「……よし、良いだろう。乗った。グラスかボトルかも評価対象にしてくれ。」
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足元にふたつ、あなたとわたしの仮面。
落ちたことにも気付かなかったほど、キスに夢中だったの。笑いさざめく男女の声も、メヌエットの生演奏も、どこか間遠い世界みたい。あのカーテンの向こうには確かに冒険の舞台があるけど、わたしは……ふたりで見付けた、この水滴の劇場みたいな温室が好きよ。
幸運は常にあなたの味方ですもの。わたしに勝ち目がないことは分かっていたわ。それでも、わたし一人でも何か出来ることをお見せしたかったの。持ち込むものはシャンパンでなくても良かったのよ。それなのに、何故?どうしてこうなってしまうのかしら?このお屋敷は、とても危険なトガリネズミの巣なんだわ。大切なあの人を守らなきゃ。わたしが、この足で…、助けに行かなくちゃ。