日記一覧
86.美しく残酷にこの世界から去ね
 ┗19

19 :歌_仙_兼_定
06/02(火) 13:13

>>18


>「石_切_丸って実力はすごいんだけど機動力が一番無いんだよねぇ…。」
>「ねぇねぇ歌_仙君、石_切_丸と何をしゃべったんだい?」
#「大したことではないよ。唯、僕が妖怪だということと、余り『本体』?から離れてはいけないことをいわれたよ。」
>「ふーん。付_喪_神じゃなくて?」
#「妖怪、っていっていたねぇ。僕には違いがいまいち分からないけれど。」
#「君たちは人間と違う。僕も違う。そして僕と君たちも違う。彼はそう結論づけたんじゃないかい?」
#「…そういえば君と彼はとても仲がよさそうに見えた。人間みたいだね。」


青_江の目が丸くなる。複雑そうな色合いを灯しながらも声のトーンが落ち着いた。


>「…僕と石_切_丸はいわゆる恋人同士だよ。」
#「恋人…?衆道かい?」
>「そんな処だね。10年前くらいから付き合っているよ…鍛刀されてから20年くらいたっているからね、僕は。」
>「僕を捕まえて傍に居ろだなんて、変わり者だよ。…本当、君の言う通りすっかり人間のようになってしまった。」
#「…僕にはその感情が一切理解できないけれど見るだけ君は心地よさそうだね。」
>「まぁ…彼が居なければ僕は立ち直れなかった部分はあるからね。」
#「?」
>「いや、何でもないよ。」

最後の言葉が低い声すぎて僕には聞き取れなかった。青_江の手はいつの間にか僕の手首から手の平に絡んできていた。
歩く速度も僕に合わせてくれるようだった。彼の肩を覆う白装束が儚げに揺れる。
……あの万年咲いている櫻の下に彼をつれていったらさぞかし映えるだろう。白皙の肌に散るさくら色と紅はきっと雅だ。
青_江が一段と黒い、立派なたたずまいを指さした。

>「此処が万屋だよ。結構大きいよねぇ…。」
>「折角だし、君のものも買おうよ。後で渡したいものもあるんだ。」
>「ね、歌_仙君。」


僕のモノと聞こえた。流石に遠慮しよう。世話になりっぱなしだからね。
其れを述べる前に青_江は僕を万屋の中につれていく。挨拶が交わされる、見様見真似でしてみる。
笑顔が返ってきた。なんだか心地よいね。彼らはこんな生活に身を置いているのか。

#嗚呼、悪くないねぇ
#人のように接し、人のように生活するというのは。

…もう二度と、ないだろうけれど。





>>20

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18 :歌_仙_兼_定
06/01(月) 21:39

馴染みの場所についたのは休憩から間もなくだった。石_切_丸のいうとおり、躯の力が漲る。僕の元となるものが比較的近くなった証拠だった。
三方を山に囲まれた自然豊かな集落。地面に転がって大地を堪能したくなったが雅に欠けるため、やめた。

「具合が随分楽になっただろう?」
#「おかげさまで。僕が妖怪である印だねぇ……」
「一人で大丈夫かな?」
#「……世話をかけたね。何かお礼をしたい。一方通行は雅にかけるからね。」

#「櫻でも見るかい?」

「今の時期に櫻ですか?」
#「一年中咲いているんだよ。雅じゃないが、はじめて見る分には悪くないんじゃないかい?」
「それはいいね。是非一度拝んでおきたい。」
>「……」


僕は何も持っていないし、何もできない。
出来ることと言えば人を食べることと櫻の下で眠ることだ。
喜んでもらえればいいけれど、人里からかなり離れたところにあるのが難点だ。


#「かなり奥地にあるよ。車をつかっても二時間以上歩くしね。君たちも用事があるのだから遅く返して心配をかけるのは気がひけるからねぇ。」
「それは遠いな。次此方にきた時にでも頼もうか。此方にはよく買い出しの用事を頼まれるからね。」
>「ここにしかないものが売ってるからね。」
#「嗚呼、そうなのかい?僕は山の中でぶらぶらしているだけだからね。」
>「万屋についたよ。歌_仙君、君も一緒にいこう。それから山のほうに寄るから。」
#「君たちと一緒なら怪しまれないかな。人の生活の営みを見たかったんだよね。」
「挨拶が大切だよ。人と人とが会話するのだからね。」


石_切_丸はそんな一言を付け加えた。短_刀たちが後ろの席から勢いよく飛び出し、
僕も其れに倣った。たった一週間と少し離れていた場所なのに、10年ぶりに戻ってきたかのような感覚を覚える。
何より、街で嗅いだ匂いよりもずっと澄んでいて。呼吸に困らなかった。
短_刀たちが人々に挨拶をかけていく。村人はにこにこしながら彼らにあいさつを返していた。
…そういえば僕は全然話しかけなかったな。そんなことを想っていると手首に指が絡んだ。
横を見ると、青_江が居た。どこか、とても嬉しそうだ。彼は何処か僕に馴れ馴れしかったが
振り払う気にもなれなかった。彼の方が歩く速度がはやいのか、腕が引き伸ばされる。

