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┗283.短編小説のコーナー(61-80/207)

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61 :迅
2022/09/22(木) 19:34:14

「まさか、ランキング最下位を独占してたのもお前か?」
「う、うん……」
「えっと、戦おうとはしなかったのか?」
「一応したよ?したんだけど……僕、喧嘩はそこまで得意じゃないからさ……」
「はぁ?」
「で、でもさ!ちゃんと他の人を助けたりとか───」
「お、颯太クンじゃーん!こんなとこに居たのかよぉ〜」

 すると、二人の会話に割って入るように、数人の柄の悪い男女がやって来る。
 少なくとも彼の友人……では無さそうだ。
 その証拠に、颯太の方に眼を向けると、彼の手は怯えるように小刻みに震えていた。

「突然居なくなるからさぁ、俺たち探したんだぜ?」
「そうそう、飲み物とか自分たちで買いに行かなくちゃいけなかったし、疲れたなぁ〜」
「どう責任取ってくれんの?」

 リーダー格と思しき男子の発言を皮切りに、好き勝手言い始める不良グループ。
 当の颯太は募る不満を抑え込むように、グッと拳を固く握り締めていた。指の爪が皮膚に食い込み、そこから血が滲み出ている事も承知で。
 新には関係ない話だが、流石に読書の邪魔だ。

「おい、そこら辺にしとけよ」

 小説を閉じ、刃のように鋭い視線と口調で言う。
 だが、取り巻きの一人が臆する事なく、新に向かってメンチを切りながら顔を近付ける。

「何だァー?テメェ、もしかして正義の味方?ミカタっすか?」

 ガムを噛んでいるのか、クチャクチャと汚い咀嚼音を上げながら睨んで来る取り巻き。
 まさかとは思うが、威圧のつもりだろうか?

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62 :迅
2022/09/22(木) 19:34:42

「別に読書の邪魔になるから、ここじゃない静かな場所でやって欲しいなーってだけだが」
「あぁ!?じゃあテメェがどっか行けや!」
「はぁ……ここ、僕の席なんですけど?」

 ため息混じりにわざとらしく言うと、取り巻きのこめかみから鳴る何かがキレた音。
 何か喚き散らした取り巻きは、力任せに拳を突き出して来るが、遅い上に軌道が分かり切ったテレフォンパンチなど、捌く事は容易い。

 新は拳を掴むと、流れるような動きで関節を捻り上げ、取り巻きを床に組み伏せる。
 一瞬の出来事に、取り巻きは眼を白黒させていた。

「まだ、続けるか?」
「……おい、行くぞ」

 実力の差を悟ったのか、リーダー格の男は顎をしゃくって離れて行く。取り巻きを掴む手を離すと、まるで尻尾を切ったトカゲのように走って行った。

「……これで、漸く読書に専念出来るな」
「あ、あの……ありがとう、草薙君。また、助けられちゃったね……」
「礼なんざいらねェよ、気持ち悪い。感謝の気持ちがあるなら、さっさと消えてくれ」

 まだ何か言いたげだったが、颯太は遂に諦めたのか踵を返して去って行く。
 時計を見ると、約束の時間まであと少しだった。

「さぁ、ゲームスタートだ」

 次の瞬間、放課後を告げる鐘が鳴る。
 それ即ち、デザイアゲームが始まる合図だった。

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63 :迅
2022/09/22(木) 19:38:12

ストーリー案その2

連続優勝者と下位ランカーが思わぬ所で再会するって言う、メジャーだけどウケが良い展開
結構駆け足気味な感じはするけど、前に投稿した飯テロと違う点はデザイアゲームの後日談的なイメージが強いかなって印象
まぁ、後日談なんだけど

現在は、色々改良して案1と2を上手く繋げられないか試行錯誤中

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64 :迅
2022/09/22(木) 22:55:14

ピピ…カンソウ、カンソウヲクダサイ……

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65 :げらっち
2022/09/22(木) 23:02:06

すまん、遅れた。

>>63 そうだねー 1と2はつなげられると思う。
どちらも要点を押さえてまとまってるけど、まだテンプレ通りって感じ。
もっと膨らませられるだろう。


今更だが、「ぱぇ?」が北斗の拳みたいでしたw

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66 :すき焼きのタレ
2022/12/10(土) 03:07:20

