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┗拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。(349-358/368)
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358 :
跡部景吾
2012/08/06 10:01
食に対して特別知識がある方だとは思ってねえが、強靭な胃袋には定評のある俺だ。猫からも「女子高生探偵顔負けだ」と話す度に引かれるグルメライフを満喫している。
ローストビーフ然り基本的に洋食を好む俺だが、年単位で食っていなかった日本食はやはり懐かしく感じた。旬には早いが秋刀魚の塩焼きも食卓に並べた。――彼奴ならば何と言うかを考えながら口に運ぶと、妙に塩辛かった。塩
のききすぎた魚は不得手だ。自分なンざ箸の使い方も間違ってやがる癖に「こんなに大尽食いすんなよ、ブルジョワが!」だの訳分からねえ事を喚き出すのだろう。
想像の御前は本物より少し可愛くて優しくて、御前ほど俺を夢中にさせない。
当然だ。俺の想像なのだから。その範囲を超えた御前という存在を、描き出せる筈が無い。御前という存在はいつも色褪せないから、思い出す事も出来ずにいる。忘れる事がないから。
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357 :
跡部景吾
2012/08/02 18:06
久々に日本に戻って来た。
取り敢えず誰かに連絡を取ろうと思ったが、国外で端末を盗まれた俺に分かる事は殆ど無いに等しかった。
街への地図も、このノートも無くした。
燻る気持ちが、無かった訳じゃねえ。
姪っ子やプラ宍や過多想い、丸井にジロー。
だが友人はどうしているかと思う度、余計に探す躊躇いが生まれた。
身勝手極まりない俺は、彼らが元気にしているっつう事実を疑いたくなかったからだ。
そもそも国内に居る事自体少ない俺に、一方的な妄想は容易かった。
――それが、昨日。
空港に降り立った時、どうしてもノートを探さなければと不意に思った。
一年以上経っている。
普通に考えてもう燃やされていても可笑しくないそれは、果たして記憶と同じ場所に存在していた。
埃は被っちまってるが、中は綺麗だ。
…否、実際は消ゴムかけた跡だの破いた頁だの、そんな物もあった。
決して新品同様とはいかねえこのノートは、残っていた事に意味がある。
彼奴の書いた文字をなぞっては、言い知れない感情が込み上げた。
交流板を念のため見てみると、丸井の言葉があって。
…つい最近書き込まれたらしい、プラ宍からの手紙も挟まれていた。
犬笛っつうのは、犬を呼ぶモノだと思っていたが――犬に呼ばれるモンなんだろうか。
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356 :
跡部景吾
2011/01/28 10:19
友人らしい友人を猫以外持たなかった俺だが、この町に来て数人の存在に恵まれた。
俺が今こうして日記帳を開いているのも、恐らくそういう奴らが居てくれるからだろう。
穏やかな毎日ではこれと言ってノートに記すべきメモも見当たらず、心が揺れる様な出来事も少ないと来れば尚更だ。出歩いてねえから当たり前だが。
…改めて、この場所に感謝を伝えたくなった。
何があった訳でもねえけどよ。
過多想い。手塚の主催する集会ならば是非とも参加してェ、否しなけりゃな、絶対してやる、と意気込んだ俺だったが。
…惚気集会で俺は何を語りゃァ良い。エリザベートやマルガレーテへの愛か、そうなのか。
一方通行の惚気を語って「え、何この泣き黒子ストーカー?」と戸惑わせちまったら、流石の俺も反省する。
そんな事で、またプラ宍も交えて集まれたら良い。今から花見の相談を始めておく位の気の早さならば、全員の予定も合わせられるんじゃねえか。
――久し振りに筆を執ると、自分がどんな日記を書いていたか薄れちまうらしい。