「ほら、青_江。君の方が機動力があるのだから歌_仙が転んでしまうよ。」

僕よりもずっとのんびりとした石_切_丸が笑った。
どこか恥ずかしそうな色を孕む金色。はにかみ、心を許すようなかんばせ。
長い髪を掻いて彼を見る青_江の視線はどこかしら他の刀を見るときとは違って見えた。
此れに何と名前をつけていいか分からないが、強いきずなを感じられた。
#まるで人間の様だとも。
手首をつなぐ手が強くなる。

>「君も早く来なよ。あんまり遅いと短_刀たちが余計なものを買ってしまうからね。」
「はいはい。財布を持っているのは私だということは忘れないようにね。」
「無駄遣いは長_谷_部に怒られてしまう。まぁ、少しくらいなら主_殿も許してくれるだろう。」


穏やかな声が返ってくると青_江はその機動力というものをいかして歩き始めた。
石_切_丸と距離が離れる。随分ゆっくりとした人だな、と思っていると子どもの内緒話のように
青江が話しかけてきた。

>>19

20 :歌_仙_兼_定
06/02(火) 13:46


結局、僕は人の好意を断り切れなかった。
使い方を教えてもらった筆ペン二本とノート五冊、防水のための袋のようなものと
選り取り見取り。


>「僕が好きで君にあげるんだからいいだろう?」


何だかよく分からないがそういう事だったので受け取らせてもらうことにした。
そして更に、古めかしい本も借りてしまった。彼は上げるといったが僕には
保存できる場所が無い。だから、借りた。ちゃんと返すよ、といったらまた会えるね、と
彼は笑っていた。不思議な刀だねぇ。自分が損してでも僕になにかを渡すなんてね。


#「…ありがとう。今度は櫻を見においで。それしか僕にできることはないから。」
「嗚呼、そうさせてもらおう。また会おう、歌_仙。善行を積むようにね?」
「歌_仙!きょうはたのしかったです、またあいましょう!」
「今度は一緒にご飯をたべましょう?」


>「うん、歌_仙君…絶対会おうね。」


暗くなりかけた山道で僕は彼らを見送った。エンジン音が消えると懐かしい、虫と草の音がよく聞こえてきた。
踵を返して櫻の元へ向かう。歩いて2時間以上、決して人が近づかない場所にある。
…あの桜は人間を何故だか寄せ付けない。異形のものたちは寄せ付けるようだけれど。
見せない方がいいだろうか、と今更ながら思ったが約束したことを守るのもまた道というものだろう。
僕は夜目がとてもきく。思ったよりも早く桜の下についた。近くの洞に濡れぬようビニールなどを被せて本と購入したものをしまう。


#「…只今。」


そういって櫻の幹を抱きしめる。雅ではないし何かと胡散臭い櫻ではあるが久しぶりに見るとどうにも愛しい。
其の侭からだをずり落して横になる。疲れていない筈なのに、とても眠い。


#「僕は妖怪らしいよ…ふふ、君が僕なのかい?面白いね…善行を積めと言われたよ……人に対して。なにをすればいいんだろうねぇ。」
#「死にそうな人を食べたり殺すのは良い事に含まれるのかい…?」
#「……人間の判断基準がよく分からないよ。」

#「今は眠りましょう…起きれば分かるかもしれませんから」

#「……。」

誰かの声がしたような気がしたけれど、僕の瞼はもう重く。
身体もとても怠かった。闇の底に落ちていくように僕は眠りに落ちていく。





#「お休みなさい。」







>>21

19 :歌_仙_兼_定
06/02(火) 13:13

>>18


>「石_切_丸って実力はすごいんだけど機動力が一番無いんだよねぇ…。」
>「ねぇねぇ歌_仙君、石_切_丸と何をしゃべったんだい?」
#「大したことではないよ。唯、僕が妖怪だということと、余り『本体』?から離れてはいけないことをいわれたよ。」
>「ふーん。付_喪_神じゃなくて?」
#「妖怪、っていっていたねぇ。僕には違いがいまいち分からないけれど。」
#「君たちは人間と違う。僕も違う。そして僕と君たちも違う。彼はそう結論づけたんじゃないかい?」
#「…そういえば君と彼はとても仲がよさそうに見えた。人間みたいだね。」


青_江の目が丸くなる。複雑そうな色合いを灯しながらも声のトーンが落ち着いた。


>「…僕と石_切_丸はいわゆる恋人同士だよ。」
#「恋人…?衆道かい?」
>「そんな処だね。10年前くらいから付き合っているよ…鍛刀されてから20年くらいたっているからね、僕は。」
>「僕を捕まえて傍に居ろだなんて、変わり者だよ。…本当、君の言う通りすっかり人間のようになってしまった。」
#「…僕にはその感情が一切理解できないけれど見るだけ君は心地よさそうだね。」
>「まぁ…彼が居なければ僕は立ち直れなかった部分はあるからね。」
#「?」
>「いや、何でもないよ。」