久しぶりに小説アプリを開いてみたらなんか訳分からんとこで執筆やめてた、プロットも一切ない話の内容一切分からない謎作品があったので深夜テンションで読み切りにしてみました。ドキュメンタリーだと思って読んでください。





 朝目覚めたら家族がパクチーパクチー言うようになっていた。
「ドゥーユーノーパクチー」
 まだ春も来てないけれど、今年の流行語はこれで間違いないだろう。にしても、どこから流行り始めたんだろうか。全く意味が理解出来ないから、とりあえず「早く飯くえよ」ってことなのかな、と思っておく。寝坊したし。
  天気予報もパクチー。お日様活発だし見るからに雨は降らなさそうだ。他には時計がパクチー。LEDパクチー。母さんの靴下の柄がパクチー。あと家の庭もパクチー。
 で、案の定食卓もパクチーだらけ――というわけではなかった。パクチーパクチーうるさすぎて早速耐えられなくなりそうだったけど、食パンが食べられる生活に改めて感謝したい。イチゴジャム最高!



      「はちく」


 
 学校に着くと―知ってたけど―パクチーの話題であちこち盛り上がっていた。というか、パクチー連呼でうるさいだけなんだけど。
 数学教師もパクチーに毒されていた。数式のちょっと空いてるところにパクチーの絵をモリモリ描いている。ヤクチュウの描いた絵くらい下手くそだ。あとルートパクチーって何だよ。
 まあいいや。まともに話聞かなくても、「パクチー」ってノートに書いておけば、とりあえず帰ることはできる気がする。
 帰る前にパクチー買ってくか。肥料は要るんだろうか。
  
「パクチーすき?」
 一人のときに物音がしたときくらいビビった。聞き慣れた言語なのに、一瞬頭をすり抜けてってしまった。今日の地球はドゥユノパクチ、だかを軸にして既に半分くらい回ったんだから仕方ない。
「パクチー……多分、すき」
「どこがスキやねん」
  パクチーの好きなところ……あの……あれあれ……例えばこんな……、ごめん分からない。
 ぶっちゃけた話をすると自分はパクチーにわかだ。
「ワタシは美味しいと思います」
「?……なるほど」
「、……………」
「…………」
 こいつもパクチーにわかかよ。美味しいの一言で会話が途切れてしまった。歩きながらパクチー発してる人に話しかけたほうがまだもう少しキャッチボール出来たと思うよ。
 でも実際はパクチーガチ勢にデッドボールくらわせ乱闘騒ぎだろう……誤った知識でもの好きを名乗ってはいけないと、ほんとに思う。最初に投げたのがパクチー無知勢だったことがせめてもの救いだっただろう。早く気付いてくれ。
 
 そんなこんなで家に帰ってしまった。家族には会いたくなかった。イチゴジャムで片面を固めた食パンが今日はあまり美味しく感じられなかったからだ。無知からするとパクチーは汚いイメージがある。何でかは分からないけど。
 とりあえず家の庭に出て、15円レジ袋いっぱいに摘めてきたパクチーを一つずつ並べ始める。肥料はとりあえず効き目が良さそうな「まぜるな危険」シリーズにしておいた。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
 怖っ!!!
 ビックリしてまぜるな危険をぶちまけてしまった。身にかからなくてよかった。
 しかし突撃してきた家族どもはもっと怖かった。
「アアアアアアア!!アアアアアアアア!!」
 瞬間四面楚歌。360°いたるところからタックルされた。運悪く、まぜるな危険プールにパシャパシャしてしまった。これ溶ける?やばくね?
 でもそんなことより家族を慰めることに必死だった。
「ごめん!なんか分からないけど、ほんとごめん!パクチーにわかで、ごめん!」
 すると呪いが解けたかのように家族は皆倒れた。と思いきやすぐに起き上がり、
「今日の料理はパクチーバイキングよ」
 と耳元で囁いてきた。耳は2つしかないのに家族3人分の声がそばで聞こえた謎にもそのときは気付かなかった。
 そんなことより、
「パクチーって、食べられるの?」
 てか、パクチーって、何ぞ?

