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┗1089.SSスレッド(21-40/290)
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40 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:52:35
「も、もう一口食べるか?」
ナニヲイイダシマスカコノヒトハ。
俺は周りの殺気が膨れ上がるのを感じる。
「え、えと、きょ、教室でワンたちが待ってるので。そ、それじゃ!」
俺はこう言ってこの場から逃げることしかできなかった。
~第三者視点~
マレーネは去っていくホノエの背中を見つめる。
(ふぅ…行ってしまったか…)
(む、無意識とはいえ、間接キスとは…しかもホノエと…///)
マレーネは先ほどのことを思い出し、また顔を赤くする。
(も、もう一度してみたいのう
…いや、今度は間接ではなく直接…///)
彼女はそんなことを呟きながら、食堂を後にした…
余談だが、食堂のことをクラスメートに知られたホノエは、ワンを筆頭とする男子生徒にひどい目に合わされたとか。
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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39 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:52:05
「はぁぁ…幸せ…」
ホノエはプリンの味を楽しみながら呟く。
そして、ホノエはある事実に気付く。
周りの生徒達から見られていることに。
勿論、男子生徒達からは殺気がこめられた視線で。
~ホノエ視点~
「あいつ…うらやましすぎる…」
「マレーネと間接キスなんて…」
俺は恨みのこもった小言を聞き流そうとした…が。
”間接キス”
この単語が聞き流せなかった。
恐らく俺の顔は真っ赤になっているだろう。
ふと先輩の顔を見ると、顔が耳まで赤に染まっていた。
居心地が悪くなり、俺は席を立とうとする。
しかし、マレーネは俺の予想を大きく上回る言葉を放つ。
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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38 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:51:32
「先輩、ほれ」
ホノエはマレーネにプリンを手渡す。
マレーネは呆然とした顔でホノエを見つめる。
「い、いいのか?」
「ああ」
「いや、しかし、お前も食べたかろう?」
「気にしなくていい」
「ほ、本当にいいのだな?後悔しても知らんぞ?」
「いいって言ったらいいんだ」
マレーネはその言葉を聞き、非常に嬉しそうな顔をする。
食堂に人が集まりだし、だんだんと騒がしくなってくる。
ホノエとマレーネは近くの席に座ることにした。
「ふぅ…何やってんだろな、俺」
ホノエは早速プリンに手をつけているマレーネを見て、今更ながら、自分の行動を後悔する。
「なんだ、やはりおぬしも食べたかったのではないか」
「ほっとけ」
「食べたいのなら一口やるぞ?」
マレーネはそう言うと、一口プリンを掬い、ホノエの口の辺りに持ってくる。
ホノエはそれを見て、脳髄反射的にプリンを口に含む。
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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37 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:50:54
~第三者視点~
某宿屋の店主を討伐したホノエは、意気揚々と食堂のデザート売り場へと向かう。
そして、食堂のおばちゃんにお金を払い、美味しいプリンを受け取る。
「ああ…久しぶりの美味しいプリン…」
ホノエは足取り軽く教室に戻ろうし、回れ右をする。
すると、そこには4人衆の最後の1人であるマレーネが立っていた。
ちなみに、マレーネはホノエ達の1つ上の先輩である。
「間に合わなかったか…」
マレーネは悔しそうな、そして悲しそうな目でホノエのプリンを見つめる。
ホノエはそんな顔をするマレーネを見て、何故かいたたまれない気持ちになる。
しばらく悩んだ末、ホノエは行動を起こす。
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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36 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:50:05
シワバルを撃退した俺は、一気に2階へと駆け下りる。
階段を下りたところには、俺の宿敵とも言える某宿屋の店主がいた。
奴はがたいがいいため、先ほどのシワバルのようにはいかない。
また、俺はいつもこいつにこの場所で倒され、争奪戦から脱落してしまう。
だが、俺も学習しないわけではない。
あらかじめ近くにあるトイレの前にモップを配置しておいた。
俺はそのモップを手にし、槍のように構える。
そして、奴の腹部目掛けてモップの先端を放った。
ドスッ
そう形容できる音とともに奴は廊下に倒れこみ、腹を抱えて悶絶する。
俺はなんとなく、奴の腹部を蹴り上げた。
何故か動かなくなったが気にしないことにした。
(よいこのみんなは真似しないでね~)
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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35 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:49:36
