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┗拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。(211-220/368)
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220 :
跡部景吾
2008/07/01 19:05
姫が好きなもの。
・友人。
・黒と白。
・個性的なナマモノ(特に深海魚)。
・アメリカの連ドラ(特にX*ファ/イル)。
・野菜。
・辛いもの。
・地味な映画。
・音楽(特にピアノの音)。
・海。
・空。
・春。
・ベーグル。
課題を他の奴等より一足先に終えちまって退屈な授業中に、ノートの片隅を使ってアイツを構成する要素を思いつくままに挙げる遊びをしてみた。例えば上の様な。苦手なものについてはチョコレートや脂っこい料理。俺の三年間の集大成が出来上がる頃には、結局ノート一枚に自分の字が埋め尽くされていた。
しかしこんなものか、と思う。俺が三年間みっともない程欲して来た結果にしては、御前はまだまだ謎に包まれているらしい。まるでU*M*A…とは流石に言えねえか。一応確認はしているもんで。
何にしても、御前はこんな紙切れ一枚で語り尽くせる器じゃねえよ。きっと御前の他にこの凡ての条件に当てはまる奴だって居る。…変な生き物好きは珍しいと思うが、きっと何処かには居るんだろうよ。
それなのに、こんなにも俺の心を捕らえて止まないのは御前ただ一人だ。俺のデータが不十分なのかも知れねえな。乾か柳を連れて来るか。それだって御前の事は予測不能だと思うぜ。
ソースを捜す事に意味は無い。御前が御前だから愛している。
(だからノートは破いて紙飛行機にした)
(御前の好きな空に近付いて欲しくて飛ばしたそれは、俺の海へ落ちていった)
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219 :
跡部景吾
2008/07/01 09:01
俺は「恋人」を持った事が無い。姫が元カノだとか、見ているヤツにとって楽しそうな事情も残念ながら一切無い。だから所詮は俺が恋愛関係にある恋人同士について語ったところで画餅でしかねえし、姫の口癖を借りるなら「詮無い事」だ。此から書く事で良い気がしないヤツが居たならば、それを踏まえてくれ。何にも知らねえ阿呆がただ恋に幻想を抱いているに過ぎない。
片思いこそが恋愛の醍醐味だと云う意見は多いが、それを信じるならば俺はもう三年以上もその幸せな状態に在る事になる。確かに幸せだ。好きでもねえ誰かと寄り添う事が幸せだとは思えねえ。だが「そんな意見を出すからには余程長い片思い経験があるんだろうな」と勘ぐりたくなる程度には、辛い時もあった。
恋人同士になった時の方がもっと辛いと言うんだろうか。俺には定かじゃねえ。猫はこう言っていた。
「嫉妬もする。不安にもなる。でもマイナスな思いもアイツへの愛情の内で御互い様なんだから、悔しいケド別に良いのヨ」
俺の傍で恋人を持っているのは猫だけだから他と比較出来やしねえが、アイツはアイツで幸せそうだ。―‥嫁は毎日大変なのだろうと猫の清々しそうな顔を見る度毎朝同情するが。
始まりがあれば何時かは終わりがある。俺達の命は限りあるのだから、一生を誓い合った愛も今生では途切れる時がやって来るだろう。そして相性の問題や様々な事情から別れるヤツも居るだろうな。
俺は相談を受ける事には抵抗が無い。例えば出歩いている時に、初対面の俺に対して今付き合っている恋人との悩みを相談して来るヤツが居る。これは頷ける。友人が居た場合であってもデリケートな事情からそいつには相談し難いだとか、案外と偶然出会ったヤツの方が込み入った話を打ち明けやすい場合はある。多くが話せば満足するもんで占い師があれ程たくさん存在しているのだろう、と思った時もある。
然し初対面の相手に別れたヤツの愚痴を零す行為を、少なくとも俺は尊敬出来ねえ。何にしろもう終わった事だ。そうする事で自分を更に不幸にするだけじゃねえのか。俺は完璧じゃねえ。相手も完璧じゃねえ。だから大概の事は赦せる。赦すも何も苛立つ事自体が少ないが、自分の過ちを棚に上げるヤツは話していて魅力的に感じられねえ。終わった事にどうアドバイスをやれと言うのか。今度はそんなヤツに引っ掛からない様にとしか言ってやれないぜ。
