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359 :
光と闇の教会[1]
2016/06/24(金) 22:56:18
──遠い昔。
ひとりの女神が人々のために教会を作った。
しかし、それをよく思わなかった悪魔は、負けじとその向かいに全く同じ形状の教会を作った。
西側の天使が作った教会は“光の教会”
東側の悪魔が作った教会は“闇の教会”
後に人々から“双子の教会”と呼ばれることになるその建造物は、天使と悪魔の決闘の場となり、長きに渡る戦いの末に天使は悪魔に敗れ、その地に封印されてしまったという。
・
街で聞いたそんなお伽噺を思い出しながら貴方は“双子の教会”を見上げる。
部分的に崩れかけているものの、各所に施された装飾が大変美しい。当時はさぞや信仰を集めたことが窺い知れる見事な建造物である。
だが、悪魔に奪われたというその教会は、今や荒れ果てて亜獣たちの住処になってしまっている。
今回ここに足を運んだのは他でもない、立入禁止となっているこの教会内、その最奥の“大聖堂”にお宝が眠っているという噂が、冒険者たちの間で実しやかに囁かれるようになったのである。
それを聞いた冒険者は次々と“双子の教会”に乗り込んでいったが、しかし、大聖堂に辿り着き戻ってきた者はひとりもいないという。
(ふむ…)
貴方は街で集めた情報を憶い返し、暫し思案する。
確かに見事な建造物ではあるが、天使と悪魔が作ったというお伽噺やお宝については眉唾モノであり、立入禁止になるほどの危険度を勘案するとどうも宝探しに興じる気にならない。
(…やめておくか)
(Win/Chrome, ID:1n5gI/lH0)
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358 :
光と闇の教会[2]
2016/06/24(金) 22:52:45
そう結論付け、踵を返そうとした時――白い服の女性が教会に入っていくのが見えた。
お宝の真偽はともかく、教会内が亜獣の巣窟になっているのは事実であり、とても女性がひとりで訪れるような場所ではない。
「キャーーーーーーー」
訝しげに思い教会に近づく貴方の耳に、教会内から先の女性と思しき悲鳴が届く。
考えている場合ではない。
貴方は駆け出し、半ば崩れかけた正面玄関を乱暴に開け放ち、教会内へ侵入する。
中は天井の高い礼拝堂。
その正面、白いドレス姿の少女と、今にも彼女に襲いかからんとする亜獣を見つけた貴方は、彼女を庇う形で両者の間に割り入る!
vs教会に巣食う亜獣
少女の悲鳴と共に放たれた光撃が亜獣を壁際まで吹き飛ばす。
今のでこの部屋の敵はあらかた片付いたようだ。
貴方はその場にへたり込んでしまった彼女に歩み寄り声を掛ける。
□
「あ、ありがとうございます…」
安堵の表情を浮かべ礼を言うのは、場違いとも言える白いドレスを身に纏った少女である。
いや、ここが教会であるなら場違いではないのか。
それはともかく。貴方は何故こんな危険な場所にひとりでやってきたのかを問い質す。
「実は…幼いころから…その…悪夢、に悩まされていまして…それをとある占い師に相談したところ、『“双子の教会”の大聖堂を目指せ』と言われまして…」
(Win/Chrome, ID:1n5gI/lH0)
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357 :
光と闇の教会[3]
2016/06/24(金) 22:48:50
なるほど、長年の悪夢を解消するためにわざわざこの教会を訪れてきたということらしい。
とはいえ、それが命がけとあっては割に合わないだろう。窘めるように返す貴方に少女は顔を伏して答える。
「うう…こんな危険な場所だとは聞いていなかったのです…。でも…私は何としても大聖堂を目指さなければいけません。ここに来て、そう確信しました…!」
語気こそ弱いものの、貴方を見上げた視線からは確かな意志を感じる。
全くどうしたものか。
他人の夢の話はどうでもいいが、ここで置いて帰って行方不明にでもなられると、今度はこちらの夢見が悪い。
