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┗1176.緞帳裏の星

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1 :ヒ/ュ/ト/ロ/ダ/エ/ウ/ス(F/F/X/I/V)
2023/03/31(金) 00:35



`𓇼.


緞帳裏の星


* 半完/虚実/混合
* 暁月までのネタバレあり
* 一部捏造注意


* 注意
* 書手
* 書架



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278 :ヒュトロダエウス
2024/12/28(土) 20:41



フフフ……キミってば、そこまで言ったのなら、調子に乗るなという方が無理な話さ!

エメトセルクは昔から、没頭するとそればかりになってしまうところがあるんだよね。興味のある研究が発表されると、関連する資料を気の済むまで読み尽くそうとする。しかも読み終えたものでも、途中で新たな発見があれば、始めからもう一度読み返す徹底ぶりなのさ。自分の分野のことはひとつも漏らさず知っておかないと、どうにも気が済まないらしい。フフ、夢中になることがあるのはいいことだけどね。
そんなエメトセルクだから、ときには眠ることを後回しにしてしまう。もともと眠りにくい体質なのもあるけれど……まあ、それなりに心配にはなるよね。
この前もそうだったなぁ。高い塔の隙間から朝の光が差し込み始めたころ、ふと目を覚ますと隣にエメトセルクの姿がなかった。昨日の夜はたしかに一緒にベッドに入ったはずなんだけど……。欠伸しながらリビングへ行けば、エメトセルクはそこで本を読んでいた。どうやらワタシが眠ったあとも、エメトセルクはずっと起きて読み物に没頭していたらしい。眠れなかったのかい?と尋ねると、そうだと言う。それはお気の毒に……と彼の手を引いて、ベッドへ連れて行って、ついでにワタシもと横になってほんの数分抱きしめていたら、エメトセルクってば、ストンと眠っちゃうんだ!数分なんて書いたけど、体感としてはもっと速かったかも。規則正しく聞こえてくる寝息が愛しい。フフフ、催眠の術の類は使っていないはずなんだけどなぁ。
……さてと、問題は、ワタシがこれから仕事に行かなきゃならないってことだ。腕枕にぴったりくっついて眠っているこの何より愛しい冥王様からどうにか離れて出かけるだなんて至難の業だ。このときほど彼の温もりを強敵と感じたことはないよ。……大型審査さえなければ絶対離さなかったのに!……と、いうわけで、ワタシは創造生物くんにエメトセルクを託して、泣く泣く仕事へ出かけたわけだ。ちゃんと大人しく彼の眠りを護っていたようだから、どうやらワタシの話をよく分かっているらしい。フフ、優秀な子だと思うよ。

エメトセルクにあとから話を聞くと、少しバツが悪そうに教えてくれた。
「……お前が抱きしめると温かくなって眠くなるんだ」
なるほど、この季節はたしかに冷えるから、体温が低めのエメトセルクは余計に眠りにくいんだろう。ワタシだって標準的な体温だと思うんだけど……彼を暖めることができる程度の温もりがあるならまあいいかな?
「そこの獣もお前も、寝ている時に発熱しているのかというほど暑くなるんだが……どうなっているんだ」
……だなんて、フフフ。どうやらワタシたちは冥王様の湯たんぽ代わりにちょうどいいみたいだ。件の創造生物くんには、ワタシがそばにいられないときの、代わりの湯たんぽ役として大いに役立ってもらうとしよう。




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277 :エメトセルク
2024/12/16(月) 17:12




ヒュトロダエウスは私の世話をするのが好きだ。髪を拭いたり、寝かしつけたり……その中のひとつに、靴紐を結ぶというものがある。ふたりで出かけるとき、いつも身を屈めてそれをしてくれる。
外出するときは大抵ヒュトロダエウスが私の自宅に来てから出発するんだが、この間珍しく待ち合わせというものをした。そのときのヒュトロダエウスのセリフがこれだ。「よく靴紐をひとりで結べたね、キミの飼っている子に手伝ってもらったのかい?」「……馬鹿にしているのか?」

当たり前だが、ヒュトロダエウスは私が世話などされなくともひとりで何でもできることを知っている。私もそれは分かっている。だがここまでくるとまるで子ども扱いだ。
ヒュトロダエウスと私は幼いころからの付き合いで、奴の方が少し年上だからか何かと世話を焼かれることが多かった。そのときの癖が今でも続いているのだろうか……ヒュトロダエウスいわく「特別扱い」らしいが。

いちばんの問題はそれもまぁ構わないかと放っておいてしまっている自分なんだが……。
頼る……とは違うな、これは……そうだな……。……、……いや、これ以上調子に乗られると面倒だ。今日はここまでにしておくとするか……。