最後の言葉が低い声すぎて僕には聞き取れなかった。青_江の手はいつの間にか僕の手首から手の平に絡んできていた。
歩く速度も僕に合わせてくれるようだった。彼の肩を覆う白装束が儚げに揺れる。
……あの万年咲いている櫻の下に彼をつれていったらさぞかし映えるだろう。白皙の肌に散るさくら色と紅はきっと雅だ。
青_江が一段と黒い、立派なたたずまいを指さした。

>「此処が万屋だよ。結構大きいよねぇ…。」
>「折角だし、君のものも買おうよ。後で渡したいものもあるんだ。」
>「ね、歌_仙君。」


僕のモノと聞こえた。流石に遠慮しよう。世話になりっぱなしだからね。
其れを述べる前に青_江は僕を万屋の中につれていく。挨拶が交わされる、見様見真似でしてみる。
笑顔が返ってきた。なんだか心地よいね。彼らはこんな生活に身を置いているのか。

#嗚呼、悪くないねぇ
#人のように接し、人のように生活するというのは。

…もう二度と、ないだろうけれど。





>>20

21 :に_っ_か_り_青_江
06/02(火) 14:44

帰り道。
助手席には石_切_丸が座り、後部座席ははしゃいだ疲れからか寝息が二つばかり乗っかっていた。
賑やかだったラジオもいつのまにかしっとりとしたものに変わり、車内は妙な静寂につつまれていた。

平日のせいか、高速道路は閑散としている。
街灯は窓に映っては後方へ消えていき、その度に後ろへと引き戻される思いだった。
少しばかり具合が悪くなって、僕は一番近いパーキングへと車を止める。
ウェアブルPCから主に連絡を入れた。主は起きていたのか
「気を付けてかえってきてね」
と、絵文字入りの文字を返してくれた。
見目の割にこういう茶目っ気があるところ、僕は嫌いじゃないよ。

運転席から降り、誰もいない休憩所の席に腰かける。
満天の星空、僕たちの本_丸からは見ることは適わない。
拭きそよぐ風にポニーテールが揺れた。隣の気配。
気を遣わせてしまったね。石_切_丸が珈琲を僕にくれた。
ノンシュガーの苦い物。余り飲まないけれど、時々無性に飲みたくなる。


「此の星空を見ると昔を思い出すね。」
「出陣中はとても空を見る気分には為れないから。」


>「…うん、そうだね。」


缶を開け、半分ほど飲み干す。苦々しい、大人の味。
傍らに置いた音すらも大きい位の静寂。左隣にいる彼の手を握りしめた。
温かさが、帰ってくる。まだ彼がいるという印。
地獄の底が開きそうな思いにとらわれた。


>「一緒に、見たかったよ。」


人の感情というのは、もう15年以上の付き合いなのに全く慣れる気配がしない。
僕の心臓を突き動かして脳みそをかきむしって刀にあるまじき行動をさせようとする。


「はっはっは、付_喪_神であろうが人であろうが誰でもその時期は不安定なものだ。」
「俺も不安定だったぞ。あやうく人を斬りそうにもなったなぁ。」
「青_江はちと人より長くなりそうだが大丈夫だ。感情というものに対する対処法を見つけられるだろう。」
「何より時間というものが解決してくれるだろう。」
「うむ。若いとはよきかな、よきかな。」



三_日_月に相談したときの会話を不意に思い出した。あの刀でもそういうことがあるならばと
一時的に気をよくしていたけれど。終わりの見えない苛みに苦しくなる。


「青_江」



腕が引かれ、収まる。衣服に染みついた白檀の香り。神性。
僕には持ちえないものをすべて持っている彼に抱かれていた。



「何度でも言う。君が之_定を想うことは止めない。だが、」
「あの日君に言った言葉は今も違えるつもりはない。」
>「……君も不思議な刀だね。」


圧縮された感情が体温の中で溶け消えていく。
また現れるんだけどさ。


「…私が初めてもった感情は君が好きだと言う感情だ。」
「醜く、歪みながら待っていた。」
「例え君の眼が後ろについていようとも、私は君を守ろう。」
>「…君にこんなに馴染んでいるのにかい?」


健気な彼を見ると、どうしても弱くなる。心臓が別の意味で縛られるようだった。
僕は一度顔を引いて彼の唇を奪う。驚く彼の眼は可愛いね。いつもいつも僕からしているのに
この機動10は僕の事全然気づいてくれないんだ。


>>22





.