(まぁ…乗りかかった舟か)
我ながらの判断に呆れて一度、嘆息。
貴方は自分が冒険者であること、そして、大聖堂のお宝探しのついでにそこまで同伴しても構わない事を告げる。
「大聖堂までご一緒に?本当ですか!?」
貴方の申し出に、少女の顔がパッと晴れる。
先の亜獣との一戦を見るに、どうやら彼女は戦闘に関して全くの素人というわけでもなさそうだし、独力で探索するよりかは幾分心強いだろう。
己の判断に整合性を保つため、そんな言い訳を考える貴方に向けて、元気よく立ち上がった少女は続ける。
「そうでした!名前まだ言っていませんでしたね。
私はイオと申します、よろしくお願いします冒険者さん!」
自己紹介を交えながら、貴方たちは先へと進む道――北西にある扉へと足を進めた。
(Win/Chrome, ID:1n5gI/lH0)
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356 :
ありません
2012/02/05(日) 14:02:27
ぬいた+.(・∀・).+♂
jn.l7i7.com(Win/Firefox, ID:wk633x/c0)
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355 :
匿名
2010/09/07(火) 08:34:12
>>354糸色望先生こんな所で何やってんすかww
(i/P903iTV, ID:dvfg5dyvO)
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354 :
匿名
2010/09/07(火) 01:47:12
>>353第二回
――まずい絶望のいれ方――
どことも知れぬ島の只中、小さな小さな森の奥に、こじんまりとした一つの家があったとする。
その家の中央には古めかしい木彫りの机があり、その脇には小さな椅子が二つあるとしよう。そして椅子の上には二つの人影がある。
一つの影は教師であり、一つの影は教え子だ。
――ただ、いつも見掛ける二人とは、シルエットが異なるような……
「先生。国語で質問があるんですけど、墓穴を掘るって、どんな意味ですか?」
「墓穴を掘るとは、他者を落とそう掘った穴に、結局は自分が落ちてしまう様。つまり、破滅への道程を自ら作ってしまう事の例えです」
「さすが先生!なんでも知ってるんですね」
「なんでもは知りません。知ってる事だけ」
「……先生。この掛け合いは二重に不味い気がします」
「奇遇ですね。私もそう思っていました」
「えぇっと……。でも、よくいますよね。自分から墓穴を掘ってしまう人って」
「例えば?」
「詐欺に引っ掛かったとノード掲示板で騒ぎたて過ぎて逆にブラックリストに登録されてしまったりとか、匿名で誰かを晒し上げたら実はIDで特定されていて逆に晒されるとか、平和について論じていた筈なのに何時の間にか隔離されてIDをメモされて要注意人物扱いされたりとか」
「貴方、結構いろんな板を巡回しているんですね……」
「特に、どんな技法書を売り出しても、弱ければクソスキルで強ければ壊れスキルと非難しかされない運営とか!私が好きだったゲームにアレヤコレやの手練手管を駆使した結果、見るも無惨な姿にした運営とか!箱ばかり出していたらコアユーザーに相手にされなくなった運営とか!」
「えっ、ちょっ、えぇ!?」
「仕舞いには、新イベントや新クラスを告知したのに実装されなかった為、それからは全部、話半分でしかユーザーに相手してもらえなくなった運営とか!これぞ正しく墓穴を掘る!いい気味ったら無いわ!ワァッハッハッハッハ!」
「うわぁぁぁぁあ!!ちょっと最近の貴女のCAへの憎しみは、正直恐ろし過ぎます!」
(i/P03A, ID:+YxrqlcAO)
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353 :
匿名
2010/09/06(月) 03:17:55
第一回
――さよなら絶望deクエスト――
