木々たちに木漏れ日が心地いい。パッと見幼稚園生ぐらいのそっくりな双子が声を合わせてけもの道をかけ下る。
 2人の幼児は同じ麻の布の服にかぼちゃパンツをはいている。横髪が長いショートヘアにキラキラとぱっちりした瞳。
 その後ろから2匹のイーブイが息を切らしながらついてくる。
 しかし、双子はそんなことなんて気にせず人とは思えない速度でけもの道をかけて行った。

「絶対勝つからっ!」

「それはこっちのセリフだよっ!」

 声まで似ている双子はスピードをより一層上げて下り坂に差し掛かる。双子は一気にジャンプして下り坂を駆け下りた。
 爽やかな風が双子の耳元をヒュンヒュンと通り過ぎる。ついてきていたイーブイはもう見えない。

「うおおおぉぉぉぉぉーーー!」

 双子が声を合わせて叫び出す。もうすぐ森の出口が見え、湿った土から乾燥した土の境目が見え始める。
 双子はお互い押し合いながら境目を目指す。

『ダンッ!』

 勢いよく双子が境目に足を踏み出した音が響き渡る。そこからはゆっくりとスピードを落として止まり始める。
 1人は膝に手を付き激しい呼吸を収めようとし始める。もう1人はそんなことをせずに苦しい中も相手に顔を向ける。

「見たよね?見てたよね……チャーフル!はぁはぁ……僕の勝ち!」

 息を切らしながら身振り手振りで話し始める双子の1人。チャーフルと呼ばれた双子の1人は少し顔を歪ませながら相手を見た。

「僅差だったじゃん!」

「でも僕の勝ちでしょ?」

 チャーフルは頬が割れるぐらい膨らませ相手を睨みつける。相手は勝ち誇った様子でチャーフルの顔に近づき、人差し指でチャーフルの頬の空気を抜く。

「ぷぅっ」

「あはっはっ!可愛い!」

「ソレイユ!そういう煽り嫌い!」

 ソレイユはものすごく嬉しそうにチャーフルを見るが、それに比例してチャーフルの機嫌は悪くなる。

 チャーフル・ジーニア ソレイユ・ジーニア
 それがこの双子の名前である。ある地方の森の奥の奥で母と兄とひっそり暮らしている。

「んー? ならチャーフル。僕に勝って見せなよ?」

「望むところよソレイユ!」

 チャーフルとソレイユが間合いを取って構え始める。そして、一気に相手に突進するところを……

「はいはい、ストーップ」

 ある人物が双子の頭が衝突する前に手のひらで止めた。その声は双子の声を低くしたような落ち着いた声だった。
 双子が止めた人物を見ると、そこにはボサボサな髪と双子と同じ黒髪。ピンクやオレンジ等カラフルな瞳をしている青年が立っていた。

「お兄ちゃん!」

 双子が声を揃えて青年の名を呼ぶ。双子の兄のようだ。

「いつも村の近くで喧嘩したらダメっていってるでしょ。下手すりゃ村1つ潰れるんだから」

 青年は真剣な顔で双子を見つめた。双子はお互いを見つめた後、バツの悪そうに青年を見上げた。

「……ごめんなさい」

「それでよし」

 双子が声を揃えて謝ると青年は爽やかな笑顔で双子を許した。それに双子は顔を輝かせ目の前の村へ走り出そうとする……が、またもや青年に襟首を捕まれ止められた。

「ちょっと。またイーブイ達置いてきぼりにしてきてないだろうな」

 双子はギクリと肩を震わせると来たけもの道の方を見る。まだイーブイ達は来ていない。

「連れてきなさい」

「……はい」

 青年が言うと双子はしょんぼりしながら来た道を戻って行った。

「さて、今日はなんだっけ。オレンの実とふっかつ草とカバンにちゃんとした服。旅って費用クッソかかるなぁ」

 青年は双子の小さくなる背中を見守りながら困ったように頭をかく。しかし、それはどこか嬉しそうであった。

「もう10歳か……早いな」

 青年はそう呟いた。

 チャーフル・ジーニア あと数週間で10歳。
 旅に出る予定である。


 旅に……出るはずだったのである。

◇◇◇
挿絵cdn.wikiwiki.jp

15 :げらっち
2022/09/15(木) 12:53:50

コフキムシ呼ばわり(?)

