私は此処です
まだまだ頁に余白はあれど貴方にも此処の存在を匂わせてしまいましたからね、いっそ潔く、と。実はこの日誌、差し出す際は密かに指が震えていたなどと今だから言えるような余談を残しつつ何がともあれ喜んで頂けたようで安堵をひとつ。しかし本人にも言いましたが貴方の事をおまけ程度にしか綴らん日誌を態々差し出すなんて真似をすると思われていたのが本当に笑いを誘うと言いますか…自己過小評価もそこまでいったら一種の天然なのではないかと。

始まりの
頁が如何様な色彩なのかと口ずさんでる場合ではありませんでしたね、本宿を教えて頂いたにも関わらず見事に仮宿へ送信した私はそれに気付かず浮かれ足で帰路に着いていた訳ですが貴方からのまるで子供の失態を微笑ましく見守るが如くの一声に私らしくなく悲鳴を上げる所でした。顔から火が出る勢いで動揺はしましたが。

>>9,0の続き
>『もしも、子どもに聞かれたら？』

#『大人と子供ってどう違うの？』
やるべき事を見付けるのが子供、やるべきことを貫くのが大人というものだと私は思っているよ。

#『空はどうして青いの？』
あれはね、海が青くて綺麗だから空が海の真似をし…ははっ、こじつけすぎたかな？

#『どうして犬は助けるのに牛は食べるの？』
どちらも食べていいし、助けてもいい。まあ牛を助ける機会というのも早々ありはしないけれどね。

#『どうして人を殺しちゃいけないの？』
無作為に人を殺めることを覚えてしまったら私が悲しいから…なんて言うのは駄目だろうか。

#『なんでみんな学校に行くの？』
学を修めればより多くの世界に触れる機会があるから、と前の主は仰っていたね。

#『どうしてお金持ちと貧乏な人がいるの？』
ははっ、これは私にも分からないな。

#『どうして戦争があるの？』
自分の望む世が欲しいから…なんだろう。

#『どうして人は死ぬの？』
終わりが来なければ始まりもないからだよ、人も私達も…万物は終わりが無ければ何も始まれない。

#『赤ちゃんはどこから来るの？』
母親の中で育まれた命のことだね、私達とは違い人は母体という中からでしか生まれ出ることが出来ないんだ。

#『どうして鳥は飛べるの？』
骨が軽量…ああいやそんなことを聞きたいんじゃないか、そうだな…大地を踏み締めて生きることを選ばなかった、というのはどうだろう。

#『幸せとか不幸ってなに？』
喜びと痛み、…少し難しいかな？

#『今までの答えってホントなの？』
お前が大きくなった時にその答えが分かるよ、今はゆっくりとお休み。

過去形の、
そんな可能性。きっと想い方が同じであったならば…と。しかし悲しきかな、私は自分の想い方を変える心算は無くまた変えられるとも思わんのです。それでは私が私でなくなってしまう。──…それを知ってか知らずか貴方は私に想い人が出来るまで傍らに居てくれ、と。…そんなお互い不可視の刃で身を斬り合うような爛れた関係は何時まで続けていられるでしょうか。……浅はかなことを言うなら私は貴方を手放せる日が来るとは思えんのです、少なくとも今は。

神隠しならぬ
紙隠し、この様子だと今回もどちらかの文がお手元に届いておらん様子。…正直此処まで紙隠しに見舞われると既読が付くものへ移行した方が良いのではないかとすら感じてしまいます。──…雨の止んだ静寂が逆に耳障りと感じてしまうので貴方用の音で聴覚を塞いでいますが何処か少しばかりの違和感は否めませんな、最近はこの時間ならば取り留めもない話題か真面目な話をしている事が多くなった為なにもない今が手持ち無沙汰に感じてしまう。

夢の終わり
これでいい、この選択肢は間違っていないと断言します。貴方に好意故の殺意を抱いてしまったと自覚した以上私の性癖が貴方を害することなど目に見えて明白、そうなる前に突き放しておけば…もう貴方を害せないと断言してしまえば後戻りは出来なくなる。これからは普通の、普通の貴方と私でいましょう、他愛ない話あどけない触れ合い。互いに踏み込まず都合がよく心地いいだけの関係です。──…甘い、夢でした。貴方の優しさに甘えるだけの心地いいそれは矢張り夢で夢は何時か終わるものだということに今更気付くなど私らしくありませんな。ははっ。

その笑顔は
好きではない、ええそうでしょうね。貴方は嘘が嫌いで痩せ我慢されるのも耐え難いだろう優しい人ですから…けれど貴方に申し上げた通り笑顔の意味など考えん方がいいのです、だから私は貴方の半信半疑を強引に、無理矢理捻じ曲げて肯定否定共に答えを出しませんでした。今も出す心算はなく。──…きっと貴方は悲しんだかもしれませんな、これを乗り越えられなかったらお互い別離という未来しか残っておらんのですから。……願わくばもう少しだけこの縁が続く事を身勝手ながらに祈ります。

何故、
起きているのか、というその質疑はそのまま貴方に当て嵌るでしょう。眠ると先に宣言したのは貴方ではないですか…全く、嘘が下手な方ですね。……残酷に、それこそなんと答えれば良いのか分からんほどの感情と言葉を貴方に。好いて…いえ、お慕い申し上げております貴方さま。ＸＸてはいないけれど。

猫の真似
鳴き声を真似てみせた貴方は愛らしかったですよ。

たった一日
それだけのことでしょう、以前は裕に一週間以上声を聞かずとも平静で居られたというのに。──…今夜は私から声を掛けてみるかと意気込みはすれど貴方の本丸生活を考えれば踏み込む足も強気にはなれず。さてどうしたものかと惚けてはみせるものの私自身が既に答えを持っているが故にこの自問自答は意味を成さない。

久々の驚き
まさか教えた音色を調べしかも聴いているとは…！迷惑だったのではないかと暗い思考を巡らせていたというのに貴方という人は本当に良い意味で私を驚かせてくれる。──…本当に、総てＸＸて喰らってしまいたい。…ですがその日はきっと来ないでしょう、何せお互いに踏み込まず貴方に至っては他人へ我を通すことに怯えているようにも思える。…嘘吐きな私と踏み込まない貴方との意図は決して絡まることが無いと私はそう思っています。

二律背反
私の言葉を信じて欲しい、だが私が吐き出すもの全てを鵜呑みにはしないでほしい。──…ははっ、普段は理性的と言われたら私らしくもない。それでも貴方との時間は愛しいと思っていますよ、愛らしい貴方の時間を独占出来るこの感覚を覚えてしまえば簡単には手放せませんな。……どうか、この場で吐き出すこのような醜態は見ない振りをするか笑い飛ばしてくだされ。分厚い皮面に虚偽を塗り固め私は常日頃のように笑ってみせましょう。私の愛し方では他人を幸せに出来ないと知ったから。