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340.シャインシックス【小説スレ】
 ┗1

1 :ダーク・ナイト
2023/01/29(日) 21:17:29

この物語は、少女戦士たちの、悪と戦う物語…。
感想は>>>333へ。

プロローグ>>2
第一話「日本に到着」>>3
第二話「あなたは…?」>>4
第三話「初めての仲間」>>5
第四話「ジーナ・ケスタの疑問」>>6
第五話「ビリビリの運命」>>7
第六話「思いがけぬ展開」>>8
第七話「ビリビリ対カチカチ&エスパー」>>9
第八話「電気娘の決意」>>10
第九話「初めての本気戦闘」>>11
第十話「悪の復活」>>12
第十一話〜十八話「新たな力」>>13-20
第十九話〜二十一話「レインボードリンクの伝説」>>21-23
第二十二話〜第二十五話「からから砂漠のバトル」>>24-27
第二十六話〜第三十二話 「閉じ込められた悪→?」>>28-34
第三十三話〜第   話 「怪しの山小屋」>>35-

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2 :ダーク・ナイト
2023/01/29(日) 21:22:03

プロローグ

ある街に、1人の少女戦士がいた。
名前は、ジーナ・ケスタ。
街は、warriorタウン。戦士という意味だ。
実は、この街が何者かによって荒らされている。
ジーナ・ケスタの目的。
それは…。
その何者かを倒し、世界を平和に戻すということだった。

3 :ダーク・ナイト
2023/01/30(月) 08:43:28

第一話 「日本に到着」

「…ここが、日本なのね…。」
ジーナ・ケスタは、街中を見渡した。
普段なら、観光客や住人でワイワイと賑わうこの街。
今は、陰気臭い雰囲気に包まれ、建物はボロボロに破壊されている。住人達は、騒ぎにならないように、眠らせられていたのだ。
悪人の名前は、「バリスパー」。
とは言っても、犯罪組織の名前だ。
「はやく…この世界を平和に戻さないと…。」
ジーナ・ケスタは、桃のような可愛らしい髪の毛をし、爽やかな水色のリボンで髪の毛を結んでいる。
一見愛らしい少女に見えるのだが、実は念力を得意としている。
ジーナは、一刻もはやく、仲間を見つけ、バリスパーを倒すことを目的としていた。
ジーナは、「サイケガーデン」という、この世界とは別の超能力世界から来た。
バリスパーが世界を荒らそうとしていることをしった、サイケガーデンの防衛組織、「サイケフォース」は、特殊部隊の新人少女、ジーナを日本に送り出したということだ。
「はやく…仲間を見つけないと。」
ジーナのつぶやきは、人々が眠った世界に静かに響いていったのである。
⇒二話へ続きます!

4 :ダーク・ナイト
2023/01/30(月) 08:55:59

第二話 「あなたは…?」

誰もいない無人の街…のはずだが、なぜかこの街、数人が生き残っているような雰囲気がただよっている。
すると、遠くに人影が見えた。
普段は広場となっている地面に、誰かが座っている。
ジーナは駆け寄ってみた。
こんなに住人が眠らされている荒れた街の中でも生き残っているような人であれば、サイケフォースの協力者にぴったりな超能力を持っているだろうと考えたのだ。
座っている少女は、目玉が書かれた黒い紙の上に乗り、なにやら呪文を唱えている。
「あぁ…やっぱりダメだ…。」
少女はつぶやいていた。
ジーナは、なんだぁとがっかりしてその場を去ろうとした。
すると、座っていた少女は紙をたたみ、呪文の本を閉じて、切り株の上に置いた。
「グレイシアコルドアップ!」
きらきらとまばゆい水色の光が飛び散り、あっという間に少女の周辺の地面が凍った。
ジーナは目を見張った。
⇒三話へ続きます!

