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193.『戦隊学園』制作スタジオ
 ┗229-238

229 :第9話 1
2021/08/17(火) 23:46:39

「嘘、信じらんない!!」
朝食の席で七海は悲鳴を上げた。朝食と言ってもカップのカレーうどんでパックのご飯2ケを平らげただけだが。

「どうしたの?」
楓が尋ねる。
「木村先生、人事異動だってよ!唯一信用できる先生だったのに。」
学園通信の隅っこにそのような記事が小さく書いてあったのである。そもそもこんな重要な情報が隅に追いやられていること自体がおかしいのだが。

「陰謀としか思えない。」

七海と関係を持った先生が消された、これは陰謀。

「考え過ぎじゃない?」
「魔法クラスの授業、お休みみたい。どうしよ。」
「どうしようか。」
楓はスマホから目を離さず空返事ばかりする。

「ちゃんと聞いてくれてる?伊良部さん。」
「名字で呼ぶなよ!きらいなんだから。」

楓はようやく顔を上げた。
真っ白な七海とは対照的にやや色黒な伊良部楓。

「ちゃんと聞いてるよー。じゃあ今日は生物クラスに出てみない?」
「えぇ?」
「もう決定!拒否権はありません!」
楓は七海の腕を引っ張って無理矢理立たせる。
「今日は開園日だし!絶対面白いよ、来てみなよ!」

七海は楓の激しい推しに屈する。
「わかった行くから。開園って何の?」

「戦隊動物園の!!」

戦隊学園には動物を手なずけて戦闘に運用する戦隊も多く存在し、それらを飼育する広大なスペースがある。
それを動物園と改称し、売り上げを得るのが生物クラスの試みらしい。
「ほら早くして!」
「はいはい。」

七海はカレーうどんの残り汁を飲み干した。

[返信][編集]

230 :2
2021/08/18(水) 22:15:26

「そういえば、生クラ行くのって初めてだな。」

七海は親友である楓から生物クラスの話をよく聞いていたが、参加したことは一度も無かった。
それだけでなくその教室がどこに在るのかも知らず、その活動は謎に包まれていた。

「じゃぁ乗るよ!」
「えぇ!?」
2人は校庭の端に来ていた。
そこには何と、田舎にある様な小さな駅があった。2両の客車をけん引した汽車が到着しており、煙を吐いていた。

本当にここは学校の敷地内なのだろうか。

「毎日汽車に乗って通学してたの?」
「そだよ!生物クラスの飼育スペースは学園のはじっこにあるからねぇ!あ、出発するよ急いで!」

2人は客車に駆け込んだ。
汽笛が鳴り出発。機関車戦隊スチームマンの運転により、ガタゴトと線路の上を走ってゆく。
客車の中は生徒たちでぎゅうぎゅう詰めだった。

「そこ!」
席が1つだけ空いていた。
「七海ちゃん座って!」
「いいよ。私ゲストだし。楓が座んな。」
「じゃー遠慮なく。」
楓が座り、七海はその目の前に立つことにした。
「満員電車って嫌いなのだけど、いつもこんなに混んでるの?」
「んなことないない!今日は特別だよ!開園日だからみんな見に行くんじゃないかなぁ。」
「なんか、不安だけど・・・」
「大丈夫!安心して!」
「楓が安心してって言う時は、絶対信用できないよ。」

楓はアハハと笑ってスマホをいじり出した。

「何みてんの?」
「いわゆる成人向けってやつ。」
「学校のWi-Fiでよくそんなのみれるね。私以上の度胸持ちだよ楓。」

――――――――――――――――――――――

他方、こちら学園の敷地“外”。
獣たちがドカドカと地を蹴って逃げてゆく。

「マスイクラスター!」

ドバン!という爆音。
散弾が放たれ、つぶてが獣たちに命中。バタバタとその場に倒れる。
難を逃れた獣たちは逃げてゆく。

「申し訳ねぇ、チョウスキーさん、土壇場になってしまって。」
「いいから続けろ。開園はもうすぐでぇす。ズーレンジャーの名に懸けて、動物たちを保護するのでぇす!」

[返信][編集]

231 :3
2021/08/18(水) 22:33:17

「着いた。」
汽車は戦隊学園の西端にある終点に到着した。
降車するとすぐに戦隊動物園の巨大なゲートが見えた。
「ジュラシック・パーク思い出すな。」
「前まではあんなの無かったんだけどねぇー。広い牧場があって、馬に乗ったりしてた。牧場は潰されちゃったけど・・・」