どことも知れぬ島の只中、小さな小さな森の奥に、こじんまりとした一つの家があったとする。
その家の中央には古めかしい木彫りの机があり、その脇には小さな椅子が二つあるとしよう。そして椅子の上には二つの人影がある。
一つの影は教師であり、一つの影は教え子だ。
――ただ、いつも見掛ける二人とは、どうもシルエットが異なるような……
「ふんふ~ん♪ふっふふ~ん♪」
「……ん?どうかしましたか?鼻歌なんか歌って、ご機嫌じゃありませんか」
「あっ、先生!実はGREEで、新しく始まったんです!」
「始まったって、何がですか?」
「みんなdeクエストが、ですよ!凄く嬉しくて、即日登録しちゃいました」
「……ちょっと、期待し過ぎじゃありませんか?」
「えぇ~?なんでそんな、水を指すような事を言うんですか。期待したって良いじゃないですか」
「別に悪いとは言いません。が、最近のあなた方は、なんでもかんでも期待し過ぎなんです!!」
「えぇっ?!」
「合成アイテムの確率が低いからって搾取だと騒ぎ立てたり、GREE版にCAの文字を見掛けただけで終了認定したり、更新チケットが売り出されているのを見て金の亡者と喚きたてたり!」
「あっ。先生、GREE版の事は知ってたんだ……」
「絶望した!なんでもかんでも期待し過ぎている人々に絶望した!だいたい、PCのオンラインゲームでは、そんなのはザラにあります!」
「でも先生。最近は、もうあまり期待されてないような……」
「えっ……?!」
「だって、新しく何かが出ても検証報告が出るのが凄く遅かったりしますし、攻略板にNEW!が無い事も増えてきていますし。このままだと……」
「うわぁぁぁぁあ!!それ以上、先は言わないで下さい!スクエニ公式版経験者は、その話には敏感なんですー!!絶望した!いつ終了アナウンスが流れるか判らないゲームに絶望した!」
(i/P03A, ID:+YxrqlcAO)
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352 :
暇な人
2010/08/01(日) 22:11:22
―訪れる変化―
もはや例えでは無くなった話。
どことも知れぬ島の只中、小さな小さな森の奥に、こじんまりとした一つの家があった。
その家の中央には古めかしい木彫りの机があり、その脇には小さな椅子が二つある。そして椅子の上には二つの人影が座していた。
一つの影は教師であり、一つの影は教え子だ。
教師は“概念”と化した存在である妙齢の女性。椅子に深く腰掛け、肘で支える両の腕に顎を預けて眼の前に座る教え子を眺めている。
対するもう一つの影は、小柄な──少年と呼んでも通じそうな曖昧な身体を持つ娘。彼女は膝の上に置かれた自身の拳に視線を落とし、ただただじっと押し黙っている。
彼女の口はきゅっと一文字に結ばれており、表情の変化に乏しい顔も、心なしかいつもに比べ困惑しているように見える。
そんな終わりの見えない静寂に、対面の教師は諦めたように一つ息を吐く仕草をしつつ、ゆっくりと、言葉を確かめるようにして教え子に語りかけた。
「……で、どうしたの? ノエル。相談が、あるんだよね?」
その声にノエルは一瞬、体を強ばらせたが、崩れぬ表情からその真意を汲み取る事は不可能と言っても差し支えない。 相変わらず沈黙を押し通すノエルに、その眼前に座る教師──つまりレェア・ガナッシュは考える。
ノエルがここにやって来たのは小一時間程前。例の冒険者がティネに滞在する間に、また無理を言って抜け出して来たのだろう。
あの冒険者はまたしても期待以上の働きをして、大きな厄介事を解決してしまったらしい。その件の詳細についても再びノエルに書記してもらい、暇つぶしに読んでみたいとは思うが、どうも今はそれどころでは無いようだ。
>>351(ez/W56T, ID:zw4/A8Q5O)
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351 :
暇な人
2010/08/01(日) 22:10:16