22 :に_っ_か_り_青_江
06/02(火) 15:44

>>21

>『に_っ_か_り_青_江。僕の名前だよ。』
>『白い子が短_刀の今_剣、淡いピンクの子が秋_田_籐_四_郎、狩衣の大_太_刀が石_切_丸だよ。』
#『に_っ_か_り?』
>『青_江のほうがいいかな。』
#『青_江君』


#『宜しくね、に_っ_か_り君。僕の名前は■■■■■■■■』
#『おやおや、に_っ_か_りも可愛い名前だと思うけれど。』
#『人間みたいだ、青_江は。』
#『…立てるかい、青_江?』
#『そう、よかった。いいかい……よく聞くんだよ。』
#『いつかまた、人間を教えてくれ…約束だよ。』


#『嗚呼、そうなのかい?僕は山の中でぶらぶらしているだけだからね。』
>『万屋についたよ。歌_仙君、君も一緒にいこう。それから山のほうに寄るから。』
#『君たちと一緒なら怪しまれないかな。人の生活の営みを見たかったんだよね。』


『■■■■…っ■■■■■■■■■■……!!』
『主殿、落ち着いてくだされ!』
『                       ……!』
『……。』
『これもまた、■■■■■…。』

『青_江』
『君があの刀を想おうと、私は構わない。』
『だから。』




>「……僕はこんなに君に守られているだろう。本当、君は愚鈍だよね。」
ふとした瞬間に起こる、土石流を胸に留める。短_刀たちも寝ているし、誰も見ていない。
これみよがしに僕は石_切_丸の背中に手を伸ばした。間近の醤油顔に思わず笑みがこぼれる。
心配したとき、君は僕を見つめる癖があるね。君とも何だかんだで長い付き合いになってきた。
刀であるときの時間もあるはずなのに。今の僕は生まれたての赤ん坊のようだった。
薄い唇を舌で割り、石_切_丸の白を舐めとる。上下に広がるのを確認して舌を差し入れた。
舌の厚さと熱さに溺れる。脳髄を搾り取られるような熱に僕からさそったのにすっかり参ってしまった。

>「……久しぶりにしたくなってきた。」
「……時間が出来たらね。それに、君は声を堪えるのが得意じゃないみたいだから。」

背中を叩いて、彼から離れる。少しだけ冷えた珈琲を飲み干してゴミ箱へと捨てた。
振り返ると、石_切_丸がゆっくり立ち上がるのが見えた。本当、遅いなぁ。
面白いからいいけどねぇ。立ち上がった彼の手をとって車へと向かう。


>「有難う、石_切_丸。いい休憩がとれたよ。」
>「明日のために昼間ねておかないとねぇ。明日は夜戦出陣だから。」
「私は内番だ。少しだけ寝かせてもらってもいいかな?」
>「あと1,2時間くらいだし寝ていても大丈夫だよ。起きなかったらネタにするだけだからね。」
「お言葉に甘えよう…此方こそ有難う、青_江。傍に居てくれて。」


石_切_丸の上品な笑顔が、僕は何より好きだった。






>>23

23 :歌_仙_兼_定
06/03(水) 22:15

#さくらいろ

櫻の下で泥のように眠っていた。目を覚ましたら雨の季節。櫻の花びらが雨の歌を歌っていた。

一枚一枚にあたる度に、布団をたたく軽い音をたてる。それが幾重にも重なり打楽器の演奏のように広がっていた。よまねば、と想いうろに急ぐ。湿った空気だが湿気対策は大丈夫。袋からとりだして、思いつくかぎりの雅さを筆にのせた。

忘れないうちに、彼らの名前もしるしておこう。秋_田_籐_四_郎、今_剣、石_切_丸、……に_っ_か_り_青_江。あちらにいたときに、名前を聞きそびれた人もいたね。絵にしておこう。お抱え絵師のようにはいかないが……忘れないうちに。
雨は止むどころか地面にめりこむほど強くなっていく。


そういえば、今はいつだろう。初夏なのか梅雨なのか。雨の匂いに支配された僕にはよく分からない。彼らにあってから大分たっていたら申し訳ないな。僕はいつも時を掛ける。無為にすすむそれに逆らうこともできずに。
記憶してきたことを筆に伝えきってはキャップをしめ、乾いたのを見計らってからノートを閉じる。丁寧にくるまらせ、うろの段においた。今日は人の気配もしない。まだ、眠い。


#「……雨に濡れるなんて、雅じゃないな。」

#「そんな貴方も素敵ですよ。」


また声が聞こえた。周囲を見るも、誰もいない。問い正しても答えがない。見えないものに僕は心底のため息をはいて髪をかきあげる。


嗚呼、はれたら。よいことをしよう。雅でないことは嫌いだが、何もしないことはより嫌いだからね。


自然と櫻に導かれる足取りと強まる眠気に意識をうばわれながら。僕は、笑った。



>>24

24 :歌_仙_兼_定
06/04(木) 08:20

#はじめての

長い、長い時間が流れていた。あれから僕はどれだけ眠っていたんだい?
そういって、自らに動揺する。確かに、存在(僕)がここにあるのだから。


『地』に足がつく。
『躯』の重さを感じる。
急速に高くなる視界と感じる重力、かきこまれる情報、個性。『実体』となる。肌に風を感じ、布を覚える。五指が動き、眼が開いた。圧倒的情報量だ。
眼下にはまだ10もいかぬ少女と狐がいた。書き込まれる感覚。分かる。狐はこ_ん_の_す_け、少女は――僕の主。
僕はその場が鍛_刀_場なのも気にせず膝をつき、両拳を膝の外側におき、頭を下げた。主たるものへの忠誠とはこのことだと僕は考えたんだ。



