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┗Aについて。(31-40/141)
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39 :
跡部景吾
2008/06/01 21:03
行為を恋人に求める場合、一番は精神面の充足だとお前は言った。
そしてそれも今はもう満たされて、心が一番奥に入ってるから、体は後でも構わない、と。
そうだな、と俺は言う。
バァカ。んなわけあるか。どこの中学生日記だ。
Aとキスしたい。抱き締めたい。セックスしたい。
お前の声が聞きたくて触りたくて不埒な妄想で内側から頭蓋が破裂しそうになる。たかだか一日逢わねえだけで。
この無様な成れの果てが恋以外の何だっつうんだ。心臓がぶっ壊れそうになる瞬間すら違うなら、確実に心疾患じゃねえか。
それを「精神面の充足」だと?すました顔してふざけた事ほざくな。
くだらねえ。バカげてる。片腹痛い。笑い涙で溺れ死ぬ。
A。好きだ。好きだ。
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38 :
跡部景吾
2008/05/31 16:18
俺とアイツは名前で呼び合わない。
俺はAこと日吉若を「日吉若」の名字の日吉、としてあまり捉えていない。よく考えると妙な話なんだが。
アイツがテニス部員として入部したその日から、俺はアイツを「日吉」と認識している。
これまでの関係を築いてきた「日吉」は、いつだって俺を「部長」と呼んでいた。俺が惚れた相手も「日吉」だ。
そして、今の俺らはその延長上に在る。
「名前呼び」から得る俺の印象は「プライベートな密接関係」なんだが、これは比較的一般的なイメージ…の筈だ。
だから「恋人」の形に拘らねえ俺達は、そうして自ら関係を主張するとどうにも痒く、それ以上に違和感がある。
恋人じゃないシーンも含めた「日吉」と俺は付き合ってるからだ。
俺達の中の雑多な、または錯雑極める関係の中に「恋人」という肩書きが加わっただけで、強烈な変化はどこにも見当たらない。
舐めた汗の味を甘ったるく感じるような、バカげた錯覚に傾倒する事がどれだけあったとしてもな。
「日吉」に「部長」と呼ばれる度にグッとくる。
呼ばれた後に甘えられると、更にグッとくる。
(追記)
短い時間だが、今朝は卑猥な連想ゲームで盛り上がった。
日吉、あれは続きのある罠だ。解ってるか?
今夜、お前は一人眠る事になる。
その時、ほんの一瞬でも色欲に胸を焦がしたら、今回は俺の勝ちだ。
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37 :
跡部景吾
2008/05/30 09:28
今朝はいつもより1時間早いアラームで起きた。
朝練に励むとか何とか言ってたが…何いきなりやる気出してんだ、アイツ。
部長としては評価すべきところなんだろうが、正直眠くて適わねえ。
いつも通りにキスして、ついでに首筋に悪戯したら軽く睨まれた。もうパターンだな。
『次やったら髪引っこ抜きますよ』だとよ。ハ、おっかねえ。
だいたいにして『バカハゲ』って何だ。日本語で話せ、日本語で。
言葉通りにバカ過ぎてハゲたなら、どう考えてもテメエのせいだろ。
ついでに物理面から突っ込ませて貰うが、そっちが髪をひっこ抜かなきゃハゲねえっつうの。
シャワー浴びて飯食って歯磨いて今に至る。窓から見える空の機嫌は最悪だ。
今日も筋トレ中心の部活となりそうだな。
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36 :
跡部景吾
2008/05/29 18:46
学校帰りに駅前のスポーツショップに寄った時の話だ。
新作らしいラケットを眺めてる時に、棚を挟んだ逆側の通路で店員と客が長々と話し込んでる様子に気付いた。
40代も中頃の女が、息子のプレゼントにどうのこうのと説明している。
別段おかしくもねえ風景だ。子持ちの客なんざ、店員からすりゃ格好の餌食だろうよ。
サービストークにでも花が咲いてるんだろうと特に気にしてなかったんだが、会話の中で飛ぶキーワードの訝しさにふと気付く。
