スレ一覧
┗1407.telescope(6-10/46)
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10 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/25(水) 20:37
寝起きに囁かれた言葉でクリスマスという日の存在をやっと自分事に感じたのだから、これはいくら浮ついた気配に憂鬱な時期とはいえ、少しばかりの失態だったかもしれない。昨日、それから今日は、彼曰くとても特別な日らしい。メリークリスマスなんて挨拶をまともに使った記憶は子供の頃にしか無く、後は浮かれた人間への嫌味に投げかける程度のものだった。それが今年は結局、あの男に引き摺られるようにして自分自身浮かれてしまっているから皮肉だ。彼に強請られるままプレゼントを買いに足を伸ばした先、案の定街には愚鈍が多く行き交っていたものだが、側から見れば僕だって目を覆いたくなる愚か者の一人だろう。――たった一言の軽口に予定を変更して、それを欠片も苦とは思っていない。大変頭の痛い現実だ。さて、孔雀のように派手好きの男は僕の選んだ品に納得してくれるのだろうか。答えは彼の帰宅を待つ他にない。
※惚気
聖夜を自分たちの為のものだと言ったギャンブラーはいつになく素直で、僕にも素直を求めてくるその態度さえいじらしいものだった。互いの温度を確かめて眠る夜は幸福だった。彼が眠りへ落ちるところを見守る夜は、他の何とも比べられないほどに心が凪いでいる。今もたびたび悪夢に魘される彼が穏やかに故郷の夢を見たというのなら、それは正しく、聖夜が彼に与えた祝福だろう。互いに過去の話を深く語ったわけではない、けれど、この日が家族との特別であった頃を二人懐かしむ朝は悪くないと思った。コーヒーの一杯さえ用意をさせてくれない彼の怠惰な寝起きも、まだしばらくは矯正しなくていい。まずは彼の、睡眠の習慣を整えることを第一とする。
[04:02] 僕からのプレゼントは彼の手に収まって、まるで意識していなかった彼からの贈り物まで受け取ってしまった。だというのに、眠るまでのほんの僅かな時間で上手く噛み合わなくなってしまうから自己嫌悪にも陥る。理性を手放すなら手放すで潔く彼を求めればいいものを、半端に潔癖の意識が顔を出して、それで彼を傷付けてしまえば意味が無い。明日はもう少しマシな心持ちで彼と向き合えるだろうか。これは直接も告げたが、眠っている君へ。おやすみ、良い夢を。
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9 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/23(月) 20:27
僕もまさか口下手や筆不精を名乗ることはないタイプの人間ではあるが、しかし僕らの関係に於いてはあのギャンブラーの方がよっぽど上手く芯を捉えた言葉を紡ぐ。明け方、悪夢に起きた彼を宥めがてらタイミングを見計らっていた疑問を投げかけたところ、随分な答えに僕は碌な返しの一つも出来なくなってしまった。もしかすると愛の深さを見誤っていたのは僕の方かもしれないと、そう思ってもいいのだろうか。彼の甘える仕草に自意識を過剰にした、バカな男の自惚れだろうか。詳細はここには残さない。過ぎていった言葉を、記憶を、一番手軽に写し取る方法は書き記すことだろう。けれど、あれは僕だけが貰ったものだ。誰にも教えてやらない。忘れられない言葉がどんどんと増えていく。
飛び立つ先を知っている風切羽は、それでも彼が望む限り、僕の側で充分に休ませておくべきだ。視界に入るだけで喧しいアティニークジャクの飾り羽も、相対的に目にする機会は減ったものだが。
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8 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/21(土) 22:51