『はじめまして、我が主。僕は歌_仙_兼_定、雅を愛する文_系_名_刀さ……どうぞ宜しく。』

顔をあげたときの主の笑顔が、今でも僕の誇りとして胸にしまわれている。



>>25

25 :歌_仙_兼_定
06/04(木) 12:38

#一人きりの日常

一人で過ごす毎日は悪くない。彼らに出会う前、僕は一人だということもしらなかった。また話したいとも思うが本も読みおわっていないと思い至り、ページを開く。ほのかに光る櫻のしたの紙はまぶしかった。

……誰かが読み込んだものだと瞬時に理解した。ところどころ線がひかれ、注釈がついている。僕は注釈を便りに文字をおった。こんな細い文字をかける筆に驚いたけれど。

>『……雅だねぇ』

文字の集合体に、僕は一人微笑む。人の書物がほしかったけれど、僕には金がないからね。そもそも現代の通貨は複雑怪奇だ。紙のほうが高いというのだから。
脳裏に青_江君の顔が浮かぶ。どこか控えめで、人間のような神。神になると感情が生まれるのだろうか。妖怪にはそんなものはないのだろうか。読みすすめる度に沼の中へと埋もれていく。櫻の近くにいれば疲れることはない。一気に読んでは装丁をひっくり返して読み耽った。誰かの本に僕の知識欲が手垢になってうまれていく。

『……もっと読みたいな。』

どれだけの時間がたったのかわからない。僕はとうとつに本を閉じ、ため息をこぼした。そのためには人にいいことをしなければいけない。人が喜ぶこと、とは何だろう。僕にもできることなのだろうか?


うろの中に本を押し込んで、僕は満月の美しい空を仰いだ。




>>26

26 :に_っ_か_り_青_江
06/09(火) 12:20

主に長い休暇を出された。
理由は単純、僕の練度が高くなりすぎてしまったから。
部_隊_長ばっかりやっていたのが婀娜になったね。主可愛い。

大賑わいの本_丸では僕にやることが無い。居ない子は片手の数。
同じく暇になった石_切_丸と一緒に山間の歌_仙君を探すことにした。
お金?主の知り合いのお手伝いをすることで宿泊と食費は浮くよね。
知り合いがいるなら僕たちに買い物いかせずに彼に送って貰えばいいのにと
言おうと思ったけれど歌_仙君に会えなくなるのは嫌だから口をつぐんだ。


彼と別れてから既に5年程経過していた。
人間にとっては長いかもしれないけれど、何百年と生きてきた僕たちにとってみれば
瞼を開閉した時間くらいにしかならない。和_泉_守君は分からないけど。
一応、新しい本は持ってきた…思い出深い本だ。彼がいつも読んで聞かせてくれた。
1か月あるから、一日くらい会えればいいね。本丸よりも自然の多いここはすごく心地いい。
暫く斬ったり斬られたりができないのだけが凄く残念だ。
なんせ本分は刀だからねぇ…石_切_丸と二人きりなのは嬉しいけれど、複雑だ。


折角世話になるのだしついでに町の人に歌_仙君について聞いてみることにした。



>>27

27 :に_っ_か_り_青_江
06/09(火) 21:40

#創作設定注意


歌_仙君を追って僕と石_切_丸がやってきたのは村の郷土博物館だった。
なんでこんなところにきたんだろう。


『きっと櫻鬼(おうき)様だよ。』
『おーき様!』
『鬼神様で1000年前からこの地を守っているんだよ』
『気紛れで見つかると殺されてしまうんだよ。』


『だから儂は山に入るなといっとるんじゃ。鬼に隠されてしまうからのぅ……。』



>「僕たちがいうのもなんだけど、こんな未来でも迷信ってあるんだね。」
#「まぁ……多分山に住まう民を気味悪がって鬼だと言ったのがはじまりだろう。当時の王政から山に逃れたものは数しれない。」
>「今は歌_仙君が山の民なんだね。戸籍がない人間はいないんだろ?鑑定書つきの付_喪_神がいないように。」
「鍛刀もしくは拾得して七日以内の申請が主には義務づけられているね。破壊、または刀解・練結もしかりだ。……無料で入れるようだ。御覧、ここの歴史が書いてあるよ。」