その御前の言うところの「酷い男」は他でもない御前が選んだんだろう。ソイツを貶す事で自分自身も貶めている様に感じる俺の様な捻くれ者も居るんだぜ。
――とまァ、何を言ったところで恋人の居ない男の遠吠えでしかねえ。だが俺はもしも恋人を持つならば、どんな風に別れたとしても幸せな事を覚えて居たい。その方が自分も楽しいじゃねえか。
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218 :
忍足侑士
2008/06/30 09:17
日記の上で分身出すんは初めてやな。俺が他の奴等連れて行ったんは考えてみればプラシシの前だけな気ィする。跡部が殆ど出張っとるかと、違うかったら堪忍。心閉ざし過ぎると記憶の扉も閉ざしてまうねん。(…)
マルマロジローには諸事情により会われへん俺やけど(初めて逢うた時アイツはジローやった)、多分此の町で初めての日記書く迄は跡部と同じくらいの出現頻度やった筈。今は跡部ばっかり出よるねんなァ、目立ちたがりやからしゃーない。
そんな訳でベーグル大好きなマルマロ跡部曰わく「関東のたこ焼きに本気で怒れる」忍足侑士です。確か日記の何処かにそんな事書いとった。其れからアレや。「バイキングで炒飯をおかずに白米を食える」忍足侑士です。宜しゅうに。…普通やんな其れ。
‥否、ええ機会やからちょっと前者については突っ込ませてくれへん?あ、此処ではヤラシイ意味ちゃうから殴らんといて。Mちゃうから。
別に怒るとかそう云うん違うで。せやけどなァ、カレーライス食いたなって店行ってカレーうどん出て来たら誰でもビックリするやんか。そん位違うやろアレは。其れ以前に、たこ焼きを買う行為自体が既に違和感や。家で作ったらええやん。俺が作ったるやん、なァ。
え。普通に語りだけで此処迄来てしもたわ。何の為に出て来たんや俺。
―‥嗚呼、そうそう。ドイツ語の課題をマルマロ跡部に手伝って貰った話や。俺も英語くらいは話せる心算やけど、まだまだドイツ語はアカン。アレはアカン。医者目指すには最低限のドイツ語知識は必要やろうと選択した言語やった。しっかし難しい。どうせ個人病院ちゃうし俺が医者になる理由は無いやん?何で4月の俺は何時もあんなやる気に満ち溢れてるんやろか。選択したからにはやらなアカンくなるし5月以降の俺が全部被るんやで。正味しんどいわ否ホンマに。
――とまァ、くさくさしとってんけど。跡部が「仕方ねぇな、添削してやるから課題を送って来い」て言うてくれはって、申し訳なく思いながらも力を貸して貰いました。跡部は気ィ短そうに見えて教え方なんかはホンマに巧いねんな。御陰で俺は夏の補習から免れそうやで(そん位の瀬戸際やった)。ジローにも教えとったみたいやけど、其の時は授業料(?)にポッ/キー貰て笑うとった。
俺が跡部に教えられる事がもっとあったらええんに。日本の事や庶民の事、御前の知らない事を何でも教えたい。其の位置に俺が居りたいねん。
「なァ跡部、其の本(=日本昔話)おもろい?」
『ああ、興味深いぜ。かなりつまる。』
「…つまる?」
『面白くねぇ事はつまらない、つまり面白ぇ事はつまるって言うんだろ。』
…跡部、中等部でこっち来た子やからな。俺が教えたら関西弁マスターになってまうけど、其れもええか。
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217 :
跡部景吾
2008/06/29 20:34
焔色恋華の日吉から。此の間は呼び掛けに応じてくれて有難うよ。200祝いも感謝してるぜ。遅れちまって悪かったが、バトンも喜んでやらせて貰おう。
><夏エンジョイバトン>
製作者:宵/桜・白石蔵ノ介
>さぁて、梅雨が明けたら夏まっしぐら!
>真夏の太陽に向けてこのバトン、答えてみてな?
#1・まずは名前聞かせて貰えると嬉しいんやけど?
跡部景吾。
#2・そうか、宜しゅうな(にこ)ほな、自分夏は好きやろか?
嗚呼、宜しく。そうだな。割と好きな方だ。
#3・ふむ、成程な。夏、と言って連想するモンは何やろ。
女の薄着と即答しちまいそうになった俺は、人として自分を見つめ直すべきだろうか。風鈴の音色ッつう事で。
#4・うんうん、やっぱ定番といえばそれやな!