「ドゥーユーノーパクチー」
 手当たり次第に声をかけてみたが、振り向いてくれる人はおらず。
 ようやく1人振り向いてくれたが、気付けば視界が緑がかった?暗闇になっていた。目瞑ったときにぼんやり見える目蓋みたいな色。
 パクチーを顔に貼り付けられていた。
 もはや怒りの感情は湧かなかった。
 
「パクチー、臭っ」

[返信][編集]

67 :げらっち
2022/12/10(土) 03:22:01

放置しようと思ったが感想書こう…


あなたのレベルは勢いだけで面白くしているように思わせている出オチ芸人級です。


作風はてふてふをろくでなしにした感じだった。


しかし、クリボージャーよりは笑えた。

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68 :ベリー
2022/12/10(土) 03:27:52

>>66

自創作書き終わったら感想書こう思って読んだら予想以上にやばかったので感想書かせてください

もう意味がわからなさ過ぎるw 取り敢えず初動で堅苦しく読んで楽しむタイプではないと思って読みました。意味わからんかったです。
でもこういうの大好き。夢オチとかでも良かったと思うんですけど……意味不明要素残して終わったwwwwwwwww
もう要所要所のツッコミ絶対追っかけたらキリないので辞めます。

 全体的な感想として面白かった。意味わからなくて頭空っぽにして読めて深夜テンション感あって。アレですね。ポプテピピック見てるみたい。と言うか、導入からポプテピ見てるつもりで読んでました。そりゃちゃんとした短編として見るならボロカス評価でしょうが、絶対狙いもコンセプトも違いますよねこれw インフルかかった時に見る悪夢ですよwwww 
ただ単に意味がわからない。ただそこが最高に面白い。何か深い意味があったら申し訳ないけれど、クッソ笑って読ませて頂きましたありがとうございました

これポプテピピックに出しても可笑しくない。勢いとノリと意味不明さと情報量で一周まわって笑えてくる。最高。

[返信][編集]

69 :げらっち
2022/12/10(土) 03:29:16

多分SDGsに関するメッセージが込められているんだよ…。

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70 :げらっち
2022/12/10(土) 09:24:06

このスレをゲラフィアンソロジーみたいにしよう!

これまでに書いた人
1 やっきー
2 げらっち
3 ラピス
4 迅
5 黒帽子
6 露空
7 すき焼きのタレ

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71 :すき焼きのタレ
2022/12/10(土) 11:14:24

感想ありがとうwww
確か、今までの作品ぜんぶ「主人公の考えが浮世離れしている」て言われてたから、
それなら感情移入できんなあと思っていっそのこと周りの方をおかしくして中和してしまおう、と思ってかいた作品だった気がする(ちなみに最初の一文しか書かれてなかったw)
結局主人公もその周りも中途半端になっちゃったけどw
まあ深夜テンションなんで…

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72 :げらっち
2022/12/10(土) 13:06:25

最初の一文って破竹まで?ww

私はタレの作品を何回か見てきたから正直そこまで驚かなかったんだが、ベリーさんとかが見るとやっぱりこれは驚くものなのかな………

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73 :ベリー
2022/12/10(土) 13:28:01

>>71
>「主人公の考えが浮世離れしている」
それがタレさんの作風なら素晴らしいと思います。テンプレに沿わず唯我独尊で。そりゃ完璧って訳じゃないですけど、テンプレに囚われすぎてタレさんの作風を失って欲しくないってのが私の感想です
 感情移入? ンなの考えんな。よくネットで『主人公は感情移入しやすい人にしましょう!』ってありますけど、合わないなら無視して大丈夫です。感情移入できる主人公なんて意図的に作るもんじゃないですよ。本業小説家の方も感情移入なんていちいち考えませんし、感情移入自体曖昧なんですよ定義が。
『感情移入できない!』で全てを済ます人はいますけど。主人公と読み手は違う人間なんで感情移入出来ないことがあって当然です。色んな小説の形がありますが全部が全部読み手が主人公になりきるものなんてありません。
というか、小説ってターゲット層が高くなるにつれ、『感情移入』じゃなくて『物語全体』を楽しむものになってきてる気がするので。そんな気にしなくても良いかと。
まず、ネット記事で言われる『感情移入』は、共感の事を大体が指してます。共感っていうのは、例えばこの場合だと、冒頭の『全く意味が分からなかった』これ、共感出来ますよね。読み手。共感出来なかったらそれはそれでクレイジー
こういうのが、取り入れるべき感情移入だと私は思ってます。感情移入というか『共感』
 でも、沢山取り入れなくていい。今回みたいに自然と出てくる共感でよいと思うんです個人的にはね?! 感情移入なんていちいち考えんな。感情移入出来ないって言う人は主人公を、自分として見るタイプの人だと思うので真に受けすぎないようにしましょう。無視するのもダメだけどね。
 あと、共感が無さすぎると流石にいけませんが。

