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スレ一覧
┗1407.telescope(11-15/46)

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15 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/30(月) 19:29

こちらに技術開発部からの報告が届くのだから当然といえば当然だろうが、この時期も互いに落ち着けはしない日々らしい。他人事のように多忙を慮る彼だったが、僕はそもそもあまり季節に頓着しない性質なもので、出向く必要のある連絡が入らないかの意識をしながらでも、今日という休暇が得られたなら充分だ。ノートの体裁を整えるにあたって全てのページを見返したところ、彼を表現する言葉が今となっては適切ではないものだったので少しばかり懐かしんだ。彼とは朝にも昼にも顔を合わせるようになったし、夜空の星というには些か距離が近い。地表から見る宇宙というのはあんなにも遠かっただろうかと、星空を見上げて思うのは決まって彼と満ち足りるだけの時間を過ごした後だ。あのギャンブラーが僕の手元に落ちてきて、ふとした瞬間にその輝きが掌にあることを実感して、改めて自分がバカな例えをしていたことに気付かされる。彼の書き込んだページが目に入れば、あの男、と素っ気無さを装った呼び方で彼を書き記すことさえも躊躇う有り様になってしまった。


成人向けに相当する内容は含まれない、と頭に書き添える。朝洗面台に立って見る自分の姿にどうしてこんなことになったのだかと考えて、答えを導き出すまでに林檎がふたつ落ちてくるだけの時間が必要だった。昨晩、そもそも彼の肌を強請ったのは僕だった。彼の生まれを考えるに配慮するべきだろうと思い込んでいたのは僕の余計な勘繰りで、彼は躊躇いなく僕の欲望を受け入れた。痕が残るほど、をできなかったのは、やはり僕の勝手な感傷だ。加害的な傷跡の代わりに、小さなそれのいくつかと、数えるのも愚かで億劫なほど、は交換だった。幸い、石膏頭は首までを覆う。彼によって残されたこれらはしばらく消えはしないだろうが、明日も問題無く出勤することができるはずだ。彼の方はどうだか知らないが。


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14 :ア/ベ/ン/チュ/リ/ン(hsr)
2024/12/29(日) 14:56

ううん、僕の胸の中の愛のカタチはきっともう君じゃなきゃピタリと当てはまらない。

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13 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/29(日) 12:27

ここの存在を彼に隠すつもりはなかったし、彼が偶然にでも見つけてしまうことがないのなら、そのうちいつかにはきちんと伝えるべきだとは考えていた。ただ僕の想定ではまだずっと先のことで、まさかあんなにもみっともなく中身を明かす羽目になるとは思いもしなかった。けれどあの夜は、いくら冷静に自分の心を整理しようとしても、彼に向けての言葉しか出てこなかったんだ。以前より繰り返しになるが、彼の知らないところで彼に向けての言葉を残したところで、それは無意味に消えて行くだけだろう。だから、この一冊を彼の枕元に押し付けた。それから彼がノートの存在に言及するまでの胸の内は、いっそ笑えるほどに自虐的なものだった。今となってはその理由にも説明がつく。面と向かって話すよりもずっと冷静に僕自身を書き出したこのノートを、彼に愛して欲しかったんだ。感情的なひと言ふた言で嫌われてしまうのは仕方がない。自分の間違いを誠実で正せないのなら、それは僕の罪悪だ。しかし、彼への思いに満ちた頭で捻り出した、公開の場に置いて問題無いとまで理性が判断したこの気持ちを拒絶されるのは、想像だけで恐ろしかった。

僕は、僕のことを誰がどう見ようと構わない。アホの言葉には頭が痛くなるばかりだし、バカの反駁に気を遣ってやる必要も無い。『真理』の共有に於いて、他者が僕へ向ける視線は一切の意味を持たない。
だから、誰かに嫌われたくないなどと思ったのは、いったいいつぶりのことだろう。僕の姿勢や狭量が誰かを傷付けると、そう思い至って息さえも出来ないような心地になったのは? ――彼の心にある空洞に、どうやら僕はぴったりとは嵌まらない。それでもあの男が言うように「愛」というのが注がれるものであるのなら、「愛」で以って満たすことは可能なのではないかと仮定したい。愛しているのだと、伝え続けたい。とびきりに甘えた、ふやけた声で僕の名前を呼ぶ彼に、僕の内側はすっかりと満たされきってしまっている。

2日分の感情を書き出すと、どうにも自分ごとばかりで冗長になってしまった。明日以降のページはもう少し手短に纏めるべきだ。

※私信(惚気)
眠りにすら悋気を起こしたかわいらしい君へ。目が覚めてもやはり腕の中に居る君を抱き締めて、一番にこうして呆れた文章を綴ってしまうくらいには、僕だって君が恋しくて仕方がない。君がどれだけ取り乱したとしても、それが例えば僕以外の誰かに害をなすものでない限り、殴ってやることはできないだろう。代わりに言葉を尽くそう。君の腕を引き留めよう。そしてその指先に温度が戻るまで、その手に触れていたい。だから君の手で、僕を選んでほしい。暴力的なやり方じゃなく、君自身の意思で、側に帰ってきてくれ。

