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┗212.小さな殺し屋さん(1-20/178)

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1 :ねむねむ
2021/09/23(木) 15:26:08

カキコで書き終わったやつだけど……
番外編を書くのはここがはじめてなんで
本編をコピペするのは許してくれ

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2 :ねむねむ
2021/09/23(木) 15:28:21

(前置き)
たぶんそんなに長くないと思います。
ですが、物足りないと思います。
まぁこういう、ミステリー系といいますか、そういうのはとても苦手とする面もあるので、優しい目で見守っていただけると嬉しいです。
また、少しばかりグロイ描写があります。
最終話で、予想できない結末をお届けすることをお約束します。(予想出来たらごめんなさい)

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3 :ねむねむ
2021/09/23(木) 15:32:17

第一話 小さな殺し屋さん

『次のニュースです。
 ○○市在住の△△さんが、刃物で襲われ、死亡しました。
 警察は、【小さな殺し屋さん】による犯行とみて現在捜査中です。』
……またか。
警察官である俺は、今朝のニュースを見てため息をついた。
【小さな殺し屋さん】とは、5年前から現れた殺人鬼だ。
その名の通り、とても小さい。
まだ中学生くらいの年齢で、身長は135cm。
とても素早い動きと、天才的なハッキングの技術を兼ねそえているため、防犯カメラの画像操作や防犯システムの乗っ取りをされたりしてなかなか捕まえられず、警察は手を焼いている。
刃物による刺殺と、自作の毒を使った毒殺が多い。
ショートカットにくりくりした目と、小顔な顔。かわいらしい容姿をしている少女が、【小さな殺し屋さん】だ。
少女は、整形手術を受けたことがないため、容姿は何も変わっていないはずなのに捕まえられない。噂によると、裏の闇組織とつながっていて、幼いころから殺人関係の英才教育を受けていた、らしい。
結果、少女は【小さな殺人鬼】と呼ばれる殺し屋となり、闇組織の仲介の元、殺人依頼を受けてこなしているという。
今月だけで被害件数は約20件。
一週間で4~5人殺している、というペースだ。
しかも一人で。
ある警察官が鉢合わせたときは、小さな体に見合わない強烈な蹴りを頭にくらわせ、倒れた警察官の首を絞めて殺している。
人外の強さなのだ。

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4 :ねむねむ
2021/09/23(木) 15:34:38

第二話 新事実

だが、俺ら警察だって何もしていなかったわけではない。
少女と繋がっていると言われている闇組織に所属している男を一人捕まえたのだ。
今現在、取り調べ中である。

―1時間後―
どうやら、例の男が口を割ったらしい。
闇組織の名は、ポーカージャック。
やはり少女と繋がっていた。
その男は、ある幹部の1人の側近だったため、いろいろな情報を知っていた。
そこには、驚くべき事実があった。
少女の親は、少女と同じく殺し屋だった。
殺し屋同士が愛し合い、少女を生んだ。
少女の両親は、己の職業が[殺し屋]という黒に染まったものだったため、少女も普通の人生を歩めないだろうと考え、身の安全を守る術すべとして、空手などとナイフの扱い方などを教えた。
少女は才能があったのか、みるみる上達した。
それを偶然、ポーカージャックのリーダー、通称ポーカーに見られてしまった。
ポーカーは少女を攫い、毒殺とハッキングの技術を教えた。そして5年前、殺し屋になることを拒み続ける少女に対し、少女の両親を連れてきて拷問を始めた。苦痛にあえぐ両親を目前にして固まっている少女に対して、ポーカーは言った。
「君が殺し屋になれば、君の両親は助けましょう。お金も上げます。
 さあ、どうしますか?」
最愛の両親を人質にとられ、少女は殺し屋をせざるを得なくなった。
報酬は、一人殺すごとに500万。
子供には大きすぎる額だ。しかし、人、1人の命が500万でやりとりされていると思うと、安いし、何よりひどいと思う。
とにかく、少女は脅されているから人を殺しているだけであり、本当はやりたくないらしい。
報酬のお金の一部で花を買い、殺した人の墓に供えているそうだ。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」
と、涙をこぼしながら。
本人だって分かっているだろう。
たとえ謝ったとしても、死んだ人の命は帰ってこないと。
それでも、謝るしか懺悔のすべを知らないから、ひたすら謝る。
そんな姿をひそかに見守っていたという男は、「どうか少女を助けてやってください」と言っているそうだ。
今の話は全て、同期の坂本から聞いた。
俺は、【小さな殺し屋さん】の事件の担当チームではないから、その事件の担当チームにいる坂本から、こうして情報を取得している。