ノエルはここに来ると同時に、相談がありますと言ったきり、一言も喋ってはいないのだ。しかし喉が乾くのか、レェアが沈黙を持て余した末に飲んだ一杯のお茶に対し、ノエルは既に三杯目のお茶を飲み干していた。
このままでは、自分用に買い置きしておいたお気に入りの茶葉を使わなければならないかも知れない。そんな具合にレェアの思案が少々脱線し始めた頃になって漸く、ノエルは固く閉ざしていた口を開いた。
「どうも…おかしいのです…。」
何が?直ちにそう問いただしたい衝動をこらえ、レェアはノエルの次の言葉を待った。すぐに結論を求めようとするのは己の悪癖である。ノエルも時折り自分の言いたい事を飲み込む節がある為、話そうとしている時は彼女の流れに合わせるべきであるだろう。
このように考えられるようになったのは、命脈と言う大きな流れと繋がったからか、もしくは寿命と言う時間的概念から半永久的に解放されたからか。レェアは少なからず自身の変化に驚いていた。
しかし、そのような変化も眼前に座す娘の前では霞んでしまう。それ程までに、今のノエルの様子はレェアの知らないものであった。
「その…最近、突然動悸が、激しくなる事があるのですが…。」
瞬時にレェアの頭の中ではいくつかの候補となる原因が浮かび上がった。そして、その内最も面白い、いや、喜ばしい原因の可能性について考えを巡らした後、レェアは薄く口角を吊り上げた。
「先生、これはもしや、じゅ……病気、なのでしょうか?」
その言葉にレェアは我に返り、指を口に当てて考える。ノエルの体は構造的には人間と同じと言っても差し支え無い。ならば、人間が患う病を発症する可能性も否定できないだろう。しかし、それならばまだ良い。真に恐ろしい可能性は別に存在した。言葉は濁したが、ノエルもその可能性を考えているのだろう。
「先生…私は…」
ノエルは垂れた頭でレェアを見上げるようにして何か言いかけるが、その後が続かなかった。
>>350(ez/W56T, ID:zw4/A8Q5O)
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350 :
暇な人
2010/08/01(日) 22:09:14
しかしレェアには、彼女が何を言おうとし、そして言えないでいるのか分かっていた。
「大丈夫。私に任せなさい。ただ、少しだけ考えさせて。」
レェアは考える。もし、“それ”が迫っているのだとすれば、早急に対策を立てなければいけない。しかし、その為にはレェアの持っている情報は少なすぎる。問題の解決には、何より確かな情報が必要なのだ。ならば、すべき事は次第に見えてくるのだが、レェアはその手段をどうしても良しと断ずる事が出来なかった。
「…でも、いずれはやらなきゃいけない事か…」
「先生?」
「ノエル。○○をここへ呼んで貰える?」
「え、○○を、ですか?」
「ええ。解決策はあるにはあるのだけれど、きっと私の力だけでは足りないと思うから」
「しかし…」
「嫌?」
「い、嫌と言う訳では!…ただ…あまり知られたく無いので…」
そう言ってノエルはまた視線を落とす。その様子にレェアは心の中で驚きの声をあげた。ノエルは自身の急激な変化にどれほど気付いているのだろうか。
「それに、呼ぶなら私が行くまでもなく、レェアの方が都合が良いと、私は考えます。」
「私には準備とか、まず色々とやらなきゃいけない事があるからね。あなた達が戻ってくるまでには終えておくからさ。」
「しかし…」
「やっぱり嫌なの?」
「ちがいます!」
今度は流石のノエルも驚いて自身の口に手をあてた。この程度の問答で声を荒げる事など、以前の彼女からは考えられなかった事である。
「…わ、判りました。○○を呼んできます。」
ノエルは消え入りそうな声でそう呟き、壁に立てかけてあった黒銃を抱え逃げるように外へ飛び出していった。
・
>>349(ez/W56T, ID:zw4/A8Q5O)
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349 :
暇な人
2010/08/01(日) 22:08:05
レェアは深く溜め息を吐くと共に、祈るように目を閉じ空を仰いだ。
『どうか、そうであって欲しい…』
