いくら裸を見せ合ったからって、そのままの姿で歩き回れるほど恥は捨ててない。僕は召使いを前にした王様じゃなく、理性ある恋人だからね。
でも、さりげなく胸元を隠して頬を染める姿に、自分の身体のことは頭からすっかり抜け落ちてしまっていた。
恥じらいながらも大人しく僕に拭われる、柔らかくて透き通るように白い肌。この先どんなに荒廃した光景を見ても、かけがえのないものとして、きっとあの姿が目の奥に浮かんでくるんだろうな。
「ふふ…っ、お揃いだわ。かわいい……!」
白いバスローブが僕たちの初めてのお揃いだ。子供っぽいかもと思って黙っていたのに、迷わず口にして嬉しそうに笑うんだから……あーあ、そういうところにはまだまだ勝てないみたいだ。
サイズの合わないそれは彼女の手をほとんど隠してしまって、ちらりと覗いた指先が、いつもより少しだけ小さく見えた気がした。
百の賛辞より、たった一人の褒め言葉が欲しい。僕がどんなに格好悪くても、誰にも見せられないような情けない顔をしていても、「あなたはわたしにとって最高の人」と微笑んで、優しくキスをして欲しい。
熱くてたまらない頬を撫でられた瞬間に、そのことがはっきりと分かった。
僕の顔は彼女にどう見えていたんだろう?真珠のような目は僕だけを映して輝いていたのに、自分がどんな表情をしていたかは分からずじまいだった。でもそれでいい。彼女がいつも僕を見つめているのなら、それでいいんだよ。