私もゴミくそ創作してる人なので、根本から間違った部分かあるかもしれません……余り鵜呑みになさらないでください……
 けど、私はタレさんの作風を貫いて欲しいなって言う。長文本当に申し訳ございませんでしたごめんなさい……偉そうでごめんなさい私はナメクジです……

感情移入と共感分けて欲しい……

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74 :すき焼きのタレ
2022/12/10(土) 16:03:18

なるほど…確かに感情移入、共感させるだけが全てじゃないもんね
思うようにかいて自分のジャンル確立?してこかな!
ありがとう!

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75 :げらっち
2022/12/10(土) 16:10:55

(書いた量が少なすぎてまだ作風もジャンルも何もない)
1年で1・2回ペースの投稿…

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76 :ラピス
2022/12/14(水) 17:51:17

でも共感できないと感情入らないんじゃないかなとも思うので難しいですわよね……
そうなると感情移入とは何? てなってきちゃうな。

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77 :げらっち
2022/12/14(水) 18:50:43

感情移入とは読書に寄り添うことだと思う。
好きに書いてもいいが、最低限読者に寄り添わないと、何書いてるか意味不明になり誰もついてこれなくなる…


とまあ、こんな話は自語り場や相談所でしたほうがよさそうだね。
このスレはみんなで短編を投稿してアンソロジーみたいにしよう!

[返信][編集]

78 :ラピス
2022/12/15(木) 08:02:33

毒を食らわば冠まで
♱⋰ 🌹⋱✮⋰ 🌹⋱♱⋰ 🌹⋱✮⋰ ♱


「あの女は魔女だ! 妾は嵌められたのだ! あの女は、あの女は……!」

 まるで毒を食んだかのように、白く血色の悪い顔色の女を、皆が更に白い目で見ていた。

「ひどい。御母様、なんてひどいことを」

 取り乱す母親の姿に怯える娘と、彼女を愛する国中の民。白雪姫、可哀想に。ああ、俺達の愛らしい姫君。七人の小人が娘を気遣って優しい声をかけている。その様子を、民達もまた、優しげな目で見遣る。自分に味方が誰一人いないのだと知ると、女は毒に力尽きたかのように崩れ落ちた。

「──言い訳はそれだけか。王妃。いいや……醜い魔女めが」

 誰かが言った。その声に賛同するように、軽蔑と野次と罵声が飛んでくる。それらは狩人の放つ矢の如く、女の精神を突き刺して穴だらけにした。

「嗚呼……クソ! 白雪姫! やはりあのとき、自らの手で殺しておくべきだった!!」

 白い顔のまま、女は金切り声を上げる。その様子を、可哀想な娘は泣き出しそうな目で見つめるばかりだ。

「やっと正体を現したか、醜い魔女」

 民は王妃だった女を処刑した。そうして、空いた王座にちょこんと座るのは、あの可愛らしい姫君であった。

「御母様は、どうして……」

 憂うような瞳の姫を、白い月が照らす。血色を感じさせぬ青白い肌でも、病的には見えず、雪と見紛うほど美しかった。
 彼女は、老婆に化けた王妃から毒林檎を受け取った日のことを思い出す。
 宝石のように紅く艶めく林檎に口づけをして、娘は愛らしい笑みを浮かべた。