すると突然、動物のものと思われる咆哮が聞こえた。
「なんだかワクワクしてくるね。」
生徒たちはぞろぞろとゲートをくぐって入場する。
七海と楓もそれに続こうとするも、係員を務める生徒に止められた。
「待て、そこの白いの!」
「白いのって言い方は気に障るんだけど、たぶん私のことだよね?」
七海は応答する。
「なんでしょ。」
「小豆沢七海だな?入園を禁じる!」
係員は出刃包丁のようなものを突き付けた。
「違うよ、私、鰻佐奈。」七海はとぼけた。
「ふざけるなぁ!PPチョウスキー様に、小豆沢七海が来た場合絶対に入れるなと、固く言われているのだ。去れ!」

七海は楓に耳打ちする。
「PPって誰?」
「生物クラスの首席で、ズーレンジャーのリィダァで、戦隊動物園の園長。変人だよ変人!夏なのにパンダのキグルミ、着てんの!」

「去れぃ!」
係員は緑色の戦士に変身した。コックのような帽子をかぶっている。
「野菜は残さず食べろよ!ベジ・切り刻み!」
戦士は猛回転し出刃包丁を振り回す。
「うわ、物騒。」
七海はコボレホワイトに変身すると出刃包丁の刃をピッと掴み相手の腹を蹴り一撃でダウンさせる。

「シェフグリーン!」
4人の戦士たちが駆け寄って来た。
赤・黄・オレンジ・茶色とカラフルだ。戦士たちは包丁や泡だて器、ピーラーを持って七海を取り囲む。

「厨房に居るはずの三ツ星戦隊シェフレンジャーともあろうあなたたちが、何でこんな辺境の番人をさせられているの?」
しかしこれでは分が悪い。

七海は変身を解除した。

「きっとPP何とかは、金閣寺躁子や赤鵬楼太郎(ろうたろう)を下した私を快く思ってないんだね。いいよ、私、帰るから。」
「七海ちゃん!」
楓が引き止める。
「ほら、やっぱりあなたが安心してって言うのは信用できない。」
「えっ、そんな言い方無いじゃん!あたしが悪いの?」
「知らない。」
七海は楓を1人取り残し、足早に駅に戻る。

[返信][編集]

232 :4
2021/08/18(水) 22:37:35

7月にもなりじっとりと暑い中、七海は未練がましく戦隊動物園の塀の外に張り付いていた。
「よっ・・・と。」
背伸びして塀に手を掛ける。
「165・・・あれば・・・」
何とかよじ登る。
「おっ、見えた!」

園内はイチャラブカップルや餓鬼みたいにはしゃいでいる男子集団や動物そっちのけで自撮りしている女子集団でごった返していた。
本日は土曜日なので授業が無いクラスも多いのだろうが、土曜授業があってもサボって遊びに来ているのだろう。

真下を見ると、驚愕した。
七海の登っている塀はちょうどカバの檻の真上に位置していた。
見下ろす先には岩のような大きなカバが、狭い檻の中で居場所も無く寝そべって沈黙していた。
そんな愚鈍なカバに注目する生徒は少なく、2、3人の生徒がそれを一瞥して他の檻に進んでいった。

次に遠くを見ると、木々の隙間から長い首が顔を出した。
「うわ、麒麟もいるんだ。」
こんな不思議な動物たちを日常で見ることはない。大人びた七海でもついつい興奮してしまう。

「みんなと一緒に来たら、楽しかったかも・・・。」

七海は公一や佐奈、豚之助のことを思い出した。
「せめてkezuriに載っけるか。」
七海はスマホを取り出しこの光景を写真に収めようとする。
だが。
「あっ!」
スマホを取り落とした。しかも運悪く、敷地内に落ち、悲劇的なことに、カバの背中に乗っかってしまった。

「わぁぁ最悪・・・」
手を伸ばしても届くはずはなく、七海は塀を跨いで敷地内に飛び降りる。
カバの真横に着地。
「カバさん、起きないでね・・・」
カバの上に乗ったスマホに手を伸ばす。すると。

「なにあれ!人間が展示されてるぅう!」
女子生徒の声。
「わはは!本当だ!」
「傑作だ!」
生徒達が集まってきてしまった。七海は赤面し急いでスマホを回収すると、檻をよじ登って脱出し、あてもなく園内を走り出した。

[返信][編集]

