日記帳 【壱】
┗212.[〆]ヒガンバナ(16-20/114)

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20 :狛/治
12/16(木) 03:36


十八日目


年の瀬であるし、部屋の片付けをした。

俺たちはなんせ
節度無く話題を転々と変えては
取り留めも無しにだらだらと会話するから、

どうにもこうにも部屋が散らかる。


栞代わりに活用する筈だったスタンプも
朝の乱れ打ちによってまるきり意味を成さなくなった。


だが俺は知っている。


"満月の灯りによって影はどれ程差すか"と
甚く真面目な討論の最中に、

その麗しい唇で性癖を語り出すアイツがほぼ悪い。




…………
—設定を探す筈がお前の愛らしい呟きに目を止めてしまい、
どうしようもなく顔が観たくなる。
不便なんだ。

"似たようなことをしていてグッと来た。
 纏めようとしていつも当時の方に意識がいってしまうんだ"



結局似た者同士だ。
あちこちに棚を作ったから活用するように。






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19 :狛/治
12/15(水) 00:01


十七日目



アイツが勧めてくれた音楽を一緒に聴いた。
隣に並び、手を重ねて。


歌詞の内容はとりわけ珍しくもなく

長く連れ添った恋人同士が
悲喜を共有して、思い出を刻み、
ついに片方が最期を迎えたとき、
それを笑顔で見送る というもの。


まあ、ありがちと言えばそうだろう。

しかし、美しい歌だったんだ。


俺たちは二人して
みっともないくらいに情緒が壊れて、
立ち込む感情の処理の仕方が分からなくなって、

喋ることもままならなければ
碌に身動きすらできなかった。


それでも、やっとのことで口を開くと
すぐにアイツの視線が向けられることに酷く安心して、

普段は時間を惜しむように騒がしいあの部屋が
笑える程に静まり返った空間で

手を繋いで見つめ合った。



…………

"予想外に深手を負ったね…お互い"

─恵まれ過ぎていて不安になる。

"それ、正しくそれなんだよ"






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18 :狛/治
12/14(火) 04:03


十六日目


愛し合った反動はデカい。

アイツは昼に寝過ごし、
俺は夜に寝落ちた。


目が覚めた早暁。

どうしても顔が見たくて、声を掛けると
口が回らない、寝惚けたかわいい返事が聞こえた。



…………
前世の話のその後。

—前世も長生きしていたんだろうか。


"何となく、俺が早死して
君を置いていってしまったかもしれないと想像したんだ。
だから惜しげなく伝えるのかなーって"


—伝えきれなかった分を。

"凄い締め付けられるんだ
 泣きたいほど嬉しくなる"


—二世分の愛を受ける側も大変だなあ。

"幸せだよ"


—もう死ぬなよ。

"今世は君を看取るよ、泣きながら笑い掛ける"



切なくて、嬉しくて、言葉にならなかった。





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17 :狛/治
12/13(月) 02:29


十五日目


普段はふにゃふにゃと笑っているアイツは
実は、嗜虐性を秘めている。


もうやめて欲しい、と願っても尚、
愉しそうに行為を続けるアイツの顔に

恐怖と、緊張と、息ができない程の興奮を覚えた。


事後になれば労わるように俺の身体を拭うアイツが
手放しで喜んでいて

いつもの笑顔を向けてくれたことに俺は安堵して、
それがとても心地よかった。


褒められるのが嬉しいのか、

酷くされるのが嬉しいのか、

こうして分からなくなっていくんだろう。


堕ちるというのはこういうことなのか。
初めてアイツを恐ろしく思った。



…………

"なんで?!そんなに嫌だった?!?"

—落差がありすぎるんだ。




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16 :狛/治
12/12(日) 00:01


十四日目


抱きたい。

眠気が差すと、理性と知性がおかしくなる。

欲を押し付けて、
全てを奪ってしまいたい衝動が堪らなく立ち込む。


俺たちは互いに攻め気が強いから
互いに互いを抱きたくて
それが悲劇を生んだ。



……いや。正確に言えば俺が悪い。


前回抱かせてもらったから、
次はアイツの番だと、そんな流れができていたのに

欲に駆られてすっかり失念していたんだ。


アイツが取り出す、あみだくじ。


俺たちの上下は天任せとなった。


…………


"来年の師走には今回のことを思い出して
 笑い話にしてるんだろうなあ"

—それはいい。
5年後も、10年後も、一緒に笑おう。




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