纏めるとこうだ。何がどうしてそんな赤裸々な話に発展したんだか知らねえが、どうもガキが登校拒否気味らしい。
「サッカーをしてる時は本当に楽しそうなので、こういうところから少しずつ息子が明るく変わっていけたら」と母親らしき女が話してるのを聞いた。
何かに傾倒していないと心が持たねえのは、まあよくある話で、そのガキの場合はたまたまスポーツだったと、ただそれだけだろう。
勝手な印象だが、それをよく理解してるように思えた。
散々悩んだ後、ナイキのスパイクシューズとサッカーボールを買い、女は店を出て行った。
あの母親は靴じゃなく、靴が与えてくれるだろう息子の人生に価値を見出し、金を払ったんだと俺は思う。
それなら、あの靴はもはや靴ではなく靴の形をした人生そのものだ。金で息子の人生を買っていった。そういう事になる。
俺は人生のやり取りが出来る、そういう人間を尊敬する。
魂や想いが篭るものは、人の心を動かすと思うからだ。そう、あの母親が買ったスパイクシューズのように。
例え一度も使う事なく埃を被ってしまったとしても、心を動かされた人間が一人でもいるなら、それはもう意味を成し結果となって表れている。
あのガキが大人になった時、靴に篭められた母親の化石が心の中に積もっていればいい。それを思う。
靴とは違い、言葉に形は無く、発した瞬間自分の元を離れ消えゆくものだ。だが、その一瞬に魂を篭める事は出来る。
この日記がAに生涯気付かれないまま埃を被ったとしても、気付く頃に俺達が別々の道を歩いていたとしても、ここに篭めた魂は消えない。
もしもAがこれに気付く日が来たなら、こんなにもお前を愛しく想っていた事が、ただの1%でも伝わればいいと思う。
そして10年後、50年後のAを包んで守る勇気の欠片となるなら、もう望む事は何もない。
A、お前を愛している。
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35 :
跡部景吾
2008/05/29 08:48
俺は確かにここにいる。
だからお前もここにいる。
#---------------------------------------------#
>5丁目「月と狼」の手塚
語彙力に乏しい俺にとって同じ回答を別な表現に転換する作業は拷問に近い。
ドン/ファンよろしく千の言葉で恋人を口説けるようになるまで、今回のバトンはスルーさせて貰うぜ。
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34 :
跡部景吾
2008/05/28 18:44
3時間目の特別教室は窓際の席が割り与えられて、丁度そこからグラウンドが見えた。
Aのクラスだ。…いや、AがいたからAのクラスだと解っただけで、実際はAのクラスが何組かなんて正直覚えちゃいねえんだが。
探そうと思ってジロジロ見てたわけじゃねえのに、あの人数から偶然アイツを見つけ出した俺の眼力は変態的だな。
なるほど。二年坊主の体育は今、陸上競技らしい。
そういや去年の今の時期は確かに障害走だったような気がする。…なんて事を考えながら斜め上の世界からAの動きを視線で追ってみる。
Aが走り出した時、転べ、と呪いをかけてみたが、当然ながら結果は失敗。嫌味ったらしく一位でゴールしやがった。
まあ、ハプニングさえ起きなきゃ当然の結果か。うちの部員なんだからな。
Aに続いて走り終えたヤツがAに近づき話し掛ける。恐らく「早いな」とか何とか言ってるんだろうが、そんな言葉にもアイツなら表情ひとつ変えねえだろう。
いっそ嫌味ったらしく「そうか?」とか何とか返すに決まってる。可愛くねえ野郎だ、と脳内で毒を吐く。
……つうか、アイツの肩を気軽に叩いてくるクラスメートがいる事が驚きだ。あれでいて同級生には社交的なのか?…想像出来ねえ。
とか思ったところで、グループを組んでる女に話し掛けられた。よっぽど呆けたツラでもしてたのか「跡部君、大丈夫?」だとよ。
そうして裂きたくもねえ蛙の白い腹を裂き一息ついた後で窓側を振り返ると、Aの頭は生徒の山に紛れ込み、どこにいるかもう解らなくなっちまってた。
俺がいない環境じゃAはどんな顔をして何を話してるのだろうかと、ふと考えた。
俺もAも部活はプライベートと切り離して考えてるから、ああいう時のAは俺の中で完全に「部の後輩」だ。…だが、他の場面は?