5 :ダーク・ナイト
2023/01/30(月) 09:03:55

第三話 「初めての仲間」

「あ、あなたは…?」
ジーナは少女に向かって走っていった。
だが、地面が凍っているのでなかなか近づけない。
ジーナは叫んだ。
「あなたどなた?」
少女はジーナの声にピクッと反応し、叫んだ。
「解除!」
その瞬間あっという間に、少女の周辺の氷がさぁーっと消えていった。
ジーナは少女のそばに駆け寄った。
「私、ジーナ・ケスタ!実は…」
そして、全てを少女に話し終わった。
「そうなの!?お誘い、どうもありがとう。私、サイケフォースの協力者になるわ。私は陣内みぞれ。オカルトが大好きなのだけど、なぜか自力で超能力が使えるようになってしまったの。得意な技は、チルドタイプよ。」
ジーナは、喜んでみぞれを仲間にした。
みぞれは、見た目からして氷のような鋭さと、雪のような美しさを持っている。きらきらとした紺色の大人っぽい目とは逆に、水色のふわふわした髪の毛をツインテールに束ねているところはギャップがある。
「これからよろしく!」
ジーナは、みぞれと握手をした。
⇒四話へ続きます!

6 :ダーク・ナイト
2023/01/30(月) 13:55:13

第四話 「ジーナ・ケスタの疑問」

「ところで…。」
ジーナは腕を組んで、みぞれに言った。
「私、ずっと不思議だったのだけど、なぜかパワードレッサーが6つもあるのよ。」
ジーナの萌葱色の目を、みぞれはじっと見つめる。
「パワードレッサーとは何ですか?」
「パワードレッサーは、強化服装備装置のこと。地球上で超能力を使いやすくするために、悪と戦う時はパワードレッサーに使い、変身して戦うの。」
みぞれは、興味津々に聞いていた。
他のことを頭から消し去り、ジーナの話に耳をずっと傾けていた。
「そうなのですか!」
ジーナはパワードレッサーを取り出した。
1つ目は、ジーナ用の桜色とマゼンタピンクの、フリルがついているパワードレッサー。
2つ目は、みぞれ用の浅葱色とネイビーブルーの、ミニスカート付きのパワードレッサー。
3つ目は、しなやかなスカーフ・マフラー付きの、ワンピース型で若草色のパワードレッサー。
4つ目は、稲妻のような暗黒色とクチナシ色のカッコいいパワードレッサー。
5つ目は、インペリアルレッドと橙黄色の情熱に燃えるような色のパワードレッサー。
6つ目は、グレープカラーと皎色のクールな色の腰絞りワンピース型のパワードレッサー。
どれもこれも心が奪われるような美しい色のパワードレッサーばかりだ。
「他のパワードレッサーを身に着けるような協力者が出てくれば良いのだけど…。」
ジーナはつぶやいた。
⇒五話へ続きます!

7 :ダーク・ナイト
2023/01/30(月) 16:38:38

第五話 「ビリビリの運命」

「あの…、あそこにどなたかいません?」
みぞれが遠くを指差した。
遠くに、金色のまばゆい光が見える。
「行ってみましょう!」
とみぞれはジーナの手を取って、走り出した。
着いたのは、「エレキ大甕」だ。
「エレキ大甕」は、この街の電気屋だ。
ジーナはみぞれに聞いた。
「えれきおおみか?」
ジーナは別世界から来たため、まだこの街に慣れていないのだ。みぞれはジーナに説明した。
「エレキ大甕は、この街の電気屋です。確か、一人娘さんがいるとか…」
ジーナはそれを聞いて、ビビッと頭に知恵が走った。
(一人娘…さっき見えた金色の光…電気屋…もしかしたら、新しい協力者かもしれない!)
この店も、バリスパーによって荒らされていた。
わずかな店員も店長もみんな眠らされている…はずだ。
ジーナとみぞれが少し店の前で立ち止まっていると、中からまぶしい光が出てきた。
「ビリビリカリスマ!」
その瞬間、ドジャーンと音を立て、二人の目の前に雷が落ちた。二人はしばらく声が出せなかった。
やがて、ジーナはやっとのことで声を絞り出した。
「え…。」
それに続いて、みぞれも声を絞り出した。
「店の…奥…に…入って…みま…しょう…。」
恐ろしさに声が裏返ってうまく話すことができなかったが、二人は店の奥に進んでいった。
⇒六話へ続きます!