最近は長_谷_部君がその書類をやってるよね、と言う前に長い文字列が眼に入った。僕は読み書きそろばんできるけれど、未来の文字は僕の生まれた時代と異なりすぎていた。まして石_切_丸が読めるわけもなく、昔の知識を駆使して二人で読み解きはじめる。

内容はそうだね。よくある伝説だった。


『昔昔、天津神と国津神の争いがありました。神々の戦いは長きに渡り、国津神が勝利を納めました。天津神は天へと逃げましたが、二柱の神が犠牲になりました。それを哀れにおもった櫻は二柱をとりこんで自らを墓標としました。櫻の気にあてられた一柱は息をふきかえし、鬼に生まれ変わりました。鬼は人の恩情を覚えてはいましたが人をみると食べたくて仕方がありません。そこで櫻に祈り、とおくからでも己が分かるようにと髪を桃色に染めました。このことを知った村人は鬼を避けられました。こうして鬼は村を守る代わりに侵入者を食べる鬼神となり現在も村人を守り続けているのです。』



>「歌_仙君、髪桃色だったよね」
「……他の之_定とそこが違うね。明るい紫色ではあるが。」
>「何歳なんだろうね」
「伝承通りなら1000才以上だが彼自身は室_町の生まれだろう?はじめは色素異常の人間が鬼と間違えられていた……と考えるのが妥当だろう。」
>「君って神様のくせに妙に理論的だよね。」
「神を名乗る以上、科学的に解決するものと心霊現象はわけなければいけないからね。……御覧、青_江。櫻鬼の絵図だ。」



そういって石_切_丸はガラスケースを指差した。


>>28 閑話休題2
>>29 本編

28 :歌_仙_兼_定
06/10(水) 22:03


#閑話休題 二


不快だねぇ。主に転がされてばかりいる。

彼の命が僕の命。彼の命令が絶対で。


吐き気がした。
刀のときは何も思わなかった筈なのに。



>自らの全てが蛆に喰われるような不快感。
>後何度、



嗚呼





雅に、かける。



>>29

29 :に_っ_か_り_青_江
06/13(土) 20:57

>>27


絵姿は比較的僕たちのセンスにあったものらしい。
異瞳の、誇張した髪の長い鬼がそこにいた。歌_仙君は翡翠色だから別の刀だということが分かる。顎あたりを撫でて見入っていると学芸員さんらしい女性が話し掛けてきた。


「付_喪_神様、伝承に興味がおありで?」
「……嗚呼、知り合いの付_喪_神が櫻鬼に似ていると聞いてね……。」
「あの方ですね。伝承と違い、随分見目麗しい殿方でしたね。」
>「会ったのかい?」
「一週間前、散歩にいったときに。川辺で禊をされていましたよ。……本当お声をかけたかった。人間は食べられてしまいますから。」

#不意に過る

#中庭に佇む君

#顔が見えないのに、笑っているのが分かる


#『■■■、こっちだよ』


#長い髪が白指に絡まって綺麗だ


#……似合うなぁ



「……青_江?」
石_切_丸の声が僕を現実に呼び戻す。
彼の肩をたたき、決まり悪く笑う。戦場でも偶にこうなる。刀に戻りたいね。なんで僕が神様なんだろう。幽霊きっただけの大_脇_差なのに。


>「その清流にいってみよう。」

両腕をゆるく組ながら石_切_丸を見上げる。石_切_丸は朱の入った眼を一点に定めて声を洩らした。

「まだ日もあるからね。いってみようか。」
「帰りが遅くならないようにしないとね。」
>「渡したいもの、家に置いてきたよ」
「会えるとわかってからもっていってもいいだろう。」
「付_喪_神様なら食べられることもないですね。羨ましいですわ。」


女性がため息まじりにつぶやいた。食べられそうになっても斬ったり斬られたりするだけなんだ、とは面倒だからいわなかった。


「そういえば、」

石_切_丸が口を開いた。

「伝承では神は二柱、とあったが……もう一柱は?」
女性が頷く。


「目覚めず、櫻の下で眠っているとも……人には姿が見えないだけで櫻鬼様の傍にいらっしゃるとも言われています。」
「……成る程。ありがとう。では行こうか、青_江。」


石_切_丸の指が自然に絡まる。普段は恥ずかしいからとしてくれないのに、ずるいなぁ。握り返して女性に別れを告げ、資料館を出る。日はまだ天頂をこえていない。彼もあの子も過去のまま、僕は晴天のした大好きな大_太_刀と歩く。


……しあわせを、彼におしえたかった、な……今ならそう、いえるのに。





>>30 (本棚)
>>31 本編

30 :歌_仙_兼_定&に_っ_か_り_青_江
06/15(月) 20:49

>本棚をつくるよ。恥ずかしがらずにね。
#本棚返しは不要だよ。
>私信も気がむいたらするけど返信はいらないよ。
#……義務と青_江君は雅に欠けるからね
>僕が好きだね、君。
#上の句を考えるから黙っていてくれないかい?
>つれないなぁ……。



【お気に入り(敬称略)】
>>>38 無 残
>>>89 モトカレはせべ











.