裏の陰謀本編も着々と読んでおりますが、登場人物が違うので少し驚きました。
しかし>>1に初見でもわかるストーリーとありましたので、安心して読ませていただきます。

本編のセブンといい、今回の不良集団のボスといい、最初の性格の悪いかませ役の描き方が上手いどすね!
一本調子のバトルにならないよう情景を描きつつ戦闘しているのがナイスです。
絵が挿入されているのも斬新でわかりやすいと思いました。絵柄かわいい!
ソレイユとチャーフルの違いが判ると豪語しておきながら、「チャーフルが……2人っ?!」という不良ww
村が襲われたか?続き楽しみにしております。

>>3 ほう、激辛を欲するとはあなたはMで?←
甘めにしてしまったので辛さ増していきます。

気になる点は…
「幼稚園生くらいの幼児」なのに10歳。

「チャーフル・ジーニア あと数週間で10歳。」という描写。ソレイユもでは?

全力疾走で村へと走り始めた
→馬から落馬する、的な重言だ…
全力で村へと走り始めた、のほうがベター

全体的な、視点のバラつき
傍観している三人称視点と、チャーフルの一人称視点と、淡々とした説明口調がごっちゃになっている気がするため、少々読みにくい箇所がある。

イーブイがチャーフルが立っている場所まで吹き飛ばされてしまった。 →三人称
つい、双子のソレイユと比べてしまった。 →一人称
トレーナーであるチャーフルより、村の果物屋のおっちゃんの方が懐いてるということである。 →説明

誤字と思わしき場所は…
聞かざるおえなかった
入らないようにしてきる場所

あとは些末点ですが、家族の中で兄だけ名前が明かされていない事にも違和感が…
それともフラグ?

にしても、これだけの文章を書きおろしてくれたんですか?
めっちゃ書くの早いですね!!
行動が早い人は好感度高いですぅ。
もう少し見直して磨き上げていけば、良い作品になると思います。応援してる!!

17 :げらっち
2022/09/15(木) 16:47:38

OK、裏の陰謀読んだら最期の足掻きにも手を出すかもしれません。
一段落ごとに感想書くわよー

視点って難しいよね…
バラつくのはありがち
何度も読み直すと、非統一が見えてくるところもあるかも
一緒に頑張りませう!

あ…添削マンがうざかったら言ってね…

35 :ベリー
2022/09/17(土) 01:36:58

第二章 世界の由

─十数年後の未来─

 黒いインクをぶちまけ、その上に明るい飛沫が飛び散っている絵画のように美しい満点の星空。
 ビルが立ち並ぶその地方の都市で1番高いビルの屋上にある人物が立っていた。
 星空に負けないぐらい艶やかでサラサラな美しい黒髪を腰まで伸ばし、それが風にたなびいている。ぱっちりした目に長いまつ毛、ルビーの絵の具で線を引いたのかと思うぐらい美しい唇とは対照的に真っ白な肌。麗しいという言葉そのものを体現したような美女だった。
 彼女はぶかぶかなロングマウンテンパーカーを来ていてスタイルは分からないが少なくとも百六十cmの身長はあるであろう。
 ただ、彼女の瞳は真っ黒だった。何を見ているか分からないただ黒く黒くどす黒い。絶望の色をしていた。

「ここにいたのか」

 彼女の後ろから1人の男が出てくる。男は体がガッチリしており、白い軍服のようなものを着ている。尚且つ、立ち姿の圧が強い。背筋を伸ばし、足は少し前後に開いている。隣には屈強なルカリオを連れている。
 十数年前から全く変わらない姿である。

「ガエリオ……ここがよく分かったわね」

 彼女はゆっくりと振り返り、微笑む。しかし、目が全く笑っていない。

「ピラミッドも裏の3柱も貴様のメイドも帝王も死に物狂いで探しているぞ」
「帝王……?」
「5代目の事だ」
「アイツ……いつの間にそんなあだ名着いてたのよ」
「ピッタリだと私は思うがな」
「帝王は私の名であるべきだと思うわ」
「嫉妬か?」
「違う」