[19:15] いつもとは反対に、あの彼が僕の為に安眠の方法を提案してくるのだから、なんだかとても愉快な気持ちになってしまってたまらない。そもそも僕は概ね問題無く睡眠を取っているのだが、それでもあのギャンブラーが生活の質というものを整えるべきだと思っていること、僕に与えようとしていることには気分が良い。彼がペンを走らせたページを繰り返し眺め見て、つい唇の端が緩むのと同じように。

[01:17] 稀ではあるだろうが文字数制限が煩わしいので外部CSSを導入した。彼の書いたページはそのままにしておく。きちんとインクを選んだくせに僕の書きこんだ体裁に阻まれて、それでも君と同じ色で書き込めて嬉しいだとか言うのだから、その記憶ごと残しておきたくなってしまった。先の追記では言葉を省略したが、僕の心を妙に喜びで騒めかせるのは、互いに影響を与えようとしていること、だ。人間は思考することで己の輪郭を確立する。思考とは人間を人間たらしめるものであり、我々が個人として生きていくに必要不可欠な行いである。その根幹的な部分で、僕は彼に干渉してる。僕の思考はとっくに、彼と寄り添う為のものとなっている。


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12 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/28(土) 01:57

僕が初めて彼の寝室を訪れてから、今日で1ヶ月になる。彼の自宅の前から送った到着のメッセージに『いいね』が付いたきり、その晩のチャットにはユーザーのオフラインを知らせるシステムログだけが残った。あのギャンブラーは自分のプライベートなスペースに躊躇いなく僕を招き入れて、眠る前のその手が案外よくぬくもっていることを教えた。自宅への誘い文句は調子良く囀ったくせをして、接触は精々が診察の範疇に収まる程度のものだった。僕がいったい彼のどこにこうも強く引き寄せられたのかといえば、きっとその距離感が心地良かったのだと思う。
ここまでは彼にも話した思い出だが、更に言うのなら、あの夜僕はよく懐いたお菓子たちを可愛がりながらでも飛び出してくる彼の常々呆れた破滅的・諦観的な考えを、塗り替えたいと思ってしまった。君はそこで立ち止まるべきではないのだと。いずれ僕は自分の情動が彼によって容易く揺らされることや、彼の夜明けの孤独を知って、そして、そのうちにあの部屋で「おかえり」や「ただいま」を言うようになった。自宅の風呂に置いた入浴剤は、消費の速度が著しく落ちた。

この暮らしを、これからも続けさせてほしい。一人では出来ない、彼の意思あってこその生活だと、わかっているつもりだった。荒波で迎えたこの夜にも花言葉を用意した健気な恋人を、僕とはまるで不釣り合いに危うくうつくしい男を、それでも手放したくはなかった。振り払ってしまってもいいなんて嘘だ。本当は君を、どこにも逃したくなんかない。
ノートごと彼に伝えるつもりで、このページを結ぶ。


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11 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/26(木) 08:16

※夢の話
夢の中の僕は今よりもずっと年老いているようだった。知らない劇場の座席はクッションも柔らかく快適で、どうやらクライマックスを迎えているらしい演劇のその時になっても身体は疲労一つ訴えず没入を容易くした。誰だかの生涯の物語の、老いさらばえた男が、届かない夢に追い縋らんとする場面だった。男は初めから、わかっていたのだろう。凡人の足は宇宙の遥か先には届かず、枝のようになった腕で未知を掴むことは出来ないと。愚かという自覚を持ちながらそれでも伸ばした手が壇上で最後に触れたのは、同じく凡庸な老婆だった。がむしゃらに、だけども態度ばかりは冷静に、足掻こうとする腕を老婆は押し留めた。そして歌った。何のために私がここに立っているのか、それをあなたはもう知っているはずで、もう傷付かなくてもよいのだと。眠りを拒む子供に言い聞かせるように、繰り返し、繰り返し。優しいエンディングだったのだと思う。夢の中の僕も、きっとそう思っていた。男は彼女の身体に凭れかかるようにして、添え木のようにして、そして挑戦を終わりにした。どこにも行けない足でただそこに立つ為だけ抱き合う男女のシルエットに、紗幕越しに作られた夜空のような光景に、客席の僕は知らず涙に頬を濡らしていた。
目覚めのとき、そんなラストに覚えた胸の温かさがやけにはっきりと残っているものだから、夢の割には筋が通っている物語だ、と思った。次いで、自嘲するしかなかった。夢のくせをして、ひどく教訓的じゃないか。彼の細い身体を抱き締めたかった。僕は無鉄砲をやる気はないし、歩みを止めるつもりもないというのに。


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