31 :に_っ_か_り_青_江
06/16(火) 15:25

山と言うとどうしても厚_樫_山を思い出す。三_日_月君を見たというその情報の為だけに沢山回たことを。
沢山の山_伏_君の刀を拾った。全て鉄になってしまったけど。

漸く彼をお迎えした時は肩の荷が下りた。
当時の政_府発表の刀を全て手に入れてその日は宴だった。

…今は例の二振りと蜂_須_賀君の兄弟、それに来_派と粟_田_口がいないみたいだね。
僕の兄弟はまだ魂を得ていないらしい。そうなると僕は「に_っ_か_り」って呼ばれるのかな。
笑顔の方の青_江、とか。もう一振りの「に_っ_か_り」が来たら僕の呼び名はどうなるんだろう。脇_差の青_江?


「薬_研と青_江は太刀みたいな顔をしているのう。」


って陸_奥_守君からかわれた。すると
「お前の性格は短刀みたいだけどな。ガキだよ、ガキ」
近くを通った和_泉_守君殿下の宝刀「余計なひと言」発動によって手合せ騒ぎに。
石_切_丸が二人の首根っこをつかんで芋畑に放り込んでいた。這_い_寄_る_混_沌かなにかなのかな、石_切_丸。

陸_奥_守君って何だかんだで仲がいいよねぇ…新_撰_組の刀とさ。


そんな事を考えながら歌_仙君がいたという清流までやってきた。
まだまだ角の取れていない石河原を見るとなんとなく心が落ち着く様だった。
脚が痛くなることはないけれどブーツが蒸れて少しばかり不快だった。


「多分此処だね。…朧げだが之_定の気配を感じるよ。」
>「石_切_丸は犬みたいだね。分かるのかい?」
「人の無念は糸を引く者だ。知的生命体故か…其れとも何か別の思惑があるのかは分からないが…感情と言う微弱な電気を伴った一感情が……。」
>「石_切_丸。」

僕は袖を引っ張って彼を止めた。彼に限らず、有能な人間は好きな分野に関して情熱的すぎて語りだすと止まらない。
皆でほらー番組を見た後にしれりと科学的解説をして場をしらけさせたあの一連の事件を僕は忘れない。
石_切_丸は僕の方をみて笑った。

「その話はまた後に、だね。」
>「ずっとしなくていいよ」



僕は彼の言葉を一刀両断した。素の表情で首を傾げる彼は本当におもしろいなぁ。
ブーツと靴下を脱いで、岩影に置く。裾をめくって足を沈めた。まだ、冷たい。
足を細かな藻がくすぐり、下流に小さな渦ができた。石_切_丸を誘うけど首をふった。
禊のときは簡単に脱ぐくせに、つれないなぁ。深みにはまらないように注意しながら歩く。
木漏れ日が波打つ水面に乱反射してきらきらしていた。
不思議だね、足も指も斬ったことはあるけれど25年以前まで存在しなかったのに。
今ではもう存在することが当たり前になっている。時代を超えて、彼らと戦うのも然り。
斬ったり斬られたり、壊したり壊されたり。

大き目の石をひっくり返してそこから飛び出す小魚を見ながらなんとなく笑うんだ。に_っ_か_りと。




>>32

32 :に_っ_か_り_青_江
06/17(水) 12:47

#「…青_江君に石_切_丸?」
僕の一人川遊び傍らで見守る保護者に懐かしい声が駆けられた。
薄い桃色髪の歌_仙君。
背中に背負う怨念の重さもものともせずに森の深い部分から現れた。
嗚呼、やっぱり綺麗だな。

>「久しぶり、歌_仙君。」
「5年振りだね。」
#「……5年。」

手を振って迎えると足場が悪いにも関わらず平地を歩くようにするすると僕たちのほうへ近づいてきた。
本当山歩きに慣れている脚だよね。流石3日歩いてぶっ倒れただけあるよ。
川から上がり、足を乾いた石で拭う。隣に来ると、雨露に僅かな桜と、人の匂いがした。

>「誰かに会っていたのかい?」
#「以前君たちと似たような気配のものが迷子になっていてね。普通は引導を渡すんだが助けてと言われたので助けたんだ。」
#「それ以来時々会っては彼から色々教えてもらっているよ。」
>「ふーーん。」