ドッチだ。前者か。
#5・ほんなら夏の一大イベントと言えば?
青姦と即答しちまいそうになった俺は、霊長類として自分を見つめ直すべきだろうか。花火大会ッつう事で。
#6・学生のお楽しみと言えば夏祭りや!必ずやる事なんあるやろか?
否。町の夏祭りでの景品を見る限り、大人(=榊監督)も随分愉しんでいる様だぜ。俺が必ずやる事か。雰囲気を愉しむだけで終わっちまう事が多いンで同行者に合わせがちだ。―‥嗚呼、喉自慢に乱入。
#7・浴衣姿て粋やと思わん?それとも自分は私服派やろか?
嗚呼。しかも色気が3割増だ。浴衣で行く事が多いぜ。
#8・夏祭りで食べたいモンベスト3!どうぞ?
如何にも体に悪そうな色をしたジュース。たこ焼き。コロッケ。
#9・自分が海に行って一番最初にする事は何やろ?
日焼け止めを塗る。
#10・暑いのが夏。やけど耐えられへん…!さて、クーラー派?扇風機派?
合宿先でしか扇風機を使った事がねえ。
#11・夏、のイメージソングなんあるやろか?(検索避けは忘れんでな?)
「津*波」(検索避け)
#12・「夏」な感じの知り合いあげてみてくれへん?(恋人、キャラ、通り名、どれでもえぇでー)
沖縄の奴等。
#13・さて、此処まで答えてくれておおきに。今年の夏は楽しくなりそうやろか?
此方こそ感謝する。楽しく「する」ぜ。
#14・お疲れさん!ほな、夏をエンジョイして欲しい友達にこのバトンを回してな?
友達が少ない俺なので、少人数だがスルー可で。
>姫
休息を取りながら無理はするな。
>プラシシ
良ければ一緒に夏祭りにでも如何かと。
>過多想い。手塚
皆で縁日、是非俺も混ぜてくれ。綺麗な花に癒されたぜ。
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216 :
跡部景吾
2008/06/29 20:03
「が/ちゃ*ぴんの今日のブログ見たか?」
突然そう聞かれて固まっちまったが、恐らく俺でなくとも戸惑う質問だった筈だ。「今日の」とは如何云う事なんだ。俺とアイツがあの恐竜のブログについて盛り上がった事は唯の一度も無い。
『…何故見ている事前提なんだ。』
言葉を選んで聞き返してはみたが、返事を受信しない携帯。1時間以上間を置いて、かなり焦った様子の返信。
「お、お前なら見てると思っただろ!恥ずかしいこと言わせんなよばか!」
俺の所為なのか。ッつうか絶対見てそうにねえと思うが客観的に自分を見る姿勢に欠けていただろうか。取り敢えず俺は俺を冷静に見つめ直そう。そう思ってスクロールしていくと、相当数の改行を重ねた末に「恥ずかしいからやり直させろよ。…最近よく雨降るなぁ」と如何にも白々しい話題のフリ。―‥否、梅雨だしな。晴れ間ばかり続くほうが問題だが、少なくともその日はよく晴れた梅雨の中休みだった事がまた切なさを誘っている。
『そうだな。早く夏になればいい』
アイツの失敗には触れずに最後の一文にだけ返事した。今度は直ぐに新着メールを受信。
「ン、夏になったら色々できるしな。俺も遊びてェ、が/ちゃ*ぴんは宇宙遊泳だって流鏑馬だってするんだぜ。あ、ところであいつのブログ読んだことある?」
不 自 然 過 ぎ る ん じ ゃ ね え の
長期休みを心待ちにする気持ちは勿論理解出来る。時間がある分やってみたかった事だの、新しい何かに挑戦出来るッつう事も解る。だが何故其の手本が恐竜なんだ。一般的な思考なのかこれは。余りに唐突な流れについていけねえ。否それ以前に俺は御前の失敗に気付いているのに、誰の為のリテイクだ。どんな視線を意識してやがるんだ。
どんな返事が適切なのか。最早其れすら俺には分かりかねた。それでも返信をした訳だがメッセージが長過ぎるらしいのでまさかの二分割。
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215 :
跡部景吾
2008/06/29 20:01
まさかの二分割の続きだ。俺なりに考えてメールを作成する。
『そうだな。今年の夏はフィッシングもしてェ。御前はバカンスだったな。はしゃぎ過ぎて焼け止めを忘れるなよ。』
『スキーのジャンプもやっていたんだったか。相方の雪男が可哀想に思えて来る程に多趣味だが、何にしろ元気そうで結構な事だ。其れから、あの恐竜がブログを持っていた事さえ初耳だ。何かあったのか?』