「知ってますのよ、御母様。これは毒の果実なのでしょう?」

 目論見を見破られた老婆は、顔を引き攣らせて娘を睨みつける。

「こんなもので、私を殺せると思ったの。可哀想な御母様」

 白雪姫は林檎にもう一度口づけをし、そのまま齧りついた。毒の破片を口に含んだまま、彼女は笑う。

「私は皆に愛されている。あなたよりずっと美しい。あなたのように誰かに嫉妬しない。誰かを害そうなどと考えない。そして、その嫉妬すらも受け入れる」

 ごくん、と嚥下する音。

「完璧でしょう? 理想的でしょう? 魔法の鏡が言う、最高の美しさは、私のもの。御母様。あなた、一生私に勝てませんのよ」

 笑う。白雪姫は鋭利な殺意すらも飲み下して笑う。こんなに愛らしい嘲笑を、今までに見たことがあっただろうか。
 老婆は思わず、毒に倒れる姫の体を支えた。毒林檎如きでは殺せない。そう思って、彼女の首元に掴みかかって、そして。そのきめ細かな肌と、自らの骨ばった手指を見比べて。
 もう二度と、自分は一番になれないのだと悟った。目を瞑った娘が、尚も緩く笑んでいるのを知って、老婆は逃げ出した。
 意識のなかった姫はその情景を知らないはずなのに、まざまざと脳裏に浮かんで見えた。

「御母様はどうして……あんなにも愚かな女だったのでしょうね?」

 月しか見ていない夜。国一番の美女は、そっと微笑んだ。


♱⋰ 🌹⋱✮⋰ 🌹⋱♱⋰ 🌹⋱✮⋰ ♱
使用ワード 嘲笑、言い訳、毒

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79 :げらっち
2022/12/15(木) 12:59:25

私も好きなあの名作、白雪姫を引用するとは…!
女王は自分より美しい白雪姫を亡き者にするため、自身が醜い老婆となって手を下しに行く。本末転倒ではないのか…?

[返信][編集]

80 :げらっち
2022/12/17(土) 02:18:28

【アンソロジー目次】
やっきー >>2-4
げらっち >>8-10>>31-33>>36-38
ラピス >>17>>78
迅 >>19-21,25-27>>41-44,50-53,58-62
黒帽子 >>22
露空 >>35
すき焼きのタレ >>66

ベリーさんはやらないの?

[返信][編集]

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63 :迅
2022/09/22(木) 19:38:12

ストーリー案その2

連続優勝者と下位ランカーが思わぬ所で再会するって言う、メジャーだけどウケが良い展開
結構駆け足気味な感じはするけど、前に投稿した飯テロと違う点はデザイアゲームの後日談的なイメージが強いかなって印象
まぁ、後日談なんだけど

現在は、色々改良して案1と2を上手く繋げられないか試行錯誤中

66 :すき焼きのタレ
2022/12/10(土) 03:07:20

久しぶりに小説アプリを開いてみたらなんか訳分からんとこで執筆やめてた、プロットも一切ない話の内容一切分からない謎作品があったので深夜テンションで読み切りにしてみました。ドキュメンタリーだと思って読んでください。





 朝目覚めたら家族がパクチーパクチー言うようになっていた。
「ドゥーユーノーパクチー」
 まだ春も来てないけれど、今年の流行語はこれで間違いないだろう。にしても、どこから流行り始めたんだろうか。全く意味が理解出来ないから、とりあえず「早く飯くえよ」ってことなのかな、と思っておく。寝坊したし。
  天気予報もパクチー。お日様活発だし見るからに雨は降らなさそうだ。他には時計がパクチー。LEDパクチー。母さんの靴下の柄がパクチー。あと家の庭もパクチー。
 で、案の定食卓もパクチーだらけ――というわけではなかった。パクチーパクチーうるさすぎて早速耐えられなくなりそうだったけど、食パンが食べられる生活に改めて感謝したい。イチゴジャム最高!



      「はちく」


 
 学校に着くと―知ってたけど―パクチーの話題であちこち盛り上がっていた。というか、パクチー連呼でうるさいだけなんだけど。
 数学教師もパクチーに毒されていた。数式のちょっと空いてるところにパクチーの絵をモリモリ描いている。ヤクチュウの描いた絵くらい下手くそだ。あとルートパクチーって何だよ。
 まあいいや。まともに話聞かなくても、「パクチー」ってノートに書いておけば、とりあえず帰ることはできる気がする。
 帰る前にパクチー買ってくか。肥料は要るんだろうか。
  
