「花のように大切に扱ってくれよ、イゾルデ。僕が見ていないからといって、いたずらは禁止。」
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もちろんよ、あなたの大切な耳飾りだもの。
いたずらなどしないわ。羽のような細工がとても綺麗で、珍しくて…暫くは手のひらに乗せたまま、じっと眺めていたの。それから、窓の外を見たわ。凍っていた池もすっかり氷が溶けて、いつもの朝より眩しく感じた。……だからかしら?お手入れが行き届いていないお庭が、かえって寒々しく見えたの。庭師がいた頃は盛んに刈り込みをしていたのよ。贅沢な枝が他の枝の発育を邪魔しないように、冬にも剪定をしていたの。その方が、春には綺麗なバラを咲かせるんですって。
それでね、ふと、思ったのよ。あなたが着替え終わったらお願いをしてみようかしら。何か一緒に、ふたりで出来ることをしたいの。きっと、楽しいに違いないわ。