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276 :エメトセルク
2024/11/12(火) 18:58




ヒュトロダエウスは自宅に帰るとき、私ではなく例の創造生物に向かって「じゃあそろそろ帰るよ、エメトセルクをよろしくね」と言う。……普通逆じゃないのか?
だがこの生き物は、任されたとばかりに私を寝かせようとしてくる。……というか、動きを制限してくる。私が夜更けまで本を読んでいれば、寄ってきて本の上にどっかりと座り邪魔をするし、最近は私の上で寝るのが気に入っているのか腹だの首だのの上でひっくり返って寝ている。お前……いくら一度も野生に出たことがないからといってそんなに無防備で大丈夫なのか……?
もちろんこれらの行動が私を寝かしつけようとしているのではなく、単純に構ってほしくてとっている行動なのだろうというのはわかっているんだが……なにも出来なくなり、結果的に寝るしかなくなっているのだからヒュトロダエウスの思惑どおりに進んではいるのが癪だな。

昔からヒュトロダエウスは私があまり睡眠をとらないのを気にしている奴だった。
私は人よりエーテルが多い分疲れにくく、ベッドに入っても眠れないということがよくある。そこでそのまま大人しくしているくらいなら何か有意義なことをするか……と結局体を起こしてしまうんだが、ヒュトロダエウスはそれを心配しているらしい。あいつは寝ることがそこそこ好きだからな。

だからこの生き物がいると私が寝ざるをえなくなるのはヒュトロダエウスにとって都合がいいわけだ。
……だが実際のところ、すべての睡眠時間を合算すると、恐らくヒュトロダエウスの方が寝ていない。時間が正確に定まっていないだけで私も眠いときは本当に眠いし、人よりずっと長く眠ったりもする。
……この生き物が必要なのは、私よりヒュトロダエウスの方なんじゃないのか……?




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275 :ヒュトロダエウス
2024/10/26(土) 13:04



エメトセルクは結構食の好みがあるって話は前にしたよね。ときどき彼に料理を作ることがあるんだけど、ありがたいことにワタシの作るものは彼の好みに合致するらしい。だからどうもエメトセルクってワタシを料理上手に分類してしまってるみたいなんだよね。
この前ふたりで出かけた旅では、立ち寄った集落でよく食べられているっていう料理を振舞ってもらう機会があったんだ。そういうものをエメトセルクが気に入るのは珍しいケースだ。フフフ、彼が美味しいものを食べるときの表情が可愛いんだよね。珍しいからこそ、好みに合致する食べ物に出会ったときの驚いたような目が貴重で愛しい。エメトセルクは平常通りの顔と態度をしているつもりなんだろうけど、周りにバレてると思うなぁあのオーラ。

あとでふたりだけになったとき、エメトセルクが言うんだ。
「さっき食べたあの料理、お前なら再現できるんじゃないか?」
……ワタシの料理の腕を買ってくれるのはうれしいけど、ちょっと評価が高過ぎやしないかい?フフ、当然お前ならできるだろうという期待に満ちた言い方……幼年の頃からこういうところは変わらない。ワタシを信頼しきっているのがなんだか可愛いんだよね。それにしても、再現してまでまた食べたいって思うだなんてよほど気に入ったんだね。……そんな彼を見たらがんばらないわけにはいかないじゃない?ちゃんと再現できるかは別として!

食べ物もそうだけど、あの旅ではいろいろな地域を巡ったから、その土地ごとに発見があって楽しかったよ。任務に関係ないところまで面白がって見て回ってしまったからエメトセルクは呆れ気味だったけどね。ちょっと見て行こうよ、とワタシが言った場所には大人しく付いてきてくれた。フフ、なんだかんだで優しいんだよねエメトセルクって。
道中も話すことが尽きなくて、目的地までの距離が短く感じたよ。今回の旅で視た、エーテルが枯渇しかけた土地をこれからどう回復させていくか……とかね。本格的な議論は十四人委員会でされるだろうから、弁論にもならないような会話ではあったけど、エメトセルクと意見を交わしあうのは楽しくてワタシの好きな時間のひとつだよ。
最後に通りかかった海辺で休憩をしていくことにした。誰もいない波打ち際を歩いていく。波も穏やかで少し冷たい水が心地良い。海を見ると心が安らぐと彼は言う。ワタシもそれに同意をする。……ワタシは海を見るというよりも、海を見る彼を見ているんだけどね。

次の旅はどこへ行こうか。彼の素敵な姿がたくさん見られるところがいい。海や森や、星の息吹が感じられるところ。……どこかの町を訪れて彼の口に合う美味しい物を探すのもいいな。彼が彼らしくいることが、ワタシのなによりの喜びなんだよ。




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