「パクチーすき?」
 一人のときに物音がしたときくらいビビった。聞き慣れた言語なのに、一瞬頭をすり抜けてってしまった。今日の地球はドゥユノパクチ、だかを軸にして既に半分くらい回ったんだから仕方ない。
「パクチー……多分、すき」
「どこがスキやねん」
  パクチーの好きなところ……あの……あれあれ……例えばこんな……、ごめん分からない。
 ぶっちゃけた話をすると自分はパクチーにわかだ。
「ワタシは美味しいと思います」
「?……なるほど」
「、……………」
「…………」
 こいつもパクチーにわかかよ。美味しいの一言で会話が途切れてしまった。歩きながらパクチー発してる人に話しかけたほうがまだもう少しキャッチボール出来たと思うよ。
 でも実際はパクチーガチ勢にデッドボールくらわせ乱闘騒ぎだろう……誤った知識でもの好きを名乗ってはいけないと、ほんとに思う。最初に投げたのがパクチー無知勢だったことがせめてもの救いだっただろう。早く気付いてくれ。
 
 そんなこんなで家に帰ってしまった。家族には会いたくなかった。イチゴジャムで片面を固めた食パンが今日はあまり美味しく感じられなかったからだ。無知からするとパクチーは汚いイメージがある。何でかは分からないけど。
 とりあえず家の庭に出て、15円レジ袋いっぱいに摘めてきたパクチーを一つずつ並べ始める。肥料はとりあえず効き目が良さそうな「まぜるな危険」シリーズにしておいた。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
 怖っ!!!
 ビックリしてまぜるな危険をぶちまけてしまった。身にかからなくてよかった。
 しかし突撃してきた家族どもはもっと怖かった。
「アアアアアアア!!アアアアアアアア!!」
 瞬間四面楚歌。360°いたるところからタックルされた。運悪く、まぜるな危険プールにパシャパシャしてしまった。これ溶ける?やばくね?
 でもそんなことより家族を慰めることに必死だった。
「ごめん!なんか分からないけど、ほんとごめん!パクチーにわかで、ごめん!」
 すると呪いが解けたかのように家族は皆倒れた。と思いきやすぐに起き上がり、
「今日の料理はパクチーバイキングよ」
 と耳元で囁いてきた。耳は2つしかないのに家族3人分の声がそばで聞こえた謎にもそのときは気付かなかった。
 そんなことより、
「パクチーって、食べられるの?」
 てか、パクチーって、何ぞ?

「ドゥーユーノーパクチー」
 手当たり次第に声をかけてみたが、振り向いてくれる人はおらず。
 ようやく1人振り向いてくれたが、気付けば視界が緑がかった?暗闇になっていた。目瞑ったときにぼんやり見える目蓋みたいな色。
 パクチーを顔に貼り付けられていた。
 もはや怒りの感情は湧かなかった。
 
「パクチー、臭っ」

71 :すき焼きのタレ
2022/12/10(土) 11:14:24

感想ありがとうwww
確か、今までの作品ぜんぶ「主人公の考えが浮世離れしている」て言われてたから、
それなら感情移入できんなあと思っていっそのこと周りの方をおかしくして中和してしまおう、と思ってかいた作品だった気がする(ちなみに最初の一文しか書かれてなかったw)
結局主人公もその周りも中途半端になっちゃったけどw
まあ深夜テンションなんで…

78 :ラピス
2022/12/15(木) 08:02:33

毒を食らわば冠まで
♱⋰ 🌹⋱✮⋰ 🌹⋱♱⋰ 🌹⋱✮⋰ ♱


「あの女は魔女だ! 妾は嵌められたのだ! あの女は、あの女は……!」

 まるで毒を食んだかのように、白く血色の悪い顔色の女を、皆が更に白い目で見ていた。

「ひどい。御母様、なんてひどいことを」

 取り乱す母親の姿に怯える娘と、彼女を愛する国中の民。白雪姫、可哀想に。ああ、俺達の愛らしい姫君。七人の小人が娘を気遣って優しい声をかけている。その様子を、民達もまた、優しげな目で見遣る。自分に味方が誰一人いないのだと知ると、女は毒に力尽きたかのように崩れ落ちた。