233 :5
2021/08/18(水) 22:48:55

七海は楓を探して動物園の敷地を彷徨っていた。
「ん?すごい行列だな。」
敷地内の一角に長蛇の列ができていた。何だろうと思って見ると、看板に白と黒のあの動物が描かれている。
「ほう、パンダ舎か。」
40分待ちと書かれている。
どうせ動物なんてしっかり見ていないのだろうが、パンダだけは40分並んでも見たいものか。

するとまぎれもない、楓の声が聞こえた。しかもこれは悲鳴。

「おかしいじゃん!!」

どうしたのだろうと思って声の方に走っていく。
パンダ舎の裏で、パンダのキグルミを着た大男と対峙している楓の姿を見つけた。
「あれがPPなんとかだな・・・」

「何でそんなことが出来んのか、あたしにはわかんない!!なんかさっ、ほんとにっ、悲しい!!」

こんなに咽び泣いている楓は珍しい。というかかつて一度も見たことが無い。
親友のそんな姿に七海は心打たれた。

「あなたがどう思おうと、それは問題では無いのでぇす。客たちが!そして何より園長である私が!嘱望しているのでぇぇす!!」
「鬼だよ!生物クラスのモットーは、どんな生き物でも大切にすることじゃないの!?動物と心を通わすことじゃないの!?こんなの見世物にしてるだけじゃん!最低!しねば?」
「私を怒らせない方が身の為ですよ楓ちゃぁん。パンダは肉食ですからぁね。」

PPチョウスキーはキグルミの鋭い爪をギラつかせる。
楓は泣きじゃくりながらも危機を感じたのか、たじろぐ。
七海は飛び出した。
「キララ!」
七海はタクトから星屑を撒き散らしPPチョウスキーを吹き飛ばす。
「ぐぉお!」

楓はきょとんとしていた。
「七海ちゃん!何でここに?」
「大丈夫?いこ!」
七海は楓の腕を掴んで引っ張る。

「小豆沢七海!」
PPチョウスキーはすぐに立ち上がった。
「今日は我が動物園の大切な開園日でぇす!邪魔はさせませぇんよ!」
彼の部下、ズーレンジャーのメンバーと思われる生徒たちが、七海と楓の後を追う。

[返信][編集]

234 :6
2021/08/18(水) 23:00:58

七海は追っ手から隠れると、楓にあの涙の理由を問うた。

「あいつら最低だよ!パンダ舎拡大のために、爬虫類館と昆虫館潰すって言うんだよ!動物たちは、殺処分するって!」
「うん、そういうことだろなと思ったよ。」
楓は涙をすすりながら訴える。
「かわいい動物とか、綺麗な自然だけを保護するのは、ちがうじゃん!」
「うん。たしかに独善だよね。」
「きもくても怖くても同じ動物だしさ!あたしの好きな動物たちって、嫌われ者で、かわいそう!!」
「楓の好きな動物って何だっけ?」

楓は泣き止んで言った。
「蛙とか、百足とか。節足動物って、えろくね?ピパピパの交尾知ってる?彼氏ができたら、ああいうこと、したいなって思う。彼氏できないけど。あと烏賊の寄生虫は感動するから一度見たほうがいいよ!待ち受けにしてるから今見る?」
「いいよもう。」
七海は鳥肌が立った。
「う、うん。確かにきもくても、平等に展示すべきだよね・・・。」

「居たぞ!」
追っ手たちに発見された。
2人の生徒が麻酔銃を構えている。
「スタン・ガーン!」
早業。
七海は2度呪文を詠唱し2人に電撃を浴びせた。1人はその場に崩れ落ち、1人は吹っ飛びガラスを突き破った。
それは爬虫類館のガラスであった。

「ぎゃ、ぎゃあああああ!!」
「へびぃ!」
「キャーーーーーーーッ!!」

巨大な蛇やトカゲたちがぞろぞろと出てきた。
「やりぃ!みんな逃げちゃえ!」
興奮する楓の手を引いて、七海は走る。
「ここから出よう。」
更に2人の追っ手が来る。

「そういえば七海ちゃん!別れ際に、あたしが悪いみたいなこと言ったじゃん!あれちょっとひどすぎない?」
楓は走りながら苦言を呈した。
「あ、まだ覚えてた?それはごめん。私、性格悪いから。知ってると思うけど。」
「人として最低レベルだよ!彼氏だったら速攻別れてる!」
「まぁ彼氏じゃないからな。」
「ごめんなさいは?」
「ごめんなさい。」

[返信][編集]