頻繁に読み返すアイツの日記に何処か似通っている様な気がして、遠くなったが故の矛盾が可笑しかった。
似ていると言われる事は、昔から時折有った。
それでも俺達は互いの違いを充分に自覚していたから、そう言われる度に――俺は或る種の優越感を覚えていたのに。
気が付けばアイツの字を無意識に真似ていたらしい。
ほんの微かでも、香りを残して居て欲しいと。
…我ながら阿呆な話だ。
だが考えてみりゃ、俺が阿呆じゃねえ時は無かった。
何時だって無様に生きて来た筈だ。
余裕に見せて大事な事を伝えられねえなンざ、それこそ格好悪ィと信じて来たからだ。
ただがむしゃらに生きる矜持だけは忘れまいと、ラケットを持ったこの腕に誓う。
きっとその方が、お前の笑顔に近い様な気がした。
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355 :
跡部景吾
2011/01/13 06:42
未練がましいとよく言われる。誰に対しての操立てだと。
付き合ってもいなかった癖にな。
特定の誰かと付き合う、なんて真っ平だと長い事思っていた。
そんな俺に好きな奴が出来て、其処から片想いが始まって――…俺にしてみりゃ其れだけの話だ。
どんな言葉も景色も、御前の目を通せば輝いて見えた。
潔癖症で頑なで、阿呆で気紛れで何時だって強気で――其の癖脆くて甘え下手で、本当に面倒な奴で。
好みでも何でもねえのに、…気が付いたら何もかもが愛しかった。
俺は今も、呪いの真っ只中だ。
城に閉じ込められた姫を助ける事も叶わない儘。
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354 :
跡部景吾
2011/01/10 12:05
我ながら一月の長さが異常だ。しかし俺は元気にしている。
そしてどうやら俺が友人と思い込んでいる奴は俺の不在を最早デフォルト扱いにしている様で、かなりの期間を空けて連絡をしても案外普通に迎えてくれる。其れがとても嬉しい。心配をさせちまっている奴も居ただろうしッつうのは自意識過剰かも知れねえが、実際そんな奴が居たとしたら、其れでも俺の甘えを赦してくれそうだとも厚かましくも考えている。
姪っ子は晴れ着を着ただろうかなどと叔父様らしい事を考えつつ、未だお年玉をやってねえ事実に今気が付いた。何やりゃァ良いんだろうな。ゼリーか何かをプール一面に作らせようかとも思ったが、地味過ぎて止めた。正直俺なら要らねェ。例えローストビーフ味でも要らねェと猫に言ったところ、普通はオレンジだろうがと新年早々怒鳴られた。オレンジ以外のゼリーでも良いじゃねえの。ナタデココを入れるべきか否か迄話し合った割に、特に進展は無かった。
猫とは狩りにも行った。猟銃片手に森の中にあるレストランに入って小麦粉まみれにされる方じゃなく、バーチャルな奴だ。これについてはこの場で語るべきじゃねェと分かっちゃいるが、今回は弱過ぎやしねェかと一言だけ。
一番大事な事を忘れちまっていた。今年も宜しく頼むぜ。
新年会的な何かを開きたいと3㎜程度考えてもいるが、恐らく口だけだろう。
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353 :
跡部景吾
2010/09/18 18:57
危ねえ。ッつうか遅れちまった。…前回書いたのが15日、その前が3日。15+3=18ッつう事で赦して頂けりゃ幸いだ、姪っ子。
さて、時間が空いたから日記を書いてみようと思う。
過多想い。はリア充生活を存分に満喫している様で何よりだ。俺にも分けやがれチクショウ。とは言わねえ。アイツが幸せで居てくれンのは嬉しいと思える程度には手塚と仲が良い心算だ。嗚呼、しかし切原とはノータッチだったな。どうするか。嘘だぜ。幸せそうで安心している。
プラシシともそろそろ会いたい。焦らされンのも嫌いじゃねえが流石に此の長さは凄ェと思う。そして忘れられてねえ自分に安堵する。因みに俺が一度話した奴を忘れる事は、正直殆ど無ェ。忘れる程の付き合いが無ェッつうのが其の理由だ。天*然*記*念*物に成った心算も無けりゃ俺がンなモンに成ったら全国のお子様に結構なトラウマを残しちまいそうな気もしないではねェンだが、其れでも良けりゃ落書きでも何でもしてくれりゃァ良いと思う。