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5 :ねむねむ
2021/09/23(木) 15:39:09

第三話 ブラックキャット

そういえば、と坂本が言った。
男が言ったらしい。
次の集会は、月明かりの下、黒猫の目が光る場所だと。
その場所の名だけはどうしても口を割らない。
他のことは話すのに……。
なんとも不思議な話だ。
月明かりの下、ということは夜の可能性が高い。
黒猫の目が光る……どこだ?
はっ、と思い当たる場所があった。
黒猫をそのまま英語に直すと、ブラックキャットだ。
ぼったくりバーで有名なそういう名前の店がある。
しかもそこには黒猫が一匹いて、目が自ら光を発しているようで怖いと聞いたことがある。
警察官という職業柄、不思議なことを言われると謎解きだと思って深く考えてしまうことが多いだろう。
そこを突いた問題だったのだろうか。
坂本に伝えて、確認をとってもらうと、男はこう言ったらしい。
「やはり、謎解きは慣れている人が作らないと単純になって面白くないですね。
 明日、十時から貸し切りです。どうか、間に合ってください。
 あの子が、暴れる前に。」
『あの子』とは、少女のことだろうか。
とりあえず、何かしら騒動が起こることは間違いなさそうだ。
気を付けて行かねばならない。
俺は、担当チームではなかったが、もちろん行くつもりである。
いや、行かねばならないのだ。
なぜなら俺は……。
……もしかしたら、忘れたほうが楽だったかもしれない……
懐かしい「あの人」のことを思い出し、俺は悲しく笑みを浮かべた。

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6 :ねむねむ
2021/09/23(木) 15:49:03

第四話 5年前の事件

ー翌日ー
午後10時。俺たち警官は、ブラックキャットの裏口など、出入りできるところで待ち伏せをしていた。
あとは人が出てくるのを待つだけだ。

しばらくして、何やら争う音が聞こえてきた。
そして、2分くらいで静かになる。
俺は、周りの警官たちにバレないようにこっそり建物に侵入した。
「どういうこと?」
話し声が聞こえたので、そちらのほうに行き、物陰に身を潜めながら耳をそばだてる。
なにやら剣呑というか、不穏な雰囲気だ。
「だから、君の両親はもう死んでいるんだ。」
「は!?なんで!!」
「5年前の拷問の時に、出血量が多すぎてな。
 拷問師の腕が悪かったらしい。」
「そんなのウソっ……!じゃあ、今まで何で私は殺し屋を……っ!」
「一応言っておくが、もう普通の生活には戻れないぞ?」
「……そんなの知ってる。でもなんで今、私に、親が死んでいることを話したの?」
「そんなの決まっているだろう。今から君にも同じところに行ってもらうからだ。」
「……なんですって?」
「【小さな殺し屋さん】はもういらない。
 君は強くなりすぎた。ボクを超えられたら困る。ボクが最強じゃなくなってしまうからね。」
「ポーカー、あんた……っ!」
どうやら少女とポーカーが言い争っているようだ。
「さよなら、【小さな殺し屋さん】」
「絶対に許さない。」
そして、争う音が聞こえる。
ナイフなどが当たる音、拳銃の発砲音……多くの音が聞こえる中、俺は物陰でそのままじっとしていた。
心臓がばくばくと音を立てている。
争っている二人に聞こえたらどうするか。
そんなありもしない考えを浮かべ、恐怖する。
どれくらい時間がたったのだろう。とても長い時間だった気がしてならない。
血しぶきがあがった。
俺が潜めている物陰にまで飛んできた。
真新しい赤色が目の前で薄暗くほのめいている。
そして、音が止んだ。
「死んでも許さないから。それにしても残念だったわね。
 すでに最強なのはアンタじゃなくて私だったみたいよ。」
ドサッと人が倒れる音がした。
どうやら少女が勝ったようだ。
「あんたを殺しても、私は親と、もう会えない……」
泣いている。
そして、ポーカーの懐をあさりはじめた。
「拷問師……拷問師……これね。
 絶対に殺してやる。コイツがもっている名刺の人、全員殺してやる。」
今、少女は復讐で燃えているし、狂乱状態だ。
俺が動いても返り討ちにされてしまうし、なりふり構わず誰でも殺すだろう。
外にいる警察官たちにも、無線で手を出さないようにと言っておいた。
「……一気に殺ったほうが早いか。」
少しして、少女が言った。そして、名刺を見ながら電話をかけ始めた。
どうやら、名刺の人全員を同じ場所に集めて殺す魂胆のようだ。
午後11時に宮崎倉庫で待ち合わせらしい。
止められない自分の弱さが歯がゆいが、今はまだじっと待つ時だ。
そして少女はすべてのところに電話をかけ終えたらしく、ブラックキャットから出て行った。

