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45 :オクジー
2025/05/05(月) 19:04

2025/05/05

俺は普段さほどしっかり料理をするタイプじゃない。お菓子作りなんて以ての外だ。今回はたまたま生クリームが余っていたのだ。何に使いましょうか、食べたいものとかありますか?と聞いてみると「これがいい。」とレシピを送ってくれた。色々調べて検討してくれたみたいだ。何気ない一言でもそうやって真剣に考えてくれるところが好きだなと改めて思う。
送ってくれたレシピはいわゆるフルーツ大福というやつだった。無論、初めて作る。俺のレベルでも作れそうなものを選んでくれたんだろう。作る側のことも考えてくれて毎回有難い。工程自体はシンプルだったけど、慣れないせいで結構手間取った。求肥を作るのとか、中身を包むのとか。まぁ、それでもなんとか形になってくれて。…正直、すぐには食べてくれないかなと思っていた。朝と昼の間の微妙な時間だったし。一応、忙しそうなあの人に、できましたと声をかけてみると、「食べる。」とほぼ即答で返ってきた。なんかもしかして楽しみにしてくれてたのかもしれない。で、思った以上に気に入ってくれた。「君、何でも作れるのか?店を開いた方がいい。」あの人の好みの味になっていたようで良かった。
いつも思うが、あの人は褒め方が上手い。言っていないような些細な頑張りに気づいてくれるところが上手いというか、的確というか。大袈裟に褒めているわけじゃない。こう、心からの言葉だってわかる気がする。いや…店はやっぱり大袈裟だな。あの人が嬉しそうなのを見ると全部報われる。多分…好きだからこそ効くんだろう、あの人の言葉が。
「しかし求肥を家で作れるものとは思わなかった…外で買う必要ないんじゃないか…君には無限の可能性を感じるな…」とまで言っていたので、また作ろうと思う。あの人からもらったレシピ、大事に保存しておくことにしよう。



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44 :オクジー
2025/05/05(月) 05:17

2025/05/02

「夜明けを見に行くぞ。」と叩き起された。まだ夜は深い。あの人は元気そうだ。昨日早く休んでおいて正解だった。俺が比較的すんなり起きたからだろうか、あの人は分かりやすく上機嫌だ。朝日の昇る時間を調べて、ロケーションの良い場所を調べて、準備を整える。GWは色々忙しくて遠くへ出掛けるような予定を立てられなかったけど、これは特別なデートだ。俺が以前好きだと言った服を着てくれていた。出かける前からもう嬉しくなる。覚えててくれたんだ。けど夜明けを見るのには少し寒いんじゃないだろうか。せめて俺が少し防寒性の高い格好をしておいて、寒そうにしていたら上着を預けよう。

星がはっきり見える頃に家を出る。ここから車で1時間半の山奥まで。そこからなら明けていく空がよく見えるだろう。あの人が見つけてくれた場所だった。行先は大抵あの人が決める。そこへ向かう目的も。何もせずについて行くだけなのはいつも申し訳ない。あの人はちっとも気にせずに「君には運転を任せてある。」と言ってくれる。俺は何かを決めるのが苦手だから有り難い。それに、目的を決めるときのあの人が好きだ。真剣そのもので、それでいて子供のようにわくわくしている…ように見える。「今日の行き先が決まったぞ。」と告げる自信に満ちあふれた表情を見ると、それだけで愛しくなる。

夜明け前には目的地へ到着した。辺りはまだ暗かった。それでも遠く東の空には朝の気配のような明るさがほのかに灯っている。山道を歩く。さほど道が悪くなくてよかった。上の方は風が強い。やっぱり寒かったようなので上着を脱いで羽織ってもらった。「君が寒いんじゃないか?」としきりに言うが、もともとあの人のために調整できる格好にしておいたのだ。困ることはない。結局は観念して着てくれた。彼コートだな…と思うと愛しさが増す。あの人が知ったら俗っぽい考えだと眉をひそめられるだろうか。照れ隠しな気もするが。