235 :7
2021/08/18(水) 23:01:37

七海と楓は水族館の様なスペースに逃げ込んでいた。

「ここは何?」
「元々スイエイジャーとか、水中戦をメインに行う戦隊の訓練用プールだった。でも今は巨大な水槽になってて、水生生物がいる。」

ドバン!と銃声。
「あっぶね!」
追っ手のズーレンジャーたちは七海たちを見つけると容赦なく麻酔銃を発砲してきた。
「飛び込もう!」
そう提案したのは楓だった。
「正気?サメでも居たらどうすんの?」
「居ないよ!他に逃げ場は無いし!変身すれば水中でも息ができるんだよ。ゴー!」
楓はコボレブルーに変身すると水槽の中に飛び込んだ。
「やっぱり度胸持ちだよ楓。」
七海も変身し、それに続く。

水中は真っ暗だった。
七海は楓の後ろについて水底を歩いて進む。楓のブルーのスーツが水の色に溶け込み、七海は時々彼女を見失いそうになった。
(ん・・・?)
七海は嫌な予感がして、楓の腕をつかんだ。
(なんか来るよ、サメかも!)
(ジョーズの見すぎだよ。ここにサメは居ないって!)
だが大きな魚影が近付いて来る。
2人はピッタリくっついて縮こまって居た。

(わああああああああああ!!!)

巨大な顎が姿を現した。
サメだ。
2人は我先にと泳いで逃げる。
するとサメの身体がパカッと割れ、3人の戦士が姿を現した。

(竜宮戦隊シンカイジャーだ!オチコボレンジャー、相手をしろ!!)

偽物のサメであった。
七海は怒りに任せ電気魔法を使う。
(七海ちゃん、水中で使っちゃ・・・!)
(スタン・ガーン!!)
効果は抜群だった。
電撃がシンカイジャーを一掃したが、同時に七海と楓の身体も痺れる。
2人は何とか水槽を脱出した。

[返信][編集]

236 :8
2021/08/18(水) 23:03:18

そこに待ち構えていたのはPPチョウスキーその人だった。
「動物たちが逃げ出して、もうメチャクチャでぇす。お前ら絶対、ゆるさなぁい。」

PPチョウスキーは変身アイテム・ガクセイ証により、白と黒の戦士に変身した。

「ズーツートン!」

銃を構えたPPチョウスキーの部下たちも変身する。
「ズーレッド!」
「ズーブルー!」
「ズーイエロー!」
「ズーピンク!」

「保護戦隊ズーレンジャー!!!!!」

「それだけではありませぇん。生物クラスはカラーとは別に、アニパワーにより二段変化できるのをご存じですか。」

「アニパワー?」
何それという七海を他所に、ズーレンジャーの面々は更に変身する。
「チェンジ:パンーダ!」
ズーツートンのスーツはパンダを模したようになり、むしろ変身前のキグルミ姿に近くなった。
「ズーパンダ!」
他の戦士たちも変身する。
「ズータイガー!」
「ズーベアー!」
「ズーホース!」
「ズーハムスター!」
それぞれのスーツに動物の衣装が施される。
これは人というより虎や熊と対峙しているようなものであり、七海にとってはこれなむ窮地という所だった。

だが楓は余裕の表情だった。
「そっちが動物なら、こっちも動物で行くよー!」
「ほほーう。あなたもアニパワーで変身する気でぇすか。何の動物になるんでしょうねぇ?」
「蛙の力、見せてやる!」
「蛙?」

楓は呪文を詠唱した。
「チェンジ:ピパピパ!」

コボレブルーの青いスーツは膨らみ、平たくなった。手には水かきが付き、楓は四本の手足で地を踏みしめる。
そしてその背中には。
大量の卵が埋め込まれていた。
「ああああ・・・あ・・・・・・。」

ズーレンジャーたちはあまりのおぞましさに戦意を喪失しその場に座り込んでしまった。
「あれ?カエルキック喰らわしてやろうと思ったのに。」
そして七海の目も蛙と化した楓の背中に釘付けになっていた。
「あ・・・」
ぽこっと、背中の卵から蛙の頭部が顔を出した。
そしてそれを合図に一斉に他の卵も孵化し、背中一面の穴から蛙の頭が突き出している状況になった。

七海は気絶した。

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237 :9
2021/08/18(水) 23:04:16

「チョウスキー様、てぇへんだ、あいつが校舎を襲ってるらしい。教頭から連絡があった。」
「なんでぇすとぉ!」
敗北したPPチョウスキーは部下と何か話している。
「あいつが・・・それはまずいでぇす。生物クラスの威信にかかわります。」

