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86.美しく残酷にこの世界から去ね
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31 :に_っ_か_り_青_江
06/16(火) 15:25

山と言うとどうしても厚_樫_山を思い出す。三_日_月君を見たというその情報の為だけに沢山回たことを。
沢山の山_伏_君の刀を拾った。全て鉄になってしまったけど。

漸く彼をお迎えした時は肩の荷が下りた。
当時の政_府発表の刀を全て手に入れてその日は宴だった。

…今は例の二振りと蜂_須_賀君の兄弟、それに来_派と粟_田_口がいないみたいだね。
僕の兄弟はまだ魂を得ていないらしい。そうなると僕は「に_っ_か_り」って呼ばれるのかな。
笑顔の方の青_江、とか。もう一振りの「に_っ_か_り」が来たら僕の呼び名はどうなるんだろう。脇_差の青_江?


「薬_研と青_江は太刀みたいな顔をしているのう。」


って陸_奥_守君からかわれた。すると
「お前の性格は短刀みたいだけどな。ガキだよ、ガキ」
近くを通った和_泉_守君殿下の宝刀「余計なひと言」発動によって手合せ騒ぎに。
石_切_丸が二人の首根っこをつかんで芋畑に放り込んでいた。這_い_寄_る_混_沌かなにかなのかな、石_切_丸。

陸_奥_守君って何だかんだで仲がいいよねぇ…新_撰_組の刀とさ。


そんな事を考えながら歌_仙君がいたという清流までやってきた。
まだまだ角の取れていない石河原を見るとなんとなく心が落ち着く様だった。
脚が痛くなることはないけれどブーツが蒸れて少しばかり不快だった。


「多分此処だね。…朧げだが之_定の気配を感じるよ。」
>「石_切_丸は犬みたいだね。分かるのかい?」
「人の無念は糸を引く者だ。知的生命体故か…其れとも何か別の思惑があるのかは分からないが…感情と言う微弱な電気を伴った一感情が……。」
>「石_切_丸。」

僕は袖を引っ張って彼を止めた。彼に限らず、有能な人間は好きな分野に関して情熱的すぎて語りだすと止まらない。
皆でほらー番組を見た後にしれりと科学的解説をして場をしらけさせたあの一連の事件を僕は忘れない。
石_切_丸は僕の方をみて笑った。

「その話はまた後に、だね。」
>「ずっとしなくていいよ」



僕は彼の言葉を一刀両断した。素の表情で首を傾げる彼は本当におもしろいなぁ。
ブーツと靴下を脱いで、岩影に置く。裾をめくって足を沈めた。まだ、冷たい。
足を細かな藻がくすぐり、下流に小さな渦ができた。石_切_丸を誘うけど首をふった。
禊のときは簡単に脱ぐくせに、つれないなぁ。深みにはまらないように注意しながら歩く。
木漏れ日が波打つ水面に乱反射してきらきらしていた。
不思議だね、足も指も斬ったことはあるけれど25年以前まで存在しなかったのに。
今ではもう存在することが当たり前になっている。時代を超えて、彼らと戦うのも然り。
斬ったり斬られたり、壊したり壊されたり。

大き目の石をひっくり返してそこから飛び出す小魚を見ながらなんとなく笑うんだ。に_っ_か_りと。




>>32

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32 :に_っ_か_り_青_江
06/17(水) 12:47

#「…青_江君に石_切_丸?」
僕の一人川遊び傍らで見守る保護者に懐かしい声が駆けられた。
薄い桃色髪の歌_仙君。
背中に背負う怨念の重さもものともせずに森の深い部分から現れた。
嗚呼、やっぱり綺麗だな。

>「久しぶり、歌_仙君。」
「5年振りだね。」
#「……5年。」

手を振って迎えると足場が悪いにも関わらず平地を歩くようにするすると僕たちのほうへ近づいてきた。
本当山歩きに慣れている脚だよね。流石3日歩いてぶっ倒れただけあるよ。
川から上がり、足を乾いた石で拭う。隣に来ると、雨露に僅かな桜と、人の匂いがした。

>「誰かに会っていたのかい?」
#「以前君たちと似たような気配のものが迷子になっていてね。普通は引導を渡すんだが助けてと言われたので助けたんだ。」
#「それ以来時々会っては彼から色々教えてもらっているよ。」
>「ふーーん。」


