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┗265.VigilanteーThe Masked Riderー(41-45/45)

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41 :迅
2022/05/07(土) 22:11:25

「驚いたなぁ〜。君、仮面ライダーだったんだぁ」
 変身完了を見届けたパワードスーツ女は、物珍しい物を見たような口調で言う。
「ま、そうだよねぇ。だって君、チームプレーは苦手って感じするもん」
「余計なお世話だ」
 彼女の軽口をあしらい、斗真は構える。
 ファイトスタイルはもちろん、彼の得意分野であるボクシングだ。彼の鋭い踏み込みは、空気力学に基づいて設計されたスーツにより、より加速する!
「フッ!」
 気合一閃。
 斗真は一瞬で両者の間合いを詰め、右ストレートを繰り出す。
 前腕に装備された噴出機構によって、彼のパンチは逆巻く突風を纏いながらパワードスーツ女の顔面を捉えるが、クリーンヒットする瞬間に避けられ、渾身の一撃は彼女のヘルメットの中心から僅かにズレた側頭部を掠め取った。
 だが、それでも威嚇としては十分だろう。
 その一撃を脅威に感じたのか、パワードスーツ女は堪らず後退し、そっと拳が掠った部分に触れる。
 すると、触れた部分はひび割れ、土壁のようにパラパラと崩れ落ちた。
 破損部から覗くは、雪のような白い肌。
「分かったろ、アンタじゃ俺には勝てない」
「……ッ」
 斗真の一言に、パワードスーツ女が小さく舌打ちをする。
 そして、彼の言葉を後押しするように、サイレンジャーの面々が教室内に押し寄せて来た。
「シナプス、貴様には逮捕命令が出ている。武装を解除し、今すぐ投降しろ」
 アサルトライフルを構え、無機質な声で警告するサイレンジャーのリーダー・サイレンレッド。
 シナプスと呼ばれた女は、小首を傾げて笑って見せた。
 弧を描いた口から、白い歯が覗く。
「相変わらず真面目だねぇ、暸君はそんなに私が許せないかなぁ?」
「その名で呼ぶな。俺はサイレンレッド、阿笠暸太郎だ」
「名前なんて関係ないよぉ。私は私、君は君。どれだけ表情を隠しても、その中身まで隠す事は出来ないんだよぉ?」
「貴様……ッ」
 銃を握るサイレンレッドこと暸太郎の手に力が篭る。
 赤いスーツから滲み出る怒気は、今にも襲い掛かりそうな程、抜き身の刃物のように鋭角化していた。

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42 :迅
2022/05/14(土) 18:26:08

 しかし、シナプスは余裕の態度を崩さない。
 それどころか、こちらを嘲笑うかのようにケタケタと小さく肩を震わせていた。
「何が可笑しいッ」
 銃口を向けたまま、暸太郎はシナプスに問う。
 対する彼女は、白い犬歯を剥き出して不敵に笑った。
「アハッ☆やっぱり君は真面目だねぇ」
 そう言うと、三度消えるシナプスの姿。
 次の瞬間、サイレンジャーの後ろに控えていた機動隊員の身体から鮮血が飛び散った。
 バケツの中身をぶち撒けたように、赤い染みが壁一面広がる。
 気づいた時には、一人、また一人と、シナプスの餌食となって行く。圧倒的な実力差による、情け容赦ない蹂躙。それに真っ先に反応出来たのは、斗真と暸太郎の二人だった。
「くッ!」
「おっと!」
 暸太郎は拳打を両腕を交差させて受け止め、斗真はブレイクダンスを舞いながら避ける。
 シナプスが攻撃を取りやめた瞬間、二人は攻勢に回った。
「戦隊さん!アンタは援護を頼む!」
「分かった!総員、発砲用意!」
 ジャキッ。
「撃てェ!」
 ダダダダダダダッ!!!
 暸太郎の指示により、構えられたアサルトライフルの銃口から、鉄のカーテンが広げられる。
 その中心を走るは、風を纏う斗真。
 シナプスの懐に潜り込む数秒の間で、彼は必殺の一撃のプロセスを終えていた。
「さっきは随分と、長ったらしく話してたなァ〜〜〜」
 準備が終われば、あとは叩き込むだけだ!
「まずッ───」
「吹っ飛びやがれ!」
 逆巻く突風を纏った拳は、彼女をガードした両腕ごと吹き飛ばし、竜巻となってそのまま教室の天井を貫通し、屋上まで大きな風穴を打ち開けた。