「何?どうしたの?」
七海が尋ねると、PPチョウスキーは七海に掴みかかった。
「小豆沢七海!お前のせいでぇす!ザウルスが逃げ出しました!」
「ザウルスって何?」
「ポンパドーデスから購入した機械の恐竜でぇす!お前の逃がした蛇がザウルスの檻に巻き付いて破壊し逃がしたんでぇす!もう何もかも終わりでぇす!」

PPチョウスキーの鋭い爪が七海の腕に突き刺さる。

「痛いんだけど、離してくれる?そんなのとばっちりじゃん。恐竜なんて飼育しようとするのが悪い。」

七海はPPチョウスキーを振り払った。

「でも七海ちゃん、もし公一くんたちが襲われたら・・・!」と楓。
「うん。私たちが止めなくちゃ。校舎までは遠いけどどうしよう。」
「じゃあ馬で!」

園内では今や動物たちがフリーダムだ。
楓はその辺に居た馬に飛び乗ると、七海に手を差し伸べた。
「乗って!」
七海もよじ登る。楓は乗馬が得意なのだ。

「いけぇ!」

斜陽の戦隊学園、七海と楓は馬に乗って駆けてゆく。

「あれだ!」

校庭では、頭部が鋼鉄で出来た恐竜とメカ之助が取っ組み合いをしていた。
「負けるなメカ之助~!」
恐竜は校舎に匹敵するほど大きく、校舎は既に半壊している。メカ之助も手負いだ。
七海と楓はメカ之助の加勢に向かう。

[返信][編集]

238 :10
2021/08/18(水) 23:05:20

七海と楓はメカ之助の身体をよじ登り、コクピットに乗り込んだ。

コクピットでは佐奈が操縦、公一がペダルを漕いで動力を作り、2人きりでまかなっていた。
「おう、来たか七海!楓!あいつ何なんや?もう滅茶苦茶やで!」
ディスプレイにはメカ之助の目がとらえたザウルスの映像が映っている。
巨大な肉食恐竜は鋼鉄の牙をむき出しにして、こちらを睨みつけていた。

「あいつ動物園から逃げ出した機械の恐竜!でも七海ちゃんとあたしが来たからもう大丈夫。安心して!」
「あなたが安心してって言う時は、絶対信用できないけど・・・」と佐奈。

「ブヒャ~!」
豚之助の悲鳴。その丸々肉付いた右腕に、ザウルスが鋭い牙を突き立てていた。
「まずいっ、腕を噛み千切られる!」と佐奈。

「じゃあこっちも食べちゃえ!」
奇想天外な作戦を発案したのは楓。
「生じゃ食べられなく無い?焼けばいいかも。」
七海は炎魔法を唱えた。

「スパイラルフレアー!」

するとメカ之助は口から炎を吐いた。
「ブヒ~~!!」
ザウルスは炎に晒され真っ黒焦げとなる。
「今だ!」
「焼けっぱちブヒ!」
メカ之助はザウルスの身体に喰らい付いた。
そしてむしゃむしゃと喰らい、日が落ちる頃には、ザウルスは機械の頭部と骨を残しメカ之助の胃袋に消えていた。
これでオチコボレンジャーの勝ち星は9、残り1つを残すのみ。

――――――――――――――――――――――

会議室にて、天堂茂はコーヒーをすする。
今や3人の首席がやられ、他の首席たちも恐竜騒動で逃げ出してしまった。
「笑えるな。」
すると突然、稲妻がすぐ近くに落ちたような轟音とともに窓が割れ、巨大な鉄の塊が室内に突っ込んで来た。

「わぁ!」

円盤だ。
SF映画のUFOのような銀の円盤が開口し、中から白い戦士が降り立った。キラキラと光り輝いて居る。
「誰だ?」
白い戦士はピポパポと機械音を鳴らした。
「ポンパドーデス、解読しろ。」
「ポンパドールです。解読はちょろい。」
ポンパドーデスが駆け寄り、パソコンにてこの音声を解読する。

「我は――宇宙クラスの首席であり――唯一の生徒である――ビッグ・タキオンだ――とのことです。」

「宇宙クラス?なんだそれは。戦隊学園のクラスなのか?」
「限られた人しか入学できないという第10のクラスですね。」
するとビッグ・タキオンは、天堂茂でも聞き取れる人間の言葉でこう言った。

「オチコボレンジャー、出色だね。戦-1の最後の相手はこのビッグ・タキオンが努めよう。」


つづく

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