>羨ましい。


「…引導を渡すのは余り良い事ではないかな。最終手段としてとっておこう。基本は助けてあげようか。」
「人間を闇雲に殺すことは余り誉とはいえないからね。」


両手を後ろ手くんだまま冷静に石_切_丸が声を掛けた。
君のいうことならば、と素直に頷く歌_仙君。


>何も知らない君にたくさんの足跡をつけたい


>「とにかく、5年ぶりだけど元気そうで何よりだよ。」
#「僕の感覚としてはまだ半月くらいなんだけれど…基本的に水浴び以外は櫻の下で過ごしていたからね。」
#「代わり映えはないけれど君が貸してくれた本やのーとがあれば満足だったよ。」
>「それはよかった。君は戦_刀だけど風流を愛する刀だからね。」
#「戦なんてしたことはないな。殺したことはあるけれど。」
「今後は控えて欲しいものだけれどね。」
#「嗚呼、そうだ……時間があるなら約束を果たしたい。やっぱりかなり歩くことになるけれど…。」
>「明日はどうかな。僕たち今主に暇を出されてあと3週間くらいは暇なんだ。」
#「三週間もかい?それはすごいねぇ。」


どこか嬉しそうな声。歌_仙君は両手を合わせて笑った。
深い櫻の匂いがする。そして多分歌_仙君の「三週間」は人間にしてみると
結構長い時間なんだろうな、とも。人以外の感覚なんて曖昧だよね。
僕も最初はそうだった。人の身に馴染んできてから四季を感じたり時間を気にする様になった。
それでも一日一日がとても速く感じられる。翡翠色が緩まった。

「そうだね…歌_仙、日が一度沈んで登ったら…ここで待ち合わせしようか。」#「嗚呼、わかった。一回だね。うまく起きられたらいいんだけれど。」
「会った日から大分たっているから大丈夫だよ。さくらを見るのが楽しみだね。」
>「夏櫻ってことになるかな。野性の櫻はいいよねぇ……見た記憶が曖昧だけど。」
「おや?意味深なことをいわないのか、青_江」
>「いわなきゃだめかい?君も結構むっつりだよねぇ…性格のことだよ?」



かけあいを見て歌_仙君が噴き出した。僕もなんとなく嬉しくて笑う。笑いが笑いを呼んで三振りの音がこだました。


君はこれをみているかな。見ていたらやっぱり教えたい。君が過ごした時間は僕にとり、かけがえのないものだったのだと。


>>33

33 :に_っ_か_り_青_江
06/19(金) 20:22



『鵡だ』
長_谷_部君が書類をやりながら言う。
『あれは鵡だ。何時でも人の真似事を好む。』
『下らん。』
『貴様らはあれを鵡だと思って接すればいいのに。……飼い主はすぐ感情移入するからな。』

>『…フラれたの?』


僕の言葉に筆がとまり、数秒。長_谷_部君はこれでもかという大声で笑った。背中を向けてるから表情はみえないけどさ。


『鵡にふさわしい刀がどこにいる。』


>鳥にはとり籠が必要だ




『俺には主唯一人だ。』

『ふーん』

長_谷_部君の主愛を軽く聞き流す。そうこうしているうちに彼らが湯浴みから帰ってきた。遠目でみるとかわいいんだけどなぁ。近づくと突かれる。……言葉でだよ。

『貴様は見目が蛇のくせに』
『餓鬼だ。』
『……もと大_太_刀なんだけどねえ』
『過ぎたるは、か』

長_谷_部は博識だな。狂歌をもちだしてきて。
なんとなく感動を覚えながらたちあがる。眠い。おぼつかない足取りに背中が鼻で笑った。

『鵡は鵡、人にはなれん。どんな姿を見ようとも異物だと思わねばな。』


#『■■■■■■■■』



>『はいはい。』




彼は優しいなぁ。
廊下に残った藤の匂いを嗅ぎながら僕は湯浴みの準備に部屋に戻った。


>僕は鵡に、構ってほしいだけ。



どうか美しい鳴き声を、僕に。







>>35

35 :歌_仙_兼_定
07/04(土) 15:50



#散る櫻が美しく感じなくなったのは何時の事だろう

そんなことを思いながら光る花びらを手のひらに乗せる。握りこむと、光は手の中で潰えてしまう。


約束をした。日が次昇った頃合いに川へ下ろう。
青_江君と石_切_丸が此処に来る。胸が張る思いだった。満足してくれるといいけれど。


関係性、というのはすばらしいと思う。ずっと僕は独りで、それが当たり前で、人を喰いながら続くと思っていた。それが彼らに出会って、また、があるのが楽しみになった。未だに慣れないこともあるし、体だって痛むことはあるけれど。いいことを教えてくれるのは楽しいことだった。

知らない知識で僕が変わっていく。
動かなかった歯車がきしきしと動く音がする。それがどこに転がるかは僕には想像もつかない。



#「……返せるものは返すのが雅というものか。」






櫻の幹を撫で、身を寄せる。体の痛みが消えていく。心臓のあら熱が吸い上げられるようだ。月が天心にのぼってもいないのに強い眠気を感じた。嗚呼、美しいな……。




#毎日会えたら
きっと楽しいのにね。








>>36

36 :歌_仙_兼_定
10/07(水) 21:31


#長い間、眠っていたね

さめるまで、もうすこし。