しかし、このコルトレカン高校では校長の好意によって1日1個だけ、格安で販売されている。
勿論、昼休みに美味しいプリン争奪戦が始まった。
がしかし、その戦いは3日で沈静化した。
理由は簡単。ある4人の生徒が他の生徒達を次々と倒していったからである。
そのため、他の生徒達は自分達の身を案じ、争奪戦を引くことにした。
当然ホノエもその4人の中の1人である。
~ホノエ視点~
まず俺は、各階の中央にある階段へと向かう。
すると、隣のクラスから4人の内の1人、シワバルが教室から飛び出してきた。
現在、俺のほうが若干前にいる。
だが、奴の50m走の記録は7,1秒、対する俺は7,4秒である。
このままでは追い抜かれると判断した俺は、今にも俺のことを抜こうとしている奴の脚を、思い切り蹴った。
予想通り、奴は廊下に頭から突っ込む。
何故か起き上がらないが気にしないことにした。
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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34 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:48:47
授業終了の時間が迫る。
俺、―ホノエは気を集中させる。
後3分…2分…1分…
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなった瞬間、俺は椅子から飛び跳ね教室から飛び出す。
授業終了の号令など待たない。
そしてある場所へと向かうため、勢いよく走り出す。
そう、食堂のデザート売り場に…
そして、1日1つしか入荷しない、美味しいプリンを手に入れるために。
現在、フローリアでは初心者によるぷポルノ乱獲のため、プポルの数が減少している。
普通、プポルは日に当たれば再生する。しかし、最近ではプポル討伐数が急増し、再生が追いつかなくなっている。
必然的に、プポル討伐時に手に入る美味しいプリンの出荷数は激減し、今では一般市民の手が届かないほどの高級品となっている。
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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33 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/14(金) 14:48:16
続き完成したんで投下しま
(Win/MSIE, ID:pC8aj+WQ0)
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32 :
匿名
2008/03/13(木) 19:07:04
「既に物も言えなくなってしまっていたのね…」
黒髪の女はそう呟くと、染み出してくる黒い憎悪を放つだけのモノに手を触れた
彼女は小さく溜息をつき、かつて同じ存在から生まれ、共に翆霊の僕たる人とも戦ったこともあるそのモノの成れの果て――ギ・ロの欠片から手を放した
「うわっ!!」
彼女はそっと振り返り、すっと、ギロを導くかの様に声の主を指差した
「う、うわぁぁぁぁッ!!」
長く、潮騒を裂くような男の断末魔を後に、彼女は船を後にした
――ここからが私の計画の始まり
彼女――ユーリは己を破滅に向かわせると分かっているその「計画」に向かって歩きだした
後にはあらゆる生命を拒絶するかのような金属が腐蝕するような臭いが残っていた
(ez/W51T, ID:xHXGyh/cO)
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31 :
無題 第2節
2008/03/13(木) 12:07:09
>>30生きるにはそれしかなかった。
世の中のルールなど興味ない。
そんなモノに従っていては一週間掛からず死んでしまうだろう。
俺がルールを守らないのではない、ルールが俺を外に追いやった。
所詮、食うに困らぬ肥えた奴らの決めた一方的な物でしかない。
だからやめない。
食い物を盗り損ねて空腹に耐えなくてはならなくても、
ミスして捕まってタコ殴りにされても、俺にはそれしかないから、それしかできないから。
荷物を纏めながら次の行き先を考える。
どうしようか…
>>42(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
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30 :
無題 第1節
2008/03/13(木) 11:25:20
この作品は作者の脳内で起こったことであり、実際のみんクエの人物、事象、団体とは一切関係ありません。
「こらっまてっ」
待てと言われて待つ馬鹿はいない。
背中から飛んでくる怒号や凶器を避け、俺は街の外へ逃れる。
5分程してして後ろを振り返るとさっきまで追ってきていた連中の姿はもう無かったので警戒しつつ止まる。
周囲を確認したあと耳を澄まして音を聞くと、風と鳥の声だけが聞こえる。
人の気配は感じられない。
完全に逃げ切れた事を確認するとその場に座り込むと“戦果”を確認する。
肉5個にパンが2枚、218zidに薬草が2枚。
今日はまずまずのようだ。
肉をかじりzidはその辺りに投げた。
金になど興味はない。
どうせ、店には軍からの手配書が回っているだろうし、食料がなくなれば盗めばいい。
それが俺の日常であり、生き方だった。
>>31(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
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29 :
匿名
2008/03/11(火) 00:54:27
色んな意味で展開が楽しみだ(*´∀`*)
俺もSS書けたらな…orz
(i/N904i, ID:kwpsbxgeO)
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28 :