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7 :げらっち
2021/09/24(金) 01:57:49

このタイミングで書き込んでいいのか迷ったが…
カキコのほうでも読んでたけど、設定が面白いね~。
わかりやすくて読みやすい!
ゲラフィには他にも小説があるのでよかったら読んでみてね~。

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8 :ねむねむ
2021/09/24(金) 21:20:02

ありがとう(≧∀≦)♪

はーい!読んでみるね☆

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9 :ねむねむ
2021/09/24(金) 21:21:32

なんか改行とか変だな……カキコのそのまんま貼ってるからか…?(・・;)

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10 :ねむねむ
2021/09/24(金) 21:51:55

まぁ……仕方ないと思って許して?(⌒-⌒; )

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11 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:19:58

第五話 地獄絵図

少女が去ったのを確認し、ポーカーと少女が争っていた部屋に入ると、ひどい光景が広がっていた。
ポーカーの部下らしき人たちは心臓か喉を刺されて絶命している。ポーカーに至っては、喉と心臓、さらには腹を切られ、よく見れば臓器が見えている。床も壁も天井も、血だらけで真っ赤だ。部屋に足を踏み入れれば、ぴちゃりと血の音が鳴る。まるで水たまりに入ったような。
まさに地獄絵図。俺は今までの警察官としての人生の中で、これまでにひどい惨状は見たことがなかった。
一生トラウマになるような光景に絶句したが、我に返ると俺は無言でその場を立ち去ろうとした。
少女が言っていた場所に向かうためだ。もうすぐ午後11時になってしまう。
すると、坂本が言った。
「どこに行くつもりだ?目撃者なんだから、いなくならないでくれよ?」
俺は真剣な表情で返した。
「頼む。どうしても行かなきゃならないんだ。」
目をしっかり合わせて言うと、坂本は渋々といった様子で
「……なるべく早く帰って来いよ?あと、一応行き先を教えてくれ。
 もし遅かったら迎えに行く。それまでに用事を終わらせとけよ。」
と言ってくれた。俺は、
「宮崎倉庫」
とだけ言ってかけだした。

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12 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:46:26

第六話 ごめんなさいと、ありがとう。

宮崎倉庫につくと、そこではすでに死闘が始まっていた。
少女1人VS屈強の大人50人近く。
しかし実力の差は明らかだった。
月明かりの下で返り血を全身に浴びながら戦う少女は、むしろ美しかった。
すぐに50人あまりの男たちは死体と化した。
その中にはきっと、拷問師もいたのだろう。
それでもなお、少女は泣いていた。
「こんなことしても意味はない……私のお母さんとお父さんは帰ってこない……」
俺は思わず言ってしまった。
「ああ、そうだな。」
「だれ!?」
少女が瞬く間に殺意をみなぎらせる。
俺は低い声で言った。
「俺は、お前に愛する人を殺されたものだよ。」
少女が息をのむ。大きく見開いた目から、涙をさらにあふれさせる。
俺はさらに言った。
「お前と一緒だ。お前と同じように愛する人を突然奪われた。
 家に帰ったら、血だまりができていた。驚いたよ。まさか、ってな。
 悪い予感は的中した。血だまりの中に、俺の愛する人はいた。
 その日は、婚姻届けを出す予定の日だったんだ。
 お前のせいでっ!!俺の幸せな日になるはずの一日が、絶望の日に変わったんだ!!!」