8 :ダーク・ナイト
2023/01/31(火) 17:02:04

第六話 「思いがけぬ展開」

二人が歩くたびに、床はミシミシ言う。
しかも、よくよく見ると実験で作られてしまったであろう傷が壁にはたくさんついていた。
床のあちこちには、実験計画法が書かれた紙が丸めて散らばっている。
奥からはピシピシという音が聞こえてきた。
二人は震えながらも、一歩一歩進んでいった。
奥には、1人の少女が立って、机の上においてある紙と、机の隣に飾らている機械をかわるがわる見ていた。
髪の毛は天然パーマの草木色。
瞳はミルクチョコレートのような色をしている。
そして、植物のような髪の毛とは真反対に、仕事用の黄色い作業服を身に着けている。
その少女はこちらに気がつき、二人に近づいた。
「あの…あなた方はどちら様でございますの?」
少し独特な語尾といい、言い方といい。
ただものではなさそうなオーラをまとっている。
ジーナは今までのことをすみからすみまで説明した。
すると、少女は少し考えて言った。
「…私は大甕来夢。来夢って呼んでくれたら良いですわ。協力の件ですが…。今はお断りさせていただきますの。」
ええっと二人は驚いた。
来夢はきっと超能力者の一人だろう。引き受けるに違いない。と信じていた二人の考えはあっという間に、初心者対プロのオセロの対決のようにひっくり返されてしまった。
「ですが…私からの要望を受け入れてくれたら良いですわ。」
来夢は意味ありげにほくそ笑んだ。
⇒七話へ続きます!

9 :ダーク・ナイト
2023/01/31(火) 17:12:27

第七話 「ビリビリ対カチカチ&エスパー」

ジーナとみぞれはうなずいた。
二人とも考えていることは同じだった。
どのような要望かは知らないが、なんとしてでも来夢は協力者になったほうが心強いはずだ。
「良いわ。一体どんな内容なの?」
ジーナが口を開いた。
来夢はにっこりと笑って、ジーナに手を出した。
「パワードレッサーを貸してちょうだい。」
二人は、全てがわかったようにうなずいた。つまり、来夢は二人と腕試しの勝負をしたいというわけだ。
それがわかったとたん、ジーナとみぞれもそれぞれパワードレッサーに身を包んだ。
パワードレッサーを装着した3人は、見違えるほど綺麗になった。ジーナ以外の二人は驚いてパワードレッサーを見つめている。
「コホン!…では、この赤い玉が壊せたほうが勝ちね。」とジーナが言い、赤い玉を中心に出した。
ジーナ・ケスタはすうっと息を吸った。
「サイコアタック!」
紫色の大きな玉が来夢の上に降ってきた。
来夢はすかさず、「ビリビリカリスマ!」と唱え、玉を食い止めた。そのスキを見計らってみぞれが「カチカチコールド!」と叫び、赤い玉を固まらせた。
来夢は必死に技を叫ぶが、ジーナのサイコアタックにより、来夢の行く手をはばまれてしまう。
その間に、みぞれは「カチカチコールド!」と叫び続け、玉を凍らせ続けている。
そしてジーナが安心した瞬間…。
「プラズマブレード!」
来夢の必殺技が玉に命中し、玉が見事に壊れた。
ジーナとみぞれは呆然とした。しばらく声が出なくなり、その場に二人は立ちすくんでいた。
やがて、ジーナがせきばらいをして言った。
「ま、まぁ…初めての戦闘にしては上手いわね。」
来夢がにこっと微笑んで言った。
「戦わせてもらえて感謝なのですわ。」
⇒今回はいつもより長くなりました。八話へ続きます!