レェアは去り際の薄く紅潮したノエルの頬に、微かな希望への可能性を見いだしていた。しかし、それ以上に絶望の可能性が重くのし掛かり、不安ばかりが大きくなっていくのを感じていた。
『…でもどちらにせよ、これが最後なのでしょうね…』
薄く目を開いたレェアは、悲哀の色を混ぜた息を吐き出す。そして二度三度と首を左右に降った後、ふつ、と溶けるように椅子の上から消えた。
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(ez/W56T, ID:zw4/A8Q5O)
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348 :
匿名
2010/02/19(金) 01:28:34
―遠い日の記憶―
「どうも腑に落ちないな。」
春の暖気を含んだ風が簡素な作りの家の窓から優しく吹いてくる。日の光が差し込む昼下がり。クィナが呟く。
「なぜ迷いの民が我々と混じり生活しようとする。確かにお前は私達に有益な情報を提供してくれる。だが決して居心地がいいはずがないだろう?」
クィナの鳥類を思わせる鋭い眼光がユーリを捉える。心の深い処まで見透かさんとする目に彼女は微笑んで返す。
「ここには興味深い書物が沢山あるわ。中には概念化された技法や高度な術式を封じる物や古から伝わる物も。情報を提供するだけでそんな書物が読めるなら、全く…むしろ大満足よ。」
違う。クィナは感じた。何となくだが、後付けのような理由。クィナは契約している翆霊―鴇羽により第六感のようなものが若干研ぎ澄まされている。
「違う。『ここに留まる理由』を聞いているんではない。『外界から逃げて来た理由』を聞いている。」
ユーリは相変わらず微笑を浮かべている。が、彼女の目は全く笑っていなかった。冷えた、いや氷のような冷たい色が混ざっていた。
「ここはこの島の中でも孤立している。隔絶された地域、陸の孤島。外界からの干渉とは無縁。そうだろう?」
鋭く突いてくるクィナの言葉。しかしユーリは一瞬で柔和な表情に戻す。
「あなたは少し人の心に入りすぎね。」
包み込むように言うユーリ。
「そうね…。強いていうなら、私達は迫害を受けて逃げて来た。とでも言っておきましょうか。」
私達…?
この村に住む迷いの民はユーリ一人。なら他の民は…。
「私達はね、元々人から…あなた達の言葉で言うなら迷いの民とは相いれぬ、でも切っても切れない関係で繋がってるの。人がいる所には私達もいる。私達がいる所に人がいる。」
遠い何かを見るように、昔話のように語り始めるユーリ。
「そして彼等は私達を閉じ込めたわ。深い深い、とても深い所。何とか逃れた私は彷徨って…、出会った。」
何にだ。クィナが聞き返す。しかしユーリはこちらを見ず…、聞こえているかも定かではない。
「そして恋をした。二人は愛し合い…、身篭った。私は正体を隠したわ。でもその子が十分に育った頃、私は逃げ出した。正体がバレる前にね。でも、ヒントを残したの。私を捜す手掛かりを。」
語り始めてから初めてこちらを向くユーリ。しかしその目には憂いが宿っていた。
(ez/W52SH, ID:NWmehVldO)
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347 :
匿名
2010/02/19(金) 01:27:12
「後で知ったんだけれどね、私がいなくなったすぐ後に私の正体を知っている人達が来て、私のいた家と彼は…燃やされてしまったみたい。幸い、子供が殺されたっていう話は聞いてないわ。」
悲壮とも哀とも、何とも取れない表情のユーリ。どうやら彼女の身の上話のようだが、それにしても「迫害」「私達」…引っ掛かる点が多い気がする。これはヒントか、真意を隠しているのだろうか。
「だから私は待つの。私のヒントを手繰りよせて私に会いに来るまで。もしその子が生きていて…、子供が出来て…、その子供も子供を作り…。長い長い命の命脈、命脈の輪廻の中で私に会いに来るまで…。」
ユーリはそっと目を閉じる。そして唄い始める。
――巡る巡る時の中、私はどこにいくのだろう。
