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340.シャインシックス【小説スレ】
 ┗24-27

24 :ダーク・ナイト
2023/02/04(土) 10:34:37

第二十二話 「からから砂漠のバトル〜前編〜」

夕方になり、三人は北の方へと歩き出した。
北には、砂漠がある。
この自然豊かな森を去り、暑苦しい砂漠へと向かうのだ。
しっかりと豊富な水をボトルに入れ、三人は歩いていた。
「砂漠…。ここにもなにかいそうですよね…。」
とみぞれは不安そうにきょろきょろとあたりを見回しながら言う。
砂漠はがんがんとした暑さで、意識がもうろうとしてくる。
そんな中、ジーナはあることに気がついた。
「ん…?待って、みぞれ!チルドタイプって砂漠に強いの?」
とジーナがみぞれに大慌てで聞く。
「そうですね、チルドタイプは強烈な暑さには弱いです。炎など。」
とみぞれが答えた瞬間に、ジーナは早口で言った。
「っていうことは、まさかだけど…レインボーフルーツが…!」
みぞれはようやくハッとした。
ジーナの無限ポシェットの中にあるレインボーフルーツは、溶け出していた。半腐り状態になってしまっている。
「………。」
その場に三人は立ちつくした。
ジュースも当然のこと、じとじととしている。
「大切なフルーツを…失ってしまいました…。」
みぞれは大粒の涙を瞳からぽろぽろとこぼした。
「ですがね、これで良かったのだと思いますわ。」
と来夢が静かにつぶやいた。
本当は来夢も辛くて悲しくて心がやぶれそうだった。
だが、泣いてもなにも変わらないと思い、ひたすら舌を噛んで、悔しがった。
「なぜって、無敵な体を持つことのできるフルーツに頼るより、自分たちの力で勝つ方が達成感ありますでしょう?」
涙で声が震え、うまく話すことができなかったが、二人に来夢の気持ちは伝わったようだ。
二人は涙で顔をくしゃくしゃにしながらも、にこっと笑った。
ビュオー。
一気に砂ぼこりが舞い上がり、三人は砂が目に入らないように、思わず目をつぶった。
「…!…ナ!…ーナ!…ジーナ!」
ジーナは来夢の声に目を覚ました。
「ん…?ここはどこ…?みぞれは?」
みぞれは、ジーナの右隣ですやすやと寝ている。
三人ともいることに、ジーナはほっとした。
「にしても、ここはどこなの?」
とジーナは辺りを見渡した。
さっきまでいた、どこまでも砂道が続く砂漠ではない、少し涼しい空気のある、サボテンや砂山がたくさんある場所だ。
「…私達、ここに飛ばされたのね…。」
とジーナは言った。
「これからどういたしましょう?」
と来夢が首を傾げて言った。
来夢の声に、みぞれが目を覚ました。
「ん…?ここはどこです?」
寝起きでなにも知らないみぞれに、来夢が今までのことを説明した。
どうもここは、陰気臭い雰囲気がただよっている。
すると、周辺にあった、少し大きくて棘がたくさんあるサボテンが動いた。
三人は驚いて、後ろへ後退りした。
今は風も吹いていない。そのため、サボテンが動いたということだ。
⇒二十三話へ続きます!

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25 :ダーク・ナイト
2023/02/04(土) 12:15:25

第二十三話 「からから砂漠のバトル〜現れたサボテン〜」

くるっとサボテンが振り向いた。
三人は精神を集中させて立ち上がった。
(これは…バリスパーの団員…。)
なぜバリスパーの団員なのかわかったのかというと…。
バリスパーの団員は、全員黒いぴっちりとした団服を着ているからだ。ジェネラルもサボルナと同じ団服を着ていた。
さらに、いつの間にか夜になっていた。
夜になると、さらに団服は見にくくなる。
また、夜の敵や相手を見にくくなる時間帯は、とても戦いにくい。
「俺はサボルナ。サボルナはさぼるな!」
その場がしーんと静まった。
「ゴホン!」
とサボルナが咳ばらいをした。
自分が思いついたダジャレがあまりにも寒かったのだろう。
気まずそうにサボルナは場を取り戻した。
「俺は夜にしか動かない。到底お前たちに俺は倒せないだろう。朝までに倒すだなんてな。意外と夜って短いんだぞ?」
ハハッと軽く笑い、サボルナは恐ろしい緑色の体をゆさゆさとゆすって言った。
「さあ、お前たちの実力…。見せてもらおうじゃないか!」
サボルナの金色の瞳がさらに恐ろしくビカッと光った。
「弾丸爆弾!」
サボルナの太くて低い声が響いた。
約3秒後に、黒くて丸く、硬そうな種が飛んできた。
さらにただの種ではなく、地面に当たると爆発する。
弾丸爆弾を避けながらの攻撃は、かなり体力を消費してしまう。
「どうしたあ!?」
サボルナは不敵な笑みを浮かべた。
自分が一方的に勝つと思っているのだろう。
「アンタなんかに負けたくない!」
来夢がザッと飛び出した。
⇒二十四話へ続きます!