10 :ダーク・ナイト
2023/01/31(火) 17:33:20

第八話 「電気娘の決意」

「ところで…。」
ジーナが来夢のミルクチョコレート色をした瞳をじっと見つめて言った。
「シャインシックスの協力者の方には…。」
来夢がコクリとうなずいた。
「腕試しをしてレベルも確かめることができましたですし、お二人ともとても強いお方ですわね。私、決めましたわ。」
ジーナとみぞれは期待の目で来夢を見つめた。
OKを出すか、断るか。
断ってほしくはない。なぜなら…この出会いは、来夢の瞳のようにミルクチョコレートの甘い味に仕上げたいからだ。
来夢は、言った。
「喜んでシャインシックスの協力者になりますわ!」
やった!とジーナとみぞれはタッチをした。
来夢は嬉しそうに目を細めている。
ジーナ・ケスタは、つぶやいた。
「…あと、パワードレッサーは3つも残っているわ。連中に見つかる前に協力者を見つけ出したのだけど…。」
すると、来夢が約10m先を指さした。
「あそこにどなたかがいるですわ。」
二人もそちらに目線をうつした。すると、ジーナの目は絶望に燃え始めた。まさか、とみぞれはジーナの顔の雲行きをうかがう。ジーナはうなずいた。
「…バリスパーの団員よ。」
三人の顔がさーっと青ざめていった。
たったさっき戦ったばかりなので、パワードレッサーは身につけたままだ。しかも、行く道は団員が待ち受けている道しかないのだ。他の道は、1つが今来た道。その他は木で覆い塞がれている。。来た道を戻っても街に戻るだけだ。
ココは進むしかない。
三人は恐る恐る歩きだしていった。
⇒九話へ続きます!

11 :ダーク・ナイト
2023/01/31(火) 17:53:02

第九話 「初めての本気戦闘」

すると、バリスパーの団員がこちらに気が付き、近寄ってきた。
「ちわ。コレはコレは。アンタは、ジーナ・ケンダマでしょ。
あたしはジェネラル。」
さすがに誰でも自分の名前を間違えられたライラっとくる。
「失礼ね!誰がジーナ・ケンダマよ!ジーナ・ケスタよ!」
ジーナは怒鳴り散らした。
すると、団員がまぁまぁと言うふうになだめてきた。
「さっ、一勝負しますか。」
団員が告げてきた。ぴっちりとした黒い、スーツとは言い難いが私服とも言い難い団服をさらにぴっしりとさせた。
「望むところよ!」
三人はうなずいた。
ジェネラルが攻撃をしてきた。
「闇闇エネルギー!」
ジェネラルの手から、黒い気体が出てきた。
妙なものが出てきたのに気が付き、とっさに仲間を守ろうとしたジーナは前へと飛び出した。
「サイコアタック!」
紫色の大きな玉が、ジェネラルの上へと降っていく。
ジェネラルはそれを身軽に避けた。
「ボーイングストロング!」
ジェネラルの手が長くなり、力がついているのがわかる。
三人は散り散りになった。
次はみぞれが攻撃した。
「カチカチコールド!」
ジェネラルは氷となった。そのスキを見つけ、来夢が飛び出してきた。
「ピカピカレイン!」
と叫ぶと、空からジェネラルに向かって、電気の雨が降ってきた。ジェネラルは凍った上、ビリビリとしびれている。
「わ…わか…った…から…降参…する…。」
ジェネラルは倒れてしまった。ジェネラルの手から、なにかが出てきた。そして、三人の胸部分にはまった。
⇒十話へ続きます!