――廻る廻る命の中、私は一体何なのだろう。
――意味など知らない夢の中、真実を知るのは神女神。
――宵と暁が見守る揺り篭。いつか還るその日まで。
私にはわからない。彼女が何を思い何の中で生きてきたのか。もっとも、知る必要もないが。
沈黙。最初に静寂を破ったのはクィナだった。
「しかし…、そんなに長い間生きていられるわけがないだろう。それに、お前の容姿から判断しても…その話はそんなに昔でもないんだろう?」
いつの間にか夕暮れになってしまった。そしてなぜだか…、あれほど気になっていた疑問がどうでもよくなってしまった。しかし、一番聞き易そうな質問をする。何か言わないとこの沈黙が永遠に続きそうだ。とはいえ、唄の感想をいうのは私の柄ではない。
「ふふ…そうかしら?」
意味ありげに微笑むユーリ。しかしもう探る気は起きない。
窓から差し込む夕日が室内を照らし、二つのぼやけた影を優しく包んでいた。
超々超文すいません(汗
でも満足しましたw
(ez/W52SH, ID:NWmehVldO)
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343 :
tokumei
2009/03/10(火) 12:05:13
340
軍ならアマネさんww
(Win/MSIE, ID:2Tw1qBKB0)
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341 :
匿名
2008/12/12(金) 00:48:59
久々にあげ↑
(i/F902i, ID:1Qa9MbUOO)
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340 :
匿名
2008/11/10(月) 19:35:04
「おや。誰かと思えば神形の操手殿ではないですか。一体どうされたのですか?」
詠唱を止めた○○が怒り冷めやらぬまま早口でこれ迄の経緯を説明すると、
「それは済まないことをしてしまいましたね…直ぐ担当者をお呼びしますよ。」
そう言い残してケイジュが立ち去って数分後。
タッタッタッという足音と共に現れたのは、二又に分かれた尻尾と猫耳が良く似合う、メイド服の少女だった。
「申し訳ございません。しかし事務局で確認が取れなかった分の付与は出来ないという規定になっております。」
そんな馬鹿な話が、といきり立つ○○を遮って、猫耳の少女は続ける。
「なので今回は特例と致しまして…○○さんの2500枚の代わりに、私を差し上げる事でお許し頂けないでしょうか…?」
・
「では、後日預かり所で。ご主人様♪」
メルルが去った後、数瞬の沈黙。
「…○○、貴方には失望しました。このような方と任務を続行するのは不可能と判断しましたので、私はイェアの元に帰らせて頂きます。」
ああ、何処へでも行くがいい、これからはメルルと…
・
─常駐軍の或る一室、従者と思しき男がケイジュに耳打ちをする。
「なに。もう在庫切れですか。困りましたね…」
ケイジュが一層疲れた声で俯いた。
・
○○の家の呼び鈴が鳴る。どうやら届いたようだ。
○○がいそいそとその大きな段ボール箱を明けると、
「やあ。忘れてもらっては困るな。」
─ちりん。
──壊したい。
…またあの鈴の音だ。
(ez/W52SA, ID:HqJx+78SO)
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349 :
暇な人
2010/08/01(日) 22:08:05
レェアは深く溜め息を吐くと共に、祈るように目を閉じ空を仰いだ。
『どうか、そうであって欲しい…』
レェアは去り際の薄く紅潮したノエルの頬に、微かな希望への可能性を見いだしていた。しかし、それ以上に絶望の可能性が重くのし掛かり、不安ばかりが大きくなっていくのを感じていた。
『…でもどちらにせよ、これが最後なのでしょうね…』
薄く目を開いたレェアは、悲哀の色を混ぜた息を吐き出す。そして二度三度と首を左右に降った後、ふつ、と溶けるように椅子の上から消えた。