「──言い訳はそれだけか。王妃。いいや……醜い魔女めが」

 誰かが言った。その声に賛同するように、軽蔑と野次と罵声が飛んでくる。それらは狩人の放つ矢の如く、女の精神を突き刺して穴だらけにした。

「嗚呼……クソ! 白雪姫! やはりあのとき、自らの手で殺しておくべきだった!!」

 白い顔のまま、女は金切り声を上げる。その様子を、可哀想な娘は泣き出しそうな目で見つめるばかりだ。

「やっと正体を現したか、醜い魔女」

 民は王妃だった女を処刑した。そうして、空いた王座にちょこんと座るのは、あの可愛らしい姫君であった。

「御母様は、どうして……」

 憂うような瞳の姫を、白い月が照らす。血色を感じさせぬ青白い肌でも、病的には見えず、雪と見紛うほど美しかった。
 彼女は、老婆に化けた王妃から毒林檎を受け取った日のことを思い出す。
 宝石のように紅く艶めく林檎に口づけをして、娘は愛らしい笑みを浮かべた。

「知ってますのよ、御母様。これは毒の果実なのでしょう?」

 目論見を見破られた老婆は、顔を引き攣らせて娘を睨みつける。

「こんなもので、私を殺せると思ったの。可哀想な御母様」

 白雪姫は林檎にもう一度口づけをし、そのまま齧りついた。毒の破片を口に含んだまま、彼女は笑う。

「私は皆に愛されている。あなたよりずっと美しい。あなたのように誰かに嫉妬しない。誰かを害そうなどと考えない。そして、その嫉妬すらも受け入れる」

 ごくん、と嚥下する音。

「完璧でしょう? 理想的でしょう? 魔法の鏡が言う、最高の美しさは、私のもの。御母様。あなた、一生私に勝てませんのよ」

 笑う。白雪姫は鋭利な殺意すらも飲み下して笑う。こんなに愛らしい嘲笑を、今までに見たことがあっただろうか。
 老婆は思わず、毒に倒れる姫の体を支えた。毒林檎如きでは殺せない。そう思って、彼女の首元に掴みかかって、そして。そのきめ細かな肌と、自らの骨ばった手指を見比べて。
 もう二度と、自分は一番になれないのだと悟った。目を瞑った娘が、尚も緩く笑んでいるのを知って、老婆は逃げ出した。
 意識のなかった姫はその情景を知らないはずなのに、まざまざと脳裏に浮かんで見えた。

「御母様はどうして……あんなにも愚かな女だったのでしょうね?」

 月しか見ていない夜。国一番の美女は、そっと微笑んだ。


♱⋰ 🌹⋱✮⋰ 🌹⋱♱⋰ 🌹⋱✮⋰ ♱
使用ワード 嘲笑、言い訳、毒

17 :ラピスラズリ
2022/06/30(木) 19:15:53

「小指」「贈り物」「止まる」より
☆.。.:*・°☆.。.:*

 あいしてる、なんて言葉だけでは不安だったのです。
 わたくしのあまりにも低い自己肯定感が邪魔をするのですから。今のように楽しく談笑していたって、貴方の心がわたくしではない他の何者かに向けられているのではないか、と怖くなります。
 だから、いっそのこと、と。別れ話を切り出したのでした。
 貴方の表情は固まり、時間が止まるようにも錯覚しましたが、わたくしが次の言葉を紡ぎます。

「愛を証明してください」

 わたくしの故郷には、古い習わしがあります。真実の愛を誓うとき、想い人にとある贈り物をするのです。
 彼もそれを知っていましたが、きっとそんな古びた文化に従う気はないのでしょう。こんなに怯えた顔をしていますもの。
 つまりは、その程度のことなのでしょう。わたくしはひと粒涙を溢して、部屋を出ていこうとしました。でも、掠れた声に引き止められます。
 彼は微笑んでいました。そうして、台所から持ってきた包丁を右手にしっかりと握っています。笑顔のまま、彼は床に置いた左手に、包丁をゆっくり近づけます。狙ったのは小指でした。
 古い習わしとは、真実の愛を証明するとき、想い人に体の一部を差し出すというものでした。

 ああ、わたくし達の愛は本物のようです。

22 :黒帽子
2022/07/01(金) 00:00:53

超掌編
「忍者・雲隠十三 盆邪城の巻物」

江戸内海に突如流れ着いた巨大な城があった。その名は盆邪城。
異国のにおいが立ち込める盆邪城、その中には膨大な秘宝が数多く眠っているようだった。
幕府はこの城を怪しく思い、兵を出しては追い払おうとしたのだが、城の守りは堅い。よほど秘密にしたいものが保管されているのだろう。
ここで最終兵器ともいうべき忍者、雲隠十三を呼び、盆邪城への潜入任務を言い渡した。
十三は生きて帰れる保証のない魔城へと足を踏み入れたのであった。

