朝って案外忙しいものだよね。私なんか起きて直ぐに包帯を全部取り換えなきゃいけないから割と朝は嫌いな方。まあ、包帯に巻かれる生活なんて慣れたものだから今更ではあるんだけど、とにかくそのせいで朝は時間が全くと言って無いし、私にはあの太陽が眩しくて仕方無くて……朝は嫌いだ。しかしこの頃はそういう訳でも無く、あの子が私におはよう、と挨拶をしてくれる事だとか、行ってらっしゃいと見送りの言葉をくれているから、朝を迎えるのも悪くないと思う様になった。私からは時々にしか返せないのが悔やまれる。
朝は上記に記載した通り、日中は忍務に出るせいで顔を出せないし、夜は眠る少しの間だけ。あーあ、あの子との時間をもう少し作れたらいいのになぁ、と、もしもを語らずにはいられないのも仕方無いよ。
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今年の夏は何の花が綺麗に見られるだろうか。この頃は花を見に行く休日もないから、癒しに飢えているのかも。ああ、あの子と花を見に行きたい。……これ昨日も書いたっけ?大分疲れが出てきているみたい、草臥れていると同じ事を繰り返し書いてしまって駄目だねぇ。山にでも出掛けて……あの子が喜びそうな薬草を採りつつ花を見て、美味い茶屋で茶を飲んで、そんな事をしたい。
あの子が私の何を気に入ってくれたのか、知りたいと思うのは、もしかしたらあの子の理想でありたいからなのかね。と、尊/奈/門にぽろっと零した所、組頭は愛されてるんですねと言われてしまった。
あの子と初めて出会った会話の全てが消えてしまった。消えてしまったという事は、それ程まで長く共にあるという事だ。うーん、何だか感傷深い気持ちになるなぁ。という、備忘録。
後はこの日記をあの子は気に入って見てくれていた事が昨日発覚して何とも言い表せん気持ちになったこともついでに。もう行かないと、殴り書きだから後で書き直すね。
腹は痛いし微妙な睡魔があるし、とにかく疲れている。あの子と花を見に行きたい。
眠る前に一筆したためる。しかし眠い為端的に、少しだけ。起きたら追記しようと思う。恋仲という形になってから一日が経った。朝方あの子が私の元に残した言葉が普段よりも可愛らしく、かつ眩しく見えたのはきっと気の所為ではないのだろう。歳を取ると物欲が無くなると言うが、あの子の事を好きになり、恋仲になった事であれやこれやとしたい事が溢れて留まることを知らないみたい。
起床。ついでに夢の話を。
あの子にも話したが、夢の中ではあの子が私の掌程の大きさになっていた。栗鼠だか小鳥だか、その位の大きさだったと思う。それが私の傍をちょろちょろと歩き回って、踏み潰してしまうんじゃないかと危惧する程であったのを覚えている。普段は私に懐いてくれている事やひたむきに好意を寄せてくれる事への、詰まる所は恋情故の可愛らしさがあるが、夢の中のあの子は動物を愛でる類の可愛らしさがあって良かった。もし同じ夢が見られるのなら、また見たいものだと、夢日記。私とあの子に子供がいたとすればあんな感じなのかもしれない。
本日であの子と出会い、話し始めてから、百日。
同日。あの子と恋仲になった日。
書いていた日記の頁に間違えて墨を落とした。そのせいで何を書いていたのか分からなくなってしまったよ。思い出しつつ書いていく。眠ると言った傍から眠れずにこの様に日記を綴っているせいだろうか、手元が覚束無いのかも。書きたい事は山程ある。がしかし、内容を書くと大体同じ様な事を書いてしまうのが最近の悩みだ。あの子が可愛い事をしただの、あの子が私の事を考えてくれているのが愛いだの、そういった事ばかり。あの子が今夜も良い夢を見ていたら良いのだが。もしこの日記を、あの子以外の他の誰かが見ていたとしたら、いよいよ呆れ果ててしまうんじゃない?まあ、結局私の日記だし、自由に書くんだけどね。
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あの子の脱字、結構好きなんだよね。雑/渡を言えずに"さっと"にしてしまったり、"ざって"だったり、色々。他にも色々あるけど、ここには書かないでおこう。それは私だけが知っていればいい事だ。
