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┗睡蓮の記憶(253-261/261)
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261 :
滝萩之介
2021/02/12 03:00
試合があるって。練習試合じゃなくて…、公式でもないけれど…練習なんてレベルの手合わせではない試合が。
あの立海と。
オーダーはまだ聞いていない。
願わくば…と思う気持ちがある一方で、きっと…と思っている自分もいる。可能性だけを信じられないことが悔しくはある。肩書きはすべてではないけれど、戦う力をくれた。今の俺は背負うものがない。プレッシャーも失うものも。そんな者が共にコートに立てるだろうか?
そもそも、あの…世界を相手にした人間と一丸となれるんだろうか。
あの冬の大会に関して、例えば聞いた話では、高校生の中には選手からサポーターに転向した人もいるという。
彼がその道を望んで選んだのかはわからない。ただ、その思い切りが羨ましい。俺はまだ……。
折角試合を見に行ったんだから会って聞いてみたらよかったかな。
とにかく、今は望みがあるのなら試合に出たいと思う。春が来たら高校生になってしまう。その前に何か、為し得たことが欲しい。俺は俺の力が見たい。俺だって学園の名を背負いたい。自分自身のために戦いたい。こんなに膨れてしまった俺の欲望の相手はもはや、同級生では務まらないだろう…。旧知の彼でさえ。
努力ならしてきた。それが実らないのならそれは、方向を違えていたか足りなかったか、運が悪かったか…あるいは…変わってしまったか…、……。身を置いてきたものと同じでないならば、俺の枠は。
そういえば大会のさなか、立海の……が、彼と組んで負傷した話も聞いた。あれから回復したのかな。
当日にはせめて顔が見られるといいけれど。
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260 :
滝萩之介
2020/10/19 07:18
もうすぐ誕生日だって。誰のかって?そんな野暮なことを聞くなよ。
耳打ちついでに耳朶を囓ってしまうよ。
多分、生きていて一番嫌な夏だった。…と思う。それはなにも2020年だからではなく、俺が生きてきた15年に少し足りない時間の中でだ。
あの眼差し、足元、たくさんの目、監督の声、切り取られた映画の画面のように浮かぶ。俯瞰しておきたいのは、自分の身に起きたことだと自覚してしまうとまだ涙が出てしまいそうになる時が…あるから。
7月、長雨に濡れる草木の青さが目に痛かった。教室はなんて狭いのだろうとも思った。テニス部からの噂は早く、逃げるように図書館で過ごしたこと…幾日。いや…週間?もうあまり覚えていない。その頃の記憶があやふやだ。ぼーっとしていたんじゃないかな。逃避中、紙で指を切ってしまった時は痛みより先に本を心配した。図書館の、公共の本を。
所詮俺たちはコマだ。チェスと同じ。目的は勝利。正レギュラーでいることはそういうことだった。
それでも、そのことと、他人の背中を見ることのつらさは別物だ、…と、…感じた。それなりの付き合いがあった人間が部長として何を考えればいたのかは結局わからなかったけれど…。
自分の手で何かを手に入れることの意味をやっと知る。
そんな嫌な夏も9月の終わりには途端に褪せて、やっと少し…、ほんの少し、立ち直れてきているような気がする。
ラケットを握って思い出すのはあの音。ボールの感触。コートの向こうへ抜けていく軌跡。体が動く。相手の動きを見る、読む。一瞬の判断で当てる、回転をかけて、思い通りのショット…。
わかるんだ。テニスが楽しいって。散々やったんだから。
多分、きっと、後悔や未練を抱えながらでも、テニスが好きだって…言うんだ。この先も。
俺が先輩たちの姿を追い、憧れていた関東大会は、終わってしまった。
正レギュラーなら出られていたかもしれない全国大会も終わってしまった。
その事実は変わらなくても。
---
えーっと。そう、近況。
ぴことはたまに待ち合わせをして会っていたんだけれど、それ以外の皆にはもう随分と、全然。
関わった人のことなら覚えてるし、元気だろうかと時々顔を思い出すよ。
俺は相変わらず。今は誰に身を焦がすでもなく穏やかに過ごしてる。
愛猫の相手をしてるだけでも毎日楽しいからね。あの甘えん坊。
ああ、連絡先は本当に変わっていない。これは本当。試してもいいよ。…笑
また書きに来るよ。
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259 :
滝萩之介
2018/04/07 04:23
新年度になった。中3になってやっと中3なのだと感じる。
僕は相変わらず僕のままだけれど、小さな変化を感じながら過ごしている。テニス部の正レギュラーで、会計の仕事もしながら、ほんの少しだけ袖が短くなったようなブレザーに腕を通せば手首にぴったりと止めたカフスが覗く。
君の足取りはいつからかわからなくなってしまった。僕はわからないことが怖かった。なにも君のことだけじゃない。この世界の様々に対してそうだった。わからないことが怖かったから、本を沢山読んで、例えば小説から愛を学ぼうとしたり、例えば一般書から知識を学ぼうとしたりした。わかりたいからではなく、わからない恐怖を拭うためにだ。
そんな間に君はいつの間にか。…。
やっとわかったのは、世界の様々をすべて理解する必要はないってことだった。わからないことはわからないままでも大丈夫なんだって。
理解を諦めるのとは違って、わからないとしか表現できないものとわからない前提で付き合う方法もあるってこと…。
君のことは未だに僕はわからない。けれど、わからないなりに付き合うより良い方法がわかったよ。高校までにそれに気付けたのは大きい。
去年はそういう夏だった。
今年の夏はどうなるだろう。部室には大会の文字が早くも踊っている。正レギュラーの重さも、今になって感じる。ジャージの袖はシャツと同じでぴったりだから。