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(ez/W56T, ID:zw4/A8Q5O)
350 :
暇な人
2010/08/01(日) 22:09:14
しかしレェアには、彼女が何を言おうとし、そして言えないでいるのか分かっていた。
「大丈夫。私に任せなさい。ただ、少しだけ考えさせて。」
レェアは考える。もし、“それ”が迫っているのだとすれば、早急に対策を立てなければいけない。しかし、その為にはレェアの持っている情報は少なすぎる。問題の解決には、何より確かな情報が必要なのだ。ならば、すべき事は次第に見えてくるのだが、レェアはその手段をどうしても良しと断ずる事が出来なかった。
「…でも、いずれはやらなきゃいけない事か…」
「先生?」
「ノエル。○○をここへ呼んで貰える?」
「え、○○を、ですか?」
「ええ。解決策はあるにはあるのだけれど、きっと私の力だけでは足りないと思うから」
「しかし…」
「嫌?」
「い、嫌と言う訳では!…ただ…あまり知られたく無いので…」
そう言ってノエルはまた視線を落とす。その様子にレェアは心の中で驚きの声をあげた。ノエルは自身の急激な変化にどれほど気付いているのだろうか。
「それに、呼ぶなら私が行くまでもなく、レェアの方が都合が良いと、私は考えます。」
「私には準備とか、まず色々とやらなきゃいけない事があるからね。あなた達が戻ってくるまでには終えておくからさ。」
「しかし…」
「やっぱり嫌なの?」
「ちがいます!」
今度は流石のノエルも驚いて自身の口に手をあてた。この程度の問答で声を荒げる事など、以前の彼女からは考えられなかった事である。
「…わ、判りました。○○を呼んできます。」
ノエルは消え入りそうな声でそう呟き、壁に立てかけてあった黒銃を抱え逃げるように外へ飛び出していった。
・
>>349(ez/W56T, ID:zw4/A8Q5O)
351 :
暇な人
2010/08/01(日) 22:10:16
ノエルはここに来ると同時に、相談がありますと言ったきり、一言も喋ってはいないのだ。しかし喉が乾くのか、レェアが沈黙を持て余した末に飲んだ一杯のお茶に対し、ノエルは既に三杯目のお茶を飲み干していた。
このままでは、自分用に買い置きしておいたお気に入りの茶葉を使わなければならないかも知れない。そんな具合にレェアの思案が少々脱線し始めた頃になって漸く、ノエルは固く閉ざしていた口を開いた。
「どうも…おかしいのです…。」
何が?直ちにそう問いただしたい衝動をこらえ、レェアはノエルの次の言葉を待った。すぐに結論を求めようとするのは己の悪癖である。ノエルも時折り自分の言いたい事を飲み込む節がある為、話そうとしている時は彼女の流れに合わせるべきであるだろう。
このように考えられるようになったのは、命脈と言う大きな流れと繋がったからか、もしくは寿命と言う時間的概念から半永久的に解放されたからか。レェアは少なからず自身の変化に驚いていた。
しかし、そのような変化も眼前に座す娘の前では霞んでしまう。それ程までに、今のノエルの様子はレェアの知らないものであった。
「その…最近、突然動悸が、激しくなる事があるのですが…。」
瞬時にレェアの頭の中ではいくつかの候補となる原因が浮かび上がった。そして、その内最も面白い、いや、喜ばしい原因の可能性について考えを巡らした後、レェアは薄く口角を吊り上げた。
「先生、これはもしや、じゅ……病気、なのでしょうか?」
その言葉にレェアは我に返り、指を口に当てて考える。ノエルの体は構造的には人間と同じと言っても差し支え無い。ならば、人間が患う病を発症する可能性も否定できないだろう。しかし、それならばまだ良い。真に恐ろしい可能性は別に存在した。言葉は濁したが、ノエルもその可能性を考えているのだろう。
「先生…私は…」
ノエルは垂れた頭でレェアを見上げるようにして何か言いかけるが、その後が続かなかった。
>>350(ez/W56T, ID:zw4/A8Q5O)
353 :
匿名
2010/09/06(月) 03:17:55