 彼女は眉を少しうねらせ不機嫌な顔をした。ガエリオは「昔と変わらん」と言い微笑んだ。

「私はその、帝王とか言うやつより極悪非道な事をしてきたつもりなんだけど」
「なんだ2つ名が欲しいのか。まだまだ子供だな」
「私もう三十路なんだけど」

 彼女は余計機嫌を悪くしてガエリオを睨んだ。それでもガエリオは自分の子を見るような呆れた顔で笑った。

「なら、統治者はどうだ? 世界を安泰に導いた者として」
「それは統治 共羽が名乗るべき名よ。私は結局捨てちゃったんだから」

 彼女はそう呟きフードコートを翻しその場を去ろうとした。美しい黒髪が広がり目を奪われるような麗しい横顔。それは、天使のようで、悪魔のようだ。

「エンジェルはどうだ?」
「ふざけてる?」
「実際貴様は何千万という命を救ってきただろう。そして、世界を安泰へと導いた」
「間接的に……ね。それに救った数と同じぐらい壊してきた。結局は世界を捨てた。その現状が。今よ」

 その後ろ姿はどこか寂しそうで、悔しそうだったが、彼女の声色は変わらない。

「いいや、貴様は今から全てを救うのだろう?」

 ガエリオはタバコを取り出して吸い始めた。『ふぅっ』と息を吐くと白い煙が不気味に揺らいでいる。どっちつかづのようにゆらゆらと。

「……全てを救ってみせる。全てを……壊してみせる」
「……私達は一体どこで間違えたのだろうな」

 彼女がドアノブを捻る手を止める。そして、全てを捨て諦めそして何故か嬉しそうな笑みを浮かべた。

「私の……私達の場合、生まれた事が間違いだったわ」

『ガチャンッ』と扉を閉めた金属音が屋上に響き渡る。その音が繰り返しガエリオの頭の中では響いていた。

「本当に……強欲で傲慢で怠惰で激情家で嫉妬深くて暴食でなのに美しくて……」

 そこでガエリオはあることに気づき『ハハッ』と乾いた笑いを出した。

「七大罪を全てを網羅してるじゃないか」

 ガエリオはそこにはもう居ない彼女……いや、『2代目レイ』にそう言った。

 風は冷たく激しく、空に気を取られていたらビルから落っこちてしまいそうだ。それはまるで、表に染まって夢中になっていたらいつの間にか裏に落ちている、この世界を表しているようで、ガエリオは皮肉でたまらなかった。

◇◇◇
挿絵
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41 :ベリー
2022/09/18(日) 17:23:37

─現在─

 「ぐはっ! 」

 急に胸元に衝撃が走った。まるで、地面に打ち付けられたような……
 地面が冷たい。触り心地は……レンガ? というか、あれ……私は……一体。
 ぐわんぐわんする頭にムチをうちつつ体を起こすとそこはとんでもなく広い部屋だった。体育館ぐらいの広さと規模の部屋。しかし、その時の私は体育館等知らなかったためとてつもなく大きい部屋としか形容の仕様がなかった。
 私はその部屋のステージのような所に放り出されていた。目の前には薄黄色のシャツを来た人々が各々何かを話している。
 私の事について話す人や雑談する人や、発狂している人や倒れてる人。屈強な大人から1,2歳の子まで幅広い年齢層の人達が居て、意味がわからなかった。

 ここはどこ? まって、それより私は? 私はどうなったの? 私は誰?!

 別に私の記憶は抜け落ちていた訳では無いようで難なく記憶を掘り返せた。けど、掘り返せば掘り返すほど気分が悪くなってくる……
 私の名前はチャーフル・ジーニア 10歳。気を失う前に、バケモノに襲われて……多分頭抉れてたんじゃないかって思うんだけど……
 私は急いで頭を触ってみたが凹凸の無い円球の頭がそこにあった。目もあるし口も普通だ。
 え、あれは……夢? ママは? お兄ちゃんは?

 ソレイユは……?

「今日から仕事に関わる奴だ。以上」

 後ろにいたステージの下にいる人たちとは違う、何か作業着を来ている大人の人がそう言った。
 仕事? え、何が? 私の事……だよね?
 すると薄黄色のシャツを来た人々はゾロゾロと部屋から出ていった。
 何か、この人達何かがない。元気と言うか、明るさというか……生気?

