日記一覧
┗70.滅紫の黎明(26-30/40)

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30 :へ/し/切/長/谷/部
07/07(火) 01:12


射し込む光は眩しく、目蓋を照らす。未だ霞んだままの眼を擦りながら隣にあった筈の温もりを求める様に腕を伸ばすと、そこは蛻の殻だった。代わりに何処からか優しい出汁の香りが漂い、鼻腔を擽る。

小気味良く俎板を叩く包丁の音が響く厨に足を踏み入れると、食卓には盆が置かれ、料理が並べられていた。湯気が立ち上る黄金色の出汁から取られた味噌汁の椀、小鉢には瑞々しく青い香りが残る胡瓜の浅漬け、隣に品良く並べられた水茄子の糠漬け。色艶の良いそれは恐らく昨晩に漬けられたのだろう、よく漬かっている。茶碗によそわれた白米は艶々と輝いており、噛み締めると仄かに甘味があるに違いない。その隣には夏らしく青々とした南天の葉で飾られた鮎の姿焼き。

視線に気付いたかのように音は止まり、振り向いた彼奴は薄く笑って、白魚の様な指先で胡瓜の浅漬けを一欠片摘まみ俺の唇に押し当てた。少しだけ唇を開いて口内に招き入れると、広がった味は少し塩辛い、だが白米の共には良い塩梅だった。そんな俺を見て、初めて彼奴は唇で言葉を象る様に、昨晩の余韻が残る掠れた声で音を紡いだ。


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29 :へ/し/切/長/谷/部
07/04(土) 02:49


未だ体温を孕んでいない、冷たい布団を爪先で蹴る。上がりきった温度が染み一つ無く、純な白のそれに奪われていく様が心地好い。ふと視線を移せば、月が青白い光を障子越しに射し込ませては、朧気に辺りを照らして影絵を映し出していた。水鏡程に明瞭ではないそれは輪郭を暈し、灯火の様に揺れては形を崩して、奇々怪々な姿へと変貌していく。雲に隠れて光が届かなくなると、先程まで飛んで跳ねてとしていたそれは音も無く消えた。きっと風に吹かれて、惜しみながらも何処かへ去ってしまったのだろう。零れた涙の様に、大粒の雨が土を叩いた。


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28 :へ/し/切/長/谷/部
07/03(金) 01:53


>>>60の鶴/丸から。色々考えながら答えるのは意外と楽しかった。そう無理強いされたつもりもない…もし良ければ、いつでも回してやってくれ。礼を言う。


>【誰かのイメージバトン】 #誰かへのイメージとは様々な答えが存在する位に十人十色です。深く考えず気軽に、自分が決めた相手に対するイメージ等を晒して下さい。(※真面目、おふざけ自由に!)

#◆相手のイメージカラーは?
黄色、橙…そんな感じの明るい色だろうな。俺とは真逆というか、まるで太陽の様な明るい色が似合う。

#◆そんな相手を一言で言うと
面倒くさい。…悪口ではなく。無論そんなところも嫌いではないからこれ程まで長く隣に居るわけだが。お互い面倒くさいという話はよくするくらい、面倒くさい。

#◆因みにどんな性格?
放っておくと直ぐに暴れる。暫く機嫌が悪くなったまま直らなかったり…まあ俺が悪いのは解っているからな、黙って機嫌が直るまで隣に座っている。

#◆食べ物に例えたら
癖の強い、だがその味を好みだと感じる人間にはとことん好みな…そんな食べ物じゃないかと思う。…例えは直ぐには思い付かないが…何だ、苦瓜?わからん。

#◆相手が好きな事って
手酷くされること。…これは言っても大丈夫なのか?縛られたり、殴られたりするのが好きらしいが、俺は別にそういうのが好きじゃないからな…なるべく趣味趣向に合わせようと努力はしているが、難しい。

#◆相手のイメージ曲
趣味が露見しそうで躊躇われるが…東/京/事/変の入/水/願/いなんかどうだろうか。似合っていると思う。

#◆第一印象
何だこいつは、という感じだった。未知の生き物というか…良い奴すぎるという印象があってな。まあそれも演技で、もっと狡猾な奴だったわけだが。

#◆その相手実は…
良い奴じゃなかった。俺に勝るとも劣らない外道だった。

#◆今の印象
相変わらず外道だとは思うが、懐に入れた奴にはとことん甘い。あとは…我慢強い奴だな。どんなことでも大抵黙って受け入れてくれている…気がする。ただまあ、我は強いからな。言い争いになろうとも、譲れないことは絶対に譲らない。

#◆相手を何と呼んでいる?
燭/台/切。滅多なことでは名前も呼ばない。その分、名前を呼ばれた時は特別な気分になるだろう?

#◆ずばり、その相手の名前は?
燭/台/切/光/忠。(便宜上)

#◆良かったら一言どうぞ。
こういった所謂惚気の類いは苦手だと思っていたが、存外楽しめた。

#◆お疲れ様でした!回す方を五人指名して下さい。
取り敢えず指定するのはやめておく。もしやりたい奴が居れば、持って行ってくれ。


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27 :へ/し/切/長/谷/部
07/02(木) 01:11


埃を被っていたそれに記されていた文字。繙く様に全てが繋がり、蘇る。古傷の疼く様な体温、匂い、声、全てが。掬いきれなかった欠片は知らぬ間に掌から零れ落ちていった。いっそ底が抜け落ちて、全てが跡形も無く消え去れば良かったものを。僅かに残った欠片を這いずり回っては血眼で探す自身の姿たるや、なんと未練たらしく惨めなことか。変えられる筈もないのに、未だに過去の自身を責めては薬指を撫でる。俺の手元に残ったのは、色褪せた天色の髪紐と嘘。 

どうしてこの身に爪を立てては、真新しい傷を作っていくんだ。後ろを見て前に進んでいくなどと器用な真似は、俺には到底出来ないというのに。


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26 :宗/三/左/文/字
06/29(月) 01:25


多くの日記の主が貼り返し不要と書いているので、毎回少し悩みますね…ですが僕は僕でやらせてもらいますよ。実は前から読んでいたり、或いは読んでもらっているという事がきっかけで、僕も貴方の言葉が気になり始めました…という僕なりの意思表示ですから。それなら文句は無いでしょう?

…しかし、棚も溢れてしまった…。背表紙が二桁と三桁辺りででも、分けてみれば良いのでしょうか。長/谷/部が帰って来たら、美しい装丁の日記たちを並べるに相応しい棚を誂えさせますかね…早急に。一言、主命とでも言えば、あの男は金槌で自分の手を打ちながらでも仕上げてくるでしょう。

*
>>>206
こちらこそ、丁寧にありがとうございます。
諷喩的、ですか…初めて言われました。僕としてはそういうところを目指して、というかそういうつもりで書いている日記なので…素直に嬉しいですよ。
子ども、ああ…長/谷/部が書いたので少し堅苦しかったかもしれませんけどね。でもそう言ってくれる人が居るというのは有り難い。
…ふふ、折角ですから話も沢山したいですから。僕も少しでも切っ掛けを作れれば、と本棚に入れさせて貰いました。良ければ、仲良くしてくださいね。


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