日記帳 【壱】
┗212.[〆]ヒガンバナ(6-10/114)

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10 :狛/治
12/10(金) 14:39




八日目


"今夜から週末までは別々の部屋で寝よう"


やられた。
カウンターパンチを喰らうとはこのことだ。

寝ている間に窓へと蹴ったのは確かに俺だ。
しかし寝室を分けられる程のことか?


犯した罪に対して、刑罰があまりに不釣り合いだろう。


謝罪の言葉よりも寧ろ、
お前はそれでいいのかと問いたくなる。


そもそも今日はこうして日記を書くほどに
手暇が多かったんだ。
お前のことを考えて筆をしたためていたのに。



あーあ、胸が苦しい。





…………
この上なく甘い機嫌取りを受けて
心が溶けていくのが自分でも分かる。

”また明日。
君に巡り逢えた幸運に感謝してるよ。”

─俺の方こそ。いつもありがとう。




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9 :狛/治
12/10(金) 14:28


七日目


大いに笑った一日だった。

互いの好みを語り合ってた筈なのに
いつしかマウントの取り合いになって

どっちが上だのどうだのと甚く丁寧に語るアイツの
熱の入れ処が可笑しくてかわいい。


眠る前の名残惜しさに甘い空気が流れたけれど
ひとたび息をしたら爛々と攻め気を見せるお前は悪魔か。




…………

"まだ一週間しか経ってないんだね。
もっと長く一緒にいるような錯覚起こしてた。"

"もしかして前世の恋人だった?"

─きっとそうだ。ようやく会えた。




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8 :狛/治
12/10(金) 14:27


六日目


俺たちの行く末について語るアイツは甚く真面目だ。

よいアイディアが浮かぶと
たちまち溢れる笑顔がなんともかわいい。

黙りこくるのは熱心な調べ物をしている証だろう。
その喉に噛みついてやりたくて堪らない。

好意が通ったとろける心地が
どんどんと支配欲に染まる。


笑った顔も、泣いた顔も
全部俺のものだ。





…………
掛けられた肉布団の大きさに際限の無い愛情を感じた。


” 惚れ直した?”

─ああ。毎日惚れ直してる。




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7 :狛/治
12/10(金) 14:24


五日目


アイツの傍に居るようになって、初めての休日。

普段と違う時間の流れについ悪戯心が疼いた。

一度腹を決めれば、もうあとは衝動だ。
独り善がりで構わなかった。

これで嫌われるなら仕方がないとは思ったが、
俺のことを好きというまで酷くしてやるつもりもあった。

求めて、受け容れられて、昂って、血に染めて、
酷く心が満たされていった。

あまりに強い幸福感が湧き立つと、
何処か他人事のように感じるのだなあと不思議に思う。


…………
済ませてしまえば
睦言もそぞろに猫や絵姿芸の披露大会。

賑やかな初夜が愉しい。
甘く騒がしいこの空気が堪らなく好きだなあ。





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6 :狛/治
12/10(金) 14:23


四日目


昨夜の熱が冷めなくて
つい距離を取った話し方になった。

文字の書き方が相思相愛だと知ったから
今夜はそれでいい。

アイツを寝付かせて、自問自答した。
いつから俺はこんなに謙虚になったんだろう。





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