俺の人生で此処まであの恐竜の事を考えたのは間違い無く生まれて初めてだった。大スターが幾つ趣味を持っていようと俺様に全く関係の無い話だが、そんな無茶振りをしてくる辺りアイツは相当に恐竜が好きなのだろうから余りに興味の無い返信をするのも褒められた行いじゃねえ。俺は姫が好きなのだから、アイツが好きなものを尊重するべきだ。文面を読み返してから送信すると、何時も通り30分程の時間を空けてアイツからの受信を知らせる音楽が鳴り響く。
「あ、別にたいしたことでもねェの。それよりさ、さっきテトリス全クリしたンだぜー」
何度も其の文の上を眼で追った。まさか此だけじゃねえだろう。あれほど不自然な流れを作ってまで言いたかった事なんだ。然し何度凝視してもメールはその二文で構成されている。携帯の液晶にあぶり出しを付けられよう筈もねえが色んな角度から受け取ったメールを眺め、よもや3D機能搭載かと眼を細めてみたりもした。然し矢張り何の仕掛けも無い。
――何の為の質問だったんだ。こみ上げる笑いを如何する事も出来ずに声に出しちまって、部員の奴等に「頭大丈夫?」みてェな顔をされた。御前等チョット部長に対する愛に欠けるんじゃねえか。
もしかしたら又アイツから同じ質問をされる時があるかも知れねえ。何時か「今日のブログ見た?」と何気無い話をふられた時にそれに乗ってやれる様、俺は此の間からあの眠たげな奴のブログを読むようにしている。
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214 :
跡部景吾
2008/06/27 20:02
――‥畜生。卑怯だ。何故そんな言葉を吐けるンだよ。
如何したって好きなものは好きで仕方ねえ。星を指差しては微笑み、空を見上げては涙する。御前の彩る風景一つ一つが幸せに溢れていて、悔しい程に癒された。
御前は阿呆だ。救いようの無ェ阿呆だ。だが其れすらも好ましく思っている俺は、更に輪をかけて阿呆だ。畜生。
想いが通じ合う事は絶対に無いだろう。だが其れでも俺が斯うして叫ぶのは、きっと御前に届いて欲しいからだ。
膝をついて倒れる其の時も、俺は御前を想うだろう。
孤独を感じた夜は思い出せ。こんなにもみっともなく喚く俺を、ほんの少しでも思い出して欲しい。何時でも御前を想っているのだと云う事を。
独りに感じさせる夜にも、一人にはさせねえよ。
醜悪な愛だの何だの、もう如何だって良い。俺は一個の生物として御前を心から尊敬している。そして自分勝手に生まれる独り善がりの此の心が恋だろうが愛だろうが、はたまた其のどちらにも属さなかったとしようが構わない。
一緒に走る御前が居て、阿呆な思いつきを二人でやっている。其れ以外に何を望むって言うんだよ。
「ホーントに、馬ァ鹿」
『馬鹿はヤメロ。阿呆と言え』
今はまだガキ丸出しの顔で笑っていよう。
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213 :
跡部景吾
2008/06/27 09:41
誰かを羨むッつうのは、俺が最も苦手とする感情だ。だがそんな頃も確かに在った。
本人にも疾うに話した事なンで書いちまえば、俺は正直な所プラシシが羨ましかった。姫と俺がある程度の距離感に持っていく迄にはかなりの時間を要したが、プラシシは気付けば姫の中に存在していたからだ。其れは或る意味で俺が渇望した物かも知れなかった。常々日記を読んで興味を持っていたし、姫の愛犬には如何しても会いたかった。
プラシシと俺が初めて会ったのは夏祭りの頃だったんじゃねえだろうか。そうだとするなら、あれから二年を数える事になる。時が過ぎるのは本当に速ェ。
プラシシは本当に良い奴だった。初対面の時から姫を通してではなく、一個人として好感を持っていた。―‥斯う書くとプラシシの恋路を邪魔しかねねェから改めて言っておくが、俺と彼の間に疚しい事は微塵も存在しねえ。魅力的な男だから全力で応援してはいるが。
初めて会う時だったと思うが、姫からは「絶対手ェ出すなよ、お前」と胸倉を掴まれた。好意を持つならば先ずは交換日記から始める事と、心も体も傷を付けたら一生赦さねえと云う事も。そんな風に必死になるアイツを見たのは初めてだった。愛犬家と言うよりは寧ろ愛娘を初めて男と会わせる父親みてェだったし、其れ迄に聞いていた数々の事も含めて余程大事に思っているのだと更に関心を持っていた。
