日記一覧
┗86.美しく残酷にこの世界から去ね(11-15/36)
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15 :
石_切_丸
05/30(土) 22:02
人は自らの常識に当てはまらない現象をすべて妖怪、と呼んだ。
神なる私が言うのも気が引けるが……古代人の科学、に近いものだ。
幽霊を見た、という9割は自らの脳が作り出した幻影といっていいだろう。それだけ脳というのは……いや、こういう話ではないな。
彼らは古来より存在する。しかし現在、その数は少ない。人が自然を把握するようになった、というのもあるだろう。今や自然は国が守らなければ削られる運命にある。付_喪_神は多いよ、私たちもそうだからね。
之_定……歌_仙は恐らくは……悪い方向に進んでいる妖だろう。彼の後ろに無念が見える……無理もない。徳を教えるものがいない。
一番は力を付ける前にはらってしまうことだ。……が、無慈悲は私の趣味ではない。何より青_江がこれ以上塞ぎ込むのは望む結果じゃないな。彼は私よりも人の姿である時間が長い。
>人の姿が長いほど、我々(付_喪_神)は人に近くなっていく
卑怯だが、言_霊を使わせてもらった。正しくとらえてくれることを願おう……これ以上、犠牲が出ぬように。
>全く、人の身は難儀だなぁ!!
>>16
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14 :
歌_仙_兼_定
05/30(土) 19:57
#さくら、さくら
僕が山に帰ったのは、一週間後だった。それまでぐっすりと眠っていたらしい。迷惑をかけてしまったね。着替えて帰ろうとしたら青_江が四角い箱……車、というらしい……で送ってくれることになった。なんのお返しもできないから断ったが青_江を断り切れなかった。
万_屋にいくという名目もあったので青_江の隣に僕、後ろには小さな子二人と……石_切_丸、が座った。彼は苦手だ。こう、神々しいというか。油断したら僕が消えてしまいそうな気がする。
車は不思議だ。馬糞を出さずに、馬よりも早くすすむ。早すぎて目が気持ち悪い。小さな子たちは買いたいもの談義に花を咲かせていた。僕は金というものを持っていないから、少しだけ羨ましかった。
休憩によったところも驚きだ。広い、森がない。ぱーきんぐ、というらしい。人や、僕たちみたいのがたくさんいた。何か食べよう、といわれたが僕は何もいらないといった。人の食物はあまり好きではなかったからね。青_江がちいさい子たちをつれてレストランというところにいく間、僕は石_切_丸と外の休憩所で過ごすことになった。……。
>「歌_仙」
三人がだいぶ離れた頃、彼から話し掛けてきた。名前を呼ばれると心臓をとらえられたようで気分が悪かった。恩人の一人だし、笑顔をみせる。彼は真顔だった。
>「君は二度とあのような遠出をしてはいけないな。母体から離れると君たちは力を失う。」
#「……?」
>「僕は御_神_刀だから、気配で分かるんだ。君はね、平たく言えば妖怪だ。僕と一緒にいると気分が悪いだろう……悪いとは思っているんだけれどね。」
#「僕が、妖怪?」
深々と頷いて彼が続ける。
>「正しく召喚されなかった……かな。理由は分からないが……君が目覚めた場所があるはずだ。そこからあまり遠く離れないこと。無闇やたらに人里へ下るのも感心しないな。下手したら討伐の対象になる。」
>「とにかく、自分の領域外に出ると君は弱くなるし力が保てなくなる。自然のあるところでひっそりと過ごすんだ。人に対して徳をつみながら、神になれるその日までね。」
#「神……かい?あまり考えたことがないよ。雅であれば僕はそれでいいからね。」
>「神になれば雅事にはかかないよ、歌_仙_兼_定。」
石_切_丸は僕の頭をくしゃりと撫でた。真顔にいつのまにか笑みが灯っていた。つられて、笑む。
彼の言うことは本当のような気がした。なにより、僕が妖怪であるというのがわかったのが大きい。僕は僕に対する理由を見つけられた。
#「ありがとう」
#人食いが徳なのかどうか分からないけれど。
僕はよいことを重ねようと、決めた。
>>15
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13 :
江_雪_左_文_字
05/30(土) 13:06
世のあらゆる事柄は無常。
争いは何も生みません。
人もまた生んでは壊しての繰り返し…この世界に何の意味があるのでしょうか?