第一回
――さよなら絶望deクエスト――
どことも知れぬ島の只中、小さな小さな森の奥に、こじんまりとした一つの家があったとする。
その家の中央には古めかしい木彫りの机があり、その脇には小さな椅子が二つあるとしよう。そして椅子の上には二つの人影がある。
一つの影は教師であり、一つの影は教え子だ。
――ただ、いつも見掛ける二人とは、どうもシルエットが異なるような……
「ふんふ~ん♪ふっふふ~ん♪」
「……ん?どうかしましたか?鼻歌なんか歌って、ご機嫌じゃありませんか」
「あっ、先生!実はGREEで、新しく始まったんです!」
「始まったって、何がですか?」
「みんなdeクエストが、ですよ!凄く嬉しくて、即日登録しちゃいました」
「……ちょっと、期待し過ぎじゃありませんか?」
「えぇ~?なんでそんな、水を指すような事を言うんですか。期待したって良いじゃないですか」
「別に悪いとは言いません。が、最近のあなた方は、なんでもかんでも期待し過ぎなんです!!」
「えぇっ?!」
「合成アイテムの確率が低いからって搾取だと騒ぎ立てたり、GREE版にCAの文字を見掛けただけで終了認定したり、更新チケットが売り出されているのを見て金の亡者と喚きたてたり!」
「あっ。先生、GREE版の事は知ってたんだ……」
「絶望した!なんでもかんでも期待し過ぎている人々に絶望した!だいたい、PCのオンラインゲームでは、そんなのはザラにあります!」
「でも先生。最近は、もうあまり期待されてないような……」
「えっ……?!」
「だって、新しく何かが出ても検証報告が出るのが凄く遅かったりしますし、攻略板にNEW!が無い事も増えてきていますし。このままだと……」
「うわぁぁぁぁあ!!それ以上、先は言わないで下さい!スクエニ公式版経験者は、その話には敏感なんですー!!絶望した!いつ終了アナウンスが流れるか判らないゲームに絶望した!」
(i/P03A, ID:+YxrqlcAO)
354 :
匿名
2010/09/07(火) 01:47:12
>>353第二回
――まずい絶望のいれ方――
どことも知れぬ島の只中、小さな小さな森の奥に、こじんまりとした一つの家があったとする。
その家の中央には古めかしい木彫りの机があり、その脇には小さな椅子が二つあるとしよう。そして椅子の上には二つの人影がある。
一つの影は教師であり、一つの影は教え子だ。
――ただ、いつも見掛ける二人とは、シルエットが異なるような……
「先生。国語で質問があるんですけど、墓穴を掘るって、どんな意味ですか?」
「墓穴を掘るとは、他者を落とそう掘った穴に、結局は自分が落ちてしまう様。つまり、破滅への道程を自ら作ってしまう事の例えです」
「さすが先生!なんでも知ってるんですね」
「なんでもは知りません。知ってる事だけ」
「……先生。この掛け合いは二重に不味い気がします」
「奇遇ですね。私もそう思っていました」
「えぇっと……。でも、よくいますよね。自分から墓穴を掘ってしまう人って」
「例えば?」
「詐欺に引っ掛かったとノード掲示板で騒ぎたて過ぎて逆にブラックリストに登録されてしまったりとか、匿名で誰かを晒し上げたら実はIDで特定されていて逆に晒されるとか、平和について論じていた筈なのに何時の間にか隔離されてIDをメモされて要注意人物扱いされたりとか」
「貴方、結構いろんな板を巡回しているんですね……」
「特に、どんな技法書を売り出しても、弱ければクソスキルで強ければ壊れスキルと非難しかされない運営とか!私が好きだったゲームにアレヤコレやの手練手管を駆使した結果、見るも無惨な姿にした運営とか!箱ばかり出していたらコアユーザーに相手にされなくなった運営とか!」
「えっ、ちょっ、えぇ!?」
「仕舞いには、新イベントや新クラスを告知したのに実装されなかった為、それからは全部、話半分でしかユーザーに相手してもらえなくなった運営とか!これぞ正しく墓穴を掘る!いい気味ったら無いわ!ワァッハッハッハッハ!」
「うわぁぁぁぁあ!!ちょっと最近の貴女のCAへの憎しみは、正直恐ろし過ぎます!」
(i/P03A, ID:+YxrqlcAO)