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眠れぬ夜というのは、全身に火傷を負ったあの夜の事を思い出す事が殆どであった。この頃は、そういうのも減った方だと思う。目を閉じ、眼瞼に映るのは、赤黒く煙い景色ではなく、あの子が笑う姿なのだ。肌が痛む夜、夢見に悩まされ魘されて目が覚める日。そういうのも、減った。よく眠れると言う日が続いている。疲れ果てて眠る夜は別だけどね。割れた心の継ぎ接ぎにあの子が薬の如く染み渡って、染み染みと、ああ、私は愛されているし、幸せであるのだなと、感慨深くなるよ。
言葉にしてみると、私が如何にあの子のことが好きなのかがよく分かる気がする。
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あまりにも寝れる兆しが見えないから久方振りに酒を煽った。眠れそうだがそれはそれとして胃が痛くなった。明日陣/内に叱られそうだ。
追記 怒られた。
眠過ぎる。否、疲れ過ぎている。
この頃ずっと忙しかったものだから、帰る頃にはすっかりくたくたになってしまっていてあの子にまあ酷い姿を晒してしまっている様に思う。しかし草臥れて帰ってくると、一度でいいからあの子の顔を見たくなるから難儀なものだ。いやね、叶う事なら忍務には行きたくないし 、
>私が過労で倒れたら殿のせいだよ。私はそんな軟弱じゃないし、倒れたりなんぞしないけどさ。
可能な限りあの子の顔を見ていたいよ?だがそうもいかないし、そんな事をしていたら私よりあの子の身が持たないんじゃないかなと書いていて思うた。真相は定かでは無いけど。まあ、兎に角だ。端的に言ってしまえば、私は成る可く多くの時間をあの子と一緒に過ごしていたいと言う訳。しかし不思議な話、あの子は私の草臥れた姿が何故だか好ましいらしいんだよね。そんな姿を晒してくれるのが気を許してくれているようで良いらしい。う〜ん、難しい話。やっぱり私はあの子には格好良い所だけ見ていて欲しいんだけどなぁ。
>格好悪いと幻滅されたら辛くない?
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何となしにあの子の事を考えながら次の忍務先へと移動していたら木から落ち掛けた。危ない、組/頭 たるもの木から落ちるなんてあってはならんでしょうに。
今後この日記の変えたい部分、描きたい内容、あの子との予定の覚え書き。
あの子が眠りについてから少しして、私も眠りについた。結局昨夜……と言うよりは今朝方、私はあの子にこの場所を教えてしまった。あの子には内緒でこの場を設けていたが、いつかいいものを見せてあげようと言ったのがきっかけに、気になると言われ、結果はこうである。ああ、うん、予想を遥かに上回る程の速さで教えてしまったさ。まだもう少し日記の形状を整えたりだとか、文字の意匠を変えたりだとか、それこそ頁を増やしてやってから見せてやった方が格好着くかと思ったのだがね。まあ、別に後悔はしてやいないよ。むしろ教えてやってよかったとさえ思っている。それに珍しく可愛らしく強請られて、断り見せてやらない男が何処にいるのかという話だろう。だがしかし、教えてやったからと言って書き方を変えるつもりはないし、自由に書き記している場所だから、今後もこの調子で書いていくつもりだよ。
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日記を綴るのは好きだ。元から独り言を残しておくのが好きな方だから、日記はうってつけだと言う訳なのだが。草臥れた時にぽつぽつと何も考えずに綴るのもまた一興、あの子についてを語るのも一興、ああ、楽しいじゃないか。語る内容が尽きないと言うのは、限りなく幸せな事だろう。それに、折角の日記帳、奇麗に整えるのも悪くは無い。故に色々手を加えていくのもいいかもしれないなと、戯言を残しておく。今のもまあ気に入ってはいるが、もう少し何か加えていきたい。
>鍵を掛けないのかについて。掛けてもいいけど、暗号が思い付かないから思い付いたらその都度。