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13 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:46:46

私は、はっとした。
今まで、「殺してごめんなさい」と、死んだ人に対してはたくさん謝ってきた。
でも、遺族の人のことは考えてなかった。
何も言い返せない。
ただ命じられたまま人を殺していた。
だから私は悪くないなんて、通用しないのは分かっている。
実際に手にかけたのは私なのだから。
私と同じ、だったのだ。
私が親を殺したポーカーを、そして拷問師を恨むように、この人たちも私を憎んでいた。
どんな理由がそこにあろうと、憎かったのだ。
しかし、しばらくして私の口から出た言葉は、謝罪ではなく、ひたすら願ってきた願望だった。

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14 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:48:04

「……私は、普通の女の子になりたかった。
 ハッキングの技術も、ナイフの使い方も知らない、普通の女の子になりたかった。
 人殺しなんて、本当はしたくない。」
そう言って、少女は泣いた。
ずっと耐えてきた、少女の心の叫びだった。
「今着ているこのパーカーだって、もとは真っ白だった。
 初めて野村輝樹さん、という人を殺した時もこのパーカーを着ていた。
 すぐに真っ赤に染まった。この色が、ずっと嫌だった。
 殺した人の名前はすべて覚えて、墓に行って花を供えて毎日謝った。
 でもそれで罪悪感が消えるわけじゃないし、殺した人の命は戻ってこない。
 それでもただ、謝るしかなかった。
 ずっと、人を殺す前も、殺すときも、殺した後も、悲しくて苦しくて申し訳なくて。」
真っ赤に染まったパーカーを着て、返り血をポタポタと髪から垂らしながら、泣きじゃくっている。
「初めて人を殺す前に、髪を染めた。
 金髪にした。
 早く警察に捕まえてほしかったから、目立つ色がいいと思った。
 警察官と鉢合わせて殺したのは、あの人がもともとターゲットだったから。捕まりたくないわけじゃなかった。」

皆が恐れる、【小さな殺し屋さん】も子供だった。

「お父さんとお母さんに会いたい。
 誰かに愛されてみたい。
 お金じゃなくて、愛が欲しい。
 【小さな殺し屋さん】じゃなくて、『私』を愛してほしい。
 帰ったら「おかえり」って、お父さんとお母さんに言われたい。
 いただきますも、ごちそうさまも、家族でっ………みんなで一緒にしたかったッ!!
 もう、お父さんとお母さんにハグしてもらえることだってない。
 誰かの「行ってきます」も、「ただいま」も聞くことはできない。
 愛してるよ、大好きだよ、って言ってもらえることもない。
 喧嘩もできないし、仲直りだってできない!!!!」
あの拷問事件から5年経って、少女は中学生くらいの年になったはずだ。
それでも、心は、愛されたいという気持ちは、あの頃のまま止まっているのだ。
「たくさん人を殺してごめんなさい。
 その分たくさん謝るし、お金も払うから、お願い。
 私のお母さんとお父さんを、返して……!!!」
お金も払う、というその言葉で、少女がどんなに治安の悪いところで過ごしていたのかが伝わり、痛々しさを増す。
お金がすべての世界で過ごしてきた少女。
大人としては、「よく耐えたね。」と言ってあげたいような気もする。
でも遺族としては、どんな理由があってもなお、許せなかった。
でも、同じ悲しみを少女も味わっていることを知り、心が揺れる。
大人の俺でもこんなにつらいのに。少女にとって、どんなにつらい悲しみだったか知れない。

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15 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:48:26

