スレ一覧
┗1407.telescope(31-35/49)
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35 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/02/19(水) 19:52
茉莉花の香る夜に心乱されているのは僕ばかりのような振る舞いをしたあの男だが、余裕ぶったくせをして結局は彼もお行儀良くはできないようだ。前のページにも似たようなことを書いているあたり、どうにも僕は彼のそういうところを見るたびに浮かれて筆を執っている。いつしか手段ではなく目的として、このノートを開くようになってしまった。深く根付いてしまった恋だとか愛だとか呼ばれる執着の病はふとした隙にも思考を愚鈍に引き摺り落とそうとして、けれど彼のそれが僕の感情を擽るたびに胸に感じる温もりは凡人のあるべき輪郭を確かめる。別れ際の肌に残された熱は、今もそこに柔らかく残っている。
※惚気
どこを愛していると伝えるために口付けるのなら、僕からは左胸たった一ヶ所だけでいい。その内側にある鼓動が一番に愛おしくて、何よりも慈しむべきものなんだ。
[01:02] 腕の中の君に、少しでも良い眠りが訪れるように。
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34 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/02/14(金) 11:55
「明日から少し忙しくなるんだ」「会えなくても、何気ないことでいいからメッセージを飛ばしてくれると嬉しいな」
奴からそんなことを聞かされたのは5日ほど前のことだったが、結局僕が何かを送り付ける暇はなく、多忙の終わりも見えてきているらしい。これは僕が薄情だというよりも、あの男が僕に「暇」を作りはしなかったためだ。朝から先に仕事を始めながら、僕の起床時間になると寝室に戻ってきて、覚醒から身支度までを側で見守っていたあの男。珍しく飛び出す彼のわがままをどれも叶えてやりたいのに、時間が足りていないのは僕と彼の共にであるからもどかしい。彼よりも少し遅れて帰宅した昨夜、リビングを空にしてベッドに沈んでいた彼の気持ちを僕だってわからないわけではない。
このまま彼の部屋で休暇を過ごしていると思考に汚れが積もりそうなもので、創造物たちの世話を済ませたなら一度自宅のバスタブに浸かることにする。何気ないこと、とはこういう話を指すのだろうか。あと一日の半分もしないうちに、カウチでもベッドでも直接語り聞かせてやれるというのに? チャットルームはいつかの夜の着信を最後にして、指先が過去をなぞるばかりだ。
※惚気
彼に差し出されたチョコレートの甘さがまだ舌に残っているような気がする。あれから二度も歯磨き粉のミントに洗い流されているのだから、勿論錯覚でしかない。彼の温度に溶かされたチョコレートを飲み下して、どうやら潔癖というのは情欲に覆い隠されてしまうものらしいと頭の隅に考えた。素面であれば絶対に、誰であれ他人が口を付けたものを含みたくはないはずだというのに。
どこかのカンパニーの商業戦略が始まりとはいえ、既に人々の生活に定着している季節行事に便乗することを愚かだとは言わない。何気なく手渡される差し入れはチョコレートが増え、どこの店頭にもラッピングされた小箱が積まれている中で日々を暮らしていれば誰だって意識をする。僕も1ヶ月と3週間前と同じ轍を踏む愚鈍にはならずに済んだ、つもりではあるのだが。
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33 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/02/08(土) 14:50
今は本来ならば潔癖が加速している季節のはずだ、と気付いたのは彼の手に触れたときだった。この時期といえば、大学ではとにかくレポートの添削を繰り返し、テストの結果をバカ極まりない手段で誤魔化そうとするどうしようもないアホを追い返す。年度の始めよりはよっぽど数を減らしているが、ダメ押しとばかりに悪天候の日もあれば日照時間は減っている。変わらないルーティンでは汚れを濯ぎ足りず、頭痛に悩まされる頻度は高まり、石膏頭越しにもマヌケの顔を見ているのが苦痛で仕方がない。苛立ちと自問自答のまま、整えた入浴環境に身を委ねても尚深い陰鬱に沈む夜もある。――不快感も受け入れなければならないものとして、そのように暮らしていた、のだが。
このごろはとみに寒い帰路を辿って、帰宅したなら一番に手洗いとうがいを済ませる。そうして冷えた手を、彼の掌であたためてほしいと思った。触れた温もりは日中に積もった憂鬱など簡単に吹き飛ばしてしまって、抱き締める身体は一人では気付くこともできないあたたかさを教える。与えられるものは温度だけではなく、優しさだった。汚れを削ぎ落さなければという焦燥は、育つ前から消えていく。緊張を解き、精神を安定させる脳内物質の分泌。言葉にすればそれだけの理屈だが、彼以外からこれを与えられたところで同じように受け取れはしない。