「これが盆邪城、それにしてもけったいな見た目だな。城も門番も。」
門番も某氏を外せば半球上、詰襟の服を着ていた。門番は城に入れる唯一の橋を通せんぼするかのように守っている。堂々と近づくことは死を意味するものである、十三はそう認識し、クナイを門番の首にぶつけた。

「あべし!」といったかどうか定かではないが門番はそのまま海へと落ちていった。
次の門番が出る前に十三は橋を渡り、盆邪城の中へと入っていった。
次から次へと怪しそうな集団が現れる。面と向かって戦いが長引くと確実に殺されるため、十三は的確に急所を狙う作戦を実行した。一瞬にして積み重なる兵の山。十三は大急ぎで城の上部を目指した。

城の最上階にて主が待ち構えていた。主は鎖で繋がって二本の鉄の棒を規制を上げながら振り回している。
「アチョオオオオオオ!」
迷わず忍者刀で応戦する十三、つばぜり合いがしばらく続いたが壁に追い詰められ、城主が優勢となってしまった。
十三は迷わず股の下を潜り抜けるよう滑り、背後からぶすりと一撃をくらわした。

「そ、そこの巻物だけはくれてやる。これで勝ったと思うなよ」
城主はこう言い残し、息絶えた。

十三は大凧で城を脱出し、江戸城に巻物を献上した。しかしそれは白紙であった。
これは現代でいうトイレットペーパーのようなものであったからだ。

十三は試合に勝ったが勝負に負けてしまったのであった。

35 :露空
2022/08/04(木) 20:29:43

一話

どうしてこんな事になったんだ―——絶対死なせない。私が必ず守ってやるのだ。
大怪我を負ったふろ禰をおぶって、雪の降る道無き道を駆けていた。

炭を背負い子に入れ、町に売りに行く用意をしている時。
「炭げらっち、顔が真っ黒ですよ。拭きますからこっちへ」
その優しい声に甘え、雪華のもとに寄った。
「雪が降って危ないですから行かなくてもいいんですよ?」
「大丈夫だ。正月になったら皆にたくさん食べさせてやりたいのだ」
ありがとう、と言われると、家の裏から弟妹達がやってきた。
「炭げらっち兄ちゃん、町に行くの?」
「私も行きたい!」
「だめよ、あなた達は炭げらっちみたいに速く歩けないでしょう?それに、今日は荷車を引いていかないから乗せてもらって休んだりできないんです」
たしなめても駄々をこねる弟達と見送ってくれる雪華に行ってきますと告げ、町に歩きだしていった。
「お兄ちゃん!」
家から少し離れたところをふろ禰がゆっくり歩いていた。六太を寝かしつけてたんだ、と静かに言う。
「お父さんが死んじゃって寂しいんだと思う。だから甘えん坊なのかな」
行ってらっしゃいと見送られ、手を振る。
生活は楽じゃないが、幸せだ。
でも。
幸せが壊れる時はいつも、血の匂いがする。

炭も全部売れ、頼まれた手伝いも終わらせて帰路に着くと、三檸檬に呼び止められた。
「今から帰るの?泊めるからやめなよ」
「私は鼻が効くから大丈夫なのだ」
「いいからこっち来て。鬼、出るよ」
根負けして三檸檬宅の中に入ると、かなり柑橘類の匂いがした。出された料理も檸檬という柑橘が使われたハイカラなものだった。「明日早起きして帰ればいい」と敷いてくれた布団もやはり柑橘の匂いがした。
寝る前に話をした。
「鬼は何をするのだ?」
「人を襲い、喰べる」
「鬼は家の中にまで入ってくるのか?」
「うん」
「皆、鬼に喰われてしまう……」
「そうならないように、『鬼狩り様』が鬼を斬ってくれるんだ」
朝。檸檬屋敷を後にして我が家に向かっていく。雪は今のところ止んでいるが、またすぐに降りそうだ。
幸せが壊れる時は、いつも…………
「っ!血の匂い……!」
慌てて家に近づくと、私は信じられない光景を見た。