日記帳 【壱】
┗212.[〆]ヒガンバナ(110-114/114)

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114 :狛/治
03/08(火) 10:12

摘み取り

アイツに一目惚れをして100日間。
出遭ってすぐに芽吹いた恋心は
此処で育って、花を咲かせた。

目標としていた百日を迎えられたから
今日で一旦筆を置いて
押し花にしてアイツに贈ろう。

100日間欠かさずアイツと遣り取りできたこと、
その喜びを余すことなく綴ったこと、
どちらも俺は誇りに思う。

アイツを想って筆を持つひと時は
甘くて、切なくて、苦くて
しあわせだった。

ページの最後に、これからも
白いヒガンバナの花言葉のように
悠久に一人を愛し抜くことを誓おう。

さて、締めの言葉はこの辺にしようか。
いつまでも愛しているよ。また今夜。



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113 :狛/治
03/08(火) 09:45

百日目

明け方。

不意に目が覚めたから
隣で寝ているアイツを抱き込むと
涙声で名を呼ばれた。

哀しい夢を見たらしい。

弱々しく俺の肩に顔を埋めるこの泣き虫は
いつも唐突だ。
昨日は宇宙人と交戦した夢を見たと
けらけら笑っていたのに。


だけれど、
弱ったときに頼られるのは悪くない。

僅かに込み上がる愉悦を押し殺すように
わざと、仕方ないなあ、と呆れたように振舞って
口付けを落とせば

寝起きの頭では
"怖い夢は全部俺が食った" なんて
胡散臭い言葉しかかけてやれなかったけど

アイツがふにゃりと笑ったから
これでいい。



指を繋いだ二度寝は
普段よりも愛おしく思った。
百日目、ありがとう。



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112 :狛/治
03/07(月) 12:02

九十九日目

アイツと長らく綴っていた物語が
ようやく章を進めた。

98日かけて創り上げた2日間は
それはそれは密度が濃くて、
終わらない夜を繰り返しながら
俺達は互いを深く知っていった。

思い返せばあの時、
アイツが俺の髪に花を飾らなければ
こうして日記を書くこともなかっただろう。

アイツから返書が届く都度、
その美しさに息を呑んで、疾走感に胸が躍り、
抱えた過去の切なさに感情が揺れていた。

愉しかったなあ。
はやく次の展開を書きたいけれど
折角だから、最初から全部読み返してしまおう。

今夜は感想戦をしようか。
ひとまずのハッピーエンドに祝福を。



足元に影が射す程に
燦燦と満ちた満月の下でのあの出遭いが
俺はまだ脳裏に焼き付いて離れない。



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111 :狛/治
03/06(日) 22:38

九十八日目

菜の花畑を見つけて
真っ先に浮かぶのはアイツの顔だ。
デカい図体に似合わず花が好きだから。

連絡を入れてやると
案の定、
"見てみたいなあ"
と返事がきた。

仕方ないなあ。
連れて行ってやるよ。

近くに風変わりな喫茶もあるんだ。
ついでに寄ろう。

夏になったら、海にも行こう。
暑い暑いと文句を言うだろうから
きっと夜の浜がいい。

秋になれば
リスが寄って来る公園を教えてやろう。
腕を伸ばして胡桃を強請るんだ。
愛らしいだろう?

アイツと行きたいところが沢山ある。
季節がどれだけ巡ったら行き尽くせるだろう。
まったく先の長い話だ。



愉しみにしていろ。
全部、連れて行ってやる。



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110 :狛/治
03/05(土) 21:02

九十七日目

休日の朝はランニングが日課だ。
森林公園の外周を走る。

最近は天候が安定してきたから
すっかり走りやすくなったけれど
風が強くて苦労する。

陽射しが強くならないうちに
走り切ってしまおうと
ペースを上げて一周。

タイムを確認するために
アームバンドからスマホを出すと
通知バーの表示が目に入った。

アイツからのメッセージだ。


すぐに確認しようとしたけれど
続々と増えていく通知が無性に愛おしくて、

もう少しだけこの幸福を感じていたくて
しばらくスマホのロック画面だけを
そっと眺めていた。



この贅沢な数十秒が
甚く嬉しい。



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