珍しく彼との休日が重なり、久しぶりになったまともな逢瀬はいつになく甘い時間を過ごしてしまった。互いの多忙が邪魔をしたとはいえ、触れ合っていなかったのは精々2日だか3日程度のものだ。それなのに彼と言葉を交わした途端に頭のどこかが切り替わったような心地で、この数日学生の指導にかかりきりだった僕の脳味噌は一瞬のうちに彼との休息をどう過ごすべきかに塗り替えられていた。思考の澱を洗い流すよりもずっと乱暴に、まるでまったく別の自分になったようなあの感覚が一般的に「恋」と呼ばれる盲目の状態なのか、それとも何か別の言葉で定義される感情に由来しているというのか、恋愛事には不慣れなものでわからない。
僕が頭のここまでを彼に支配されているというのに、どうして上手く伝わらないのだろうか。あのギャンブラーのアホ具合はそれさえも計略のうちなのかもしれないし、彼の晒さない心の内側は僕に診断できるものではない。己の心でさえ満足に定義できていないのだから当然に、だ。少なくとも僕は君を愛していて、唇を許すのは勿論寝台に引き入れるのも甘えた顔を見せるのも本当なら僕だけにしていてほしい。それから、あのお菓子たちにだけ。最後に関しては……至極不本意だが、仕事の内だと笑われてしまうかもしれないな。そういえば、いったい自分のどこが好きなのかという問い掛けに答えるだけ答えて、僕は彼からの言葉を聞き損ねた。次の休暇に、今度は僕から質問させてもらうこととする。
静かに泣くあの男の頬に頬を寄せたとき、柔らかいその感触に何故だか僕は彼に幼さを見たような気がした。派手に飾り立てた奥底へ過去を閉じ込めて、まっさらな身体をして今ここに生きている君の未来を、その端くれだけでも僕に預けてはくれないか。もしもの仮定などよりも、分たれるいつかの日を、無いものと願ってはいけないか。
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7 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/19(木) 21:03
日記とはいえ決して毎日のノルマを設けているわけではないが、2日続けてページを埋めても彼に関しての思考は未だ積もって濯ぎきれていない。このノートにペンを走らせるまで、行き場無く抱え続けていたものなのだから仕方がないだろう。感情の言語化は自分の状態を把握するためにも大切なことだ。僕の潔癖をどうにも重く見ているギャンブラーが身支度を整えて寝台に誘いに来るまで、思考の整理を試みる時間は充分過ぎるほどにある。
※惚気
あれは彼が僕よりも先に目覚めた朝だったか、それとも僕の寝起きが悪く彼を起こしてしまった朝だったか。あのギャンブラーは起き抜けにキスなんかをしようとするものだから、あの日の僕はまだ顔も洗わないうちから口腔衛生の講義をする羽目になった。これは潔癖がどうこうではなく、至極一般的な衛生意識の範疇だ。彼の使う歯磨き粉がフルーツのフレーバーであることを知ったのは、次のキスを交わしたときだった。それから朝一番のキスを強請るとき、どこか自慢げに鼻先を擦り寄せてくる彼が愛しい。赤く瑞々しい果実に彼を思い出すのは僕だけでいい。
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6 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/18(水) 20:15
昨夜、一度眠ったギャンブラーの目覚めを待つ間にノートを開いていたら突然声をかけられるので心臓が跳ねた。このノートの存在は彼に話していない。しかしそうなると共用の棚で彼の言動をそのまま書くことは憚られると今更に気付き、彼への感情に思考を奪われているときの僕は自覚よりもずっとアホになっているのだと思い知らされる。
抱き留めれば腕に胸元に擦り寄ってくる蜂蜜色は、腕の中に収まるとき、いつもの喧しさが嘘のように優しい声音で甘い言葉ばかりを吐く。互いが心地良いだけ触れて、僕からの言葉を伝え損ねたと気付いたのは次の朝を迎えてからだった。たびたび変わる後付けの香りも、その奥にある彼自身の匂いも、愛おしいと伝えられたのは記憶の限り一度きりだ。今夜はもう少しでもマシな言葉を交わせると良い。彼への言葉はこんな端に書き添えるんじゃなく、直接語るべきだろう。
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