‥如何も俺が言うと下心が見え隠れするが本ッッッッッッ当に、純粋な興味だった。不純物は一切入らない混じりっ気無しの興味だった。
そして今、姫の事は抜きにしても俺はプラシシを個人的に好ましく思っている。凄い奴だと心底思う。愛犬家と愛犬。そう言いながら姫をあそこまで手懐ける辺り、猛獣使いの素質があると睨んでいる。嗚呼、勿論姫が猛獣な。
今は俺と姫が言葉を交わす事さえ稀だが、矢張り必ずプラシシの話題は上る。俺も姫も、彼の事が「大好、き、嫌いじゃねえよッ」だ。笑
俺達が何時も彼から癒やしや元気を受け取っているからには、彼が「しょんぼら」しちまいそうな時には構い倒してェものだ。元気だろうが性欲だろうが何だってやりてェ。
――姫の昔話シリーズで、アイツがプラシシと会ってから変わった話をしようと思っていた。然し筆を執ってみれば、まるで俺からプラシシに捧げる恋文の様じゃねェの。
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212 :
跡部景吾
2008/06/27 05:34
「どうしようもなく、独りな気がする」
連絡先を交換して暫くした頃だったか。そんな風に言われて驚いた事がある。
人が誰かの凡てを理解するは難しい。例えば其れが己の事でさえ、凡てを把握しきれる程単純には出来ちゃいねえ。だからこそ未だに姫はびっくり箱みてェに俺を唐突に驚かせるが、其の頃の俺は余りに無知だった。
姫の凡てを知り尽くした様な気でいた。「アイツ自身」を自分が余りに知らない事すら気付かない無知だった。
アイツは確かに一人だったが自分の意志でそうしている事は明らかだったし、一人を楽しんでいる様に見えていた。夜に孤独を感じて淋しさを覚える様な人間的な所は覆われていたし、偶に居なくなったかと思えば又元気に戻って来る様な気紛れな所もあった。アイツが姿を消す時は気分が落ちている時なのだと解る迄に、其れ程の時間は必要無かったが。
象みてェだと。拙い知識で比喩を用意していた。
死期が近くなると群れから外れて墓場へと向かう象の姿が、アイツと被った。――勿論アイツは死んだ訳じゃねえから可笑しな話だ。
「ちょっと昼寝してくるー」
昼寝が二日程度の事も在れば一週間以上の事も在った。本音を言うなら、そんな時こそ傍に居たかった。抱き締めたかった。だがアイツは其れを望まねえし、俺が「昼寝」の真実に気付いていると知ったら其れだけで本当に離れて行っちまいそうな気がした。
知らない振りをするは容易かった。何の事はねえ。如何せアイツの愁いを俺は知らないのだから、唯待っていれば良かった。其れでもあの頃の俺は愚かしくも幸福だったぜ。唯アイツが姿を消す理由に近付いただけで、凡てを理解した様な気になっていたのだから。
そんな俺が「孤独」を明かされたのは突然だった。素直に驚いた。アイツの事を本当は何も解っていなかったのだと漸く解った。解らない事が解ったし、知らない事を知った。
他にも、アイツも人の子なのだと解った。泣きも怒りもしねえ姫は何処かしら欠落していた。強いて言うならば人間らしさみてェな何かが無かったのだと考えるが、其れを少しばかり覗けた様な気がした。
『俺は、傍に居るぜ』
『だからと言って御前の孤独を拭い去れる訳でも、独りじゃねえと言える訳でもねえが』
『二人なら、一人にはしないでやれる』
するとアイツは、俺が甘過ぎると腹を抱えて笑った。ひとしきり笑った後で、涙目で礼を口にした。
―‥俺は何時から御前の番人になったのだろうか。今が在れば其れで構わない。だが如何しても日付が必要なのだとするなら、きっと其れはあの時からだ。御前が自分の弱さを明かす事の出来る強さを俺に見せてくれた日。
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211 :
跡部景吾
2008/06/26 20:22
御帰り、
矢張り此の日記を受け継いで良かった。御前をこうして迎えられるのだから。
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