君がいるから僕は変わりない日々を過ごせているのだと、今日はそのことを伝えるべく筆を執った。あの自信に満ち溢れた振る舞いをするギャンブラーが、まさかとんでもない思い違いで下を向いてしまうことが無いように。
訪問先の研究室は雪の降る立地なものだから、移動時間には少しばかり余裕を持たせて出発した。交通は鈍り不便もあるが、年に数度のことなら積雪を眺めているのもなかなか悪くない。差し入れにと渡されたチョコレートは研究室にも同じ物が置かれているので、厚意と判断して有り難く頂戴した。しかし一人では食べ飽きてしまうだろう量だ。作業中の糖分補給用にするよりもまず、彼の自宅に持ち帰ることにする。
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32 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/02/04(火) 11:57
ページを分けておくのが通例なのだろうとは感じつつもノートの冒頭に白紙が残っていないもので、一先ず前書きの端に仮の本棚を設けた。いずれそう使うこともあるかもしれないと残していた余白は付箋に指を引っ掛けるための一枚になって、充分すぎるほどの役割を果たしている。
僕の性質としては、個人的な日記を覗き見るにしても、書き手について確かな情報を己で読み込んでから触れたいと考えている。しかしこの広い宇宙の人々が集まる場では徹底は難しいのが現状だ。本棚に入れている日記以外にも目につくと手に取っているものは多い。書き手を知らずとも記される内容は大変興味深く、知らないということも含めて楽しませてもらっている。各々の感性で日々を書き綴る君らに感謝を。
※惚気
満たされる感覚を知るたびに、自分の思考がどれだけ情動によって形作られているというのかを理解させられる。日付が変わるまで帰らない彼を待つ心さえも穏やかで、今日の為に認めた手紙だけを潜ませたならベッドをあたためて微睡むまでの余裕があることが、自分ながらに不思議でならなかった。ここ数日、ディベートの傍らでさえも彼を求めてやまなかった焦燥が嘘のようだった。
毛布に包まりながら素肌同士で触れ合って、充分に愛おしさを交わして、彼の華やかな香りと肌の甘さに沈む。朝の気配まで感じるころには混ざり合う体温の持ち主がどちらかさえ曖昧で、あの男はやんちゃな創造物たちよりもずっと悪戯な振る舞いをして僕の胸の内側を擽る。浅い眠りから瞼を持ち上げると決まって彼が微笑むものだから、愛おしいということ、そして愛されるということを思い知らされる。
彼に揺り動かされる感情の軌跡をいくら書き連ねても足りないほど、自分自身への呆れさえもどこかあたたかく胸を満たす要素の一部となってしまうほど、恐ろしくも愚かしくもたった一人を愛している。痛みを残すまで刻まれた彼の痕跡が、注いだ愛の証明が、目には薄れてしまうころになってもそれは変わらないはずだ。僕の独占欲ばかりで押し付けるモチーフや装飾と同じように、今日をまだほんの足がかりにしてさえ褪せはしないと信じている。
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31 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/02/01(土) 14:46
技術開発部を訪ねるエントランスでさえ彼との思い出が蘇るのだから、まったくこれは確かに病で、手に負えないものだ。甘えた声の呼び出しに悪い気はせず、寧ろ彼を待たせる一秒さえも惜しかった。だから静まり返ったロビーで守衛の目だけを掻い潜って、手袋越しに、ほんの少しばかりを触れた。邪魔臭い指輪のついていない方の手を選んだのは近かったから、ただそれだけだ。それくらいの衝動で、そうせずには居られなかった。帰りが夜になったならあの日とは別の夜空の下に、けれどまた彼の体温を思い出すのだろう。今の季節のように寒い日でも、そうでなくとも。
あの男から教えられた曲にどれだけの意味があったのかは知らないし、彼から告げられた言葉以上の邪推をするつもりもない。一切覚えがなかった曲名に反して記憶にあるメロディを聞いたとき、これは厄介なことになると思った直感はやはり真実だった。僕がそれを意識しようがしまいが街中に流れる音楽は勝手に耳に入ってきて、たった一人を連想する。それだけならまだ正気だ。今日は特別、その曲に僕たちを思ったと照れくさそうに言った彼の気持ちと重なるものだから、愛おしい恋人を抱き締めたくて仕方がない。今日が彼を待つ夜だろうと、その温もりが帰ってきてくれるのならいい。
[00:25] 急く気持ちのまま作業を切り上げて、待つつもりで足を運んだ先は当然ながら彼の自宅だった。ペットたちの暮らす部屋にはいつも電気が点いてる。ドアを開けた先に彼が居るとは思っていなかったから、第一声で不機嫌を装ってしまった自覚はある。それでも腕は、理性で包み隠そうとした本心は、不思議そうな表情でおかえりを言う彼を求めて止まなかった。こちらの虚を衝くような彼の仕草も同じ理由であったなら、昨夜の僕はきっと救われる。
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