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26 :ダーク・ナイト
2023/02/04(土) 15:31:42

第二十四話 「からから砂漠のバトル〜サボテンとのバトル開始!〜」

「ピカピカレイン!」
来夢の、電気の雨が空から降ってくる。
だが、サボテンには効果がない。
サボテンはLEDライトで育てることが可能なため、電気を当ててもダメージを喰らわないのだ。
その間に、弾丸がボンボンと飛んでくる。
ドカーンとこちらで爆発したかと思えば、あちらでドカーンと爆発する。
三人は用心深くサボルナに近づかないといけないのだ。
「どうしたあ!まだまだあ!」
サボルナは体の向きを変えた。
さっきまで三人はサボルナの背中に向かっていたが、向きを変えられては攻撃ができない。
仕方なく、ジーナが攻撃した。
「サイコアタック!」
紫色の大きな玉は、サボルナに当たった。
だが、サボルナには強いダメージが当たっていない。
「まだまだあ!勝負はまだ始まったばかりだぞおぉ!」
とサボルナが叫んでいる。
サボテンの花言葉は、「枯れない愛、情熱、燃える心」だ。
その通り、サボルナは情熱に満ちて戦っている。
すると、まだ攻撃をしていなかったみぞれが攻撃した。
「カチカチコールド!」
みぞれの攻撃はサボルナに当たり、見事サボルナが凍った。
だが、その氷もサボルナの熱い情熱により、溶かされてしまった。
とても、ただのサボテンとは思えない情熱の心を持っている。
まあただのサボテンではない、バリスパーの団員なのだが。
来夢とジーナは顔を見合わせた。
みぞれの攻撃がサボルナに効くのであれば、二人は変に攻撃しないほうが良いだろう。だからといってみぞれ一人に攻撃させるのも良くないだろう。
二人は迷っていた。
このままみぞれだけで攻撃していては、みぞれの体力が減っていくだけだ。なんとかしなければ。
二人が迷っている間にも、みぞれは攻撃を続けている。
「ひえひえブリザード!」
冷たい風が一瞬にしてサボルナを包んだ。
その場に立っている来夢とジーナは飛ばされないように必死に足を地面につけた。
攻撃しているみぞれ自身も踏ん張っている。
冬にこの技を使うと、凍りそうなくらい寒い。
そのため、できるだけみぞれはこの技を冬に使いたくなかった。だが、この場になってしまっては使うしか無いだろう。
しかし、このまま踏ん張っているのもきつくなってくる。
「助けに来ました!」
今までに聞いたことのない、りんとした声が響いた。
⇒二十五話へ続きます!

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27 :ダーク・ナイト
2023/02/05(日) 11:19:22

第二十五話 「小さな怪物登場」

小さな影がとっとっとっと、厳しい風の中、走ってくる。
スパァン!と音がして、氷でできた刀がサボルナの頭にかすった。
サボルナは凍りついて、両手を上げた状態で固まっている。
みぞれの攻撃の上から氷の刀が当たったため、二重に凍ったのだろう。
小さな動物はくるっと振り向いた。
光る黒豆のような瞳を三人に向け、ふわふわとした純粋な白色の毛を揺らすたびに風にのって毛が飛んでいく。
その様子は、まるでたんぽぽの綿毛のようだ。
それまで張り詰めた空気だったが、その動物によって空気が少しだけ春色になった。
「あ…あなたは?」
助けてくれてありがとう、の言葉も忘れてジーナは動物に聞いた。
「私は…すかい。」
その動物はほんのりと桃色に頬を染めて言った。
「すかい、助けてくれてありがとうございます。」
とみぞれがご丁寧に言った。
みぞれの言葉でジーナと来夢は恥ずかしくなった。
助けてもらった恩人に、お礼を言っていなかったとは。
二人はあわてて動物に感謝を伝えた。
「ありがとう!」
「本当に感謝ですわ。」
「なにかお詫びに…」
とみぞれがすかいに聞いたが、すかいは小さく首を振った。
「私は…なにもいりません。…!」
すかいはなにかを思いつき、小さなスカイブルーカラーのダウンからなにかを取り出した。
「これは…ブルームーンストーンです。使ってください。」
そう言って、すかいは去っていった。
すかいの後ろ姿は砂風にかき消され、あっという間に小さくなっていった。
その場に三人はしばらく立ち尽くしていた。
やがて来夢が声を出した。
「また…助けられましたわね。」
「それは嬉しいのだけど…」
とみぞれが眉をひそめて話しだした。
「私達の力を発揮しなければ団として結成できないのでは…?」
その言葉に、二人は夢から覚めたようにハッとした。
⇒二十六話へ続きます!

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