***

「しかし、凄い事になったな……」
「あはは……」
 夕刻。
 天井にぽっかりと開いた大穴を見上げながら、暸太郎が言うと、張本人である斗真は苦笑いを浮かべる。
 あの時は、正直此処までなるとは思っていなかった。
 だって初めて変身したし?
 あんなパワー出せるとは思わなかったし?
 だが、そんな言い訳が通用する程、暸太郎とは親しくない。
「君のおかげで死傷者が出なかったから良かったが、国の許可を受けていない個人での自警活動は、本来ならば補導……下手すれば逮捕にまで発展するんだぞ?」
 暸太郎は手帳に書き込みながら、厳しめの口調で言う。
 それは斗真も知っている事だ。
 現に、仮面ライダーが戦隊から嫌われていた理由は、『個人での自警活動を行っていたから』だと言う。人知れず怪人が倒される事で、戦隊のアピールにならないからだ。
 そこまでして自己PRがしたいのかとも思うが

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43 :迅
2022/05/15(日) 09:01:38

 斗真は仮面越しにヘラッと笑って見せた。
「じゃあどうします?俺も捕まえる?」
「……いや、見逃そう。今回の件は、『熱心な一般人の協力によって事なきを得た』と、上には伝えておく」
「おっと、そこまで『は』融通効かせてくれるんですね」
「オシャレなブレスレットを両腕に嵌めてやろうか?」
「笑えねー冗談だな……」
 流石にこれ以上は冗談では済まないと判断したのか、暸太郎の脅しに対し、斗真は大人しく引き下がる。
 対する暸太郎は、案外物分かりの良い男だった。
「兎に角、今回は君の事は伏せておく。だが、今後似たような事が見受けられた場合は、覚悟しておけ」
「はいはい」
 にっくき戦隊の警告を軽く聞き流し、斗真は踵を返して教室を後にする。そして、昇降口を出ると、中央のスロットからディスクを取り出して変身を解除。
 黒いアンダースーツと白いアーマーは、そよ風となって彼の身体から放たれて行った。
「ふぅ」
 一息つくと、彼は異変が無いか確認を始める。
 手の開閉、跳躍、ちょっとした外敵刺激。
 ……よし、感覚はいつもと同じだ。どうやら、変身している間だけ、身体能力がブーストされるらしい。
 スーツに内蔵された機能だろうか?
 いや、それは追々父に聞いていくしかない。
 ベルトをケースにしまい、斗真が帰路に着こうとすると、彼の前にあの黒いスーツの女が現れた。
「よッ」
「お前は……!」
 女───シナプスは挨拶を飛ばし、斗真は身構える。
 その態度が不満を買ったのか、彼女はため息をついた。
「全く、酷いなぁ。その反応。今は敵同士じゃあないじゃん」
 ───ま、良いか。
 と、シナプスは塀から飛び降り、一瞬で斗真の懐に潜り込む。
 殺られる。
 だが、すれ違う様に彼の隣を歩くシナプスは、本能的な死を感じた斗真の耳元に、囁く様に告げた。
「君、もう変身しない方がいいよ?」
「は……?」
 斗真は振り向く。
 しかし、彼女の姿は霞の様に消えていた。
 変身しない方がいい?どう言う意味だ?
 一抹の不安を覚えながら、斗真の奇妙な一日は終わりを告げた。

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44 :迅
2022/05/16(月) 21:04:27

 別人になるのは難しいが、別名を名乗るのは簡単だ。
 別の人間に成るには、顔や性別を変えなければならない。だが、それに対し、別の名前を名乗りたいなら、ただ自身の名前を少しだけ変えるだけで済む。
 なんだったら、その名を自称しても良い。
 しかし、仮に前者を成し遂げた人物がいたら、どう思う?
 かつてCGRのエース・猫野瑠々であった少女は、今は猫野瑠々ではない。
 今の彼女は、何者でもない。
 ただの『ルル』なのだ。

Vigilante・─The・Masked・Rider─Other・Ruru

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45 :げらっち
2022/10/25(火) 15:31:45

戦隊学園が開校したぞー
ハイスクールライダーズは授業再開しないの?

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