「お前も行け」
「ぐへっ」

 すると後ろの作業着の大人の人に蹴られ、誰もいないステージに落とされた。そんなことされるとは思ってなかった私は無防備にまた地面に叩きつけられる。

「あの、一体……仕事って、私は……」
「早く行け。晩飯にするぞ」

 大人の人の声は私に全く関心のない虫けらを扱うようにそう言った。それに、晩飯にするという脅しと、知りもしない大人への恐怖で、私は逃げるように他の人達を追った。
 部屋を出ると長く不気味な廊下が延々と続いていて端が見えない。探検したい気持ちも微かにあったが、それよりもあの人達を追った。

「うっ……」

 その人達が向かう場所に行けば行くほど異臭が鼻を攻撃し始めた。廊下に出てから鉄の匂いは微かにしてきたけれど、それと共に肉が腐ったような異臭に体臭が濃くなっていく。
 細い通路にはなんか沢山の厚い鉄の扉が何個もあって、それを開きながら人々は進んでいく。かなり歩いたはずだけれど、まだだろうか……
 そう思っていると光が見えた。薄気味悪い不気味な光が。
 さっきの扉よりもより一層厳重な扉が開かれたら凄い……すごいすごいすごい広い外?についた。
 とにかく広い。端っこは見えないし向かい側も見えない。空は薄暗くてガラスが貼られている。
 こういうのをガラスドームというんだっけか。でも、ガラスドームの向かい側が見えない。近所のそこら辺の山よりも大きい面積がある。ガラスドームの向こう側は土があって、多分崖?なのかな。でも、なんか空も、空なのか分からない。灰色が綺麗すぎるし、太陽の光に違和感がある。
 あと、なんか空気が重い。どよどよしてるし風が微かにしか感じ取れない。ここ、本当に外なのだろうか……

 そう思ってるといつの間にか周りに人はいなくなっていた。

『今日は20時までだ。
 では始め。』

 するとどこからともなくノイズが強いアナウンスが流れてきた。
 20時まで? 何が?! さっきの仕事……? けど、仕事内容なんて教えられてないしほかの人たちの姿なんて見えない。まず私はあの時多分死んだはずなのだ。てことはここは、地獄?
 地獄にしては妙にリアルで生々しい気もする……そんな物なのだろうか……

95 :ベリー
2022/09/30(金) 00:45:38

《アーボ》

『何故、肩入れする。女に』

 俺こと、アーボは施設初日のレイを鍛えるために、レイが自力で上がれない程深い穴にぶち込んでそれを見守っている。
 するとアーボックからそう"意思"が伝わってきた。

「俺には、子供が居たんだよ。お前と会った2年前よりもっと前のことだ」

 血の匂いがする。しかも新鮮で健康そうな、美味しそうな血だ。レイが居る落とし穴の中から。そこへ腹を好かせたポケモンが大小関わらず穴へ入っていく。

『わからない』
「似てるんだよ。俺の子と……まぁ、まさかな」

 今や自分の子供の顔もぼやけるほど忘れてしまっている。昔のことを、幸せだった頃を。昔の記憶でハッキリ覚えて居るのは、施設でも眩しい笑みを浮かべていた彼女だけだった。

「別に……誰も恨んじゃいないさ」

 誰に言ったのだろう。自分か、アーボックか、それともレイか。誰でもいい、ただ口からポロッと零れた。

『しかし。やりすぎ』
「そうか? 身体強化には丁度いいだろう」

 レイを深い深い穴の中に入れる。レイは表世界から来たばかりのため臭くなく、血の匂いも鉄の匂いがプンプンしていて食欲をそそる。
 そのため、初めは小さなポケモンが穴に落ち、レイがそのポケモンを殺す。すると、そのポケモンの血と、レイの怪我の血で少しづつ強いポケモンがおびき出される。
 そういう仕組みでレイの特訓をしている。勿論死にかけたら助けるし、耐えられた時間によってレイのレベルが分かる。

「うあああぁぁぁ!」

 喉を潰したような、幼い子供の鳴き声が穴から聞こえる。そんな声量を出せるならまだまだ追い込めるな。そう思い、ポケットから少しカビの生えた乾燥させたオレンの実をかじった。

『女。死なないのか?』
「死なない」

 俺は確信してそう言った。先ほどオンバーンというポケモンに襲われていたところを助けたが、その時の傷がもう癒えていた。ただの人間とは到底思えない。これほどでは死なないだろう。

「ヒィァッ……」

 微かにヤカンがお湯をわかせた音がする。あぁ、流石にまずいな。そう思い俺は穴の中に堕ちた。

 ◇◇◇

冷たい。冷たい。暑い寒い暑い寒い。
 クソ野郎クソ野郎クソ野郎クソ野郎クソ野郎クソ野郎クソ野郎クソ野郎おぉっ!