>羨ましい。


「…引導を渡すのは余り良い事ではないかな。最終手段としてとっておこう。基本は助けてあげようか。」
「人間を闇雲に殺すことは余り誉とはいえないからね。」


両手を後ろ手くんだまま冷静に石_切_丸が声を掛けた。
君のいうことならば、と素直に頷く歌_仙君。


>何も知らない君にたくさんの足跡をつけたい


>「とにかく、5年ぶりだけど元気そうで何よりだよ。」
#「僕の感覚としてはまだ半月くらいなんだけれど…基本的に水浴び以外は櫻の下で過ごしていたからね。」
#「代わり映えはないけれど君が貸してくれた本やのーとがあれば満足だったよ。」
>「それはよかった。君は戦_刀だけど風流を愛する刀だからね。」
#「戦なんてしたことはないな。殺したことはあるけれど。」
「今後は控えて欲しいものだけれどね。」
#「嗚呼、そうだ……時間があるなら約束を果たしたい。やっぱりかなり歩くことになるけれど…。」
>「明日はどうかな。僕たち今主に暇を出されてあと3週間くらいは暇なんだ。」
#「三週間もかい?それはすごいねぇ。」


どこか嬉しそうな声。歌_仙君は両手を合わせて笑った。
深い櫻の匂いがする。そして多分歌_仙君の「三週間」は人間にしてみると
結構長い時間なんだろうな、とも。人以外の感覚なんて曖昧だよね。
僕も最初はそうだった。人の身に馴染んできてから四季を感じたり時間を気にする様になった。
それでも一日一日がとても速く感じられる。翡翠色が緩まった。

「そうだね…歌_仙、日が一度沈んで登ったら…ここで待ち合わせしようか。」#「嗚呼、わかった。一回だね。うまく起きられたらいいんだけれど。」
「会った日から大分たっているから大丈夫だよ。さくらを見るのが楽しみだね。」
>「夏櫻ってことになるかな。野性の櫻はいいよねぇ……見た記憶が曖昧だけど。」
「おや?意味深なことをいわないのか、青_江」
>「いわなきゃだめかい?君も結構むっつりだよねぇ…性格のことだよ?」



かけあいを見て歌_仙君が噴き出した。僕もなんとなく嬉しくて笑う。笑いが笑いを呼んで三振りの音がこだました。


君はこれをみているかな。見ていたらやっぱり教えたい。君が過ごした時間は僕にとり、かけがえのないものだったのだと。


>>33

33 :に_っ_か_り_青_江
06/19(金) 20:22



『鵡だ』
長_谷_部君が書類をやりながら言う。
『あれは鵡だ。何時でも人の真似事を好む。』
『下らん。』
『貴様らはあれを鵡だと思って接すればいいのに。……飼い主はすぐ感情移入するからな。』

>『…フラれたの?』


僕の言葉に筆がとまり、数秒。長_谷_部君はこれでもかという大声で笑った。背中を向けてるから表情はみえないけどさ。


『鵡にふさわしい刀がどこにいる。』


>鳥にはとり籠が必要だ




『俺には主唯一人だ。』

『ふーん』

長_谷_部君の主愛を軽く聞き流す。そうこうしているうちに彼らが湯浴みから帰ってきた。遠目でみるとかわいいんだけどなぁ。近づくと突かれる。……言葉でだよ。

『貴様は見目が蛇のくせに』
『餓鬼だ。』
『……もと大_太_刀なんだけどねえ』
『過ぎたるは、か』

長_谷_部は博識だな。狂歌をもちだしてきて。
なんとなく感動を覚えながらたちあがる。眠い。おぼつかない足取りに背中が鼻で笑った。

『鵡は鵡、人にはなれん。どんな姿を見ようとも異物だと思わねばな。』


#『■■■■■■■■』



>『はいはい。』




彼は優しいなぁ。
廊下に残った藤の匂いを嗅ぎながら僕は湯浴みの準備に部屋に戻った。


>僕は鵡に、構ってほしいだけ。



どうか美しい鳴き声を、僕に。







>>35

35 :歌_仙_兼_定
07/04(土) 15:50



#散る櫻が美しく感じなくなったのは何時の事だろう

そんなことを思いながら光る花びらを手のひらに乗せる。握りこむと、光は手の中で潰えてしまう。


約束をした。日が次昇った頃合いに川へ下ろう。
青_江君と石_切_丸が此処に来る。胸が張る思いだった。満足してくれるといいけれど。


関係性、というのはすばらしいと思う。ずっと僕は独りで、それが当たり前で、人を喰いながら続くと思っていた。それが彼らに出会って、また、があるのが楽しみになった。未だに慣れないこともあるし、体だって痛むことはあるけれど。いいことを教えてくれるのは楽しいことだった。

知らない知識で僕が変わっていく。
動かなかった歯車がきしきしと動く音がする。それがどこに転がるかは僕には想像もつかない。



#「……返せるものは返すのが雅というものか。」






櫻の幹を撫で、身を寄せる。体の痛みが消えていく。心臓のあら熱が吸い上げられるようだ。月が天心にのぼってもいないのに強い眠気を感じた。嗚呼、美しいな……。




#毎日会えたら
きっと楽しいのにね。








>>36

36 :歌_仙_兼_定
10/07(水) 21:31


#長い間、眠っていたね

さめるまで、もうすこし。