俺は多分、ッつうか間違い無く、姪っ子との約束や呼び掛けてくれる友人の存在が無ければ疾うに筆を折っちまってンだろう。
――アイツが居なくても生きている事を、久し振りに実感出来た気がするぜ。
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352 :
跡部景吾
2010/08/15 14:45
自分の感情さえ、思う通りに揺れちゃくれねえ。
恐らく俺は誰かを甘やかせる立場で居る事に甘えている。それを踏まえて、友人に「お前ってすっげー甘え攻めだよな」と言われた。顔に似合わない事この上ない現実に、思い切りスマッシュでも当ててぶち壊してやりたい気分になった。
――割れた中から御前への感情が溢れて消えれば、少しはマトモな人間で居られるだろうにな。
マトモが何か分かンねえが、今の自分がそうじゃねえ事は何処となく判断がつく。
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351 :
跡部景吾
2010/08/03 02:06
ジローに「明日で日記が1ヶ月」と教えて貰ったにも関わらず、意味を理解し得なかった自分に呆れた。
近況報告でもと思ってはみたが、近頃の俺――と言っても相変わらずのらりくらりと気儘に暮らしているばかりで大したネタも無ェ。
偶に隣に空いたスペースを眺めては、唯彼奴を想う。
…彼奴を忘れて手に入る幸せは要らねえが、だからと言って頑なにこの想いを守り抜こうとして来たッつう訳でもない。
他の奴に向き合おうとしても色鮮やかに浮かび上がる記憶に、押し負けちまうだけの話だ。
恋だの愛だの、甘ったるい単語よりも―…これはきっと呪いに近い。
「姫君」のキスで解ける魔法だとすりゃァ、…更に深みへ嵌るしかねえな。
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350 :
跡部景吾
2010/07/03 16:13
今日は姪っ子の杏ちゃんに会った。凄ェ久し振りだった訳だが、突然の誘いに乗ってくれて感謝するぜ。
色々な話をしたが、どれを書いたものか。
姪っ子個人の話を勝手に書いていいかは分かンねえが、取り敢えず「叔父様の日」ッつうのが世間に無いのが悔やまれた。
父の日は有ンのに狡くねえか。そうでもねえのか。世間じゃ叔父様はンな冷遇されてンのか。
其れから約束、月に一度は此の日記を書く様にと。
可愛い我儘が言える位の女になって欲しいと叔父様は願っている訳で、そんな姪っ子の頼みを聞かない筈も無ェだろう?
次回は夏祭りになるか、それとも三人で会う日になるか定かじゃねえがどちらにしても楽しみにしてンぜ。
女のプレゼント選びは見た目ほど慣れちゃいねえから、それも楽しみだ。
手塚やプラシシ、丸井とも夏を満喫してェと思う今日この頃。
射的でもしようじゃねえの。
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349 :
跡部景吾
2010/07/03 14:20
我ながら随分と思わせ振りな終わり方をしたモンだと、日記帳を開いて最後の頁を眺めては又閉じる作業を繰り返していた。
此処で他の奴の手を取ったとして、其れには其れなりの幸せがある様な気がした。
そしてそんな時が来るとしたら、このタイミング以外では有り得ないッつう思いが有った。
…だが、矢張り俺は此れでいいらしい。
未練タラタラの俺はきっと相手を苦しめるだけの存在にしか成り得ず、アイツを忘れなければならねェ幸福など必要無い。
御前を忘れて得る幸福なら、俺にはそんな物必要無い。
御前は嗤うだろうな。其れとも怒るか。
――そんな事を考えているだけで満たされる錯覚を胸に抱く。
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