さて。あの子は私の事を聖人か何かと思っていた様子。私があの子を大事に思うばかりで、まるで宝石を扱うかの如く大事に大事にし過ぎてしまったばかりに、それが子供扱い、と捉えられてしまっていたらしい。私とした事がとんだ間違いを犯してしまったなと、反省している。そしてそれと同時に、子供扱いと思われていたのならば今後はそういった扱いは辞めようと決意も抱いた。相手を口説くと言うと聞こえは悪いが、あの子が私から離れられなくなるまで、愛を囁いてみようじゃないか。この頁はその決意表明の頁。
うーむ疲れた。今日はもう何もする気が起きん。が、日記位は手をつけたいものだと筆を持っている。記念すべき十枚目の日記、色々書きたい事はあるが多忙故に書けていないのが現状。忙しいのが落ち着けばいいのだが、今はやれ戦だのやれ密書だのであちらこちらへ赴くばかり。あの子もどうやら忙しい様だが、夜には顔を合わせられるので有難い。くたくただが、その中でもあの子と話せる時間は有意義なものだし、帰る場所があるというのも悪くは無いね。しかし、言葉とは時に呪いになる。私があの子に「出迎えてくれると居場所がある様で嬉しくなる」と告げた事が呪いになっていない事を祈るばかりだ。
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>私とあの子の二人だけの約束事、夜更かしの際には無理をせず眠くなったら眠る事。
>今日はあの子を撫でてやりたかった。私なりに感謝を伝えたかったからだ。急に撫でてしまったが、喜んでくれた。あの子が良い子で無くとも私はあの子を撫でてやりたいよ。
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決意表明
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ああ、何を書こうとしていたんだったか。思い出したら記載予定。
思い出した。下らん話だ、私は日記を書くに当たって題を書くのが苦手だから、題を書かずに書きたいように書いているよというだけ。何故それだけの事を忘れてしまっていたのか。
今夜はあの子は眠れない様子。私の帰りがもう少し早ければ寂しくさせずに済んだのだろうか、とまたもたらればを語る。寂しい夜は時々あるよね、私も……この歳になってもたまにある。何も恥ずべき事では無いし、君がこうして私に甘えてくれるのは嬉しい事だ。
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一/年/ろ/組の良い子が私の膝元で眠るのが羨ましいらしい。そんな事を思っていただなんて考えてもおらず、つい可愛く、かつ面白くなってしまった。それ故に、膝元を枕代わりにするよりは腕を枕代わりにした方が寝心地は良いよと、余計な事を言ってしまったんだ。からかうつもりはなかったんだけどね。まあ、そのお陰か、次共寝をする時には腕を貸す事になったよ。今夜はあの子が良い夢を見られる様にと祈っておこうかなぁ、神を信じてはいないが、神頼みをするのも悪くは無いのやもしれない。
雛形
今日で三月目。
今日中に確保をしておきたかったから急いで書いたが、落ち着いた時間が出来たから追記をしたく。
今日であの子と出会ってから三月が経つ。長い様であっという間な三月、あの子と出会ったのはまだ寒さが目立つ季節だったね。近頃は過ごし易い季節に移り変わり、色んな花々が咲き乱れ始めた。あの子と出会った頃は梅の花が奇麗だったが、今は躑躅が奇麗だ。……私をああまで好いてくれているのは嬉しいが、私以外の方があの子を幸せに出来たのではないかと、思う事が時々ある。何、これは所謂ただの”たられば”と言う奴だ。私がどうこう言おうが、それは私が見えぬ何処か別の世界の話。それを言った所で私はあの子を手放してはやれないのはまた事実。しかし、だ。私が一人そう思う中で、あの子は私へ真っ直ぐな感情を向けてくれている。あの子は私が良いと、私であったから三月も共に居られたのだと、そう言ってくれている。それに私は、答えてやるべきなのではないかと、思う様になった。三月とはあっという間だ。次は四月、半月と経ち、一年が経つのも瞬きの間に過ぎてしまうやもしれん。ああ、その頃にも君が、私の隣にいてくれたら良いなと、思うよ。