泊まりに来た朝、布団の中でキスをして離れがたいと駄々を捏ねるアイツは、その後どんな顔をしてクラスメートと話し授業を受けているのか。
いや、想像は出来る。優等生気取りのクソ真面目さでノートを取っているに違いねえ。初恋もまだ知らないような涼しげな顔をして。
……リアリティがない。
Aは無遠慮に毒を吐く。時々笑い、たまに拗ねる。我侭を言う。目上である部長の俺に「バカ」だの「ハゲ」だの言ってくる。ベッドの中で、猫みてえに甘える。
リアリティがない。まるでリアリティがない。
#---------------------------------------------#
>3丁目「LOVE KISS」のお前
初対面の挨拶代わりに羞恥プレイで責めてくるとは、随分と鬼畜な野郎だ。気が向いたら回答、……するかっつうの。
猫語ってな、お前、どう考えても虐めじゃねえか。パスだ、パス。
>6丁目「流れ星、一つ」の鳳
リストから反応が戻ってくるとは思わなかった。主張してみるモンだな。お前の綴る文章の、底から滲み出る感覚に勝手に同調してる。
めかし着飾る事が下手な俺らはみっともなく足掻いて、枯れた声を相手に届けようぜ。同士のお前と、お前の恋人にも俺から流れ星を一つ。
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33 :
跡部景吾
2008/05/27 22:28
何だこれは。半端ねえ。
…もう駄目だ。脳細胞がAで死滅した。
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32 :
跡部景吾
2008/05/27 20:15
他人を想い、そのせいで貴重な睡眠時間を浪費するような真似を自分が出来るとは思わなかった。
お前と出会った事で、細胞から変わっちまったような感覚だ。
こんな寒い台詞、ドラマか漫画の中か、或いは中二病のガキしか吐けないだろうと思ってたぜ。
まあ、色ボケな俺じゃ絶対にそれを患っていないとは言い切れねえが、色ボケっつう時点で己の意外性にビビるから変化した事には変わりねえ。
俺はいつだってお前に夢中だ。
疑うなら気が済むまで尻に敷いてくれ。
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31 :
跡部景吾
2008/05/26 09:29
少し前にAからこんな話を聞いた。
人と人とのコミュニケーションにおいて、言葉が伝える割合はたった7%しかないらしい。
つまり電子書簡でのやり取りは必然的に7%の世界になっちまうわけだ。
『ハゲ』『ヅラ』『痴呆』
A、癖みてえに添えられる文末の罵倒を可愛いと思っちまうのは何故だと思う?
ああ、返事はいらねえよ。
『それはアンタが変態だからです』だろ。想像に容易い。
ン、違うか?ならこっちだな。
『アンタ、バカでしょう』
…つまりよ。
その返答に感じる愛しさはどこから来てるんだろうな、とそういう話をしてんだ、俺は。
Aの声も表情も見えないのに、心臓が触れ合ってるのを感じる。
ディスプレイに浮かぶありきたりな文字の羅列が、そこから融けて、胸の砂地にすっと染み込んでいく。
俺が逢いたいと伝えた時、自分も同じだとお前が返事を返したなら。そして互いが、その本質を捉える事が出来たなら。
多分それはもう、逢ってるという事なんだと俺は思う。こいつは相当精神論に偏った話だが、7%の世界に残りを埋める何かがあるとしたら、それが『これ』だ。
お前に逢えない夜、目を閉じお前の甘い囁きを反芻させれば93%のお前はきっとすぐ傍にいる。
だから年中発情してるんですね、とお前は笑うか?もし予想が当たったなら確かに聞こえたぜ。俺を好きだっつったのが。
なあ、A。この二進法の世界で、俺は何%お前に届いてる?
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