「うがあたあぁぁぁぁっっっ!!」

 大津波のようなどす黒い思いが体の中全身を襲う。目の前になだらかに静かに流れる川。そして、季節外れの雪がシンシンと降ってくる。俺の心とは真反対に、静かに穏やかになだらかに。
 降れよ……もっと雪よ降れッ! 降って降って村を、街を、地方を、世界全てを埋めつくして、全生物を窒息させるほど降り積もれ! 暖をとって幸せに笑ってる家族も、赤ん坊も、少年少女もっ! 俺のように絶望に呑まれている哀れな人々さえも全て苦しんで死ねっ! 全部全部消えてしまえっ!

「あああああぁぁぁぁ!!」

─その日、カロス地方のフロストケイブでは歴史で類も見ない大雪が降り、川が荒れ、フウジョタウンは大打撃を受けた。
 一人の少年によって。一人の憎悪に包まれた精神のバケモノによって─

 第二章 世界の由 終

148 :ベリー
2022/11/01(火) 06:27:39

「もう、大丈夫アーボ。私アーボから離れるから……迷惑かけてごめん……」

 私は思わず心の声を出してしまった。どんどんネガティブになっていく私の思考。それに気づかない私はどんどん被害妄想を膨らませていた。
 表世界の価値観を捨てられない。ポケモンも半年前は殺せなかったし、未だ私よりフジの方が強い。
 私は要らないじゃないか。足でまといだ。

「……は?」

 するとアーボが意味がわからないといった声を吐いた。それは私が要らないという仮説に近い事実を、私の中で事実にさせた。

「アーボはレイが要らないの?」
「要らない」

 フジが私の様子を見て不安そうにアーボに問いかけると即答で返ってきた。
 要らないことは分かっていてもそれでも傷ついてしまった。

「まずレイもフジもあの白いヤツもアーボックでさえも俺は要らない。いなくても生き残れるからだ」

 当たり前だというようにアーボが話す。フジが欲しかった趣旨の回答では無かったし、アーボが一人でも生き残れるのは私達でも分かるものだった。

「そういうのじゃ……!」

 フジが反論を試みるも良い反論が思いつかなかったのか黙ってしまった。しかし、アーボは考える仕草をしており意外にもフジが反論を試みたことに怒ってはいなかった。

「仕事というのはな。自分が居なくなっても回るようにするものだ」
「き、急にどうしたのアーボ?」

 フジが怪訝そうな顔でアーボを見るも、それを無視してアーボは私を見下す。

「レイ。お前は無能だから自分の代わりを用意出来ていない。分かるな?」
「えっ……」

『ジリリリリリ』

 すると仕事終わりの合図が施設内に響き渡った。

「白いヤツ。来い」

 アーボは白い子の首を掴んで雑に運び始めた。そして、私とフジは岩場に置いてきぼりである。

「フジ、私要らないのかな……」
「あれは照れ隠しだとおもう……それにしては『隠し』の部分がキツいと思うけど」

 私は不安でフジに聞くが、いつの間にかフジは呆れたような顔をしており私は不思議で堪らなかった。

「帰ろ。レイ」

 フジが私に手を差し伸べる。私は食べられてない方の腕でフジの手を握る。
 私が守るって言ったのに、救うって言ったのに、フジに助けられてばっかで自分が情けない。

「私捨てられるのかも……」
「レイが捨てられても僕は最期までレイの傍に居るよ。捨てないでくれる?」

 屋敷へ戻る途中、アーボの先程の言葉の真意をちゃんと理解出来てなかった私はまた弱音を吐いた。
 フジは慰めるように私に凄いことを言った。嫌、フジの事だから慰めのような打算的なものでなく、純粋な言葉かもしれない。

「うん。捨てない。ずっとフジのお母さんでいるよ」
「……レイにとって……僕息子なの?」
「うん」

 私の手を引っ張っていたフジは立ち止まって私の方を不安そうに見る。大丈夫。私はそんな簡単に死なない。その決意として力強く頷いた。