初めに気づいたのは鳥の声だった。夜明けが近づくにつれて、徐々にさえずりが賑やかになる。こんな風に鳥の声が朝を告げるのを実感したのはいつぶりだろう。日の出そのものも美しいけど、その直前、空全体が刻々と色を変えていく時間に圧倒されていた。ついさっきまで綺麗に星が見える暗い夜だったはずなのに。 考えているうちに空の色が瞬く間に変わっていく。夕焼けの優しい色とは違う、もっと鮮やかで明るいグラデーションだった。雲も少しはあったけど、それが染まる空は何も無いよりよほど奥行きを感じるようだった。山間の開けたところだったので、普段よりも空が高く広く見えた。
この光景に感動できるのは、あの人が連れ出してくれたからだ。いつも俺の知らない感動をくれる。隣にいるあの人が同じように美しい景色に心を動かしていてほしい。あの瞳で、真っ直ぐに空を見上げて。あの人の満ち足りた表情を見ることが俺の感動の完成なのかもしれない。




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43 :オクジー
2025/04/30(水) 05:51

2025/04/29


朝方、あの人より早く目が覚めた。アラームが鳴るまでしばらくある。俺の背中に身を寄せて眠っているあの人の気配がする。妨げないように、じっと耳をすませていた。
深く眠っている呼吸だった。眠るあの人に寄り添えるのは幸せだ。ともすれば睡眠や食事を疎かにしてしまう人だから。よく眠れているだけで安心する。
呼吸の間隔が少し変わっているのに気付いた。さっきまで規則的に吸って吐いていた息がときどき短く、長くなる。夢を見ているんだ。どんな夢かは知る由もないが。先程よりも眠りが浅くなっているのだろう。
俺は寝返りをうって、あの人の方を向いた。背中越しだった呼吸が近くなる。抱き締めるようにすると、少し身動ぎしてくれた。体が密着する。あの人の体温をより感じる。眠っているからか、普段より温かい気がする。寒がりな人だから、凍えずに眠れる季節になってよかった。
しばらくそうしていると、また呼吸が変わる。夢を見ている。短く浅い呼吸だ。時折ぴくっと体が跳ねる。さっきよりも更に眠りが浅いらしい。どんな夢を見ているんだろう。
ひときわ大きく体が跳ねて、あの人が目を覚ました。心なしか呼吸が速い。時間を確かめるのにスマホを手探りしているあの人を抱き締めたまま、寝起きの耳元に顔を寄せた。
「おはようございます。もしかしてエッチな夢見てました?」「なっ!?!?」面白いくらいに図星の反応だ。抱き締めた指に当たっていた胸の突起が、可愛く主張している気がしていた。俺が寝返りをうって、あの人の呼吸が浅くなった辺りからだ。短い呼吸が、肌を合わせているときを思い出させる…と密かにドキドキしていたのだ。「どんな夢見てたんですか?」指に当たる弱点を意図的に撫でながらあの人の耳に吐息を吹き込む。「そんなっ、別に…」「教えてください。」がっちり捕まえられて逃げられないのを察したのか、恋人は腕の中でぼそぼそと告げた。「……き…君と、する夢だ。入れながら、乳首を舐められてた……、気持ちいいのに擽ったいだけで…」「もどかしかった?」乳首を捏ねる指先の力を少しずつ強くする。もじもじと腰が動いているのがわかる。笑って、じれったそうな胸にはっきりした刺激を与えてみると体を震わせて「やめろ」と言う。可愛いのでやめない。そんなやらしい夢を見るなんて。夢の中でも俺と繋がってくれるなんて。愛しくならないはずない。幸い、寝起きで力も入らない上に逃げられない姿勢だ。あの人の体が今どうなっているのか、耳元でぼそぼそ囁くと、きゅうっと体を縮こまらせて反応する。可愛い。もっと恥ずかしいことを吹き込んでやりたい。そのまま腕の中で、アラームが鳴るまで苛め倒した。