SS書きたい◆DEP4IVx7X6
2008/03/09(日) 19:35:17
>>27 この後の色んなイベントとかをついつい想像しちゃいますw安価ありがとうございます!酉つけておけば誰の作品か分かりやすくていいですね(^^)
(ez/W43SA, ID:yw5JMQHyO)
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27 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/09(日) 19:29:52
とりあえずここまで
展開速すぎね?とか言う突っ込みは無しでw
順番に見たい人のためにレス抽出
っ
>>24-26P・S
酉つけますた
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
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26 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/09(日) 19:27:22
「…でも何故急に?」
「え…いや、敵のことは知っておいて損はないかなって(小声で)」
「え、何ですか?」
「やっ、た、ただ気になっただけですっ!じゃあ私はこれで!」
クィナは慌てて廊下に出て行ってしまった。
クィナが去った後、ユーリはニヤニヤしながらワンのほうを向く。
「何だよ。」
「別に何でもありあせんよ~♪」
「…ユーリ、壊れたか?」
「(#^ω^)ビキビキ」
「やべっ、逃げr…アッーーーー!」
学校中に1人の男子生徒の絶叫が響き渡った…
「うう…ドーセ、オレナンテ…」
ホノエは1人悲しみに打ちひしがれている…
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
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25 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/09(日) 19:27:03
キーンコーン…
授業終了のチャイムが鳴る。
「さて…今日はこの辺りで終わりにしますか。」
教師はそう言い、教室から去っていった。
ワンが眠気を飛ばすため、けのびをする。
すると彼の目の前ににクィナの顔が急に現れた。
「やあ。」
「おわっ!」
ワンは驚き椅子から転げ落ちる。
「むぅ…そんなに驚かなくてもいいじゃない」
「いや、急に目の前に来られたら驚くって」
「ふーん、まあいいや。とりあえず君の隣の席の人紹介してくれない?」
「ん、俺のことか?俺はホノ「いや君じゃなくて」
「…orz」
「…もしかして私のことですか?」
「うん。そう」
「私はユーリと言います。よろしくお願いします♪」
彼女はユーリと言う。このクラスの委員長である。
性格は普段は大人しいが、怒らせると大変なことになる。
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
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24 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/09(日) 19:26:37
~教室~
「お、ワン。おかえり~」
「おう、ただいま」
ワンとクィナは学校を一通り回り終え、教室へと戻ってきた。
するとクラス中の生徒がクィナの周りに集まる。
「ねぇ、どこから来たの?」
「前の学校どんなところだった?」
などと皆がクィナに質問攻めをしている。
対するクィナは、
「あ…えと…ちょっと……うぅぅ…」
などとうろたえている。
ワンはその光景を眺めつつ、ふぅとため息をついた。
「こういう、質問攻めを受けるのって転校生の宿命なのかね…」
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
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23 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/09(日) 19:26:02
完成したので投下します
3レス消費予定
※ワンとクィナ以外のキャラの性格はみんスト持ってきました
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
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22 :
匿名
2008/03/09(日) 18:48:08
>>21>>10-18これでレス順で見れるとおもう
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
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21 :
SS書きたい◆DEP4IVx7X6
2008/03/09(日) 18:00:19
読ませて頂きましたー
楽しそうな学校が素敵。
今後が気になります。
ところで、ふと思ったんですが、読む時って後ろのレスから始まりますよね?
だから、投下した文の一番最後のレスに文の一番始めのアンカーを入れると読み易いかな、なんて思ったんですが…と、お節介な提案でしたー。
>>22あ、ほんとですね。それじゃあそれを一番最後に挿入するようにすると親切かもしれませんね。(._.)b
(ez/W43SA, ID:yw5JMQHyO)
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21 :
SS書きたい◆DEP4IVx7X6
2008/03/09(日) 18:00:19
読ませて頂きましたー
楽しそうな学校が素敵。
今後が気になります。
ところで、ふと思ったんですが、読む時って後ろのレスから始まりますよね?
