気付いた。気付いてしまった。
この日誌って本＿丸の外の刀も手に取れるんだよね？つまり、僕達の事を全く知らない刀の目にも触れるんだよね？じゃあ自己紹介しないといけないじゃないか！
燭＿台＿切は沢山鍛刀されてても、僕は一振りしか居ない。そうやって信じておきたいんだ。だから、僕が僕である証明に。…まあ、半分は夕餉の席で飲んだお酒の勢いなんだけどね！

と、言う訳で。皆の事を僕なりに格好良く紹介してみたよ。綴り手達は同じ主に鍛刀されてるから、似た様なものと言ってしまえばそれまでなんだけど。取り敢えず、誰がどう出てくるかは把握し易くなったんじゃないかな。また何か思い付けば、書き足していこう。

綴り手

燭／台／切／光／忠
僕だね。世話焼き、御節介、何処に行っても付いて回る渾名は「お母さん」。…違う、少し心配性なだけなんだ。そんな目で僕を見ないでくれ。
内弁慶。臆病。へたれ。それなりにマイペース。真面目に見えるらしいけど不真面目。欲求に忠実。だって、気持ち良いのは良い事だろう？最近の趣味は眠る事。
余りやる気のない「燭＿台＿切」。口煩い。騒がしい。

大／倶／利／伽／羅
この日誌の持ち主。慣れ合わないけど諦めは早い。…此処だけの話、結構な刀見知りなんだ、彼。ぶっきら棒に見えても、本当は優しくて良い子なんだよ。
煩いのが嫌いなだけだ。

鶴／丸／国／永
顔を出す気はあるのかなあ。色々な事を仕出かすから、話題には出て来るんじゃないかな。
元凶。

へ／し／切／長／谷／部



外の刀達

彼
×××。愛しい一振り。僕達が口を揃えて愛おし気に呼ぶのは、全て彼一振りの事。多分この日誌には気付いてない。
もしも気付いたなら教えてくれ。…何時だって、あんたの事を考えてる。

その他
多数の友刃達。いつも有難う。

(随時追加予定)

日誌に綴るつもりはなかったのに、何だかんだで彼の話ばかりしてるね。ひょっとしたら本刃も気付くかな。見つかるとは思ってないし、自分から言うつもりもないけど…見つけてくれたら、それはそれで嬉しいよね。
嗚呼、でも君がこういったものを苦手としていたら、直ぐにでもこの帳面は火にくべてしまおう。逆に喜んでくれたら…それは望み過ぎか。ある程度確信が持ててから顔を出したとはいえ、直接確認した訳じゃないから、反応は少し怖い。何にせよ、見つかるまでは余り語り過ぎない様にするよ。飽く迄も、これは僕達の日誌だ。語るなら自身について語れば良い。

僕は隠れるのも見つけるのも下手くそなんだ、格好悪いけど。だから、もし気付いたなら教えてよ。ちゃんと正解したらご褒美をあげよう。…なんてね。

閨事の話。

一度で良いから、余計な言葉を抜きにしてあれを貪る濃密な時間が欲しい。勿論、雑談を交え緩々と触れる今は嫌いじゃない。嫌いじゃないが、それだけでは俺の熱の行き場が無い。集中しろ。俺の事だけ考えろ。そうやって、頭も身体も俺で溢れてしまえ。

繋がるのは手段であって目的じゃない。が、そんな綺麗事を言っていられる余裕は既に無い。あんた以外を抱くなんて、出来る筈が無いだろ。責任を取って、この熱を全部受け止めてくれ。悦に歪んだあんたはさぞ綺麗だろうな。

あんたはとっくに知ってるだろうが、俺は利口な犬じゃない。躾け直すか、そうでなければ諦めろ。

気が付くと、光＿忠が帳面に落書きを残していた。自分のものを使えば良いとも思うが、まあ、俺だけでは綴る事も直ぐに尽きるだろうから放っておく。
半ば押し付けられたとはいえ、一度手を付けたからにはやり通すべきだろう。余りこういったものは得意じゃないが、他の奴も自由に筆を執るなら幾らか気も楽だ。…言っておくが、これは慣れ合いじゃない。慣れ合うつもりはない。

寝間着を厚みのある冬用に取り替えた。そろそろ夜は冷える。伊＿達の家に在った時は、酷く雪が降っていたような覚えがある。この本＿丸にも、雪は降るんだろうか。