小_夜を連れ、畑仕事に赴こうとしました。
たまたま障子が空いていたので不意に中を覗くと二つの色合いが。
私は一瞬幻影を見たかと思いました。
…そういえば蜻_蛉_切殿が他の本_丸の刀を担いできた、とおっしゃっていましたね…。
>「……。」
#「おや…小_夜、如何しました?」
#「……嗚呼、そうですね。言われてみれば……。」
小_夜の言葉に私は納得しました。けれども、単騎出陣(遠征)とはいえ他の本_丸の刀…何かしら、
事情はあるのでしょう。彼は他の歌_仙とも少し気配が違います……それに、
斯様な状態を石_切_丸殿が如何思うのか……いざとなったら私が和睦に努める役を担いましょう。
…そういえば久しぶりにいってみましょうか。顔を見せれば彼方で笑ってくれるでしょうから。
燭_台_切殿がみたらし団子をこしらえてくれました。それをもっていきましょう。
#……小_夜の硬い表情が和むのが、今の私の癒しです。
>>14
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12 :
歌_仙_兼_定
05/30(土) 01:34
#夢、とは
事実無根の情報集団、というのは現代の事だ。
僕のいる時代は夢もまた現実の一つとして捉えられていた。
不思議な夢だった。
いや、夢は何時だって不思議なモノかもしれない。
僕が大きい蛍のような光に囲まれているんだ。
僕はその光たちが愛しくてたまらない。
中でも、一つの光は触れたら離したくないほどに愛しかった。
光が一斉に消え、僕は抜刀する。
青い1000の刀が僕に振り下ろされる。なすすべなく、貫かれる。
嗚呼、君もか…二振り、地面に磔に。
空を見上げる。白筋ひとつないうつくしい青空だった。
それがやがて夕焼けにかわり、刀が蔦となり僕たちを包み込む。
赤い赤い蔦だ。蔦は僕の心臓を奪った。
感情が消えていく。僕は動くことも助けを求める感情も出ぬまま、
蔦とともにいつの間にかできた暗澹の蟻地獄に引きずり込まれていった。
#空で、光が泣いている。
目が覚めると一切の感情は波にさらわれて。いつのまにか隣に潜り込んでねている青_江という男の寝顔を
見ることになった。僕の刀は枕もとにキチンとあったが流石に恩人を切り捨てるのは気が引けて。
考えているうちに再び睡魔に引きずりおろされた。
.......
>「……。」
>>13
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11 :
歌_仙_兼_定
05/30(土) 01:16
>>10
そして現在、僕は一人の人間の家にいる。
気配はどうやら刀達だったらしい。…そして幸か不幸か、その中に僕を知っている刀がいた。
>「歌_仙くーん、久しぶり。2か月くらい?ふふ、運命だねぇ。」
#「……。」
>「そう怖い顔しないでよ。とって喰いはしないから。僕を追いかけてきてくれたのだろう?」
>「いつだって君の事は歓迎だよ」
#「違うと言っているだろう…気持ち悪い。」
>「またまた。そうでなければこんなところまで来ないだろう…?照れる君も可愛いよ。」
「…青_江の旦那、その辺にしておいてやりな。歌_仙の旦那は熱中症だからな。」
#「熱中症?」
青_江、というのか…忘れておこう。
「嗚呼、人の身を得た刀は自分の限界を知らずに歩き回るもんでな。特にこの時期は暑いだろう?」
「でも暑いも寒いも知らなかったオレらは自分の限界を超えて動き回っちまうんだ。」
「その結果、暑さでぶっ倒れるわけだ…分かったかい、歌_仙の旦那。人間の身体には水分が必要なんだよ。」
そういえば僕は人の血肉以外ロクに食べていないことに気づいた。
いや、あれは食事に含めていいのかい?…とも言えないな。何より、あれを食べているときの僕は雅さに欠けた。
黙って頷いておいた。背の低い彼は満足そうに笑って柔らかい瓶を差し出す。受け取る。
普通の瓶の要領で口を捩じったら力加減を間違えたらしく、柔らかい瓶は勢いよく畳を滑って行った。
#「……すまない。こんな瓶初めて見たから。」
「気にするな旦那。それは瓶じゃなくてペットボトルっていうやつさ。旦那は知らなかったか。説明すればよかったな。」
小さな彼はそういってペットボトルを僕にたわしてくれた。
こぼれた後がなんとも切ない。
>「そうそう、そういうのはキチンと丁寧に教え込んだ方がいいよ…僕みたいにすぐ順応するタイプじゃないからね、彼は。」
「青_江の旦那は飲み込みがはやかったな!本当笑った。…っと俺っちは大将に説明してくるからいくぜ。歌_仙の旦那も服かわいて元気になったら
大将のところ戻れよ。心配してるだろうからな。」
>「薬_研君いってらっしゃーい。看病は任せてね。」
小さな彼はそういって部屋の上部にある僕の服をさした。寝ている間に洗ってくれたようでほのかに石鹸らしい匂いがする。
…当分乾きそうにない。代わりに僕は紺色の洋装をきている。青_江という刀曰く、「僕のじゃーじ」…らしい。
正直胸と尻の部分がきついしそもそもいつ着替えたのか僕は思い出せない。下着まで洗濯紐にかかっているところをみると
僕は見知らぬ誰かに裸を見せていたようだ。想像はついたがそれ以上考えるのはやめた。反吐が出そうだった。
水を喉に半分ほど流し、僕は再び横になる。青_江の膝が見えた。見上げると金色…いや、片方が赤だった。
オッドアイの双眸が垣間見えた。初めて会ったときと同じように笑っている。
…ああ、だめだ。
#「……倒れて迷惑をかけたね……有難う……すぐに立つよ。ここは気配が、多いからねぇ。」
>「運んできたのは僕じゃないけれどね。どういたしまして。…会いたかったよ」
#「それについては真逆の意見だ。」
>「…ふふ、つれないなぁ歌_仙君」
#「つれないことをいう君が悪い。行き成り僕の名前をよんで誘って。警戒しないほうがおかしい。」
>「嗚呼、そうだ。そうだねぇ、言われてみれば…。」
また意識が落ちそうだ。
これが人の身体なのか…不便だな。半端に人で、半端に刀で……雅とは言い難い。
鉄牢のように閉じようとする瞼に抗う術のない僕は後半何を言ったか全く覚えていない。
視界一杯の相手の笑顔と笑い声が、記憶の底にはりついて。
僕はまた眼を落とした。
>「お休み、歌_仙君」
温かい感触がどこかにおちたきがした。
>>12
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