だから、投下した文の一番最後のレスに文の一番始めのアンカーを入れると読み易いかな、なんて思ったんですが…と、お節介な提案でしたー。
>>22あ、ほんとですね。それじゃあそれを一番最後に挿入するようにすると親切かもしれませんね。(._.)b
(ez/W43SA, ID:yw5JMQHyO)
22 :
匿名
2008/03/09(日) 18:48:08
>>21>>10-18これでレス順で見れるとおもう
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
27 :
◆YHV5QUClLQ
2008/03/09(日) 19:29:52
とりあえずここまで
展開速すぎね?とか言う突っ込みは無しでw
順番に見たい人のためにレス抽出
っ
>>24-26P・S
酉つけますた
(Win/MSIE, ID:xXvxBkHq0)
30 :
無題 第1節
2008/03/13(木) 11:25:20
この作品は作者の脳内で起こったことであり、実際のみんクエの人物、事象、団体とは一切関係ありません。
「こらっまてっ」
待てと言われて待つ馬鹿はいない。
背中から飛んでくる怒号や凶器を避け、俺は街の外へ逃れる。
5分程してして後ろを振り返るとさっきまで追ってきていた連中の姿はもう無かったので警戒しつつ止まる。
周囲を確認したあと耳を澄まして音を聞くと、風と鳥の声だけが聞こえる。
人の気配は感じられない。
完全に逃げ切れた事を確認するとその場に座り込むと“戦果”を確認する。
肉5個にパンが2枚、218zidに薬草が2枚。
今日はまずまずのようだ。
肉をかじりzidはその辺りに投げた。
金になど興味はない。
どうせ、店には軍からの手配書が回っているだろうし、食料がなくなれば盗めばいい。
それが俺の日常であり、生き方だった。
>>31(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
31 :
無題 第2節
2008/03/13(木) 12:07:09
>>30生きるにはそれしかなかった。
世の中のルールなど興味ない。
そんなモノに従っていては一週間掛からず死んでしまうだろう。
俺がルールを守らないのではない、ルールが俺を外に追いやった。
所詮、食うに困らぬ肥えた奴らの決めた一方的な物でしかない。
だからやめない。
食い物を盗り損ねて空腹に耐えなくてはならなくても、
ミスして捕まってタコ殴りにされても、俺にはそれしかないから、それしかできないから。
荷物を纏めながら次の行き先を考える。
どうしようか…
>>42(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
42 :
無題 第3節
2008/03/14(金) 18:09:53
>>31今まで場所を変えて盗みを繰り返してきたが、所詮は小さな島である。
噂が流れるのは早いし、盗みをするポイントも限られている。
最近ではどこも警戒が厳しくなり、おいそれと盗みに入れるような状況ではない。
と、なると旅を始めたばかりの冒険者を狙うしかない。
冒険の危険さをまだよく分かっていない彼らは警戒心が薄いし、もし戦闘になっても負ける事はまずないだろう。
欠点は持ち物が少ない事だが、食いつなぐ分には問題ないだろう。
そう思い、夜を待って適当なキャンプに狙いを付け、“仕事”を開始した。
眠っている冒険者たちは、俺に気付く事なく寝息を立てている。
(ちょろいもんだな)
そして難なく食料を盗み、その場から離れようとした時、背後に気配を感じた。
振り向くと男が立っていた。
暗いので姿はよく見えない。
しかし、やる事は決まっている。
戦闘は得意ではないが、初心者に負けるような俺ではない。
腰から短剣を抜いて構えると、月光を反射して鈍い光を放った。
それを見てか、相手も剣を構えた。
>>43(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
43 :
無題 第4節
2008/03/14(金) 18:31:45
>>42俺は内心焦っていた。
数回斬りかかったが、相手に当たりそうにない。
戦闘は苦手だとは言ったが素早さには自信がある。