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42 :オクジー
2025/04/28(月) 22:21

2025/04/28

木蓮の花が咲いている。頼りない枝に大ぶりの白い花がいくつも。何故かイメージするのは夜だ。暗闇の中に白い花だけが浮かぶ。美しい木だと思う。同時に少し怖くもある。昔から妙にこの花が気になる。椿の花もそうだが、咲き終えたあと地面に落ちるさまが、避けられないものを連想させるのかもしれない。悪い意味ではなくて、何となく惹かれるのだ。
あの人は、木蓮の香りの話をしてくれた。香り。視覚的にしか見ていなかった俺には、今までにない新しい発想だった。意識したことはなかったが、香りは好きかもしれない。かすかに甘く、でも主張しすぎず、ふと気付く優しさのような。
木蓮の話をあの人にした日、記憶が塗り替えられた。朝焼けの淡い光の中で広い枝を伸ばす木に散りばめるように白い花が咲く。この記憶には香りがあって、あの人の声がある。そこに生きるものを感じる。そういう記憶になった。



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41 :オクジー
2025/04/27(日) 23:46

2025/04/27

苺が安く売っていた。買ってもいいですか、と尋ねる。「ああ、いいぞ。私も食べたい。」あの人がそう言ってくれたので嬉しくなった。
俺は多分、果物の中では特に苺が好きみたいだ。ということを改めて考えたのも、あの人と再会してからだった。その前から好きではあったんだと思う。けどちょっと高級品のイメージがあって、買い物に行ってもカゴに入れるのがためらわれてしまって。すごくたまに、値下げされてる小粒の苺を買って、一日数粒ずつ大事に食べていた。
あの人は結構偏食だ。野菜とか全然食べない人なので、あの人が食べれる果物は重宝する。勿論、果物の中でも好みがある。苺は比較的「食べる。」と言ってくれるものだった。一緒に暮らし始めてから購入する頻度が増えた。偏食かつ少食なのですぐに「もう十分だ。残りは君が食べてくれ。」と回してくれる。こんなに貰ってもいいんですか、と恐れるほど。しかも「今食べろ。」とか言う。人生経験上一度に数粒食べるのが限度だというのに、ちょっとキャパシティを越えてしまう…と怯えながら食べた。
あの人のご両親が唐突に各地の美味しいものを郵送してくることがある。本当に有り難い話だ。あの人はとても愛されて育っていた。自己肯定感爆高の由来は家庭環境にもある気がする。あの人自身の才能と性格によるのも大きいだろうが。立派になった今もご両親にとっては何より大切な宝物なんだろう。それで、ある日届いた箱を開けて飛び上がった。宝石のような大粒の苺が化粧箱入りで届いたからである。ちょっとお目にかかったことがなさすぎて本気で怯えた。あの人は面倒くさそうにしていたけどすぐに電話をかけてもらってお礼を言った。こんな大層なものを頂いても、お返しできるものなどない。ご両親の愛する宝物を預けていただいている信頼を感じる。臆することなく大粒の苺を齧っているあの人を、全身全霊で一生幸せにしなくてはと決意を固くした。(苺って齧れるものだったのか…。)あの人が残してくれた苺を神に祈りながら食べた。
今回買ったやつは安売りの小粒の苺だが、俺にとっては決意の証のようなものかもしれない。いや、それはかなり大袈裟だ。普通に味が好きなんだと思う。貧乏性なので砂糖と牛乳を入れて苺ミルクにして食べた。今はあの人のお世話になっているから貧乏性を発揮しなくてもいいのだから、これも理由は普通にこうやって食べるのが好きというだけだと思う。なんか好きなものを普通に好きと言えるのって幸せだな。



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