来年もテニスを続けるのか、やめるのか、それはまだわからない。だけど、せめて今は好きでいたい。僕には僕のテニスがあるって気付けてきたから。僕のやり方で僕の身体を使った、僕のプレイ。時々、咽につかえた罪悪感がそれに型を与えようとするけど、自分の気持ちを貫けた時は少しだけ…少しだけ、罪悪感も晴れる。自分のためにテニスをしたいと思える時。汗をかくっていうのは、意外とそういうことなのかもしれない。だから、今はテニスが好きだと…言うよ。
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258 :
滝萩之介
2016/04/11 03:09
新年度になった。中3になってやっと中3なのだと感じる。
僕は相変わらず僕のままで、何一つ変わらないでいる。テニス部の正レギュラーで、会計の仕事もしながら、ほんの少しだけ袖が短くなったようなブレザーに腕を通せば手首にぴったりと止めたカフスが覗く。
君の笑った顔を思い出す。どうしたら君の日常に入り込めるのか、そのことをノートにペンを走らせながら考える。最初の授業は大して進むこともなかったからその時間は十分にあった。
咽につかえた罪悪感のようなものも得体を知ることができないままで、変わらないでいる。少なくともこの十数日という時間はそれを変えてはくれなかった。
君は貪欲だ。自分から取りに行くと言っていた。僕はその貪欲さが羨ましかった、…ううん、羨ましい。現在形で記さなければいけない。昔も、今も、羨ましいよ。
たくさんのことを覚えながらたくさんのことを忘れていく。空想世界に捨てていったたくさんのことを取り戻しながら構築したいと思う心と境界線の狭間で、僕は。
鈍器は破壊のためにある。何を破壊するのかーーーそれともラケットくらいの大きさになるまで削るのか、もっと色々な方法はあるはずなんだ。それを学校の授業と同様に学んでいかないといけない。
高校生になるまで1年。今年の夏は…どうなるだろう。去年の先輩たちの成績を越えられるだろうか。正レギュラーの重さも、今更になって感じる。ジャージの袖はシャツと同じでぴったりだから。
来年もテニスを続けるのか、やめるのか、それはまだわからない。だけど、せめて今は好きでいたい。汗をかくのは意外と悪くないって、転んだり失敗したりするような格好悪いことも悪くないって、君を見ていると思う。僕にはまだそれが難しいときもあるけれど、擦り剥いて焼けたように痛む肌を外気に晒すのは胸を張って生きているという気持ちにもなる。だから、今はテニスが好きだと…言うよ。
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257 :
滝萩之介
2016/03/20 04:33
自分のことを懸命にやることが今一番の最善の策なんだろうと思う。それは決して君に構わないという意味ではなくて、寧ろ…きちんとやるための準備、今このままでは君をこの腕で守ることはできないから。ままならない自身を調えることこそ、きっと最優先でやらなければならない。
もしかしたら君の時計には間に合わないかもしれない、でもそう弱気になってもいられない。やらない時間は過ぎていく。やった時間は重なっていくのに。
あの時の感情はまだ息づいている。僕が空想に吸い込まれたとしてもそれはなくなりはしない。手元に引き寄せて、そしてまた別の未来を。
だってああいうふうに呼ばれたのはとても嬉しかったんだ。
僕もいつか大人になってしまう。大人になるのはとても怖い。僕の周りの大人のように、僕もなってしまうのかと思うと。
それでも大人の時間はいつか来る。嫌でも逆らえない。だからきっとその時のために、大人になる準備を少しずつしておかないといけないんだね。それが調えるってこと?残したい蕾は種にして、そうして、花を咲かせて…。そういう作業も、本来ならある術を伝えられる筈のところを誰に習うでもなく、すべて僕の手で…手探りで、何も知らないまま、一つの作品を。
大人の僕とこどもの僕とを分ける境界線なんてあまりに恣意的だから、そういうことをわざわざしなくていいくらい、ちゃんと、仕上げて。きっと本当は大人になるために何かを捨てなくたっていいんだ、わざわざ。それを知っているはずなのに、何かを捨てないと大人になれないような罪悪感のようなものがずっと咽に詰まっている。
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256 :
滝萩之介
2015/12/07 05:48
僕が何故飛べてしまったのか、理解できたような気がした。
深く深く潜らないとわからないことがまだある。
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255 :
滝萩之介
2015/11/26 02:38
君の前に立つ日を僕は手に入れる。
そういう秋だった。
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254 :
滝萩之介
2015/05/24 20:42
大丈夫、少しずつ変わっていくからと言われたことがある。
僕はいつからか、自分自身の言葉を失い、無音と迎合し、質量だけになっていた、多分そういう時の言葉だった。
僕は諦めない。夏のあの眩しさの中で逆光のテニスボールを打ち抜く、あの感触を。過去の僕も、未来の僕も。
例えばそれがファンタジーだとしても。
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253 :
滝萩之介
2014/06/09 03:08
ここに記録をつけていたらいつかあの子に届くかな。
君を泣かせてしまったとき、君は、僕が今まで出逢ったたくさんの人に
今、君と過ごせて幸せだと、伝えてほしいと言ったね。
そんな風に言われたのは初めてだった。
君みたいに己の不甲斐なさで泣くような子も、初めてだった。
話している合間にその片鱗を何となく感じたから惹かれたのかもしれない。
>>>
夜の公園の前で抱き締めたあの時の、君の言葉の真意はわからなくて―――でも
それが本当でも、嘘だったとしても、何となく君には応えたいと思ったんだ。
言葉が真っ直ぐだった。そういう根が素直なところ、僕は好きだよ。
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