敗走した事は少なくないが、ここまで当たらないのは初めてだった。
それどころか、こちらの攻撃をかわすのに相手が剣を使う事すら稀だった。
「糞ッ」
間合いを取り心を落ち着ける。
こちらの息が上がり始めたにも関わらず、向こうは微動だにしていない。
今の所相手は仕掛けてこないが、もしそうなったらこちらの負けは決定的だろう。
と、その時
「おーい、オリ…」
さっきまで寝ていた冒険者たちが異常に気付き目を覚ましたのだろう。
「ちっ」
もう逃げるしかない。
おれは相手に背中を向け、キャンプがあった方に疾走した。
前方に3、4人の姿が見えたが、戦闘体制を取ってないので、構わず突っ込んだ。
うち一人に体当たりを喰らわせ、怯んでるうちに逃げた。
しばらくして背後を確認すると、気配はもうなかった。
何とか逃げられたか。
いや、逃がして貰えたのだろうな…
>>44(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
44 :
無題 第5節
2008/03/14(金) 19:41:00
>>43このところこの島は様子がおかしかった。
各街の警戒が強くなった気がする。
最初は俺や、“同業者”の影響かと思ったが、それにしても異常だった。
駐屯地の無い場所でも軍服が10人単位で居るし、特にここ、ラースナウアに至っては50人は居るんじゃないだろうか…。
冒険者に混じって“軍服”と呼ばれる軍の標準装備である鎧を着た人間がひっきりなしにうろついている。
それは港の方へ行くとより顕著になる。
こうやってフードで顔を隠していないと即座に捕まるだろう。フードを深く被っていても怪しまれないのはどこぞの宗教のお陰だろう。
俺は神なんて信じちゃいないが、こういう時は神に感謝したくなる。
とにかく、ランドリート島はどこも警戒が厳しくなっているし、その原因が何であれ仕事がやりにくい事には違いない。
それに、初心者をターゲットにするにしても、この前の夜の事があるし暫くはゴメンである。
だからといって島の外に出ようにも船は軍や、軍属の冒険者しか利用できない。
八方塞がりだった。
>>48(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
48 :
無題 第6節
2008/03/15(土) 01:14:09
>>44どうするか考えていると、何かの鳴く声が聞こえた。
「にゃ~」
周囲を見回すと近くの路地で猫が毛繕いをしていた。
近づくと体をすり付けてきた。
どうやら人に慣れているらしい。
毛並みもいいし、飼い猫なのかもしれない。
撫でてやると、気持ちよさそうに目を閉じノドを鳴らした。
かわいいので以前盗んだ肉で作っておいた干し肉をやってみた。
しかし、すぐには食べようとせず、こちらの顔を見ていた。
俺が食べるよう促すと初めて肉に噛みついた。
と、何かに気付いたように港の方を向いた。
何かあったのかと思いその方向を見たがただ港が見えるだけで、何か変化があるようにはみえなかった。
と、足下の猫は突然港の方に走り出した。
少しだけ行くとこっちを振り返り「にゃ~」と鳴いた。
最初、礼でも言ってるのかと思ったが、暫く経っても動かない。
再度鳴くので、近づいてみるとまた港の方へ走り出した。
それを見てこっちが止まるとまたこっちを見て「にゃ~」と鳴く。
ついて来いと言ってるのだろうか?
まさかそんなはずはと思いながらついて行ってみた。
しばらく追いかけてみると、徐々にに港に近づき、軍服どもに見つかる事なく船乗り場近くまで行く事が出来た。
>>49(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
49 :
無題 第7節
2008/03/15(土) 01:50:23
>>48しかし、ここからは今までのようにはいかないだろう。
船着き場は道幅が狭いし、見通しが良すぎる。
どうするのか猫の方を見ようとするが、いつの間にか居なくなっていた。
人の気配がしたので、積み上げられた荷物のそばに隠れて周囲を見回したが、何処にも見当たらなかった。
仕方ない、戻ろうかと踵を返そうとすると、港の方から人の倒れる音がした。
その音のした方を見ると軍服のやつが倒れていた。
そしてその向こう側に人影と小さな影、さっきの猫だろうか?