それでも、一つだけ少女は間違っている。
「あんたを愛しているかは知らないが、【小さな殺し屋さん】じゃなくて、あんたを見てくれていた人はいたよ。
 それに気づかなかったのは、あんただ。
 その人は、墓に花を供えて泣いているあんたを見て、同じように悲しんでくれていた。
 あんたのことを、【小さな殺し屋さん】と呼ばず、「あの子」って、まるで我が子を呼ぶかのように呼んでいたよ。」
少女が目を見開く。パーカーに涙がしみていく。
赤色じゃないモノが、悲しい色をしたそれが、パーカーに染みていく。
「お願い、します。」
しゃくりあげながら、少女は言った。
「あなたが、持っているその、銃で、私を、こ、殺して、ください。」
俺は、静かに見返すだけだった。拳銃は構えない。
「お父さんとお母さんに会わせて……罪を償わせて……!
 殺してっ……殺してッ!じゃなきゃ殺す!」
ナイフを持った手に力を込め、泣きながら少女は叫んだ。
「それは」
「早くっ!!!!」
俺の言葉を遮り、ナイフを握りしめ、一直線に走ってきた。
俺が狙いを定めやすいようにだろう。重心を少しも傾けずに。

バン!!!!!

拳銃の発砲音がした。
少女が、目を見開き……そして、ゆっくりと倒れる。
パーカーに、少女自身の赤色が染みていく。
「あり、が、とう……ごめ、んな、さい……」
と言って一滴の涙と笑みを浮かべ……それが少女の最後の言葉だった。
後ろを振り向くと、坂本がいた。
彼が拳銃を握っていることから、彼が撃ったのだろう。
肩で息をしている。今、到着したばかりで、俺が殺されそうになっていたように見えたに違いない。
少女は、俺を殺す気などなかった。
人殺しなどしたくないと言っていた人が、自分の意思で人を殺すとは思えない。おそらく、もし撃ってもらえなければ、俺から拳銃を奪って自決するつもりだったのだろう。
坂本が言った。
「あの男、ついさっき死んだらしい。」
少女を見守っていた男のことだろう。
「何か悟ったような顔をして、悲しそうに笑みを浮かべ、服毒自殺したそうだ。」
……少女が死んだことが、伝わったのだろうか。

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16 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:49:03

私は倒れながら見た。
自分の両親の姿を。

『私もやっと、そっちに行けるんだね。』

涙を流し、私は最後の言葉をつぶやいた。

「あり、が、とう……ごめ、んな、さい……」

両親にだけでなく、目の前の警察官にも、遺族の人にも、そして何より殺した人全員に向けて。
死ぬ前に、言わなければならないと思う言葉を言い終えることができた。
そんな私を、両親は暖かく見守ってくれていて、そして。
「あなたは天国には行けない。だから、『一緒に』地獄に行きましょう。」
「……なんでお母さんたちまで……?」
「ごめんね。お母さんたちが殺し屋だったから、あなたをつらい目にあわせてしまった。
 本当に、本当にごめんね。」
強くかぶりを振る。新たな涙があふれてくる。
「一緒に地獄に行こう。
 死んでも、あなたは私たちの大切な娘よ。
 ずっとずっと、愛してる。」
私は、ずっと言われたかった言葉を聞けて、泣いた。
たくさん、たくさん、泣いた。

この温もりを、忘れない。もうこの手を離さない。

今から地獄に行くというのに、私は幸せだった。
「私のことも忘れないでください。」
「……あなたはッ!お墓に行くとき、送り迎えしてくれた……!」
「私だって、あなたのことを見ていました。
 あなたに罪があるのなら、私も一緒に背負いますよ。」
「ごめんなさいっ……気づけなくて、ごめんなさいッ……!!」
「もう、いいのです。さぁ、行きましょう。私も一緒に、行きますから。」
「ありがとう。ごめんなさい。ありがとうっ……!!!」
幸せだった。ただただ、幸せだった。


もう、何もいらない。


ありがとう……………。


少女たちは、闇に消えていった。

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17 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:49:54

>>12-16は一話分です。
繋がってます。
字数制限でわけて投稿しました。

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18 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:50:07

Not Finish

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19 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:50:32

まだ終わってないよ

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20 :すき焼きのタレ
2021/09/25(土) 11:35:54

表現力がすごいですね…スピード感もあるしめっちゃおもしろい
ここからどうなるんだろう??きになる

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