12 :ダーク・ナイト
2023/01/31(火) 19:47:35

第十話 「悪の復活」

三人の胸部分にはまったのは、バトルアクセサリーだ。
1人に勝つたびに、1つたまっていく。
また、負けてもアクセサリーは減らない。
今回のアクセサリーは、「悪のビーズバッジ」だ。
紫色や黒色の、怪しい雰囲気を誘い出す色は、なぜかさわることのできない恐ろしい感じを出している。
ジーナ・ケスタはにらむようにバッジを見た。
「ジェネラルの悪がこめられていそう…。」
みぞれも言った。
「…一回、安全かどうか確かめます?」
来夢もみぞれに続いて言った。
「そうですわね。確かめたほうが良いかと思われますわ。」
みんなの意見を確認したジーナは、
「心霊解除!」
と叫んだ。この技は、物にこめられている悪意などを取り出し、安全なものに直す力がある。
その途端、ビーズバッジからにゅうっとジェネラルの姿が出てきた。最初は透明に近い色だったが、やがてどんどん色が濃くなり、さっきのジェネラルに戻ったのだ。
「どーも、ジーナ・ケンドウ!あたしを復活させてくれてテンキュー!」
とジェネラルは陽気に言った。
ジーナは、また名前を突っ込もうと思ったが、今は勝負のほうが大事だ。さっさと撃退させて、このビーズバッジから完全消滅させないといけない。
「…じゃ、開始よ!」
ジェネラルのかん高い声が外なのにくわんくわんと響き渡る。
「コールド・ストーン!」
みぞれが叫んだ。固くて大きくて重そうな氷の石が天から降ってくる。だが、ジェネラルはひるまなかった。
「ブラックホール!」
あっという間に、ごうごうと渦を巻いているブラックホールの中に、氷の石が吸い込まれてしまった。
このままでは、三人もろとも吸い込まれてしまう。
…と、来夢が前へ駆け出した。
「ビリビリショット!」
大きい雷がジェネラルの近くに三回落ちた。
…が、ジェネラルは見事避けている。
そうしている間に、ブラックホールと三人の距離がグングンと迫ってきている。
(どうしよう…。技を繰り出しても、全てブラックホールに吸い込まれてしまうわ…。)
ジーナはあわてた。このままでは危ない。
⇒十一話へ続きます!

35 :ダーク・ナイト
2023/02/17(金) 18:20:40

第三十三話 「怪しの山小屋 その1」

日が暮れて、空が夕日色に輝き出した。
沈んでゆく太陽の暖かい光に照らされ、三人の後ろに影ができた。
砂漠で寝っ転がって笑い合い、たくさん話をしていた三人は、体を起こして立ち上がった。
背中側にはたくさんの砂がついている。
さっさっと砂をはらった。
砂も一粒一粒日差しに照らされて金色に輝いて見える。
(そうだ。)
とみぞれはひらめいた。
ひらめいたと同時にジーナに、
「ジーナさん、いつかの実体映写を使ってくれませんか?」
とたずねた。
「あぁ、実体映写ね。良いけど何を出せば良い?」
「小瓶を出してもらえますか?本当に小さくて良いので。」
ジーナは超能力を使いやすくするためにパワードレッサーに着替えた。
「よし、準備完了。」
準備を整え、ジーナは深呼吸をした。
「実体映写!」
頭の中には、くっきりと小瓶を思い浮かべた。
透明で小さくて丸っこくて金色の蓋が付いている小瓶………。
すると、ポンッと目の前に一つの小瓶が現れた。
それはまさにジーナが思い浮かべていたものと同じ小瓶だ。
(技成功)
ジーナは心の中でガッツポーズをした。
そして、普通の服に着替えた。
一方、みぞれを見てみると小瓶の中に砂を入れている。
「どうしたの?」
とジーナが聞き、みぞれが持っている小瓶を見た。
みぞれは嬉しそうににこっと微笑んでから答えた。
「見ての通り、砂を小瓶の中に入れているのですよ。感動の思いを詰めて、旅の印にしたいと思って。」
「みぞれって実は優しい心持ってるの?」
「もとから優しいつもりですけど。」
「あ、自分でつもり言った。」
「聞かなかったことにして下さい?」
来夢はそんな二人のやり取りをにこやかに見つめていた。
だが、腕にはめている時計を見て顔色を変えた。
「あの、楽しく話していらっしゃるところ申し訳ないのですが、」
「楽しくは話してないの、来夢。」
「そうですよ!」
二人が必死に来夢の言葉をさえぎった。
来夢はそんな二人の言葉を聞いても微動だにせず、言葉を続けた。
「あそこの林まで行くのですよね?暗くならないうちに行かなければ。」
「あ、そうだった!」
「忘れていました……来夢さん、ありがとうございます!」
来夢は少し照れ顔になったが、すぐに真面目な顔になった。
「では出発しましょう。」
出発と言っても三人はリュックサックを持ってきていない。
ポシェットに少しの食べ物と水、それぞれ小物とパワードレッサーが入っているだけだ。
身軽な体でてくてくと林の方に歩いていった。
⇒三十四話へ続きます!