二人の影は軍服の奴に近づくと雷のような光を放ちながら、それを薙ぎ倒していた。
そしてそのまま船の物資搬入口へ駆け込んだ。
状況は良く分からないが、船に乗り込むには好機だろう。
迷うことなく搬入口へと飛び込んだ。
そして、適当な荷物の影に隠れて出航の時を待った。
さっき、あのような事があったので、貨物室に検査が入るかと内心心配していたが、どうやら大丈夫だったようだ。
まあ、猫に弾き飛ばされたと人に話しても信じて貰えないだろうし、自分でも夢だったとしか思えないだろう。
実際見た俺も見間違いだったんじゃないかとおもうぐらいだ。
一体何だったんだろうと思ったが、ひとまず安全を確保できたせいか急に眠くなってきた。
どうせ港に着くまでする事はないんだ。
寝るとしよう。
>>50(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
50 :
無題 第8節
2008/03/15(土) 03:02:23
>>49「…か……さ……」
┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙
突然の揺れと大きな音に目を覚ます。
何か夢を見ていたような気がするが思い出せないし、それどころではない。
何があったのか分からないがただ事ではないだろう。
俺は近くで震えている奴に何があったのか聞いた。
そいつの話によると、甲板で見たこともない化け物が大暴れしているようだ。
一応、確認しに行こうかとも思ったが、この揺れ方だと船はそう長くは保たないだろう。
と、なるとやる事は一つである。
ガタッ
振動で崩れた箱を押し退け食料品などを気密性の良さそうな袋に詰める。
そして、同時に浮きそうな物を探す。
すると、近くに丁度良さそうな空の酒樽があった。
そして、その二つを担ぎ上げ外に出ようと思ったが、ある物が目に入った。
拾い上げてみると、飾り付けのないブレスレットだった。
普段なら目もくれないものだったが、何故か無視出来なかった。
それを右手に填めると鈍く光ったような気がした。
ってそれどころではない。早く逃げないと。
船ね軋みはもう限界が来ている事を報せていた。
荷物を再び担ぎ、甲板へ向かってかけ上がった。
甲板にたどり着くと同時ぐらいに船が真っ二つに裂けた。
>>55異説
>>52(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
52 :
無題-異説?-第9章◆DEP4IVx7X6
2008/03/15(土) 19:50:25
>>50「いやあああ~」
と、甲板の先の方から、ところどころから聞こえてくる怒号に紛れて悲鳴が聞こえてきた。
普段ならば、気にも止めなかっただろう、そんな悲鳴に、何故か近寄ってみることにした。
「た、助けて…」
船の揺れで飛ばされたのか女の子が必死に縁に捕まっていた。
「…」
かわいい、というよりはつり目の気の強そうな女だ。 俺は踵を返し、脱出の準備にとりかか…
「ちょっと!!」
後ろで声がする。
俺に気がついたか。
しかし、非常事態だ。他人がどうなろうが知ったことではない。
「ちょっと、あんた!待ちなさいよ!!」
「…?」
何だよ、というように、思いっきりやな顔をしてやった。
「あんたね!!乙女が助けを求めてるんだから助けなさいよ!何よ、その嫌そうな顔は!!」
大変な状況のわりによく喋る女だ。
>>53(ez/W43SA, ID:yw5JMQHyO)
55 :
無題 第9節
2008/03/15(土) 21:48:02
>>50いつも忙しかったお父さんが、久しぶりに“ゆうきゅうきゅうか”でしばらく休めるから家族で旅行に行くことになった。
あたしは、すごく嬉しかった。
お父さんは、偉い軍人さんで家にはあまり居なかった。
月に一度ぐらいしかないお休みの日でも、度々“じょうかん”って人から呼び出されてお仕事に行っていた。
あたしは、お父さんのお休みを奪う“じょうかん”さんが嫌いだった。
でも、
「上官さんが協力してくれたからお休み貰えて、旅行にも行けるのよ。」
と、お母さんが言っていたので、少しだけなら許してあげてもいいかなと思った。
楽しい旅行を想像して、出発の前の日には眠れなかった。
なんと言っても初めての旅行だ。
ワクワクが収まるワケがない。
まだ、あたしが小さい頃に何回か行った事があるらしいけど、覚えてないからカウントには入れない。
お母さんに、「もう遅いから寝なさい」と、言われて仕方なく布団に入ったけれど、全然寝れなかった。
>>56(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
53 :
無題-異説?-第10章◆DEP4IVx7X6
2008/03/15(土) 19:53:43
>>52「偉そうな奴なぞ助けても得にならんしな」
「ちょっと…わかったわよ、悪かったわよ。えぇーっとそうだ!助けてくれたらいいものあげるわよ!!」
必死な叫びの中に、気になる単語があった。
イイモノ…
「いいものってなんだ」
「いいものって言ったらいいものよ!とにかく助けて…っああ!!」
悲鳴のような叫びと同時に縁から手が離れてしまう。
ガシッ…
咄嗟に俺はその手を掴んだ。
「しっかり、捕まってろよ…」
俺の声に、必死に頷き、握った手に力がこもる。
「どあぁああ!!」
「きゃあああ」
女を、宙に浮かすような勢いで船へと引き戻す。
バタン!!
