日記帳 【壱】
┗212.[〆]ヒガンバナ(31-35/114)

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35 :狛/治
12/31(金) 00:40


三十三日目

年の瀬はあっという間に過ぎる。

アイツの隣でテレビを観て、笑わせ合って
夜ふかしついでに
これまで聞かずにいた過去を尋ねた。

それから散歩に出掛けると、
夜分ではあるが賑やかな酒場を見つけて

アイツと一緒に宴会に参加して
はしゃぎ通した。

俺以外と会話をするアイツの姿は甚く新鮮で、
どこか擽ったい。

ああ。楽しかった。
お前が隣で笑っているのが幸せだ。

来年もこうして過ごそう。


…………

” 今年の幸運をお互い使い果たしたかもね
来年は来年の幸運を君に使うよ ”

素晴らしい口説き文句だ。





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34 :狛/治
12/30(木) 07:44


三十二日目


出来心だった。

買い出し中に
アイツと立ち話をしていたら、

人に呼ばれて

まだ二人で居たい名残惜しさに
つい、掌でアイツの口を塞いで

隠れるように身体を壁に押し付けると

アイツの舌が、
俺の指の付け根を舐めた。


…………
襲い受けは初めて体験したが
酷く興奮した。

─楽しかった。また遊ぼう。

”俺も楽しかったよエージェントα君”






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33 :狛/治
12/29(水) 07:13


三十一日目


日記を書き始めて
稽古場への道すがらページを埋めるのが
習慣となった。

昨夜はアイツの寝顔を見るだけになったけれど
こういうときの方が筆が進む。


俺がぶつける感情に
アイツは甚く丁寧に応えてくれるから
寂しさを感じることは無いが、

満たされると、恋しいと思う。


この違いを書き表すのは難しいなあ。



そうだ、 お前の色を決めたぞ。

ペールゴールド。
”灰色がかった透き通った黄色”
というらしい。

髪と同じ色味にしたいと思ったんだ。
しかしお前の髪は揺れるたびに風合いが変わるから
存外に悩んだ。


…………
寝起きに丁寧な口付けを浴びて
うれしさにすっかり言いそびれてしまった。
今日も愛しているよ。






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32 :狛/治
12/28(火) 01:08


三十日目


何から書こう。
腹の底から笑ったんだ。

次は獣のような睦み合いをしようと
話していた筈だったんだが。

流れで幾らか切ない話題になって
そこで日付を跨いだのは覚えている。


俺は感傷に揺れたまま指を繋いで寝ようと思ったのに。


その後の爆笑スタンプの連打。

読み返したらやっぱり
ふざけ出したのはお前からじゃないか。


情緒がシャトルランのように往復して苦しい。

大好きだ。


…………
恋人へ
おい。朝の触れ方。
俺は本当にお前が死んでしまうのかと。
酷く恋しくなったんだ。



>>>210.日進月歩
近所の貴方。名が変わりましたね。
どんな文を書いていらっしゃるのか。
機会があれば読ませていただきたい。



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31 :狛/治
12/27(月) 02:10


二十九日目

週末の睦み合い。

肌を重ねる行為は
アイツの全てを俺の物にしているようで
満たされて、気持ちがいい。

泣き顔を見ると甘やかしてやりたくなるけれど
もっと焦らして苛めてやりたくもなって

浅ましさを曝け出したままに
二度欲を注いだ。


全部を呑み干してくれてありがとう。

次はどんな風に愛し合おうか。


…………
"差し出したくなる"

—全て奪いたくなる。

"奪って"

—もう一回させる気か?

"耐え性無いねえ"

—自分でもそう思う。





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