「僕に任せて。…さあ!では始めますよ、お嬢さま。」
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今度はわたしがドレッサーの前に座る番。
張り切ったお声を聞いて思わず笑ってしまったけど…本当はどきどきしていたの。わたしの髪を掬い上げて、そっと口付けていらっしゃるのが鏡に映っていたから。
さっき、身体を拭ってもらった時にも感じたわ。きっと、わたし以上に、わたしを大切に扱ってくれているんじゃないかしら…?濡れた毛先から、髪の一筋から、あなたが優しい気持ちを込めて触れてくださっているのが分かるの。目を閉じていても穏やかな眼差しを感じるほどよ。
すっかり濡れて重たくなったわたしの長い髪が、巻き毛の形を取り戻すまで……ずっとずっと、幸せで。嬉しくて、涙が溢れてしまいそうだった。