女ごと床に倒れこむ。
「ったたた…」
「いたたた…」
なんとか、無事なようだ。
「で、いいのってなんなんだよ」
「そんなことより、急がなきゃよ!」
はぐらかされたのかとも思ったが、どうやら船が沈んでしまう寸前のようだ。
さて、どうにか船から脱出しなければ…
(ez/W43SA, ID:yw5JMQHyO)
56 :
無題 第10節
2008/03/15(土) 22:47:51
SSじゃなくなりつつありますねぇ…
>>55翌朝、目が醒めて外を見ると、まだ外は薄暗かった。
それから暫くして起こしに来たお母さんが苦笑気味に、
「いつもこうだといいのに」
と、言っていた。
2、3日前まで天気が悪かったので心配だったけど、
空は快晴海は平穏、絶好の船旅日和だった。
あたしはお父さんとお母さんの後を追って船に乗り込んだ。
船は各地の港を巡り、停泊時間の長いところでは、その間に街を探索したり、土地の物を食べたりした。
とても楽しかった。そんな旅が始まって2週間余りが経った。
船は“ふろーりあしょとう”という所に向かっていた。
そこは、旅の目的地であり、そして…
ずっと旅行の間ずっと晴れていた空が崩れ始めた。
波も高くなり、今までの快適だった旅が夢だったかのように船が揺れた。
怖かったけど、お父さんがもうすぐ収まるから大丈夫だよと言ってたから怖くはなかった。
でも、暫く待っても収まるどころか酷くなる一方だった。
あたしは揺れに耐えきれず酷い船酔いになり、両親に連れられて医務室へと向かう事になった。
その途中、
ドーーン!!
波とは明らかに異質の衝撃が船を襲い、あたしは壁に叩きつけられた。
>>57(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
57 :
無題 第11節
2008/03/15(土) 23:20:51
>>56「大丈夫かっ!」
お父さんが心配そうに駆け寄って来る。
心配させないように大丈夫と言いたかったけど、全身が痛くて息も充分に出来ない。
オマケにさっきまでなんとか耐えてたけど、耐えきれなくなり、胃の中の物が逆流してきた。
楽しいかったはずの旅が、音を立てて崩れていくようで悲しくてしょうがなかった。
とりあえずある程度落ち着いたので、再度医務室を目指そうとした。
その時、再びさっきの衝撃が船を襲った。
そして、
グギャアアアアアアアア
と、とてもこの世の物とは思えぬ叫び声が響いた。
お父さんは険しい顔をして、化け物に襲われてるかもしれない、と言った。
そして、お父さんとお母さんは、荷物の中から救命胴衣を取り出しまずあたしに着せて、自分達も着た。
丁度その時、またあの衝撃が船を襲った。
ついに船は悲鳴をあげ、壊れてしまうのは時間の問題だった。
お父さんは甲板を目指そうとしたが、あたしは嫌だと言った。
化け物が怖かった。
それでも、出口はそこしかないし、お父さんは泣き叫ぶ私を抱え甲板へ向かった。
他の人は皆、化け物から逃げるように逆方向へ向かうのでなかなか甲板に着かなかった。
やっとの思いで甲板に着くと…
最後に見たのは両親の微笑みだった。
私は海へと投げ出された。
>>58(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)
58 :
無題 第12節
2008/03/16(日) 02:02:41
>>57目を醒ますと砂浜だった。
周囲を見回すが俺以外に人影はない。
とりあえず、体の調子を確認してみる。
所々痛むし、小さな切り傷はあるが、あんなことがあったにしては軽傷のようだ。
次に食糧を入れていた袋を見ると、
所々破けて中身も完全に塩水にやられていた。
物によっては食べられそうな物もあったが、保って2日だろう。
また何かを盗まなければならない。
しかし、それより前にこの海水に濡れてベトベトな服をどうにかしたい。
張り付いていて気持ちが悪い。
と、海岸の、岩場を挟んで向こう側から声が聞こえた。
船が沈んだ事を知った軍が救助に来ているのだろうか?
普通なら救助を頼む所だが俺はそういう訳にはいかない。
確認だけしてもし本当に軍服がいたらここから離れよう。
そう思い岩影から覗くと、2つの人影が見えた。
片方は軍服の男だが、濡れているところを見ると生存者だろう。
もう一方は髪が長いから恐らくは女なのだろう。
何か言い争っているようだがここからでは聞こえない。
いずれにしても軍服と関わっていい事などないだろう。
そう思いそこから立ち去ろうとした時、
「ぐああああああ」
男のものと思われる叫び声があがった。
(ez/W52CA, ID:XbRbXhjrO)