半月が経ったらここを教えてやるのも悪くないかもしれないね。
確保
確保して何も書かないのはどうかと思った。から、折角だ。私があの子に見せたもの、あの子が私に見せてくれたものでも書こうかな。忘れてしまいたくないんだ。
私からあの子へ。
一番最初は河津桜。私の友人達にも宛てたものだ。
次も河津桜、若葉が出てきた頃の桜は君に一番に見せた。
次が……八重山吹。山吹色が奇麗に映えていた。これも私の友人達にも宛てたもの。
次が瑠璃唐草と八重桜。今のところはその位だ。
あの子から私へ。
木漏れ日。この日記の題にもなったものだ。どうやら、普段から、奇麗な景色をあの子は見ているらしい。あの子の日常の断片を分けて貰えることのどれだけ幸せな事か。
次は桜。日の入り方が奇麗で、とても良かった。
私は私の事をどうでも良いと思っているから、私の事の詳細はほぼ書くつもりはない。けど、あの子についての事柄は細かく書けたらいいなと、備忘録として。
珍しく出迎えがなかった今日。あの子はどうやら私の帰りを待つ間に眠ってしまっていたみたいで、急に起きてきて焦っていたのが可愛らしくてよかった。忘れる前に、記録として。
色々書きたい事があるから、これは保守用。後々少しずつ増やしてゆく予定。
昨夜はあの子が珍しくぐだぐだとした言葉を綴っていて可愛らしかった事だけ。
折角立てた日記だ。何故綴り始めたかのきっかけでも書いておこう。
日記を書こうと考えたのは、昨夜の夜更かしがきっかけだ。この頃は私が季節の変わり目で体を壊してしまった事や多忙故にあの子を構ってやれずにいたものだから、随分と寂しい思いをさせてしまっていたらしい。私も薄々そうだと思っていたが、予想は的中だった様だ。だから、私の手が空いている時にこの場に思い思いを記しておいて、いつかその日に見せてやればいいのでは無いかと思ってね。ただの思い付きと言えばそうではある。私は存外こういった類の物は好きな方だから、それも含め。
しかしまあ、あの子はどうにも自己肯定感が低いと言うべきか、自信が無いらしい。私に好かれているというのをどう自覚させてやれば良いのだろうかね。
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小話。日記の題はあの子から見せて貰った木漏れ日の画から。
日記の形状については今後編集予定である。
皐月、二日。日記の形状を幾らか変えた。上から下へと、私の色とあの子の色を足してはみたが、どうだろう。結構いいんじゃない?
私について
草臥れている曲/者。君とは出会ってから早二月、もう少しで三月を迎える。私には他にも友人が幾人か、その中でも君は特別枠。皐月、一日。本日であの子と出会ってから三月が経過した。
あの子について
縁を私一人だけにしてくれている、忍/た/まの良い子。私の事を好いてくれている、健気な子でもある。可愛らしい所が多々。
私と君の関係性について
見送りと、出迎えをする仲。夜更かしを共にして、時々抱擁をしてやるね。それがただの良き友である、と言うには些か違うやもしれん。君は私に好意を抱いてくれている。私はそれに、未だ答えてやれてやいない。さてどうしたものかと、考えてはいるものの、どうもしてやれてはいないのが現状である。しかし、私は案外君のことが好きだから、本格的な好意を抱いてしまうのが恐ろしいのやもしれない。臆病だと笑いたければ笑っておくれ。
皐月、二日。君の事が好きだと心の折り合いを付けた日である。好きでなければ、こうまで共にはいないだろうと、思うた。言葉にするには、少し、難しいが。
皐月十一日。あの子と恋仲になれた日。
以下、日常の記録。
忘れたくない事柄や、今までの記録が消えてしまわぬように備忘録として記したく。尚、ここで綴る相手にこの場が見つかるか、私がここを教えるまでは施錠はしないものとする。皐月五日、午前。ここをあの子に教えた。施錠はまた後日、閲覧は自己責任とする。基本的には相手との時間を大事にしたい為この場の更新は気紛れである事を留意して頂こう。
虚実混合/閲覧自己責任
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